The 104th big machine club
2011.06.11 第104回でっかいもん倶楽部 in 城里町 〜自由の旗の下で(後編)〜
呑んで喰って、しゃべって笑って。 いつものように楽しい時間をすごしてると、不意に甘いものが喰いたくなる。なので、「コンビニ行くけど、なんか欲しいものある?」と立ち上がった俺は、応じたろろちゃん&よしなしと一緒に、徒歩三分のコンビニへ向かって、ふらふらと歩き出した。 eisukeさんはお留守番。 目ぇ離すとナニ焼くかわかんねーから、ちょっと心配だけど。
コンビニへ向かいながら、三人でバカ話。 「いやー、コレはよろしくないなぁ。全然、山賊の雰囲気じゃねーもん」 「ははは、確かにそーっすねぇ」 「なに言ってんだよ、かみさん。ボカぁ毎回こんなのがいいよぉ」 毎回こんなんじゃ、イッコも山賊じゃねーだよろろちゃん。つわけで、コンビニで甘いものや梅酒なんかを買い込み、店を出ようとした矢先。入り口のところで売ってるモノに、惹かれちゃったかみさん。早速、ひっつかんでレジへゆき、近代兵器を手に入れる。 ま、言うほど虫はいなかったんだけどね。 今回、ありんこはソコソコいたけど、蚊だのブヨだの人間を刺す虫はほとんど出なかった。
やがて、急激に太陽が傾いてくる。 「うおっ、キレイだなぁ。これなら夜空も期待できるぞ」
やがて太陽が、残照を残して沈んでゆく。
美しい景色を見つめて、しばし黙り込む山賊たち。
ランタンを灯(とも)したら、夜宴の始まりだ。 とは言え、もう、胃袋は満杯。
呑んで喰って、ひとやすみ。 いつものグダグダ宴会……と思いきや。 eisukeさん、こんだブラックタイガー海老を焼き始める。 もう誰も彼を止められない。 「いや、ぜってー喰えませんって! eisukeさん、ムリですよ!」 「だーいじょぶ、だーいじょぶ」 「もー喰えないつってんのに……ちょ、美味めぇ! eisukeさん、エビ美味いっす!」 「でしょー?」 でも腹の皮が突っ張って、むちゃくちゃ苦しいです。
大笑いしながら視線を移したら。 よしなし先生、そろそろダウン。 「ぎゃははは! よしなし、おめ、眠いんならテント行って寝ろよ」 とっても眠たい。死ぬほど眠たい。起きてるのツラい。だけど、今ココで寝ちゃったら、自分が眠ったあとに楽しいことが起きるかもしれない。それはとてもとても悔しい。その瞬間のためだけに、無理してでもココに居なくてはならない。がんばれ、俺! そんな思いが、よしなしの心を満たしていることは疑いない。 まあ、気持ちはわかるけど、でも、そこまで酔っ払ったら起きてるのは無理だよ、よしなし。 「え? んあ? いや、大丈夫です」 何が大丈夫なのか、かみさんちっともわかんないよ。
よしなしの状態を見て爆笑したみんなは、それぞれ写真を撮り始める。
こっちはどう見ても、戦場カメラマンだけど。 それか盗撮。アングル的にパンチラ。
「よしなし、おめ、そんじゃ俺のコットで転がっとけよ。寝込んだら起こすけどな」 「ういーっす、そんじゃ」 つって転がるなり、大騒ぎするよしなし先生。 「うわぁ、コットいいなぁ。すげぇ楽々だあー!」 そりゃよかったな。 でもそれ、お前にもらったヤツだけどな。
どよどよと、Vツインの音がした。 「あれ? もしかしてマスターかな?」 しかし、そのバイクは駐車場のはるか向こうで停まる。 「場所、わかんねーのかな?」 「それじゃ、俺が迎えに行ってくるよ」 eisukeさんが立ち上がった。俺はマスターに電話を入れてみる。 「もしもしマスター? って今、電話に出られるって事はバイク乗ってないか」 「乗ってないすよ。どーしたんすか?」 「今さ、単車がやってきたんだよ。だからマスターかと思って電話し……」 「はいはい。どーせかみさん、パンダとしゃべりたいんでしょ?」 ちょっとなに言ってるかわからない。俺はおめーが、もし道に迷ってたら可哀想だから、わざわざ電話したんだつーのに。親切心をちっとも理解してない、マスターの失礼なセリフに怒りを覚えつつ、俺は電話口に向かって強く叫んだ。 「超しゃべりたい。かわって!」 コンマ三秒で即答。そして電話の声がパンダちゃんに代わるなり、むちゃくちゃ優しい口調になる、かみさん@エロオヤジ。