The 47th big machine club

2008年03月25日

47th Crazy marmalade でっかいもん倶楽部 in 首都高 〜マーマレードスプーン〜

 

ま、実は先週の段階でR君あらためrakと、火曜日に首都高を走ろうという約束をしていた。

仕事しながらも、夜が楽しみでしょうがなく、ガキみたいにワクワク。ハタから見たら落ち着きのない可哀想なヒトっぽい状態で仕事を終え、家に帰って『水曜どうでしょう 』のビデオを見ながら、のんびり食事をする。そのうち9:00を過ぎたので、準備をして隼にまたがった。

準備ってのは、コレ。

もう革パンは暑いから、プロテクタしてGパンを履いてゆくのだ。

道もだいぶん覚えたので、30〜40分くらいで待ち合わせのカフェに到着。雑誌を読みながらコーヒー飲んで待ってると、程なくしてrakがやってきた。挨拶してくっちゃべってると、今日は何人か一緒に走れるということで、どんなヒトが来るんだろうとワクワクしながら待つ。

しばらくすると、GSX-R600に乗る、ヨッ太さんがやってきた。

はじめましてと挨拶しつつメットを取ると、一瞬、怖い人かと思った。でも、話してみれば面白いヒトで、目が優しいのがえらく印象的。しばらく三人で話をしながら、まったりした時間を過ごしてると、途中、ビカビカと稲妻が光りだす。おいおい、雨はカンベンしてくれよなー。

 

カフェを出てみると、とりあえず雨は大丈夫そう。

なのでそのまま乗っかって、とりあえず芝浦PAへ。

rakのフェーザー、俺のハヤブサ、ヨッ太さんのR600。

タイア暖めがてら三周しようとrakが提案するも、ヨッ太さんがすかさず

「えぇ、三周はかったるいよ。二周にしよう」

とダメ出し。んじゃ二周しましょうと、rak、ヨッ太さん、俺の順番で芝浦を出て走り出した。タイアはココに来るまでにだいぶん剥けてたので、アホほどフルバンクしたり急激なスロットル操作しなければ大丈夫だろう。大丈夫に違いない、と自分に言い聞かせる。

暖めがてらと言いながらも、ペースは結構速め。や、俺にとっては、ね。

すり抜けしながら新環状を走る途中で『どうやらタイアは大丈夫そうだ』と確信がもてたので、ちょうど久しぶりの首都高で少し疲れたヨッ太さんがアクセルを緩めたところで、前に出させてもらう。そのまま、さっきより開け目で走り、二周目に突入。

途中でrakが前に出て、さらにペースが上がる。

 

と、この辺で俺はもう、鼻歌が出るくらいゴキゲンだった。

なにって、ハヤブサがやたら曲げやすいのだ。俺は鈍いから、もしかしたらrakが言うほどチガイがわからないかも、なんて思ってたのだが、いや、パイロットパワーいいわ。もちろん、タイアの比較って言うのは、たいてい新しく入れた方に軍配が上がりがちだ。

前のタイアがヘタってから新品を入れるんだから、どうしたって新しい方が良いように感じる。よっぽど冷静なヒトとか、新品入れるごとにマメにデータ取ってるヒトとか、レースみたいにしょっちゅう交換して比べるってんならともかく、普通、純粋に比べるってのは難しい。

だが、パイロットパワーとクオリファイアの差は、そんなレヴェルじゃないと言っていいと思う。

も、笑っちゃうくらい曲げやすい。開けてもブレーキかけても俺程度の速度じゃ破綻もクソもないし、俺はあんまり上手くないから、必要以上に身体をイン側に落としちゃうんだけど、場合によってはそれだと曲がりすぎちゃって、あわてて開け直すなんてこともあった。

コンパウンドよりもカーカスの柔軟性でグリップするということで、レースユースなんかだったら、もしかしたら、奥の奥でのグリップに不満が出るのかもしれないけど、まぁ、俺の速度域じゃそんなもの一ミリたりとも関係ない。カンペキにヤられた。超、気に入った。

俺、おそらくこのタイア履き続けるよ。

 

二周して帰ってくるころには、端まできれいに皮むきが終わる。

 

