The 54th big machine club

2008.05.21 第54回でっかいもん倶楽部 in 首都高 〜初心忘るべからず〜

 

週末に控えたケモライドの段取りなんかを、メールや掲示板(ケモ用)でやり取りしつつ。

午後10:00ちょい過ぎ、隼をまたぐ。この時間に乗るとなれば、もちろん首都高だ。いつものように四つ木から乗って、いつものように惰性で走って途中で勘違いに気づき、気づいたときにはすでに9号線をスルーしていたのもいつも通り。

で、そのままC1を走って内回りへ。

流すよりちょっと速いくらいの速度で走りながら、工事渋滞してるポイントや、道の状況なんかを確認しつつ、ぐるっと回って箱崎から深川線へ。相変わらずC1と比べれば誰もいない状態の9号をぐるっと回って芝浦へ向かうと、レインボーブリッジ上が渋滞していた。

むしろここがイチバン渋滞してるなぁと思いながら、芝浦PAへ。

 

どうせPAは見えてたので、すり抜けしないで走りながら写真を撮ったり。案の定、失敗したけど。

 

芝浦に入るとR1とR1000が停まっていた。

「あ、のりさんだ。もう一人は誰だろう?」

思いながらのりさんのR1の横に隼を突っ込み、メットを取って挨拶をする。するとR1000のライダーが近寄ってきて『もしかして、rakさんと待ち合わせですか? 』と聞く。うなずく俺の横で、のりさんが『あ!』言ったあと、『どうも』するとR1000の方も『あ、どうも』どうやら既知らしい。

三人でしばらく話していると、rakが顔を出し、続いてAGLA13もやってくる。や、順番逆だったか?

左から初見のEさんのR1000、AGLA13のR1000、のりさんのR1に俺の隼。

 

ほどなく、なっこちゃんもやってきて、みんなで場所を移動する。

ここで初見のEさんと話したのだが、Eさん、なんとナリさんより年上で、さらには30ちかいお子さんがいるとのコト。そんで首都高走ってるてんだから、カッコいいやね。こういう人に会えると、ああ、年齢じゃなくて魂なんだってつくづく感じさせられるよ、正味の話。

rakがなっこちゃんに『お父さんが夜な夜な首都高走ってたらどうする?』聞いたらなっこちゃん、ニッコニコしながら『ワクワクしちゃう』ときた。激しく同感だ。俺の親父だったら、間違いなく一緒に走り倒してるだろう。オットコマエだよなぁ。

 

Eさんの男っぷりにシビれつつ、いつものようにみんなのマシンを眺めていると。

AGLA13、タイアになにやら様子のおかしなものがこびりついてるぞ?

白い半練り状の物体で、軽く毛が生えてるチックな遊星からの物体Xに、AGLA13を『おめ、なに踏んだん?』と問い詰める。するとCIAの特殊工作員であるAGLA13は『ほとんど高速だったから、何も踏んでないと思うんですが』とか苦しいイイワケをしやがった。

思うにヤツは踏んだね、グレイを。

このCIAのマワシモノは、組織のアジトから出てくるところで、誤って敷地内で飼われているグレイをもういいですかそうですか。ま、別にホイールからグレイが顔を見せてたわけじゃないし、だいたいグレイに毛が生えてるかどうかも定かではないし、ね?(ね 、の意味がわかりません)。

 

今日はナリさんとポンちゃんも来るはずだったのだが、仕事で遅くなるはずのナリさんはともかく、ポンちゃんが一向にやってこない。やがてrakにメールが入り、どうやらポンちゃんは単車のマフラーステーがイカれてそれドコじゃないということなので、んじゃ、軽く走ろうか。

と、いざ走り出すぞつー瞬間。

rakがトイレに行きたいと言うので、待ってるから行ってこいよ言うと、向こうに見えるPAの施設を指差しながら『遠いじゃないですか』と言い出す。まぁ、確かに一般人ならともかく、『かみは歩かない』で有名な俺に言わせれば、人が歩いてゆけるギリギリの距離だ(100Mほどです)。

