The39th big machine club
2007年12月31日 39th Crazy marmalade でっかいもん倶楽部 in 筑波 〜すげぇ日〜
昨日の晩、呑みすぎたせいで、早朝には起きれなかった。 起きたのは一本のメールによって。 メールは、moto君からだった。 『そろそろ朝の用意をして、ゆっくりとした時間に筑波ですね♪ 悔しくなんてないですよ、いえ、ほんとうに。本当ですってば』 どんだけ走りたいんだ、この男は。
朝っぱらから大笑いしつつ、K君と走る準備をしてオモテに出る。 晴れてるが、寒い。
とりあえず、やる気満々のK君。 これほどやる気が前面に出てる彼の表情を見たのは初めてだ。 モザイクかかってるけど。
水戸街道をまっすぐ上がって、いつものとおり土浦北から筑波へ入る。
峠の手前のコンビニで、朝飯朝グソ。
寒いんだけど、K君の目がキラキラしてるから、俺もなんだか嬉しくなってくる。
昨日、義弟に正月用の魚を貰ったのだが。 そのトロ箱を運ぶために、ろろちゃんから貰ったキャリアを装着していたのを忘れてた。 外すのもめんどくさいので、今日はスーパーツーリング仕様で峠攻めだ。
つーかこれ、抜かれたらショッキングなリアヴューじゃね? ガソリンを満タンにしたら、さて、それじゃK君、走ろうか。
いつもの休憩所を通り過ぎ、そのまま一本目。 昨日たまったストレスを吐き出しながら、晴天の元、ハヤブサを走らせる。 自然と笑顔がこみ上げてくるほど、気持ちよくて走りやすい。 だいぶん乗れてきているので、K君をコーナーいくつかでミラーから消せたのも、ゴキゲンの理由のひとつだと言えば、言えるかな。
一周して、休憩所にはいる。 K君、楽しくて楽しくてちょっとイカれちゃったんじゃないかってくらい、ニコニコ笑ってる。 俺がタバコ吸ってるあいだ待ってるのさえ、もどかしくて仕方ないようだ。
なかなかヘルメットをとらないし、グローブも外さない。 「こりゃ、俺が抑え役に回らないと、危ないかな?」とか心配になるくらい。 もちろん、俺もテンション上がってるから、抑え役とか無理な相談なんだけど。
K君はK君の課題を、俺は俺の課題をこなしながら、楽しく走る。 これまで一つ一つ確認しながら走ってた事を、スムーズに、流れるような一連の動作としてこなすために、パープルを往復しながら、練習する。疲れて『なぁなぁ』でこなさないように、きちんと休憩を入れながら、俺たちは蒼天の下を走りまくった。 パープルは景色が良いから、漫然と走っても楽しい。 だけど、慣れて余裕が出てきたのか、ある程度攻めながら景色を眺められるようになった。
青空に向かって駆け上り、景色を眼下に駆け下る。 ときどき車がいるのさえ、ジャマと言うよりコースの一部って感じ。 先を読みながら綺麗に抜く練習だと思える。 なんだかヤバいくらい、ワクワク感がとまらない。
K君がとにかくやる気満々なので、遠慮しないでガンガン攻められるのが、これまた楽しい。 大晦日だって言うのに、クルマも単車もバカなヤツラがいっぱいいて、嬉しくなってくる。
何往復めかのとき、携帯で何かを話しながら道の上で手を上げている男がいた。 なんだろうとスローダウンすると、白い車が思いっクソガードレールに刺さってる。 わざわざ大晦日に出てきて、峠で車をぶっ壊してるんだから、こいつもバカだよなぁ。
それでも怪我もなさそうだし、自分でレッカーや警察だか呼んでるので、脇を抜けてそのまま走りこむ。 K君の後ろについて突っついたり、コンパクトに曲げる練習をしたり。 もう、陽が落ちるまでひたすら走っていたい気分だ。 身体はついてこないけど。
