The42nd big machine club

2008年01月27日

42nd Crazy marmalade でっかいもん倶楽部 in 秩父 合角(かっかく)ダム

〜青天の霹靂〜

 

睡眠不足で仕事した後、よしなしと走ったので、前日の夜は9時に就寝。

早寝とワクワクの相乗効果で、朝7:00にはぱっちり目覚める。

poitaさんと高速でヤりあうのは久しぶりなので、嬉しかったんだろう。

 

起きちゃったもんは仕方ないので、サクサクと準備にかかる。

革パンとアークティックパンツのどっちかで迷い、やっぱフル装備で行こうと革パンを履く。

んじゃ、ゆっくり行こうかと1時間くらい見積もって出発。

 

しかし、自分の性格の把握がイマイチできてなかったようだ。

 

poita号TLたんを倒すべく意気揚々と出発したのはいいが、高速で気合入れすぎて。

集合時間9:20のはるか前についてしまう。

気合っつーか舞い上がりすぎ。

新倉PAでタバコを吸ったり音楽を聴きながら、poitaさんを待つ。

予定時間を10分ほど過ぎたところでpoitaさん登場。

挨拶して一服したら、いつもどおり

『ゆっくり行こうね』『はい、安全運転で』

軽く牽制しあってから、ボロブサとTLたんは新倉をあとにした。

 

TLたんはGuzzle Gasの名に恥じぬ大喰いなので、三芳PAでガスを入れるとのこと。

「 んじゃ、そこまではアクセル開けられないだろうな」

と思った俺は、ここで前哨戦を勝利しておこうと、ハヤブサにムチをくれる。

ズボォーッ! っと独特の咆哮をあげながら、ぐいぐい加速してゆく。

SSの蹴飛ばされるような加速と違った、この重量感のある加速が、俺は大好きだ。

 

カタマリ感と言うか質量を伴った加速感は、高速走行に移るまで、微塵も不安を感じさせない。

初めて乗ったときは鋭い(軽い?)加速だと思った。

が、何台かSSを試乗させてもらい、しかも慣れてきた今となっては。

ハヤブサも充分にカタマリ感のある加速をすると感じる。

 

やがて軽く緊張を強いられる速度域になり、クルマの間を抜けようと少しアクセルを緩めた瞬間。

おぉぉぉぉぉん!

イかれた。

「なんだよ、ガソリンねーんじゃねーのか?」

ヘルメットの中で叫ぶ俺の口元は、嬉しくてゆがんでいる。

 

poitaさんのガスがないというのは、決して三味線ではない。

このヒトはバカだから、前を行くヤツがいると、ほぼ条件反射でアクセルを開けてしまうのだ。

単車乗りの何割かが罹患する不治の病、速度中毒と言うヤツである。

ちなみに現代医学でも 、治療法はいまだ見つかっていない。

 

「ガス欠喰らっても、ぜってー手伝ってやんないからなー!」

と半笑いで叫びながら、俺は気合を入れなおして走る。

 

ほぼ併走状態のまま、三芳PAが見えてきた。

TLたんが給油に入るのを見ながら、俺は横で停まってメールをチェック。

すると、ろろちゃんからメールが入っていた。

 

「なんだろ、走りいけなくて悔しーよーメールかな?」

思いながら添付された写真を見ると。

ぎゃはははっ!

来てるよ、ろろちゃん。

どうせ夜勤明けで、今日も仕事あるだろうに、眠い目をこすりながら花園に顔出してるよ。

 

なんであの男はこう、気持ちのいいバカなんだろうね。

俺は嬉しくなって、もうすぐ行くよーとメールを返す。

TLたんも給油が済んだようだ。

 

 

さて。んじゃ、一発決めますか。

TLたんとハヤブサは並んで加速し、スムーズに本線に合流。

スタートだ。

 

