The 107th big machine club

2011.07.23 第107回でっかいもん倶楽部 in 秩父

〜mio肉まつり(前編)〜

 

秩父のmioちゃんが、『mio肉まつり』を開催すると言う。

解説するとmio肉つーのは、『mioちゃんの地元の肉屋さんに売ってる肉』であって、もちろんmioちゃんの肉でもなければ、彼が捕獲してトサツした肉でもない。基本的にゾーモツ系が美味いんだが、今回はさらに加えて、俺の大好きなラム肉まで用意してくれるというのだ。

「そら行くさ」って話で、当日の昼ごろユリシーズに荷物を積む。

ロングツーリングの時より荷物が多いのは、テントを積んでるから。

 

「柏の周辺、やたら渋滞してるなぁ」と思いながら走ってたら。

ああ、そうか。今日と明日は柏祭りだっけ。

まつりの騒ぎを横目で見ながら、国道6号線をのぼってゆく。ロンツーからの流れでなんとなく、高速を使わずに下道を走るのがメンドーじゃなくなってるのだ。こちらも混んでる外環の下を走りぬけ、ボケっと考え事しながら走ってたら、ナチュラルに実家を目指してた。

「ちげーよ! 実家に帰ってどーすんだよ。秩父いくんだべな」

セルフツッコミしながら254バイパスを走りつつ、「せっかく、地図の入れられるタンクバッグを買ったんだし」と、16号から県道15号(最短距離)を行かずに、あえてわき道を選んで走る。これがまた、オリエンテーリングみたいで楽しいのだ。

迷うの嫌いなヒトには、向かない遊びだけどね。

ここはどこだっけ? たぶんその近辺の県道。

やがて秩父の動脈、国道299号に出たら、あとはひたすら北上するだけ。下道を行くつもりで早めに出発してきたから、時間はたくさんある。なので珍しく、すり抜けをほとんどせずにクルマの後ろを走った。クソ暑い上に半ヘルだしね。

299は正丸トンネルを抜けたところで、イキナリ体感温度が下がる。

「おぉ、やっぱ秩父は涼しいなぁ」

感心しながらドコドコと進み、 やがて、買出しポイントのベルクに到着。

酒と若干のつまみを買って、いつもの河原へ急ぐ。

河原に着くと、すでにmioちゃん、ろろちゃん、よしなしの三人が来ていた。

なので、ココからはよしなしが撮った俺の写真もある。

と。

ろろちゃんが俺に近づいてきて、ニヤリと笑った。

「すぐにビール呑めるとか思ってるべ? ダメだ! まずヘルメットをかぶれ」

言いながら、キーを差し出す。ろろちゃんの愛機、BMWのF800Sを試乗させてくれるというのだ。こないだ遊びに来たとき、「お互いの単車を試乗しよう」と約束してたのを覚えててくれたのだろう。しかし、残念ながら俺のユリシーズは試乗できるシロモノではない

「試乗して欲しいんだけど、まだフロントブレーキがカツカツ言ってるからさぁ」

「いーよ、いーよ。って言うかそんな怖いの乗りたくないよ」

ま、そらそうだ。

 

つわけで、F800Sの試乗。

エンジンを掛けると、マフラーから爆音が響く。しかし、アイドリング自体は当然スムーズで、振動のカケラもない。「いかんなぁ……振動しない単車が、物足りなくなってるぞ俺」と、アタマの悪いヒトリゴトを吐いてスタンドを払い、一速に入れて走り出す。

まずは様子を見ながら、軽くスラロームをきってみる。

重心が少し高い感じがするのは、感覚というか慣れの問題だろう。クルーザにハヤブサ、ケーロクにビューエルと、比較的重心の低い単車を乗り継いでいるから、高い単車は少し苦手なのだ。倒しこみは速いけど、せまっくるしいところは走りたくない感じ。

広い峠やサーキットなんかが、ビタッとはまって面白いんじゃないかな。

 