それじゃあ箱崎でトイレに寄ってから、外回りを走ろうということになる。

んで走り出したのだが、前をゆくのりさんが速いのはともかく、後ろに見えるヘッドライトはなっこちゃんのCBR600RRジャマイカ。箱崎までだからそんなに飛ばしてないとは言え、一般的には充分キチガイ速度ですり抜けながら、べったりついて来るんだから、この子もたいがい変態だ。

 

箱崎へ入ってrakのトイレを待ちながら、ちょこっとだけ話して、それじゃ走り出そう。

rakの『外回りから新環状をいつもと逆に回って、辰巳を越えたら二周目はペースを上げます』つー言葉に『んじゃ、一周目はそんなに飛ばさないんだな』と、おめ何回勘違いすれば理解するんだ的な認識ミスをしつつ、確か二回目くらいになるだろう、外回りを走り出した。

C1はそこそこ混んでるが、もちろんrakはお構いなしに飛ばし始める。

いや、ヤツにとっては飛ばしてないんだろうが、ついてくこっちはアップアップだ。少なくとも俺は。

んで、しばらくC1を走っていると、不意にのりさんが前に出ろとゼスチャをする。すり抜けのとき、確かに多少rakに離されるコトもあったが、 充分追いつけてるし、その前にどう考えても俺の方が速いとは思えない。前に出ても邪魔になっちゃうのが関の山なので、甘言には乗らずに後ろを走る。

だまされるもんかっ!(だますメリットが皆無です)

C1は結構混んでいたので、それでも何とかついてゆける。この段階で、いや、正確にはひとりで軽く流したときから、高速コーナーで違和感を感じていたのだが、いつものごとくrakやのりさん に引っ張ってもらってるうちに、速度が上がってきて『乗れてないと思ったのは気のせいかな?』と考えてしまった。

それこそがまさに気のせいだったのだが。

 

そんなこととは露知らず、調子に乗って辰巳を越えた後。

深川線で、ついにのりさんの策略に乗っかって前へ出てしまった。9号は工事で一車線規制になってて、でかいトラックが連なって走っているので、なかなか抜くことが出来ない。そこで左手をひょいひょいと前に振るのりさんに、『んじゃ、ちょっと前にでま〜す』と軽いノリで出てしまったのだが。

これが大間違い。酔っ払ってオークションやるくらい大間違いだった。

工事区間が終わり、車線が増えたところでrakが速度を上げる。同じようにアクセルを開けて加速し始めたところで、左の高速コーナーが現れた。多少ツッコミ気味で入っていったつもりだが、どうもラインが安定しない。アクションに対して過敏と言うか、フラフラと左右によれてしまう。

なんだろうとしばらく考えて、ようやく思い当たる。

失速してるのだ。

突っ込みの速度が遅いのに、速いときのように動こうとするから、えらいイキオイでインに寄ってしまい、びっくりしてアクセルを抜くと、当然、フロントがゆらつく。コーナリング中のアクセルのオンオフに比較的寛大な隼だが、遅いとは言えこの速度域になると、さすがにごまかしは効かない。

んじゃ、突っ込む速度を上げればいいのだが、それがまた上手く行かない。昼休みに録画カメラの取り付けをしようとして失敗し、スクリーンをいつものPUIGからノーマルに戻してたので、風や視界など、体感的な速度域が変わってしまってるのも、ひとつ要因かもしれない。

鈍いくせに感覚で乗るから、こういうことになる。

とは言え、スクリーンが変わったくらいで、ココまで遅くなるってのも無理があるし、『きっと他に要因があるだろうな』と頭の隅で考えつつ、目は、するすると離れてゆくrakのテールランプを追う。

 

と。

急に視界が明るくなった。

後ろから照らされているのだ。

のりさんのR1はHIDが組んであるので、ライトがやけに明るい。その明るいライトが後ろから突っつきベタ付けしてくる。や、のりさん的にはそんなことしてないのだろうが、感覚的にそう感じてしまうのだ。乗れてない恐怖が、のりさんを鬼に見せる。ま、普通にドSな可能性も否定は出来ないが、それはさて置き。