俺はクレバーに、クレバーにと言い聞かせながら、ハヤブサのアクセルを開ける。

TLも容赦なく加速し始める。

poitaさんらしく、不利な内側車線と真ん中車線の間を抜けてゆくTLを尻目に。

俺は速度を出しやすい追い越し車線と真ん中車線の間を走る。

 

車の数が、さっきより少ない。

 

中間加速の繰り返しなら、ハヤブサのトルクが有利だ。

いや、TLだって高回転を使えばいけるだろうけど。

「poitaさんはきっと、まだそこまでマシンと仲良くなってないはずだ」

と踏んで、後ろの確認は最小限にしつつ、ハヤブサをとにかく前に進める。

 

すり抜けながらメータは250スピード(1/2時速)を越え始める。

背筋がわずかにぞくぞくしてきた。

ガキのころからあこがれ続けた、ハイラインバトルの領域だ。

その片鱗でしかないとは言え、刺激は俺の中枢神経に喰らいついて離れなくなる。

 

やがてクルマの群れを抜けた。

ギアは6速のかったるさを嫌ってずっと5速のまま。

「ココがチャンスだ」

そのまま、アタックに入る。

 

カウルにもぐり、タコメータと前を均等に見ながら肩の力を抜く。

もう、俺の筋肉ごときでどうにかできる領域ではない。

とにかく、ハヤブサの邪魔をしないように走ることが大事だ。

 

シフトアップ。

さすがにぐんと加速することはないが、切れ目なく加速感が続く。

目の前に、今までじゃありえない速度で、前走車のテールが近づいてくる。

メータに目をやると、280を針一本分越えたところだった。

 

アクセルを戻すだけでエンブレが効いて、ハヤブサは見る見る速度を落としてゆく。

早めに車線の間に入り、前走車が左へ道を譲らないように牽制しながら、ハイビームですり抜けてゆく。

神経は研ぎ澄まされ、というよりは過敏になっているのだろうか?

クルマの流れが面白いように読める。

 

クルマが途切れた瞬間、また、フル加速。

こんどは270に届かないうちに、前がつまる。

繰り返しながら、俺は至福の時間を過ごした。

 

どうだろう? TLを離せただろうか?

前の開けた直線で、フル加速の代わりにミラーを見てみると、よし、いない。

さすがに毛穴も開かないし、頭の中でファンファーレも鳴らなかった。

その代わりに俺は、ヘルメットの中でにやりと笑った。

「どうだ、TLたん! これがハヤブサだ」

ほかのバカッ速いハヤブサ乗りに聞かれたら、タコ殴りにされそうなことを思いながら。

にやけてくるのがどうしても止められない。

 

(早く高速の出口で、悔しがるpoitaさんの顔が見たいな)

そこでようやく緑看板を見た。

横をすっ飛んでゆく看板に書かれた文字は、本所児玉出口。

 

ジーザスクライスト! 花園ICとっくに過ぎちゃってるじゃんよ。

 

そのまま上里(かみさと)PAに入って、mioちゃんに電話。

『新潟』の文字が切ない。

「かみさん、どこにいるんですか?」

「上里」

「かみさとぉ? なんで?」

かみの里だからに決まってる。

 

ひとしきり笑われた後、mioちゃんにUターンする旨を伝える。

電話の切り際に、mioちゃんがなんだか不吉な言葉を発した気がする。

が、あまり深く聞きたくないので、そのまま黙ってスタンドに向かった。

 

給油がてらスタンドのおじさんに、一番早くUターンする方法を聞く。

「藤岡ジャンクションで上信越に入れば、すぐ藤岡出口だよ」

おじさんに礼を言って、上信越道をすっ飛ばし、藤岡で折り返して花園へ。

 

途中で覆面をやり過ごしたりしながら、ようやく、道の駅はなぞにの到着。

お、いるいる。

VTX2台に、RocketIII2台に、スカイウエイブ。TLにXTに、ブラックバードに、今日はたくさん……

 

ブラックバード?