結構足がしんどくなってきたので、一度、筑波山の上まで行って駐車場でジュース休憩した。
この写真だと力尽きてるように見えるが、どうしてどうして、K君のやる気は途切れない。
つーか、月アタマに交換したばっかなのに、俺のタイア、もうスリップサインが出てるんだけど。
センターが残ってて、サイドがないってのは、ちょっと嬉しいか。 や、12月6日に交換して、31日にはスリップサインが出てるんじゃ、さすがに嬉しくない。 いくらなんでも攻めすぎだ、俺。 筑波だけで何キロ走ってるんだよ。
リアも、結構怪しいけど、フロントよりはマシかな。
さて、もうちっと走ってから帰ろうか。 とヘルメットをかぶろうとした俺に、K君がニヤニヤしながら 「かみさん、今日は風返しは走らないんですか?」 と振ってきた。 「う〜ん、ハヤブサだと風返しってつまんないんだよねぇ」 なんて言いつつ。 そう言ってるのがイイワケ臭くって気に入らなくなってきたので、風返しも走ることにする。
頂上駐車場を出て下までくだり、風返し峠へ。 ここにも大晦日の昼間っから攻めてるキチガイがいて、メットの中でにやけながら、そのあとを追う。 スクータなんだけど、ものすげぇスムーズで、なかなか追いつけない。 やるなぁと感心しながら、狭い峠でハヤブサを躍らせる。
おっしゃ、切り替えしが決まった。おっと、今度は突っ込みすぎた。 パープルで練習するうちに、少しは乗れるようになっていたらしい。 風返しもこの間ほど苦戦せず、ラインを狙って走れる。 もっとも、地元の速いのには敵うべくもないが。
とにかく狙ったように楽しく走れるのが、たまらなく心地良い。K君もR1を走らせながら、楽しそうだ。
風返しを4本ほど走り、でも、やっぱパープルのが気持ち良いや。 パープルに入って、そのままベストアタック。 全開までは行かないけど、さっきよりはずいぶんペースをあげながら、攻め込んでみる。 さすがにペースをあげると、正確さがなくなるようで、ときどきヘマをする。 が、それでもとっ散らかってストレスの溜まるような走りにはならない。
ハヤブサが、とてつもなく好きになってきた。 K君をミラーの点にし、見慣れた、しかし、いつも手ごわいツイストロードとダンスを踊りながら。 真っ青に晴れ渡った空の下で、俺は至高の時間を過ごした。
もっと曲がれるんだろう? ほら、邪魔しないように乗ってやるよ。 おぉ、すげぇ、まだイケるのか。コレならどうだ?
もちろん、ハヤブサの限界は、まだまだ上だ。 だけど、その片鱗でも見えてきたような気がして、俺もいつの間にか、K君と同じような表情で、ひたすらバイクと語り合っていた。速いとか、バンク角とか、どうでもよくなってきて、ただ、気持ちよく、気持ちよく走らせることだけを考える。 その結果として、速さなり何なりがついてくるなら、それがイチバン理想的だと思う。
さっき、事故ってたクルマのところまで来ると。 赤灯を回したパンダが停まっていて、金色のマークのついた帽子をかぶった男たちが、横柄な態度で俺を止めようとする。冗談じゃない。こんなに気持ち良い時間に水を差しやがって。俺を止めたきゃ、ボインのセクシーに親指立てさせな。 止めようとするヤツラの脇をすり抜けて、そのまま一気に休憩所まで走る。 「K君、真面目だからなぁ。停まるなよ〜?」 祈るようにそう思っていると、果たして、K君もぶっちぎってきたようだ。ナイス判断。
残念だけど、これ以上パープルは走れないなと判断し、俺たちは山を降りた。
なんだか、身体の熱気が冷めない。興奮してる。 たぶん、K君も同じだったのだろう。 信号以外は停まらず、ひたすらすり抜け逆走して帰る俺に、時々遅れながらも食いついてくる。 「へへっ、あいつもバカだなぁ」とニヤつきながら、 楽なペースですっ飛ばし続ける。