試乗を終えて戻り、早速、酒を呑み始めようとすると、一台のバイクがやってきた。

「ダレだろう? 通りがかりかな? それとも関係者……」

乗り手が、フロントアップ。

「ああ、関係者だな」

確信したところへ、その単車がやってきた。

アプリリアのシヴァー750に乗った、厚木の変態、NEKOさんだ。

「うぉー! 久しぶりっすねー!」

「よう! 肉が食えるって?」

突然の来襲に大喜びの、かみさん41歳。

NEKOさんが来たとなれば、これ以上待っていられない。

早速カンパイだ。

ゲラゲラ笑いながら冗談を飛ばす、NEKOさんの姿。そのなんとも言えない安心感つーか安定感が、なんだかやけに嬉しい。酒盃を片手にドッカリと腰掛け、ニカっと笑って「楽しく生きなきゃな?」と言われると、瑣末(さまつ)な悩みなど吹っ飛ばされてしまう。

(そうだよなぁ。悩んで生きたって、笑って生きたって、人生は人生だモンなぁ)

最近、ちょっと悩んだりしてたのだが、笑顔イッパツで気が楽になった。

やっぱ、このヒトは俺の目標だわ。

 

そうこうするうち、mio肉から美味しそうな匂いが漂ってくる。

ゾーモツ系が好きな人は、もうタマラン美味さ。

「かみさん、ラム肉が好きなんだよね? 買ってきてあるから、後で食いましょう」

「おう、肉の中でラムがイチバン好きだ」

「ラムが好き? アグネス・ラムか」

「ラムと言えばラムちゃんだよねぇ」

「いいねぇラムちゃん」

説明しなくても、誰がどのセリフを言ったかはわかるだろう。

 

mioちゃんが、ふと思い出したように言った。

「かみさん、今日は俺の友達の、女の子が来ますから」

「あんだ、mio公の愛人け?」

「友達ですよ! キャンプやってみたいって言うんで、『今日はスペシャリストが来るから、なんなら参加してみたら?』って誘ったんです」

バカだなぁ、mioちゃん。今日集まって来るのは、キャンプのスペシャリストじゃなくて、ただただ好き勝手に呑むのが得意な、山賊宴会のスペシャリストだよ。すると、その話を聞いていたろろちゃんが、「そりゃあ大変だ!」と大声を上げる。

「女の子が来るんじゃあ、今のうちにエロ話しとかなくちゃ!」

「しとかなくちゃの意味がわからん。なにそのエロトーク貧乏性」

ゲラゲラ笑い、酒盃を干す。

 

と、バイクが一台。

VTR250は、mio公の同級生、KYくんだ。

「いやいや、メットおかしいから、KYくん」

「かっこいいでしょう?」

仕事の帰りに寄ってくれたKYくん。しばらく話して帰ろうとするので、

「あれ? 帰っちゃうの?」

「いや、バイクを置いてから、クルマで来ます」

なはは、嬉しいじゃないの。

 

さらにバイクがやってきた。

黄色いXB12XTユリシーズは、俺の12Xと外装を交換した、TKさんの愛機だ。

「今、タイア交換してきたんですよ」

「あ、そうなんですか。どれどれ……おぉ、エンジェルだ!」

純正タイア、ピレリのエンジェルSTを履いた10年モデルのユリシーズを検分しながら、(ほぼ)同じ単車に乗ってる同士、色々と話し込む。つっても俺の話は基本的に正確さのないバカ話ばかりだから、参考なったと言うことはないだろうけど。

まあ、笑ってくれてたので、俺的にはOKだ。

TKさんは、俺のバカスタム・ユリシーズにも跨って、低い足つきを体感したり。

ビューエル談義に花を咲かせてると、時々NEKOさんツッコミが入る。これがまた異常に詳しくて、TKさんも「あの方は詳しいですねぇ」と驚いていた。つーか酔っ払ってたからホンキかは判らんけど、NEKOさんがまたビューエル買いそうな話をしてて、かみさんゴキゲン。

あの詳しさで日記とか書いてくれたら、すげぇ勉強になるからね。

 