 

不吉な言葉ってのは、コレだったのだ。

この後ろ姿で、わかるやつにはわかるだろう。

もちろん、俺の朋友、クソマルだ。

 

マルの野郎、ハヤブサとTLたんを喰うためだけに、栃木からやってきやがったのだ。

なんともヒマな話である。同じ栃木県民として、近くに住むOTO-さんのツメの垢でも煎じて飲むがいい。

でもま、これで『ドキッ!クルーザだらけのツーリング』にも、ツアラー2台とSS1台になった。

XTで来てくれたろろちゃんは、やはり仕事明けなので、残念ながら走りにはいけない。

ろろちゃん、タイミング合ったら走りに行こうね。

 

俺がかみの里めぐりをしてたせいで、予定が30分以上押してしまっている。

なのでご挨拶やお詫びもそこそこに花園を出た一行は、mioちゃんの先導でマスツーリングを開始する。

うわ、マスツーなんて久しぶりだなぁと思ってたら、給油のときにマルゾーが

「マスツーなんて何十年ぶりだべな」

言ってて、笑った。

考えること、おんなじだなぁ、おめ。

 

mioちゃんが連れてってくれたのは、白井のワインディングより少し長いかなくらいの生活道路。

その手前の商店の店先に単車を止める。

 

「走りたいやつは行けよ」

とのことなので、俺は早速、走り出した。

二箇所ほど、カントがなくて砂が浮いてる場所もあったが、おおむね広くて走りやすい道だ。

ただ、距離的にちょっと短いので、二三度往復してみる。

 

そのうち、poitaさんにTLを借りたマルゾーも走り出した。

走り去るマルゾー。

入り口はこんなだけど、中に入ると結構広い道だ。

 

左からmio父ちゃんの友人の方、mio父ちゃん。そしていつもの黄色いTLたん。

 

俺のハヤブとeisukeさん。グラサンしてっからモザイクいいよね?

んで右手前がmio父ちゃんのVTX。後ろの赤いのはクソブラバ。

 

しばらく走ったりダベったりしてから、昼飯を食いに出る。

事前にmioちゃんが選んでくれた候補の中から、俺の一存で焼き肉に決定。

アメリカのことわざにも、『客にはステーキを出しとけ』ってのがあるくらいだしね。

 

裏道を走って、肉屋に到着。

左側、マルゾーの肉の匂いに浮き足立った姿が、俺ら全員の心境を物語る。

 

ところが、この店が激烈に混んでるわりに従業員が少なく、も、えらい待たされることになる。

つってもスキモノの集まりなワケだから、話題には事欠かない。

単車、仕事、家庭、金属、木造建築、いろんな話を、お茶を飲みながら語り合う。

 

つーか、何がツライって、いやでも目に入る生ビールのサーバーやジョッキの姿だ。

なんども生唾を飲み込みながら。

ほうじ茶、緑茶とバリエーションを変えて、ひたすらお茶攻撃でしのぐ。

 

やがて、一時間くらい待っただろうか、肉が運ばれてきた。

カルビ、タン、ホルモン、レバー、次々にやってくる、愛しい肉たち。

 

mioちゃん、OTO-さんも嬉しそうだ(推定)

さすがに期待を裏切らないpoitaさんとeisukeさんのオーダー量は、一般的な昼食の量を軽く上回る

キムチだ漬物だ、ご飯だおにぎりだ、サイドメニューも欠かさないその隙のなさには、ただ、脱帽だ。

焼き肉に一番重要なビールがないのは、まぁ、仕方あるまい。

 

 

腹いっぱいまで詰め込んで、割り勘で会計したら、さて、待望のワインディングだ。

またもmioちゃんの案内で、合角(かっかく)ダムへ向かう。

日当たりがよくて、気持ちいい。

 

ここでダベり組のmio父ちゃん&友人、OTO-さんを置いて、バカ組は走り出した。

 

のだが。

 

こんな看板に軽く期待をして走り出すと。

 