もう少し気合が乗ってたら、電話口で妊娠させられるんじゃねぇかってくれぇのイキオイで、パンダちゃんとマシュマロトーク。 うんごめん、ウソついた。普通に話した。 電話を切って、「マスターじゃねぇならダレだ?」なんつってると、また電話がなる。 「あれ? またマスターからだ。なんだろ?」 思いながら出ると、パンダちゃんから、「やっぱり行きます」と嬉しいヒトコト。「なはは、どんくらい?」「二時間くらいです」「りょうかーい!」電話を切った俺は、ニヤニヤしながらみんなに向かって、「にゃははは、マスター来るってさ」「お、いいねぇ」「そんじゃ、俺はマスターが来るまで寝ます」 グダグダしてたプロトン(集団)に、思いがけず火が入った。
と。 「かみさんですか?」 闇夜から聞こえる久しぶりのセリフに、いつも通り呑気に、「はいはい、かみさんですよ」と答える。黒いシルエットが近づいてきて、初めて見る、若い男の子の姿が現れた。「ダレだろう?」といぶかしむまもなく、向こうから初対面のごあいさつ。 「どうも、はじめまして。銀星さんの知り合いで……」 「おぉ、聞いてる聞いてる。マーマレ読んで銀の店に行ったんだって?」 「はい、ずっと顔出したかったんですけど、今回こちらに来られると言うんで」 「おう、んじゃ呑もう」 「いや、明日仕事なんで、今日は帰りますから、呑めないです」 「そうなんだ。つーかさ、熊いなかった?」 「は? 熊……ですか?」 「うん、熊が一頭、君を迎えに行ってるはずなんだが」 若者が怪訝な顔をして首を傾げてると、迎えに行った熊、もといeisukeさんが戻る。 「あのVTXでしょ? こっち持ってきちゃいなよ」 つわけで銀の知り合いでVTX乗りの、ヤナギ君が宴に加わった。 「まあ、まあ。とりあえず、コレ喰いなよ」 eisukeさん、新しいターゲットを見つけるや否や、光速のメシ攻撃。 「うわ、メバルだ。いいんですか?」 「いいよ。にしてもよく、魚の名前わかるねぇ」 「俺、釣りやるんですよ」 「釣りかぁ、面白そうだけどなぁ」 「面白いっすよ、かみさん。やりましょうよ」 てな感じで初手から楽しく話せた。 銀の店に来てたからってワケでもねぇんだろうけど、なんとなく銀星っぽいノリの子だったので、俺は早い段階でヤナギと呼び捨て。ま、俺のサイト読んで、それでも顔出そうなんて段階で、そんな扱いは承知だったのだろう。ヤナギはニコニコしながら、くるくるとよく動いてくれた。 と、のそのそ動くヒトの気配がして、 よしなしが、ロールマットを抱えてやってくる。 「あにしてんだ、おめ」 「いや〜、だってテントにいたら、楽しそうな声が聞こえてくるんですもん」 や、気持ちはわかるけども。
「あ、かみさんにオミヤゲがあるんですよ」 ヤナギがニヤニヤしながら差し出したのは。 にぼしとミルクとチーズ。明らかに骨折ネタを仕込んできやがった。 会うなり骨折ネタとは、なかなかいい根性してるじゃねぇか。ようし、こうなりゃ銀星よりたくさんイジメてやるとしよう。だいたい、俺の骨折を突っ込んでいいのは、世話になったゴーと、同じく脚を折ったムラタくれぇの……うまっ! くっそ、牛乳うめー! 「牛乳うめぇなごくごく」 今考えれば、単純に酔っ払ってのどが渇いてたんだろうが、この時はやたら牛乳が美味くて、調子に乗って一気に飲んだ。それからおしっこしたくなり、トイレに行ったところで、突然、こみ上げる不快感。かみさん一気に大リバース大会。 「なんだよヤナギ。全部、吐いちゃったじゃねぇか」 ヤナギはイッコも悪くない。
ゴキゲンな顔してるけど、よしなし先生も、このあと大リバース。
そして、ろろちゃんは久しぶりの泥酔。手前は猫に引っかかれて怪我してるヤナギ。
なんでトイレの案内看板を撮ったのか、今となってはカイモク見当がつかない。 見当がつくのは、泥酔してるってことくれぇか。 つーか、トイレ看板より何より確実な泥酔の証拠写真がある。