と、クルマがやってきた。

先ほど帰ったKYくん(写真背中)が、クルマに乗ってやってきたのだ。

当然、今日は車中泊なので、いいだけ呑んだくれられる。

 

「あんだ、かみちゃん見ろよ。向こうの空がやけに妖しく曇ってねぇか?」

「ひと降り、きますかねぇ」

「モツ煮ができましたよ」

mioちゃんの声とともに、モツ煮が配られる。

俺は本来、モツとコンニャクだけのシンプルなヤツが好きだけど、コレもまた美味かった。

 

どーよこの、『That’s ダメ人間』な感じ。

 

モツ煮を食いながら目の前で肉を焼き、喰らい、酒を呑む。

そして、ダチとバカ話をして大笑い。

どんなに趣向を凝らしたアミューズメントより、高級な店より、俺はこっちがいい。

 

TKさんとKYくんは、地元のオフ仲間。

実はまだ、ふたりと走りに行ったことがない。

前に会ったときは、俺がまだ骨折の影響で走りにいけなかった。今は小さいオフ車ねぇけど、またいずれ復活した時には、ぜひ一緒に走って、秩父の山の中を案内してもらおうと思ってる。mio公に先導させると、とんでもねぇトコに連れて行きやがるから。

 

なんつって騒いでると、 やがて女の子たちがやってくる。

ところで、俺には若干の不安があった。

mio公がメンドーな話をしてるわけがないし、と言うことは、この女の子たちは山賊宴会のルールを把握してないはずだ。「キャンプしたことないから、ちょっとしてみたい」なんて子達が果たして、お客さんにならず、自分のメンドウを自分で見れるだろうか?

自分で何にもしないのに、「つまんなーい」とか言い出したら。

mioちゃんの友達だろうが愛人だろうが、イラっとしちゃうだろうなぁ、俺。う〜む……でもまあ、今日はmioちゃんが言い出した、『mioちゃんの宴会』だからな。やつがホストとしてメンドウを見るなら、多少イラっとしたとしても、おとなしく静観してよう。

と言う形で、『心の中の折り合い』をつけると、やってきた女の子を迎える。

ピンキーちゃんとやよいちゃん。

 

軽くアイサツして呑み始めたところで、俺は自分が重大なコトを失念していたことに気づいた。ふたりが山賊的に遊べるか、それともお客さんになっちゃうか、静観しようと思っていた矢先、俺の右側から声がかかったのだ。そう、今日はこの男がいるのである。

「おねーちゃんたち、まあ、座んなよ」

おねーちゃんスペシャリスト、NEKOさんがニカっと笑う。そして彼女たちと会話し始め……俺たちはすぐに、苦笑するしかなくなった。会話の流れが、まるっきしキャバクラなのだ。おそらく、俺と同じ危惧を抱いていたであろう、ろろちゃんやよしなしも、やはり苦笑いを浮かべている。

「名前なんてーの? ピンキーちゃんとやよいちゃんね。んで、ピンキーはさぁ……」

出会って一秒で呼び捨て。

まさに『らしい』対応は、女の子たちをもNEKOペースに巻き込み。

なはは、これじゃお客さんはNEKOさんの方じゃねーの。お客さんの意味が違うけど。つわけで、山賊宴会場はすっかり、『キャバクラ秩父』状態。『絶好調のNEKOさんと、それを見守る俺たち』という構図が出来上がる。

 

そんな中、ナニを思いたったか、いきなり。

銃をぶっ放し始める、ろろちゃん。つーか今回も持ってきてたのか(`▽´)

 

突然、たくさんのツバメが飛び立って、アタマのすぐ上を飛んでゆく。

写真に写ってる黒い点が、全てツバメだ。ちょっと怖いくらいの光景だった。

「ツバメが低く飛んだら、雨が降るんだよなぁ」

「あーあ、やっぱりmioちゃんのキャンプは雨が降るんだ」

「お、俺のせい〜!?」

 

ゲラゲラ笑ってたら、低いエンジン音が聞こえてきた。

 

後編に続く

 

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