The 107th big machine club
2011.07.23 第107回でっかいもん倶楽部 in 秩父 〜mio肉まつり(後編)〜
ド低く構えた流麗なクルーザは、ホンダVTX1800C。
乗ってるのは当然、群馬の灰色熊ことeisukeさんだ。
「ぎゃはは! やっぱきたか! いや〜eisukeさんサイコー!」 「やあ、かみさん。みんな集まるって言うからさぁ。ここならウチから近いし」 「よう、eisukeさん! きたね! 呑もう呑もう!」 「あらぁ、NEKOさんも来てたんだぁ。今日はね、帰るから呑めないんだよ〜」 明日仕事だってのに、顔見せに寄ってくれたeisukeさん、ノンアルコールビールを取り出して、早速カンパイしてる。女の子が居るので、「おや?」という顔をしてたが、基本的に細かいことを気にしない人だ。NEKOさんが、女の子をからかってるのを聞いて笑ってた。 ガタイも心もデッカイ男である。
と、mioちゃんが鬼のクビとったような顔をして、大声でわめきだす。 「ほらー! 俺じゃないよー! eisukeさんが(雨の)犯人なんだよー!」 ちっちぇぞ、mio公(`▽´)!
雨が強くなってきた。
みんなで、mioテント(野外用屋根だけテント)の下に移動する。 河原はこんなに広いのに、何が哀しくて寄り集まって呑まにゃならんのだって話だが、ワイワイ楽しく呑んだくれてれば、それもOK。俺はさっさと自分のテントを張り、ちょっと考えてから、雨に備えてそのテントを自分のそばへ移動する。 横に壁を作っておくと、風が吹き込まないから濡れないのだ。 「かみさん、前にやった嵐のキャンプで、壁作りを学んだんだね?」 そう言って、ろろちゃんが笑った。 もちろん。 かみは常に進化するのだ(胸に手を置いて、しっかり考えましょう)。
雨でテンションが下がるなんて連中じゃないので、mioテントの中は熱気全開だ。 もっとも、『山賊宴会じゃなくなる』という懸念こそなくなったものの、今度は妙な感じにキャバクラ化してしまった空気に、なにやらタイミングを外してしまって、俺はちっとも酔っ払ってなかった。なに? それはお前の勘違いで、 ホントは泥酔してたんだろうって? 今回はちゃんと、酔ってない証拠がある。 なんと、いつも泥酔する俺にストップをかけてくれる、あのろろちゃんが、「かみさん、こんな時間なのに酔っ払ってないじゃん。どーしたの? 呑みなよ」と、出会ってから初めて、俺に酒を呑めと言ってくれたのだ。も、感動のあまり俺は泣いたね(シレっとウソつくのはやめましょう)。 と、そこでmioちゃんが、得意の『富士のmioヤキソバ』を作り始めた。
ドームパスタを髣髴(ほうふつ)とさせる、てんこ盛りのヤキソバ。 振りかけてるのは、mioちゃん特製のだし汁だ。ところが、その絵を見たピンキーちゃんが、ものすげぇビックリしながら、「え? レモン水? レモン水かけるの?」と大騒ぎし出して、みな苦笑&爆笑。いや、確かに見た目は確かにレモン水っぽいけども。 これでカンペキに、『ピンキー=天然』の図式が出来上がった。 当然、ココから先は俺も呼び捨てする。
と、ピンキーがNEKOさんの耳元に口を寄せて、小さな声で何か話してる。 「……ダレだか、名前がわかんない」 そう聞こえたので、mioちゃんに向かって、 「mioちゃん、mioちゃんがみんな知ってるんだから、紹介してくれよ」 「そうすか、それじゃあ……彼女がピンキーで、彼女がやよいちゃん」 俺らに二人を紹介すると、今度は二人に向かって、 「NEKOさん。となりがかみさん。ダメ人間。そんで、ろろちゃん」 酔っ払って思いっきりeisukeさんをすっ飛ばしたので、俺がすかさず、「eisukeさんが抜けたぞ」と突っ込むと、mioちゃん、eisukeさんを指して嬉しそうな顔で、「クマ!」と叫ぶ。そのセリフにみんなが大笑いする中、ピンキーが狼狽しながら叫んだ。 「クマ? クマさんなの? それでこっちのヒトは?」 ピンキーが指したのはeisukeさん。つまり彼女のアタマには、ろろちゃんがクマとしてインプットされてしまったのだ。天然で酔っ払ってるところに、『こういう時は、必ずめちゃくちゃなことを言い出すろろちゃん』が混乱に拍車をかけるので、状況はカオスになってゆく。 「あれ? ろろちゃんはクマさんじゃなくて……え〜と」 もちろん、mioちゃんもワルノリして、「あのひとが……期限切れさん。こっちが……ヤベっち」などと、賞味期限切ればっかり食ってるよしなし先生、ナイナイのヤベっちに似てる(?)KYくんにも、容赦なく無茶な説明を入れてゆく。 「期限切れさん……ヤベっち……クマちゃん……ろろさん……???」 ピンキーはもうパニック状態。それを見て、皆で大笑い。 結局、まともな紹介にはならなかった。