凍結で先までいけなかったり、釣り人がいたりで、ほとんど走れる場所がなかった

コーナーに入ってった時、ムキ身のおじいちゃんが歩いてたのは、軽く肝が冷えた。

いや、さすがにマージンたっぷりとってたから、脅かすようなコトにはならなかったけどね。

 

結局、走り組も萎えてしまって、ダベリング。

キチガイの俺とマルは、完全に不完全燃焼だった。

なんとかmioちゃんを突っついて他のワインディングに行こうとけしかけるが、山は動かない。

 

もちろん、もっとも動かしづらい山であるpoitaさんがめんどくさがったのも、大きな要因のひとつである。

あんだけすっ飛ばすくせに、腰が重いのだ。

なので、最近のおキマり、犯罪の瞬間を激写したった。

 

結局、ダム入り口の暖かいところまで戻り、そこでダベリング。

走りは消化不良だったが、ダベりの方は堪能できた。

つーか、モンクばっか言ってるっぽいけど、ちゃんと十二分に楽しんだ。

 

ただ、ここで文句言っておいた方がmioちゃんへ貸しに出来るから、必要以上に言ってるだけだ。

 

mioちゃん、幹事ご苦労様でした。ありがとね?

でも、イッコ貸し。

 

マルゾーも俺と同じキチガイだから、走りたいつってわめくかと思ったけど。

poitaさんつー似たようなキチガイがいたから大丈夫だった。

キチガイ同士、俺にはわからない電波を飛ばしあって、相互理解を深めたのだろう。

 

eisukeさんは、ちとおとなしかったかな。寒さに弱いと見た。

ここで日向ぼっこしながら、みんなで延々とバカ話。

コレはコレで、やっぱ楽しい。

 

 

やがて日も暮れてきて、夕方の4時過ぎ。

さて、それじゃあそろそろ帰ろうかとなり。

mioちゃんの先導で裏道からミューズパークを上がっていったときのこと。

 

この日、最大の事件が待っていることなど、俺たちには知るよしもなかった。

 

薄暗くなったツイスティロードを、千鳥走行しながらゆっくりと登ってゆく。

mioちゃん先頭に道の左をOTO-さん、右側センターライン寄りを俺、また左をマルてな感じ。

速度にして、30くれぇのものだろうか。

間違いなく、50は出てない。

場所によっては、20くらいまでダウンしてた。

 

俺は右カーブをゆっくり曲がり、直線を登り始めた。

と、ハヤブサのリアがつーっと外側に流れる。

あ、ヤベと思うまもなく。

 

 

べちんっ!

 

 

外に流れたタイアが、いきなりグリップ。イキオイよくすっ転んだ。

って今だから、みんなの証言を元に書けるけど、この瞬間はまさによしなし状態

『あ』と思ったときにはもう、ドタマが地面に叩きつけられていた。

 

『滑ったっ、ゴンッ、目の前に道』

これが俺的には、ほぼ同時に起こった。

「やっちまったー」とかじゃなくて、キョトンって感じ。

全然アクセル開けてないし、速度も20〜30程度だったのに、まったく反応できなかった。

 

 

とりあえずみんなにマシンを起こしてもらって、俺も立ち上がる。

身体にダメージはないが。

マシンの方は、 ガッツリとイカれてらっしゃる。

カバーがボルトごと割れて、オイルどぼどぼ。

一見した段階で、乗って帰るのは不可能だとわかるくらい、ハヤブサが全力でアピールしてる。

 

「ハンパに壊れたら、乗って帰られちゃう」と思ったのかね?

知らないよね。俺も知らない。

 

 

んで、だ。

悔し紛れの自己弁護と取られても仕方ないけど、つーか実際にそうなんだけど。

こんなのウデがどうとか関係ねーよっ! くじ引きみたいなもんじゃねーかっ!

