The40th big machine club

2008年01月05日

40th Crazy marmalade でっかいもん倶楽部 in 那須 〜初走り〜

 

昨日の晩、夜更かししたせいでやたら眠い。

だが、今日はハヤブサの真のサーキットデビューだ。

天気も、曇ってて寒いけど、雨はなし。

 

準備をして相棒にまたがると、午前8:30ごろ家を出た。

今日の走行予約は、10:40なので普通にぶっ飛ばしてけば、楽勝で間に合うだろう。

それにしても、結構 、寒いなぁ。

なんで新年からこの寒空に、わざわざサーキットに自走してくんだろうね(ネジが緩んでるからです)。

 

外環から東北道に乗ったところで、なにやらぱらぱらと車体に当たる。

あ、雨ぇ? うっそだろーっ! っと叫びながらよく見ると。

 

ヘイ、旦那っ、雪ですぜ?(赤丸で囲った小さな白い点)

「ぜってー、クソマルのせいだ。なんだよあの、ぼけなす雨男っ!」

わめいたのが聞こえたのか、程なくして雪はやみ、わずかに太陽まで出てきた。

 

上河内で、給油がてら休憩し、ついでにトンコツラーメンを喰う。

人間、喰うものを喰うと、出すものを出さなきゃならないのは、自然の摂理だ。

なので、マルゾーにその旨をメールして、ゆっくりと用を足す。

 

思いがけなくドロ沼の持久戦に持ち込まれた戦いに疲れきった俺がハヤブサに戻ると。

CB1300SBとCBR600に乗った夫婦らしき二人連れが居た。

軽く会釈して、寒いですねと話しながら携帯を取り出して時間を見ると。

「いけねぇ、もう10:10じゃん」

慌てて給油し、残りの行程を一気に駆け抜ける。

 

那須につくと、マルゾーが車検をしているところだった。

時間はぎりぎり間に合わず、受付に聞いてみると、マルはすでに次のクールに申し込みを済ませたと言うので、俺も同じ時間に申し込みをする。そのあと、車検場にいるマルに『おう!』と声をかける。すると、『おう、ウンコマン』と、小学生並みにして 俺の人格全否定チックな答えが返ってきた。

マルのくせに。

ナニこの良い人ぶった顔。ド変態のキチガイの分際でナマイキな。

 

時間までマルとバカ話をしながらタバコを吸う。

でかい図体で狭いサーキットを走らされる、かわいそうなマシンたち。

 

空もしっかり晴れて、寒いけど絶好の単車日和だね、マルちゃん。貸し切り状態だし。

なんつってたら、他のライダーが現れた。

なんと、行きのパーキングで出会ったご夫婦。

アイサツして、マシンを見せてもらったり、バイクの話をした。

気の良いご夫婦で、マルが「CBRのブレーキ握って良いですか?」と言うのにも、笑顔で応じてくれる。

でも、あんまり優しくしてると、図に乗ってCBR貸せとか言い出すバカだから、気をつけてください。

マジで。

 

おんぼろタイアのマルゾーは、グリップ復活剤なんて怪しげなケミカルをスプレーしてる。

俺はもちろん、新品タイアだから要らない。

 

やがて一回目の走行時間になった。

さて、走ろうか。

「マルゾー、今日はコケるなよ?」

「うるせー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

うん、俺が飛んだ

 

新しいタイアがよくて、調子に乗ってガンガンすっ飛ばしてたら。

残り5分くらいのところで左のヘアピンの最中に車体が接地してリアが流れ、そのまま左側にぶっ倒れる。

俺は振り落とされ、マシンだけが横向いたまますべり。

タイアがグリップしたところで、ハイサイドみたいにハデに横転した。

 

コース上に座った俺の目の前で、ハヤブサが華麗な伸身の一回転ひねりを見せる。

その華麗な技に見とれ……てるヒマもなく。

サクサク起き上がった俺は、エスケープゾーンで破損具合の確認。

すると、ミラーが割れたのとカウルが割れたくらいで、走行は出来そう

 