また芝浦で喋ってると、それっぽいエンジン音。

ほどなくGSX-R750に乗った、若さんがやってきた。俺にレーシックのサービス券をくれたヒトだ。メットを取る彼に挨拶をして、四人でしばらく歓談。持ち主ふたりによるR600と750のチガイなんかを聞きながら見比べていると、rakが二人に交換して乗ってみたら、と提案。

ふたりは単車を入れ替えて、走り出していった。

 

残った俺とrakは、主にパイロットパワー賛歌を歌いまくる。

や、もちろんホントに歌ったワケじゃねーてばよ。

いいタイアだねー! すげぇ曲がりやすいよ。ですよねー、でも2CTの方はカーカスを強くしてコンパウンドをやわらかくしてるから、減りが早いんですよ。へぇ、そんなに違うんだ? えぇ、別のタイアですねーなんて喋ってると、やがてふたりが帰ってくる。

600乗りのヨッ太さん、750から降りるなり、難しい顔をしながら

「う〜ん、こっちのが速いなぁ」

申し訳ないけど、思わず笑ってしまった。

750乗りの若さんは逆に、

「ブレーキ効かねぇ」

と苦笑いしてる。

乗ってきたふたりに、改めてそれぞれのチガイなんてのを聞きながら、楽しく時間が過ぎてゆく。

 

やがて、給油をしてこようという話になり、俺とrakとヨッ太さんが三人で給油に出、若さんはマイペースで一周してから、箱崎で合流しようという話になった。降りて給油し、乗って箱崎へ向かう。もう帰宅すると言うヨッ太さんが、途中、手を上げて別れていった。

俺とrakはそのまま箱崎へ入り、若さんと合流。

レーシック手術して間もない若さんは、どうやら視界がハッキリしないようだ。俺ならきっと怖くて走らないだろうが、このヒトも好きなんだなぁと、なんだか嬉しくなってしまう。でもま、視界がはっきりしないんじゃ、ムリしない方がいいに決まってる。

なので、若さんはまったりマイペース、俺は相変わらずrakに引っ張ってもらって、さて、もう少し走ろうか。環状が混んでるから、新環状を何周かすると言うrakの言葉にうなずいて、俺たちは箱崎を出た。も、楽しくて楽しくてしょうがない。

 

今日はrakに引っ張ってもらうばかりじゃなく、自分でも考えて走ろうと決めていた。

なので、時々違うラインを取りながら、俺なりの安全マージンを取って走る。rakに離されても慌てないで、楽しんで走れるように心がけつつ、深川線から湾岸に入る右カーブ。左車線にクルーザーバイクが走ってたので、右車線、カーブの内側を、アクセル開け気味に曲がっていると。

突然、ハヤブサが踊り出した。

怖いよりなにより、?????と何が起こったかわからない状態のまま、半分無意識に車体を起こす。当然、ハヤブサは身をよじって外側へ逃げてゆく。逃げてゆく目の前には、左車線を走るクルーザーバイクのテールランプ。

「やべ、カマ掘ったら巻き込んじゃうぞ」

明確に言葉になってたわけじゃないけど、そんな思いがよぎった。単車が踊ってるときにフロントブレーキなんて自殺行為なんだけど、このままおとなしく膨らんでったら、カマ掘ってしまう。コケないように、でもカマも掘らないように。ドロの上でブレーキかけるみたいに全神経を総動員。

ブレーキかけてるから車体は立ち上がり、外へ向かってどんどん膨らんでゆく。

峠で踊ったときみたいなキン○マが縮み上がるような恐怖はなかった。むしろ映像的にはスローモーションで『ありゃー、こりゃ逝くかなぁ〜?』みたいな、変な余裕を残したまま、するするするっと膨らんでゆき、やがてハヤブサが外側の縁石にヒット。

ゴツン!