 

mioちゃんが真ん中、次のOTO-さんが左端。

で、三番目の俺がセンターライン寄りの右側を通ったから、対向二車線で跳ね飛ばされてセンターライン付近に溜まってた濡れ塩カルに乗り上げたのだ。俺が逝かなきゃ、俺の二台後ろでセンター寄りを走ってたヒトが逝ってるはずだっ!

あー言いたいコト言ったらすっきりした。

 

言っても結局、俺がウカツだっただけなんだけどね。

でも、『他の人じゃなくてよかった』って思った。

これは、ええカッコしいじゃなくてホント。

誰かが『神様が選んだんだ』言ってたが、俺もそう思う。

 

今日の面子の中で、すっ転んで一番平気な顔してるのは。

オフロードでコケ過ぎて 、単車転がすことに抵抗なくなっちゃってる、俺だからね。

これが RocketIIIやVTXだったら、コカした人が

プラトーンみたくなるのは間違いない。

その意味では、次ナニ買っちゃおうかなーとか、笑いながらわりと本気で言える俺で正解だ。

いや、誰も転ばないに越したことはねーンだけど、転んじまったものは仕方ない。

 

みんなにコケたあたりを踏んでもらって、つるつる滑ることを確認してもらった。

ま、女々しい行為だが、そのくらいはカンベンして欲しい。

悔しかったんだよっ!

 

運良く、携帯が繋がる場所だったので、レッドバロン熊谷に取りに来てもらうことになる。

だが、寒い中みんなを待たせるのは、俺も本意ではない。

なので、mioちゃんの

「軽トラで運んで、ウチへ取りに来てもらえばいいでしょう」

つーステキな提案に乗る。

 

んで、距離的に遠いOTO-さんとは、ここでお別れだ。

OTOーさん、俺が道にぶちまけたオイルに砂をまいてくれたり、イロイロありがとうございました。

コレに懲りずに、また機会があったら走りましょうね。

 

さて、mioちゃん親子が軽トラを取りに行ってる間。

俺とマル、poitaさんとeisukeさん、mio父ちゃんの友人さんは、暗い中で寒さに震えつつ、バカ話をする。

マルゾーに至っては、俺を柏までニケツで連れ帰ると言ってくれた……

 

のはありがたいのだが、それは俺のためじゃなく

『子供が生まれてなかなかお泊まりできないから、コレを機に俺んちで宴会やりたい』

と言う理由だったりする。

ま、宴会は俺も楽しみなんだけど。

そのために俺は、マルの嫁さんTちゃんに、電話でひたすら謝り続けた。

俺、ここんとこヒトの嫁に謝ってばかりのような気がするんだが、気のせいだろうか。

世の奥様、もちっとダンナを遊ばしてやってくれないかな。

 

ダンナと、家庭と、あなたのために。正確には、俺のために。

 

 

暗い中、バカ話をしていると、mioちゃんの軽トラがやってくる。

ドナドナドーナ、ドーナー♪ ハヤブサのーせーてー♪ 『♪』じゃねぇっつの。

 

衝撃的なシーンの後だけに、みんなそろそろと慎重に山道を進む。

T字路に出て。

軽トラと俺を乗っけたマルブラバは右、poitaさん、eisukeさん、mio父ちゃん友人さんは、左へ。

ホーンを鳴らして別れたら、mio邸まで慎重に進む。

つーか頼むから慎重に進んでね、マルちゃん。マジで、頼むよホント。

 

mio邸にてハヤブサを下ろし、バロンを待つ間、中でお茶をご馳走になる。

お茶つーか普通に晩飯を食わせてもらった。

 

mio父ちゃん、mio母ちゃん、mio嫁ちゃん、mio太郎とmio子に囲まれて。

なにやら俺やマルが居るのが激しく場違いなアットホームフレーバーに包まれる。

コタツを囲んでコドモ相手に話してると、お年玉用意しなきゃならないような気になるね。

やらなかったけど。

 

 