なので、とりあえずピットに戻り、改めて壊れた場所を詳細に検分 した。

見よっ! コレが本当の『盆栽バイク』だ。

 

とりあえず、こういうのはサーキット行く前に外しておこうね、俺。

でも、新しいモニタ買う踏ん切りがついたから、まぁいいか。

 

アッパーカウルを外すと、ステーがゆがんでる。

写真では直ってるが、右のラムエアダクトも根元からぽっきり逝ってらっしゃる。

カウルから、ばらばらと音を立てて砂利や土が落っこちてくる。

 

どうせ元々傷だらけだったので、そっちの精神的ダメージはないけど、もう走れないってのは絶対イヤ。

なので、目に付く限りの場所を直す。

やがて走り終えたマルがやってきたので、手伝ってもらってステーのゆがみを直す。

 

ミラーマウントの曲がりはマルゾーがレンチでひん曲げて直し。

アッパーカウルステーのゆがみは、俺が下から蹴り上げ、マルが上から押し込んで。

大道芸みたいなカッコで作業した結果。

 

なにやら綺麗に直ってしまった。

アッパーカウルを取り付けるのに、多少の穴のズレは覚悟のうえ、火事場のクソ力で強引にはめてやろうとさえ思ってたのに、むしろ拍子抜けするくらい綺麗に直った。あんまり綺麗に直ったので、思わずマルとふたりで大笑いしてしまった ほどだ。

コレが、マーマレードクオリティ。

 

ついでに、平気な方のミラーも外して。

レーサー仕様の、GSX1300GTの出来上がり。ビートルバッグがGTの証。

 

サーキットはグリップが良いので、知らず知らず、タイアとバンク角に頼っていたようだ。

最初はアッパーカウル外したついでにフロントを上げて、もちっとバンク角を増やしてやろうかと思った。

しかし、それで増えても高々10〜15mm。

その分、ちょっと速度が上がれば、また同じことになる。

 

そんなのクルーザのバンク角での苦労で経験済みだ。

コレは転倒じゃなくて、何度もココをこすり付けるようにして曲がってたせい。

最終的には、バンキングスピードが速すぎてココををヒットした時リアが浮き、すべって転倒したのだ。

そう、『車体をこすっても気にしないで走る』という、クルーザで付いた悪いクセの産物だ。

 

問題は、マシンのバンク角ではなく俺。俺のハングオフがヘタクソなせいに決まってる。

もっとマシンを立てて乗れなくちゃ、結局、タイアとバンク角に頼った走り方のままになってしまう。

50mmもアップできるならそれでも良いだろうが、たかだか10mm程度じゃ焼け石に水。

 

それよりも乗り手のスキルで、ハヤブサの性能を引き出してやらなくちゃ。

ってナニ偉そうに語ってんの、俺。

当たり前だけど、端っこまで使ってるのと上手い下手は直結しないってのを、痛感したね。

俺の方が端っこまで使ってるのに、マルのが速ぇんだもん。

あと、強いて調整的なことを言うとしたら。

タイアの空気圧がノーマルに近い状態だったので、次回はも少し空気圧を落として走ってみる。

 

つわけで、どうやらマシンも大丈夫そうだから、二回目の走行に繰り出そうか、マルちゃん。

「おめ、身体はよ?」

「大丈夫。いいから走ろう、走ろう」

「おめぇ、ホンキで馬鹿だよな」

ありがとう。

 

二回目の走りは、さっきより身体をイン側に落として、しっかり抜重して曲げることを心がける。

アタマをクレバーに、前を行くマルを無視して、やるべきことをやる。

すると、一回目より少ないバンク角で曲がれてきた。

でも、ちょっと疲れてくるとマシン任せになり、マフラーまでこすったりする。

 

ま、それはマルゾーも一緒なんだけどね。

 

二本目を終えたところで、マルがギブアップ。

「もう、身体ガタガタだぁ。俺は走らないから、かみ、練習してこいよ」

などとほざきながら、手際よくテーピングやタイム計測器を外し、タイムシートを貰ってきてしまう。

 

さらに、ブラバの可変ステップを下げ、同じく位置の可変するハンドルをアップ。

帰り支度100%状態。

ところがどっこい、俺はまだまだ走りたい

 