と、ろろちゃんが、おもむろに服を脱いで着替えをはじめる。 「ちょ、ろろちゃん。なに着替えてんの?」 「ここは秩父だよぉ? タンクトップを着てないと、mioちゃんに殺されちゃうじゃん」 「ぎゃははははっ! なるほどそうか。俺もタンクトップ着ててよかったぁ」 「えぇ、俺、着てないよ! やばい、mioちゃんに殺される」 バカ話して笑いつつ。 ろろちゃんに薦められ、いいペースで呑んだくれ始めた俺は。
バキっと酔っ払い始める。 そして、俺と同じく安心したのだろうか、他の連中もイッキに酔い始めた。 「あんだよmioちゃん、ヤキソバのテッパンが、ジュウジュウ言わねぇじゃんよ」 「う〜ん、火力が足りないですねぇ」 「ぎゃはははっ! ダメだそれ。煮込んじゃってるじゃねーか!」 「よし、火を強くしよう」
酔っ払ったよしなし先生、電動ファンで炭火を煽り始める。 当然、いいだけ灰が舞い上がった(写真の右側、宙に浮く白いてんてん)。 「バッカよしなし! 灰が舞ってるじゃねぇか」 「大丈夫ですよ、喰えますよ」 みんながお前みたいな、鋼鉄の胃腸を持ってると思うな。
雨の中、テントの下に集まって、呑んで喰ってしゃべる。
たったそれだけの、でも最高にステキな時間だ。
「かみさん、ラム焼きましょうよ。1キロあるから」 「い、いちきろぉ〜? バカじゃねぇの。もうハラいっぱいで喰えねぇよ」 「喰いましょうよ。つーかとりあえず焼きましょう」 今日は、酒を呑めないeisukeさんの代わりに、mioちゃんが食わせモードらしい。mio公は自分が焼くのはもうメンドウだから、俺に焼けと、ラム肉の入った包みを差し出す。俺が何度ハラいっぱいだと言っても、一向に聞く耳を持たない。 仕方なく、受け取った白い包みを開いてみると。 「おぉ、丸く整形したヤツじゃない、ちゃんと肉肉したラム肉だ! くそー、これは美味そうじゃねか。ハラ空かせてから喰いてぇなぁ。つーか、なんだこれ? タテガミ(馬肉の背脂)みてぇなアブラのカタマリが入ってる。コレを溶かしてから、焼くのかな?」
つわけで、脂身を焼いてアブラを出していると、またも天然娘が騒ぎ出した。 「イカ? イカ焼いてるの? イカ大好き! 美味そー!」 このへんで俺は、自分で決めていた、『天然→めんどくさい→関わらないで置こう』というスタンスを、自ら崩すことになった。一周まわって面白くなってきちゃったのだ。だから、NEKOさん的なキャバクラスタンスではなく、ちゃんとダチ予備軍として話そうと思った。 「あ、かみちゃん(ピンキーはすでに、俺をそう呼んでいた)。お酒ないじゃん。つくるよ」 「いーよ、飲み屋じゃねぇんだから。ダチになるんだろう? んじゃ、フィフティでやろう」 そう言って、右手を差し出す。もっとも、握手したピンキーはキョトンとしてたけど。ま、コレはあくまで俺のスタンスの問題だから、彼女がわかろうと理解しなかろうと、どうでもいいのだが。それと勘違いしちゃ困るンだが、NEKOさんだって 、無理やり酒作らせたりしてるわけじゃない。 あのひとらしい気遣いで、早く仲良くなろうとして、わざとワガママっぽく振舞ってるのだ。 たぶん、きっと。
雨はいくぶん小降りになるが、俺らのテンションは上がりっぱなし。
時々こうしてみんなの輪を離れて写真を撮るのが、実は俺、結構好きなのだ。 「こいつらと呑めて、俺ぁシアワセだな」 なんて感慨にふけるのって、悪くねぇんだよ、ホント。
NEKOさんは、やよいちゃんと話しながらも、わりと思いっきり泥酔状態。
今回は呑まずにいたやよいちゃん。NEKOさんを上手にいなしながら、話を聞いている。 「そんでよ、そういう時にさ……って、なんだよ、誰も聞いてねぇじゃん」 なんかの拍子にNEKOさんが、そういった瞬間。 「聞いてますよ」 「聞いてますよ」 俺とやよいちゃんの声がハモった。 ピンキーのようにガンガン前に出るタイプではないが、やよいちゃんも自分の立ち位置をキチンと構築していた。会う前に、「どーせ自分の面倒なんて見れずに『つまなんない』とか言い出して、イラっとさせんだろう」なんて決め付けてた俺の方が、よっぽど失礼だって話だよ。 猛省します。
この辺でみんな、かなり全開オラオラ状態。 冷静だったのは、呑んでないeisukeさんとやよいちゃん、それにKY君くれぇだろう。
mioちゃんはリバースしたらしいし、ピンキーは翌日も酒臭かったし、よしなしとろろちゃんに至ってはテントも張らずに地べたで寝たし。俺はエンジン掛かるのが遅かったのと、ずーっと焼酎一本で通してたので、それほどひどく酔っ払ってなかった……たぶん。