やがて、レッドバロンがやってきた。

トラックに載せられたハヤブサを見ながら、マルゾーがドナドナを歌う

それを聞いたmioちゃんの子供たちも、ケタケタ笑ってまねする。

可愛かろうがナンだろうが、世界一聞きたくないハーモニーだって話だよ、実際。

なんか犬まで興奮してるし。泣くぞ、コラ。

 

mioちゃん一家に、急な来訪と世話してもらった感謝を述べ、俺はマルのケツに乗る。

ま、これでmioちゃんへの貸しはなくなったね(元々ありません)。

出端、ちょっと道を間違えたりもしたが、そのあとはおおむね順調に柏へ。

 

もっとも、順調なのは地図の上だけ

 

単車乗りほど、ヒトの単車のケツに乗るのを嫌がる人種は居ないだろう。

俺ももちろん、そのひとりだ。

マルのウデがどうのじゃなくて、ただ、怖いのだ。

 

最後にマルのケツに乗ったのが、20代前半。

そのとき、マルが油冷の1100でタンデムのままフロントあげやがった思い出があるから余計に怖い。

仕方ないので、上を見て星空を眺めたり、目をつぶってみたりする。

そんな欺瞞は、カケラも通用しなかったのだが。

 

それでも、マルの後ろにもぐりこむと、速度が遅いから、俺に当たる風はだいぶん軽減される。

マルの背中が、大きく頼もしく見えて。

思わずヘルメット五回ぶつけてアイシテルのサイン送ってやろうかと思った。

 

さすがにそれはやらずに、「マルのおかげで、寒くないぞ」と教えてあげた。

その瞬間から、クソマル、タンクに伏せやがんの。

寒いから、身体起こせよクソマル!

 

140号を抜け、花園から高速に乗るころになると、それでも多少慣れてきた。

なので、タンデムしながら写真撮ってみた。

 

ニケツしながらカメラを出すの、結構怖かった。

あと、さすがに100キロちかくなると、マル防風壁がちっとも効かなくなる。

アイシテルのサインが、ヤクタタズのサインに変わった。

こっちのほうが、やっぱマルらしいね。

 

で、だよ。

ココを読んでるような奇特な人間にはおなじみ、俺もキチガイだがマルもキチガイだ。

最初こそ80〜100巡航だったのだが、だんだん、めんどくさくなってきたのだろう。

徐々にペースが上がり始める。

 

 

「シンドかったら、俺、電車で帰るぞ?」

と、俺があれだけ優しく提案したのに、マルのバカは

「おめーだけあったかい電車で、お姉ちゃん眺めながら帰るなんて許さん」

とか抜かす。 どんだけ被害妄想だって話だ。

 

つーかあったかい電車で帰りたかったなぁ……や、そうじゃねーよ。

そんな話はどうでもいいんだよ。

じゃなくて、ゆっくり走るのに飽きてきたクソマルは、やがて、アクセルをガンガン開け始めたのだ。

この上なく大切な、俺の命を乗っけてるのにもかかわらず、アホほど開ける。

 

こっちはもう、メーターなんか見る余裕もなく、一緒に伏せて踏ん張り、グラブバーを握り締める。

後で聞いたら

「ニケツでこんなスピード、初めて出した。つーか、ブラバでタンデム、初めてだった」

とか言うんですよ、このバカ。

こんな状態で、半笑いで。

いつか絶対、ぶち抜いて泣かしてやる。

 

てなわけで、寒さに泣きながら柏にたどり着き、風呂に入って中華の出前を食った後。

久しぶりにマルゾーと宴会カマしたところで。

第42回 Crazy Marmalade でっかいもん倶楽部は、その長い一日を終えた。

 

今回は朝から晩まで、俺ひとりでネタを作った一日だった。

今年の分は、コレで打ち止めにしたいものだ。

いや、ホント切に。

 

 

さて、次回はどんなことが待ってるだろうね。

とりあえず、俺以外の人間のネタを、激しく望む。

や、心の底から。

 

え? 新しい単車?

買わねーっつの。

俺は当分、ハヤブサだよ。

 

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