「マル、その高いハンドル位置ってさ、おまえの好きなポジションだよな」

マルは古きよき時代のライダーなので、アップハンにバックステップ、みたいなのが好きなのだ。

下心満載で指摘してやると、案の定、なんどもブラックバードに座りなおしては、ニヤニヤし始めてる。

よし、もう一押しだ。

 

「マルー、もうちっと走ろうよー!」

するとマル。

「うるせー! 今、悪魔のささやきと戦ってるところなんだから、静かにしろ」

簡単な男である。

 

悪魔のささやきに負けたマルが、受付へ申し込みに行ってる間に、俺がブラバにテーピング。

やっぱ、マルにはバツがよく似合う。

 

三クール目は、さすがに疲れたマルが、俺にラインを見せながら走ってくれた。

マルに引っ張ってもらったのと、バンクに頼らないで曲がるのが出来てきたこと、ハングオフが出来てきたことなんかが相まって、俺は三クール目にしてベストラップを出すことが出来た。つってもSDRより一秒くらい速いだけだけど。

ちなみにマルのベストからは、二秒オチ。

ココでは大差と言っていい。見えるのはストレートに入ったときだけって感じ。

 

いくらCB1300のフロント周りを入れて、コンビブレーキをキャンセルできたとは言え。

ブラバとハヤブサの戦闘力を考えれば、コレは、も、完敗も完敗だ。

しかし、長いツレであり、俺がもっとも認めるキチガイ単車乗りであるマルと持てた、こんな最高の時間の末の、心地よい完敗である。悔しいとかは、強がりじゃなくて、まるっきりない。ただ、楽しかった。それだけだ。

もちろん、ヤツも楽しんでたことは、休憩のたびにニヤニヤしてた顔から、充分わかってる。

俺たちに、余計な言葉は要らない。

 

 

三回目が終わって、日も暮れてきた。

「かみぃ、俺もう、ヘロヘロだ。ゆっくり帰るぞ?」

「あーよ。俺もしんどいから、のんびり帰るわ」

その言葉どおり、正確には二人とも貧乏ランプがついてたので、超燃費走行をしつつ、さすがにシャレにならないくらい冷えてきた気温と戦いながら、ほうほうの体(てい)で上河内SAに入る。すると、ちょうど先に帰ったはずの例の夫婦が、休憩を終えて出発するところだった。

 

「追いつかれちゃうねーなんて話してたんですよ」

「ははは」

「それじゃ、私たちはコレで」

「気をつけて!」

 

今日会ったばかりの名前も知らないふたりに、心から本気でそう言えることが、単純に嬉しい。

それは別に単車に限ったことではないのだけれど。

好きな贔屓目(ひいきめ)だろう、『やっぱり単車っていいよなぁ』と実感してしまう。

もちろん、返ってくる笑顔も嬉しい。

上河内を出たら、最初こそ120あたりをウロウロしていた。

けれど、途中、合流車線から入ってきたZZRを目にした瞬間

前を行くマルと俺の排気音は、ほぼ同時に高くなる。

 

マルがZZRに寄ってゆくのを横目で見ながら、俺は別のラインで一気に加速。

もっとも疲労があるので、こないだみたいなフルアタックのすり抜けじゃない。

 

 

正月休みと土日を組み合わせた連中が、『日曜日は一日ゆっくりしたいから、土曜日に帰ろう』と考えたに違いない、アホみたいな渋滞の中を抜けながら、ふと、片方しかないミラーを見てみると、ZZRどころかマルも振り切ってしまった。

そういや、あいつ疲れてたもんなぁ。

いちおう栃木インターまでは160程度に抑えてマルを待ったが、マルはやってこなかった。

なのでそこから先は、いつものようにすっ飛ばして帰る。

 

こうして第40回 Crazy Marmalade でっかいもん倶楽部は、流れ解散となった。

すっ転んだりもしたけど、新年一発目から、ものすげぇ楽しい走りが出来た。

この先も、身体が動く限りは、走り続けたい。

 

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