炎がないのが、寂しくて仕方ない41歳。『泥酔したら焚き火』は、かみさんの基本。 酔っ払った身体にムチ打って、あちこちから焚き木を集めてくる。とは言え大きな枝はなかなか見つからないないし、小さい焚きつけみたいな木も、夜露で濡れまくってる。となれば、よしなし先生の新兵器、手回しブロアの出番だ。 ところがよしなし先生は、力尽きて眠っている。 なのでよしなしのハードケースを漁り、ブロアを引っ張り出す。そして火起こしをeisukeさんに託し、俺は夜の河原で焚き木を拾い始めた。んで、焚き木が思うように見つからないことに業を煮やしたかみさん、コンビニへ行く決意をする。 つーかホント、コンビニが近いのはよくないね、色々と。
夜露に濡れた芝生の上を歩きながらコンビニへ向かってると、足元に枯れ枝が落っこちていた。とりあえず何本か拾ったら、でかい声で「ヤナギー!」と叫ぶ。間髪いれず、「はーい!」と返事が来たので、「ダッーシュ!」と、今夜初めて会った若者に、イキナリの傍若無人っぷりを発揮。 ヤナギがやってきたので、枯れ枝を渡して 「燃してくれ」 「ういーっす」 なんだかしょっちゅうこんなやり取りをしてる気がするのは、ヤナギが人懐っこいからだろう。もしくは、出会いのスタートから銀星がらみだったのが敗因。恨むんなら、俺じゃなくて銀星を恨むように。稲川淳二ファンのヤツに恨まれるとか、ぞっとしないから。 かみさん、幽霊とか苦手なんだよ。
もちろんコンビニに焚き木なんて売ってるわけも無く。 仕方ないので、よしなしにウコンドリンクとソルマックを買って帰る。だが、よしなし先生、すでに限界だったようで、テントに戻ってしまっていた。なので自分でウコンとソルマックを飲んで、元気復活のかみさん。つーか、そろそろマスターが来るんじゃなかったか? ろろちゃん、eisukeさん、ヤナギとバカ話しつつ、携帯を取り出す。 「もしもし、マスター? 今どこらへん?」 「もうすぐつきますよ」 「判った。んじゃ、よしなし起こしてくるわ」 「いや、起こさなくていいって」 「だって、アイツもマスターに会いたがってたもん」 つわけで、電話を切ったらよしなし先生を起こしにいく。 「よしなしー! マスターそろそろ来るってよー!」 「……ぅ。ぅぃー」 哀しいうめき声が、心地よい夜風に乗って、闇の中を流れていった。
やがて、クルマのヘッドライトがやってくる。 マスター&パンダちゃん登場。 「おー! 来た来た! よーマスター元気? つーかパンダちゃんナオミがバックレてごめんねー」 「いいんですよ。パンダは呑みたいだけなんだから」 「お酒、買って来ました」 つわけで五人+二人−よしなし=六人で、宴会が始まった。
ろろちゃんは泥酔して沈没気味、俺はもちろん泥酔して調子に乗りまくり、eisukeさんも泥酔してなにやら火起こし職人になってた。今晩帰るんで呑んでないヤナギと、呑めないマスターはシラフ。パンダちゃんは酒好きだけど、さっき飲み始めたばかりだからまだまだシラフ。 それでも、温度差なんてまったくない。 ろろちゃんが酔っ払いながらも、何事か始めた。どうやら、ろろイタリアーナを暖めている。いや、それだけじゃないぞ。なんか追加してる……ろろちゃん、それなに? 「カレーだよぉ。おいしいよぉ」なるほど、たしかにカレーなら、面白い味になりそうだ。 つっても、俺はもうおなかいっぱいだから、味見しないけどね。 「はい、マスターこれ食べてみてぇ」 「なんすかこれ……パン? カレー? もぐもぐ、あ、うまい」 パンダちゃんが喰ってるのは、eisukeさんのサラダだったかな。 「マスター、パンダちゃん、なんか喰う?」 「いや、いいっすよ。今、ろろさんに貰った……」 「そうだ、よしなしのモツがあったはずだから、アレを焼けばいいんだ」 「ははは、なに勝手にひとの(保冷)バッグ開けてんスか、おじさん」 「いいんだよ、どうせよしなしは寝てんだから」 「そうそう、喰っちゃえ喰っちゃえ」 eisukeさんが火を起こしながら、ゲラッゲラ笑って俺をあおりつつ炭火を運んでくれて、そこでヤナギがモツを焼き始める。つっても、焚き火が小さく火持ちもしないので、基本的に手元が真っ暗で見えない。だから、焼けてんだか、生なんだか、それとも焦げてんだか判然としない。 「マスターさん、これ、焼けてますかねぇ」 「どれどれ……もぐもぐ……う〜ん、コレは喰っちゃダメだ」 「ぎゃはははっ!」 バカ笑いが、夜の芝生公園に響く。 気の置けない連中と、火を囲んで呑んだくれ、バカ話やちょっと真面目な話。 俺にとって、まさに命の洗濯だ。 このまま、泥酔して寝オチするまで、この楽しい時間が続いて……