と、小浮気(こぶけ)の交差点の少し手前から。 ミラーにK君のYZF-R1じゃないライトが映るようになる。 おや? と思いつつ、試しに逆走やすり抜けをガンガンかます。 が、結構良いペースなのにもかかわらず、喰らいついてくる。
小浮気の交差点の信号に引っかかると、その単車は俺の前に入り込んできた。 マシンはGSX-R1000、乗っているのは若いあんちゃんだ。 思わず、後のK君に振り向く。 K君も俺の意図がわかったのだろう、ヘルメットの中でにやりと笑った。 俺はその瞳に笑い返してうなずくと、前を向いて一度大きく息を吸い込み、ゆっくり吐き出した。 準備はOKだ。
信号が、青に変わる。 GSXに少し送れてクラッチミートすると、様子を見ながら加速。 GSXは官能的な排気音を響かせながら、フル加速していく。 俺も下のギアで引っ張りながら、その斜め後ろにぴったり張り付いて、やつの動きを見た。
目の前に車のテールランプの群れが迫る。 予想したところからわずかに手前でGSXがアクセルを戻した。 エンブレで車速を落としながら、クルマの列の間に入る直前、ブレーキランプがついて車体が泳ぐ。
それで大体、こいつのすり抜けの走りや癖がわかった。 速いけど、目の前のすり抜けに集中しすぎて、全体の把握が甘い感じだ。 20代のころの俺に似てる。
しばらく後に張り付いていると、向こうが時々ミラーを見てるのが確認できる。 あんまり意識しちゃ、危ないよ。 車の列が切れ、前がクリアになる。途端に、アクセルを目いっぱい開けるGSX。 気持ちの良い開けっぷりだが、もう、大体わかった。
次の群れが来て、GSXがアクセルを緩めた瞬間。 俺は一瞬だけアクセルを開けて前に出る。 そのまま車の間に飛び込んで、すり抜けをはじめた。
フルアタックだ。
フルアタックのすり抜けなんて、moto君と初めて会った日の首都高以来だな。 車の群れが途切れ、次の群れまでのクリアな場所を、アクセル全開で駆け抜ける。 メータは200スピード(1/2時速)を超え、先の先のさらに先を読む必要が出てくる。
気合が充実してきて、数センチの感覚で車幅がコントロールできる。 車線変更をする車の気持ちが、手に取るようにわかる。 群れを三つ抜けたところで、GSXは完全に姿を消した。
信号で引っかかって停まっていると、K君とともにGSXがやってくるが、今度は前に出ない。 これでフルアタックは終わりだと思うと、残念な中に、ちょっとほっとした気持ちも出る。 歳を取ったせいかね。 それでも火のついた俺はあまり緩めずに、90%くらいで6号を上る。 次に停まったときは、K君しか居なくなっていた。
北柏を入って信号で停まったとき、K君と目があい、俺たちは思わず笑ってしまった。 なんてすげぇ日だろう。 天気は気持ち良くて、峠は楽しく走れた。 K君がやる気満々だってだけで、これ以上ないほどゴキゲンな、まさに今年を締めくくるのにふさわしいツーリングだったのに、最後の最後に、こんな楽しいおまけまでついて来るなんて、ホント、最高の締めくくりだったぜ。 近所のラーメン屋でラーメンを食い、明日の元旦も遊びに来るというK君を送り出したところで。
第39回 crazy marmalade でっかいもん倶楽部は、今年最後の走りを終えた。 そして二、三日中には、来年最初の走りに出る。 ま、つまりはいつもと変わりないわけで、こんなのが俺っぽくて良いだろう。
年明け一発目、第40回は、さて、どんなことが待ってるんだろ。楽しみだ。
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