「きびしいなぁ」

直線だけ何とか開けようとするも、どうにも怖くて開けられないものだから、長い直線の楽さと安定感と言う、ほとんど唯一と言っていい対R1のアドバンテージを、瞬殺で失ってしまう。ミラーに映るHIDが怖いほど肉薄してくる。うっわ、俺、遅っせー! 叫んでいると。

やがて、俺の遅さにじれたのだろう。

R1は、高速コーナーのツッコミでするっと前に出ると、そのまま立ち上がって加速してゆく。

いっそ気持ちよくぶち抜かれたところで、前を行くのりさんがゆらっとしてるのを見て、『あ、ギャップがあるな』と見当をつけるのだが、『隼は重いし重心が低いから楽勝』とか思って突っ込んでゆくと、予想以上のフレに、ドびっくりのゆ〜らゆら。

ゆれの具合から破綻しないだろうと確信できても、乗れてない時ってのはこういう挙動にやたら敏感になり、必要以上に気になってしまう。結果、怖くて開けられないから進入速度が遅くなり、進入が遅いからコーナリングがふらつく。悪循環だ。

人の揺れるのはゼンゼン平気なのになぁ(その根性を改めましょう)。

 

そのうちAGLA13にもぶち抜かれる。何とかテールが見える位置には居られるが、それは先頭を行くrakが、要所要所で速度を緩めるから。遅れて待っててもらうってのが ちょっと申し訳なくて、頑張ってアクセルを開けるのだが、今日はなんだかどうしても怖い。

「知らない道だからかなぁ、何が悪いんだろう」

と考えながら走るも、原因がよくわからない。途中、ドコだったろう、なんか踏んだらしく、軽くケツが出る。ひとりならともかく、普段rakやポンちゃんに引っ張ってもらってるときは、あまりヨレやすべりが気にならないのだが、今日はちょっとしたことでも、ドキッとしてしまう。

結局、心折られて、軽くあきらめモード。

と、二周すると言ってたrakが箱崎へ戻ってしまった。

なんだろうと、メットを取ったrakに注目すると『あまりにもつまらないから、内回りに行きましょう』とのこと。たしかにトラックと車線規制で、気持ちよく走れない部分が多かった。もっとも、今日の俺はそれにイラつくよりもホッとしてしまってるんだから始末に終えないのだが。

 

箱崎から内回りに入る。

「内回りから新環状なら道は知ってるから、もう少しマシになるか」

と思ったのだが、でも、やっぱ遅い。さっきほどじゃないけど、ちょっと怖い。ぐるっと回って深川線から湾岸へ。レインボーの渋滞を避けて芝浦へは行かず、大井でUターン。俺が道を知らないことはみんな知ってる上に、今日は一番後ろで遅れ気味。

なので、休憩したときにAGLA13が『かみさん、大井の入ってくるところ、わかりました?』と心配してくれたのだが、ふっふっふ。AGLA13よ、わかってないな。自慢じゃないが俺は湾岸から台場線に何度も乗りはぐってるから、意外とココを使っているのだよ(本当に自慢になりません)。

と、大井でUターンするとき、濡れた路面で、また少し滑る。

つーか走り終わった後、休憩のときはココで滑ったの忘れてたけど、今、書いてて思い出した。

大井から横羽線を抜け、C1へ戻る。クルマが多くすり抜け主体になるので、ここだとどうにかこうにかついてゆける。普段はガバっと開けられる新環状の方が好きなのだが、今日に限ってはC1がお気楽で好きとか思ってしまう、根性なしの俺。

 

やがて辰巳PAが見えてきて、正直、ほっとする。

辰巳に入ると、途中ではぐれたなっこちゃんとEさんが来てた。

その並びに単車を停めて、販売機でコーヒーを買おうとすると、財布の中には万券しかない。仕方ないのでAGLA13にたかる(仕方ないの意味がわかりません)。その光景をのりさんに目撃され『だめですよ、若いもんにたかっちゃ』と突っ込まれる。

その年寄りを、散々いじめたくせにー!

