The 102nd big machine club

2011.04.16-17 第102回でっかいもん倶楽部 in 益子大郷戸ダム

Bandit's feast

 

ちかごろは、ふた月に一回は焚き火を囲まないと、なんか調子が悪い。

俺ン家でよしなしと呑みつつ、ろろちゃんに電話して、『震災で中止になった夜宴(野宴)を16日あたりにやろう』と決めたその瞬間から、なにやらやけに体調が良くなった。この事実からも、俺の野外宴会依存症っぷりがよくわかるだろう。

つわけで仕事がハネた土曜日、ユリシーズに荷物を積んで走り出す。

向かうは益子、大郷戸ダムだ。

荷物を積んじゃってから、シート下のETCスイッチを入れてないことに気づいたので、いつもの下道、県道19号線をつかって北上。気温は26度、エンジンの調子もバッチリだ。こないだリアサスの圧をすこし強めた脚も、今のところいい感じ。

やがて、目の前に筑波山が見えてくる。

筑波の西壁を眺めながら、すいすいと気持ちよく走って県道41号線へ。

途中で、前回カワイイ女の子を見たコンビニを見つけた。

当然、また寄る。

こないだとは違うけど、やはり純朴そうな可愛らしい女の子がレジ打ってた。

もちろん写真はない。

こんなトコで捕まったら、野宴に参加できないじゃないか。

岩瀬の駅前を抜けると、国道50号線の向こうに買い出し用のスーパーが見える。

もし商品が品薄だったら、戻って千葉側で買ってこようと思ってたんだが、普通にたくさんの品揃えだった。そしてココで俺は、今日最初のうっかりに気づく。ストーブは持ってきたのに、ガソリンボトルを忘れてきたのだ。当然、加熱調理が出来ない。

まあ、みんな居るから大丈夫だとは思うが、念のため出来合いの惣菜のみを買い込む。

ただし、水だけは品薄だったので、買わないでおいた。

 

富谷観音の脇を抜けて、調子よく大郷戸ダムを目指す。

大郷戸ダムの入り口を曲がって、ダムへ向かう一本道を走っていると。

山桜かな? きれいな景色が迎えてくれた。

やがて舗装が途切れてダートになり、そのまましばらく進むと。

いつもの宴会場に到着。キャンプリーダーPOPOさんが、すでに到着していた。

 

デイキャンプだろうか、バーベキューをやってる家族連れもいたし、とても午前中に震度5の地震の震源地だった場所とは思えない。「のんびりしたもんだなぁ」と苦笑しつつ、POPOさんにアイサツしてから、景色がきれいだったので軽く散策。

山桜がきれいに咲いている。

暖かくていい天気だ。絶好の宴会日和だなぁ。

「要らないかと思ったけど、一応、持ってきたよ」

例え気温25度超えでも焚き木は欠かさない。

さすがリーダー! シビれるぜ!

早速、大笑いしてると、よしなしがやってきた。

SLの前後に荷物を積んで、のんびりと走ってくる。

荷物をおろしながら、「すげぇ、こんな暖かいのに焚き木がいっぱいだ!」と笑うよしなし。

 

サクサク準備を進めていると、こんだ四輪車がやってきた。

群馬のeisukeさんは、急な仕事が入って酒宴には参加できないのに、クルマに大量の食い物を積み込んで顔を出してくれた。「いやー、北関東道が繋がったから、ここまであっという間だねぇ」と、ニコニコしながら食い物やイスを取り出して準備してゆく。

 

一方、こちらはすでに準備も終わって、さっさと呑み始めてる俺とPOPOさん。

「かみさん、葉巻持ってきたけど吸う?」

もちろん否やのあるわけもなく、遠慮なくいただいて早速ふかす。

 

ダメだ。どうみても潜伏してるテロリストだ。

俺の脳内では、『コブラ』だったのになぁ(寺沢武一との訴訟に備えましょう)。

 

eisukeさんは炭火を起こしている。横のポリタンクは水。POPOさんもよしなしも自分で水を持ってきてた。この連中はいちいち言わなくても、当たり前のようにそう言う気遣いができるから好きだ。不足してる水は自分のトコから持ってきて、ゴミは持ち帰る。