そして、本日イチバン絶好調にして、イチバン泥酔してるのがNEKOさん。 「NEKOさーん。そろそろテント張らないと、面倒でゼッタイやらなくなりますよ」 「そうか? う〜ん、めんどくせぇな。ま、張るか」
つわけで、KYくん(だかmioちゃんだか)のヘッドライトに照らされて、NEKOさん、テントを張る。 そしてキャンプに興味津々のピンキーが、テントという、まさにキャンプの象徴のような物体に惹かれないはずもなく。「かみちゃん、テントの中、見せて」「おー、いいぞ。ま、中は濡れてっから入らない方がいいけど」「濡れてんの? どうやって寝るの?」「マット敷くんだ」なんつってると。 向こうからmioちゃんの声が聞こえてきた。 「ピンキー、テント張るの手伝う?」 「手伝う! 手伝うよmioちゃん」 つわけで。
雨の夜中にテント張り講座。 そして、また雨が強くなってきたところで、mioちゃんとよしなし、KYくんがブルーシートを使って、宴会用テントの横にタープを張り始めた。タープつーか壁作りだ。協力して、ああでもないこうでもないと工夫しながら、無事、風上側にブルーシートを張る。
写真は見づらいけど、宴会テント内のスペースが一気に広がった。 「あんだよ、いいなぁおめーら。こっちはすげぇ狭いんだぞ。短い足をさらに折りたたむんだ」 「ははは、こっちはだいぶ広くなりましたよ、かみさん」 店舗拡張が終わったところで、改めて呑み始めようか。 「あ、それじゃ俺、そろそろ帰るわ」 eisukeさんが立ち上がり、帰り支度を始める。
それを捕獲して返すまいとする、泥酔NEKOさん。
帰り際、見送りがてらバカ話をしたら。 eisukeさんは雨の中を、VTXに乗って帰っていった。 翌日仕事だってーのに、ありがとうございました。
残されたカオスな面々は、もちろん容赦なく酒盃を干してゆく。
俺のイスに、「ためしに座ってみろ」つったら、座ったきり動こうとしないピンキー。 仕方ないので隣のイスに座ったら、みんなと視線の位置が違うもんだから、なにやら疎外感を感じてしまう。このままココで呑むのは悔しいので、mioちゃんのところへ行って、「mio公、ちょっとこっちに来い」と連れてくると、代わりに座らせる。 「な? なんか疎外感がねぇ?」 「ありますねぇ。このイスはいやだなぁ」 「でもダメだ。そこがお前の席だ」 「えー! やですよー!」
「mioちゃん、呑みなよ」 ピンキー、超マイペース。
NEKOさんはテントも張って安心したのだろう。
もう、オチる寸前だ。この記憶はゼッタイにないはず。賭けてもいい。 みんな楽しく酔っ払ってるが、基本的におなかいっぱいで、もう焼肉を食うガッツの持ち合わせは誰にもない。するってーと、普通の場合は、バーベキューコンロが無用の長物になるのだが、山賊宴会に限って言えば、決して無用になることはない。 なぜなら、山賊宴会をやる連中は例外なく、
炎が大好きだから。 結局、このあとも呑んで喰って、さすがに俺もかなり酔っ払った。 細かいことは覚えてないが、翌日の話や他のみんなのレポを読む限り、誰ひとりまともに記憶のあるヤツはいないようだから、まあ、似たような状態だったんだろう。もっとも、呑んでなかったやよいちゃんが帰る時に、交わした言葉は覚えてる。 「んじゃねー! また機会があったら呑もう!」 「機会があったらなんていわないで、また誘ってくださいよー! 今度は呑みます!」 もちろん、望むところだ。
明けて翌朝。 起きだして見ると、宴会テントはすでにmioちゃんとKYくんが撤収していた。
これから家族サービスだというmioちゃんは、もう、すっかり帰り支度が整ってる。 一方こちらは、帰り支度なんぞ1ミリも出来てない、
NEKOさん。さすがに、かなりひどい二日酔いだったらしい。
俺はコンタクトをしたママ寝てしまったので、朝っぱらから半分盲目状態。 手探りでメガネを探し出し、なんとか視界を取り戻す。
ダラダラと帰り支度を始めたり、一向に仕度をしなかったり、相変わらずの好き勝手なスタイルだ。 やがてピンキーがクルマに乗って帰ってゆき、よしなしが片手を挙げて帰ってゆく。ろろちゃんが立ち上がり、仕度の終わった俺も、帰ろうとヘルメットをかぶる。そして、ゲーゲーやってるNEKOさんに、また呑みましょうと挨拶をして、ユリシーズをまたいだら。 本日のCrazyMarmaladeでっかいもん倶楽部は、二日酔いで終結。 すでにジリジリ暑くなって来た太陽の下、俺はのんびりと走り出した。
みんな、楽しい時間をありがとう!
また、近いうちにやろうぜ!
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