 

辰巳の休憩所で、ダベリング大会。

しばらく話していると、rakが携帯を開いて。

「ナリさん、あと10分で来るそうです」

その言葉どおり、十分ほどでナリさん登場。

タイミングや連絡不足で、ここ数回ほどニアミスしてたナリさん。ようやくみんなと合流できて、女の子と初デートする中学生かと思うほど、激烈にヒートアップ・ダベリスト。もちろん、走りの方で凹んでた俺も、しゃべりなら任せろと 、ボルテージアップ・ベシャリスト。

深夜の辰巳PAにバカ話と笑い声が響く。

『深夜の首都高をバイクで』

聞いただけではゼッタイにわからない、想像以上の明るい笑顔と楽しさに満ちた時間が、おぼろに輝く月に見守られながら、ゆるゆると続く。シビれる様な走りの時間と、穏やかで笑いの絶えないゆるりと流れる時間のギャップに、心の中の空気が澄んでゆくようだ。

排気ガスまみれの東京のど真ん中にもかかわらず、ね。

最初は立ち話してたのが、ひとり、またひとりとベンチに腰掛け、俺は地べたに座り込む。タバコをくゆらせ、ナリさんと競うようにバカ話に突っ込みあいながら、時間を忘れて話し込む。Eさんが笑い、ナリさんが笑い、rakが笑い、のりさんが笑い、なっこちゃんが笑い、AGLA13が笑う。

俺も、笑う。

 

再来月には、日本を離れてしまうrak。

そのrakによって出会ったみんな。

もちろん時々はまた日本に帰ってくるのだが、それでも今ほど頻繁に会うことはできなくなる。本来なら、少しばかり湿っぽくなっても良いところだが、この連中には、そういう部分がない。rakが去ることを残念だとは思っても、そこからの発想に後ろ向きの要素がないのだ。

笑って送り出そう。少しでも、楽しい時間を共有しよう。そして、rakの成功を心から願おう。

言葉にすれば、こんな陳腐な内容になってしまうかもしれない。だけどステキなのは、それをみなクチに出さず、なのに、そう思ってるだろうことが容易に想像できてしまうところだ。それはrakの魅力なのかもしれないし、単車の力かもしれないが、どちらにしても俺の好きなスタンスだ。

 

ひとりで立って、その上でそれぞれが出会う、依存や寄りかかりのない関係。

単車が好きで、走ることが好きな連中が、すれ違うこの一瞬を大切に愛(いつく)しむ。

ただ、それだけの時間。

 

外から見てそれをアレコレ評価することは簡単だ。

だがその評価に対して、された方は微塵の興味もない。それはそうだ。走った後でも同じことを言うなら、それなりに聞こうとも思うだろうが、おそらく、走った後にそれを言う人間は皆無なのだから。ありきたりな論では突き崩せないほど、その感覚は魅力に満ちているのだから。

実際俺も、もっと殺伐としてお互いけん制しあうような状況を想像していたし、事実そういう時期もあったようだ。だが、今俺が身を置いているこの世界は、そんな世界では、断じてない。もちろん 中にはそんな連中もいるのだろうが、少なくとも俺が出会った中にはいなかった。

そして俺は、メディアやうわさではなく、自分の目で見たものをこそ信じようと思う。

メンドウだったり、怖いと思ったら、イイワケなんかせずにただそう言うだけ。乗りたいときに乗り、降りたいときに降りればいい。 そんなシンプルで何の縛りもない世界。単車と言う機械が生まれたときから、長いこと掛けて作ってきたイメージの、ポジティブな方の一端である、象徴的な言葉。

自由。

そこにはそれがあるのだ。

 

俺は自由をすばらしいと思うから、殺伐とした

『なんだよ、走らねぇのかよ。だらしねぇな』

みたいなスタンスを嫌悪する。誰も何でも好きにやれば良いじゃないかと思う。

そして、ここは殺伐とした、俺と相容れない世界だと勝手に想像して、勝手に敬遠していた。タイミングがもっと早かったら、もしかしたらそういうことになってた可能性は否めない。そういう意味では、このタイミングで連中に会えたことは、俺にとって、とても幸福な偶然だったんだと思う。