当たり前のことっちゃ、当たり前のことなんだけどね。

 

ひととおり準備の終わった、宴会場の全景。

俺の目の前には、すでに焚き火の用意がセットされている。

「今日は暖かいから、こんなに要らなかったかなぁ」

「POPOさん、ぜんぜん問題ないっすよ。俺の燃やし能力に任せてください」

「えー、こんなに焚いたら暑いんじゃないかなぁ」

いいえ、なに言われても燃しますよ。燃しますとも。なんなら……

あっちの方に積んであるヤツもまとめてね(少しは反省しましょう)。

 

俺とPOPOさん、よしなしの三人がビールを引っ掛け、

帰宅予定のeisukeさんだけが、ノンアルコールビールを飲む。

「昔のに比べると、味は悪くないねぇ」

「でも、酔っ払えませんけどね」

「それは言わないでよ〜」

バカ話して笑ってると、ろろちゃんからよしなしに電話が入った。道がわからないとのことだったので、みんなで寄ってたかって説明。その途中、突然、ぷつりと切れた。電波の状況がよろしくないからだが、あとあと、俺はこの電波状況に苦しめられることになる。

 

早く着いてテント設営を済ませた俺には、しかし、まだ重大な使命が残っていた。

もちろん、火起こしだ。

今回は(俺的に)薪の量が少ないので、イキナリ高々と組み上げたりせず、三段くらいの小さな井桁を組んで焚きつける。するとPOPOさんが着火剤を放り込んでくれたので、難なく火がついた。まだ陽も高く 、気温も暖かいのだが、それでも焚き火が起きると嬉しくなる。

なんて言うんだろう。なんだか穏やかな気持になると言うか、やけに落ち着くのだ。

要するに中毒患者が薬物を得た心境だね(だね、じゃありません)。

 

やがて、何とか道を見つけたのだろう、 ろろちゃんが登場。

 

その姿を撮影しようと、よしなしが立ち上がり。

荒木飛呂彦のマンガみたいなポーズで写真を撮ってた。

なんかイケてないジョジョ立ち。

 

ろろちゃんがテントの設営を始め、他の連中はすでに一杯やり始めてた。すると、こちらへ向かって一直線に近づいてくるおじさんひとり。(ありゃ、 管理人的な人か。焚き火ダメなのかな?)と思ったらおじさん、ニヤリと笑って一緒に焚き火に当たりながら

「今日はココでキャンプするの?」

「はい、そのつもりです」

「ここらさぁ……イノシシが出るから気をつけてね」

半笑いで怖いこと言うなおじさん。

おじさんが去ってゆく背中を見つめながら、俺はイノシシの専門家に確認をとる。

「大丈夫だよな? よしなしが素手で捕獲してくれるんだよな?」

言うとよしなし、手でイノシシの頭をつかんでひねり倒す仕草をしながら

「はははっ! 倒しますよ」

闘牛っぽい感じだけど、イノシシに角はないぞ。

 

一方、ろろちゃんは荷物を降ろしてテントの設営をしていた。

「いやぁ、今回は荷物が多くてさぁ。仕方ないから(就寝用の)マットを削ったよ」

「へぇ、そうなんだ。F800Sって荷物が載らなそうだもんねぇ……っていやいやいや!」

それだよ場所とってんの! しかも前回のより大きくなってんじゃん!

みなで盛大にツッコむ。

とは言え、やはり『男にとって魅力的なブツ』であることは確か。

「すげー! フルオートでも撃てるんだ」

などと感心しつつ、思いついちゃったので、とりあえずやってみた。

「キミも、自衛隊に入らないか!?」

「かみさん、それゼッタイ自衛隊じゃないよ。むしろゲリラだよ」

こんなキュートな笑顔つかまえて何を言う。

 

最初のカンパイを 軽く引っ掛けたあとは、それぞれ思い思いの料理を作り始める。

この写真だと、普通に『食事の用意』なんだが、ちょっと角度を変えて撮影すると

 

 