さぁぁぁぁぁぁぁぁ……
「おい、ウッソだろ? マジで降って来やがった!」 まあ、しばらく前から、eisukeさんやろろちゃんに、「雨降りそうだよ、かみさんテント張らないの?」「かみさん大丈夫? ボクはeisukeさんのクルマで寝るけど」などと脅かされてたのだが、「大丈夫。雨なんか降らないって」と強がってた。だが、さすがにココまで降られるとまずい。 あわてて起き上がった俺は、テントを引っ張り出して、雨の中で設営開始。 んで、ようやく張り終わったと思ったら、雨が止んだ。 これもmioちゃんの恨みか。
盛り上がってたところへ、まさに『水を差された』わけで。 コレを機にそれぞれ、寝る者と帰る者に分かれる。 ヤナギはVTXをまたいで、雨が土砂降ってくる前に帰る。 マスターがヤナギの単車にまたがって、「うわ、重てぇ。起こせねぇ」と笑ったり、石がジャマで動かすのに四苦八苦してるヤナギを見かねて、VTX乗りのeisukeさんが動かしてあげたりしたら。「それじゃ、また!」と、若者は元気に帰っていった。 それからマスターとパンダちゃんも、クルマに乗って帰ってゆく。 「またなー!」 「近いうち、また遊ぼうぜ!」 「それじゃ、おやすみなさーい!」 帰宅組を見送ったら、それぞれの寝床へもぐりこむ。
こうして、楽しい宴の夜は更けてい……かない。 雨の後のテントの中とか、アホほど蒸し暑くて寝れたもんじゃない。しばらくがんばってみたが無理そうなので、とっとと起き出しコットをオモテに引っ張り出す。ユリシーズの横で寝る準備をしていると、ろろちゃんも起きてきた。 「かみさん寝れないの?」 「暑いからね。やっぱしオモテで寝ることにしたよ」 「風邪ひかないでねぇ」 一服つけたろろちゃんは、isukeさんのクルマへ。 俺はシュラフカバーにくるまって、コットの上で横になった。 こうして、今度こそ。 宴の夜は更けていった。
翌朝。 こんな状態で寝てた俺は、朝の空気に気持ちよく目覚める。 今回は強い酒を呑んでないし、ウコンだの胃薬だのたくさん飲んだし、なによりアホほど喰ってたからだろう。二日酔いもほとんどなく、久しぶりに頭痛のない朝の目覚めだった。もっとも、そのぶんイヤんなるほど胸焼けしてたけど。 オッサンは食いすぎちゃダメだ、いやマジで。
やがて、みんなが起きてくる。 「チーズを入れ過ぎたのが敗因かなぁ。すごい胸焼けしてるよぉ」 そんな泣き言を言ってたはずのろろちゃんは、結局、このあと別のツーリングに参加して、ハンバーグだかなんだかをガッツリ食ってた。超人的な胃袋の持ち主だ。アイアンストマックろろ。 昨日は泥酔して早寝したから、朝イチから元気なよしなし先生。 「いやー、なんか損した気分ですねぇ」 でも、酔っ払いっぷりは面白かったよ。
さて、撤収して帰ろうか。 ゴミの量がいつもより多いのは、コンビニが近かったからだろう。 文明とはゴミを出すのである(文明じゃなくてあなたです)。 ちなみに出たゴミは、クルマのeisukeさんが持ち帰ってくれた。 ありがとうございました。
それぞれ荷物を積み込んだら。
それぞれの方角へ向かって走り出す。
「それじゃ、またね!」 「またねー!」 挨拶を交わして走り出したところで。 本日のCrazy Marmaladeでっかいもん倶楽部は、無事に終了。いつものメンツに、ここ読んでやってきてくれた新顔のヤナギ。マスターとパンダちゃんまで遊びに来てくれた、むちゃくちゃに楽しい一夜だった。もっとも、喰いすぎて体調崩したのは、さすがにヤリすぎだけど。 みんな、楽しい時間をありがとう! 近いうち、またやろうね!
つわけで、キャンプ場やヒトの来る場所での山賊宴会は、そろそろシーズンオフ。 これからは、やるとしてもヒトの来ないマイナーな場所でやることになる。せっかくサマーキャンプを楽しんでるファミリーの横で、山賊が暴れてるんじゃ申し訳ないからね。やる時はココだのミクシィだので知らせるので、初めてのヒトでもヤナギみたく気楽に顔出してくれると吉。 自立、自主、自由の旗印をかかげて、楽しく呑んだくれよう。
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