「逝った」

正直そう思ったんだけど、フロントが軽く暴れたあと、なにやら奇跡的に車線へ復帰。

「ふぅ、危なかった」

やけに現実感のない心境で、比較的のんびりとそんな風に考えながら、湾岸へ合流。車体がどうなっているか見当もつかないので、さすがにアクセル全開にはせず、流すくらいの速度で11号線への分岐へ向かうと、分岐のところでrakがゆっくり走りながら待っていた。

「どうした?」

みたいな感じで首を傾げたので、芝浦の方を指差して『PAへ』と言う意思表示をする。つっても伝わるとも思えないので、前に出て、速度を抑えながらそのまま芝浦へ。

 

PAに入って単車を停めると、rakが『どうしました?』と聞いてきたので、事情を話す。だが、 話してても変に現実感が薄いので、半笑いになってしまう。するとrakはうなずいて、

「あぁ、あそこ、オイルがこぼれてましたね」

「そーなの?」

「だから俺、避けて真ん中走ったんですよ」

「俺はちっとも気づかなかった」

このへんに、経験の差が出るんだろうね。もしくはうっかり具合が。

とりあえず原因がわかったので安心し、降りて車体を調べてみると、ぱっと見た感じはなんともない。だが、何の痕跡もないと言うことはないだろう。rakが、一緒に車体の痕跡を探してくれた。しばらくして『コレじゃないですか?』の言葉に、左の車体の下側を覗き込んでみると。

 

 

 

あった。

つーか、ま、そりゃあるに決まってるよ。あんだけゴツンって衝撃があったんだから。

 

すると、俺の心が折れるのを心配してくれたのだろう、rakがコースを変更するかと聞いてくる。このとき、一瞬『いや、もうヤバいから、このまま帰る』って言葉が出そうになったんだが、このまま帰ったら 、たぶん、苦手意識というか、二度と楽しく走れなくなっちゃいそうだ。

一瞬だけ躊躇してから、俺は首を横に振った。

「いや、行こう」

「それじゃ、オイルがあったところに来たら合図しますよ」

rakに聞いた話では、深川線をぶん回してきて分岐でエンブレかけたときにエンジンブローなんて話が良くあるそうで、今回のも、たぶんソレだろうという話だった。なるほどとうなずき、rakの後ろについてもう一度、新環状を回ってゆく。

やがて分岐の右カーブで、rakが速度を落としてゆびを指した。

指す先を見てみれば、なるほど黒く濡れているように見える。ただ、水のように光ったりしないので、はっきりとはわかりづらい。余裕を持ってないと、避けるのは難しいだろう。少なくとも、俺の腕では軽やかに避けてゆくなんて芸当は、まだ、ムリそうだ。

 

芝浦に帰ってきたところで、rakが笑顔で

「今日はこのくらいにしておきましょうか?」

と言ってくれた。俺よりは絶対冷静な彼の意見を容れ、笑ってうなずいたところで、本日のCrazy Marmalade でっかいもん倶楽部は、何とか無事(?)に、お開きとなる。すっ転んで大怪我したり、単車ぶっ壊したり、他のヒトを巻き込む事故になったりしなくて良かった。

 

道にオイルなんてのは、別に首都高じゃなくても事故になるだろう。むしろ、コレが一車線の峠とかだったら、確実に張り付いてたわけだ。逆に車線の広い首都高だったから、何とか立て直すことができたんだと思う。いや、もちろん幸運だったんだけど。

生きて帰ることが、単車に乗るときに最も大切なことだ。

ここのところ速くなってきたり、少しづつ思ったように操れてきて、それが楽しくて仕方ないばっかりに、その一番大切なことを忘れていたように思う。その意味で今回は、いい戒(いまし)めになった。ムリしなくても、安全マージンを取ってるつもりでも、常に危険は存在する。

マーマレードスプーンは突然、甘みがなくなるのだ

 

首都高だから危ないんじゃなくて、単車だから危ないんじゃなくて。

慢心したり、気を抜いたり、あるいはどうしようもない不幸だったり、いろんな要素が重なって危険なのだと思う。生きて単車に乗ってれば、その危険は常にあるわけで、それがイヤなら単車を降りて暮らせばいいだけだ。走らなければ、転ばないのだから。

だけど、俺は単車が好きで、単車に乗って生きてゆきたいと思ってる。

である以上、自立できない乗り物に乗っているという意識は、常に忘れないようにしたい。

今日の幸運を喜ぶのではなく、幸運がなくても生還できるように。

できうる限りの対策を採り、意識を持ち。

 

楽しく走っていこう。

 

 

 

 

 

つーか、rak。

今日もありがとう。楽しかった。

でもさ。

 

ケタケタ笑いながら

「ネタだなぁ」

て。

 

鬼か。

 

 

ま、そう思わないでもなかったけどね、俺も。

 

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