あっと言う間に、『捕虜の食事』となるから不思議だ。

後ろの見張りが超こわい。

ゲリラに捕まった日本人捕虜、よしなしの食事風景。

捕虜のクセに、えらくイイモノ喰ってやがる。

よしなしの牛肉の周りにあるのは、eisukeさんが持ってきたホワイトギョーザ。これまたビールとのマッチングがカンペキ。eisukeさん、このギョーザを50個も買ってきてたので、「ご、50個スか? そりゃ多すぎません?」つったら、「ウチだと普段、80個くらい買ってるよ」と笑う。

そらeisukeさんがデカいのもうなづけるって話だ。

 

震災の話から、ちょっと真面目に政治の話になったりしたのだが。

ずっと真面目に話してられないのは山賊のサガ。選挙の話をしてるとeisukeさん、

「こないだの選挙さ、28歳の女性候補に投票(い)れたんだよ、それでね……」

「なにぃ! 28歳の女性議員に入れたって?」

「聞き捨てならねぇ! こりゃ奥さんに報告ですねぇ」

「いや、だから……そうじゃなくて……」

あわてて言い直そうとするも、時すでに遅し。この手の燃料を投下された山賊が、おとなしく話を聞くわきゃないわけで。本人も早い段階であきらめたようで、一緒にゲラゲラ笑ってた。結局、この日はずっと、28歳美人女性議員との不倫疑惑が晴れないeisukeさんだった。

今度、女性議員との合コンやりましょうね!(`▽´)b

そうこうするうち日が暮れてきて、桜越しに月の姿が見えてきた。

 

太陽の方は、すっかりダム湖の向こうに沈んだ。

と、クルマが一台、こちらに向かってくる。デイキャンプの人たちは帰ってるし、「もしかしたら、参加者かな?」と思いつつクルマの行方を見守っていると、当たり前のごとくeisukeさんのクルマとろろちゃんの単車の間に入り込んできた。コレは間違いなく、宴会の参加者だ。

すぐにオトコが独り、降りてくる。

俺の朋友、マルゾーだ。

この四月でようやく、ヤツの女房に言われた、「今年一年は、かみさんと遊んじゃダメだからね」と言う『禁止令』が解けるので、早速、遊びに来たって寸法である。ヤツの遊びにおけるフットワークの軽さは他者の追随を許さないものがあるのだ。

アイサツ代わりにバカやって、

 

とっとと宴会の輪へ溶け込むマル。

 

見る見る日が暮れて、風が冷たくなってきた。

月齢12日の月は、煌々とあたりを照らす。

 

焚き火の前に座って、杯(さかずき)を傾ける。

俺の愛する、山賊タイムの本番だ。

バカ話に興じたり、震災のコトを真面目に話したり。

 

と、ろろちゃんが空き缶を立てて、銃で撃ちはじめた。

すんげぇ正確にカンカン当ててるんで、「ろろちゃん上手いなぁ」つったら、ろろちゃんの銃には、なんとレーザーサイトみたいなスコープが付いてた。覗き込んで、スコープの中にある赤いポインタを標的に合わせると、俺でも簡単に当てることが出来るのだ。

面白がって撃ってたら、興味を持ったPOPOさんもやってきて。

後ろで大笑いしながら見てた。

んで、そのあとPOPOさんも撃たせてもらったら、やっぱりうまく当たるんで楽しんでた。つーか、うっかり買いそうな勢いだったね。値段を聞いて一瞬ひるんでたけど、物欲大魔王のひとりだから買うんじゃねーかな、きっと。俺は銃と刃物に禁止令が出てるから買えないけど。

なお、ろろちゃんが使ってたのは、バイオBB弾(微生物によって比較的短期間のうちに水と二酸化炭素に分解される、生分解性プラスチックを原料としたBB弾)なので、心配は無用だ。

 

楽しい時間の過ぎるのは、なんであんなに早いのだろうか。

大笑いしてるうちに、eisukeさんの帰る時間になった。後ろ髪ひかれつつ、トボトボと帰り支度を始めるeisukeさんに、我らココロ優しき山賊たちは、

「女性議員との不倫、バレないように」

「明日の朝イチバンで帰ればいいじゃないですか」

次々と温かい言葉を投げかける。

なにやらクルマまで寂しいオーラを漂わせつつ、eisukeさんは帰っていった。

近いうちにまたやりますから、その時は夜中までガンガン呑んだくれて大騒ぎしましょう。

 

宴は、終わらない。

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