ここへ案内してくれたキャスタと、この世界で手を引いてくれたrakに。

そして、俺のくだらない想像や懸念をふっ飛ばしてくれたみんなに。

心から感謝したいと思っている。

 

って、ま〜た話がアサッテに飛んでったな。

 

やがてEさんがタイムアップ。帰ってゆく後ろ姿を見送ったあとも、俺たちは延々と話し込んだ。

ナリさんは面白おかしく、時にはちょっとマジメに、自分の経験をたくさん語ってくれた。基本バカ話だから聞きやすく、しかし含蓄に富んでいる。のりさんはサーキットや友人の話を、その人柄と同じく穏やかに微笑みながら話してくれる。でもホントは鬼(かみ救済委員会調べ)。

俺やAGLA13は、『いかに俺たちが限界を超えて走ってるか、それがどれだけ勉強になってるかを』伝えつつ、バカな話も欠かさない。なっこちゃんはケタケタと楽しそうに笑う。この子は本当に楽しそうに笑うので、見てるこっちも微笑んでしまう。そしてもちろん、rakが海外へ出る話。

いつまでも、いつまでも、笑い声と話が絶えない。

と。

メールしてるのりさんの姿を見て、こちらも何の気なしに携帯を開けば、3:00過ぎている。

うっわ、明日は一日フルで仕事だよ。つーことで『そろそろ帰ろうか』『帰りますか』となり、みな立ち上がったところで。本日のCrazy Marmalade でっかいもん倶楽部は、肌寒くなってきた夜の風に、軽く肩をすくめながら解散となる。今日も、楽しかった。みんなありがとう。

また走ろうね。

 

辰巳から深川線に出ると、みなの排気音が高まる。

前をゆくrakやナリさん、のりさんはすぐに見えなくなり、後ろから来たAGLA13にもぶち抜かれる。『こうなりゃいっそ、なっこちゃんもぶち抜いてくれないかなぁ』と、軽くMっ気を発揮しながら走っていると、向島線まではテールが見えてたAGLA13にも、ついに消された。

なんだろうなぁと悔しく思いながら、怖くない範囲で飛ばしていると、途中でようやく気づく。

「ウデや上半身に力が入ってる。着座位置が前過ぎる。視線が下を向いている」

何のことはない、これまで時間をかけて修正してきた悪い部分が、全部出てたのだ。

気づいた瞬間、何でこうなったのかも一瞬で理解した。簡単なことだ。ちょっと速くなったと言われて、俺は調子に乗ってたのだ。引っ張ってもらってる速度の中で色々試し、得てきたものを、すっかり忘れて 『速くなった』なんて思い込んでたのだ。

 

謙虚な気持ちで走ってたときには出来たことが、確認を忘れただけで出来なくなる。俺が速いなんて言われても、その程度ってコト。身にもついてなきゃ、引っ張ってもらわなければ、いや、ちょっとテングになったら引っ張ってもらってさえ再現できない程度のウデなのだ。

柔道の修行で思い知ってたはずだろう? 出来たと思ってるうちはまだ出来てない。何度も反復して身体にしみこませてこそ、それが血となり肉となるってことを。俺って男は、どれだけ痛い思いをしても簡単に大切なことを忘れてしまうんだなぁ、と自分自身が歯がゆくなる。

 

帰り道、今さらになって少し走れるようになりながら、せっかくみんなと走れる時に、これが出来なかったことを残念に思いつつ、俺は改めて自分の心を戒(いまし)めた。驕(おご)るな、気取るな、積み重ねよ。稲穂のごとく、実るほどに頭を垂れよ。

そして。

初心、忘るべからず。

 

rakは行ってしまうけれど、コレからもこうして、時々自分を確認できる機会を持てると嬉しい。そしてなにより、せっかく会えたみんなと、コレからも楽しく走っていけたら、それがイチバン嬉しいことだ。そのためにも、同じ速度域で走れるくらいには自分を維持してゆこう。

その努力は、努力ではなく、俺にとっては楽しみの一部だから。

 

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