The 56th big machine club

2008.07.30 第56回でっかいもん倶楽部 in 養老渓谷

〜ショート・ハイスピード〜

 

昨日、半々の確率で用事が出来るなんつてったら、moto君から速攻でメールが来た。

「明日は用事があるみたいですねー。残念です」

あんだ、あいつ明日休みなのか。一緒に走れるんだと聞いて黙ってられるわけがない。とりあえず『明日の朝10:00までには、行けるかどうかメールする』と答えた時、俺はすでに、『行けるかどうか』ではなく、『いかにして行くか』と言う方向で頭を悩ませ始めていた。

朝一番で電話しまくり用事を繰り上げて済ますと、午後1:00、R1000をまたいで走り出す。

 

約一時間後、moto家についた俺を向かえたmoto君。

「かみさん、やりかけのステッカーはがしちゃいましょう」

言うが早いかR1000の移動指示を出すと、ヒートガンを取り出して作業開始。

あの手ごわかったステッカーが、見る見るうちにはがれてゆく。

その手際とスピードに魅了される、俺。

はがしかけの方をあっという間にはがしたmoto君、『かみさんもやってみます?』言われて逡巡していると、『まぁ、ちょっとコツがいりますから、俺がやりましょう』と、反対側もさくさく。もうおわかりとは思うが、俺もヒートガン買うことを決心したことは、ここに記しておこう。

モノの数十秒で、きれいにはがされたステッカー。

 

moto君が新しく買った、足代わりの軽の話を聞いたり。

速いつってたけど、たぶん、乗り手の問題。

 

とても05には見えないピカピカのR1や、今日は来てないけどirohaのZ1000を眺めたら。

さぁ、出発しようか。

 

近くでガソリンを入れたあと、moto君の先導で走り出したのだが。

途端に楽しくて仕方なくなる。

moto君のすり抜けはよどみなく、危なげなく、しかし速い。春に行った伊豆箱根超高速ツーリングの街乗り速度に匹敵するようなアホ速度で、クルマをがんがんぶち抜きながら進んでゆく。しかし、R1000のトルクのおかげで、何とか直線で追いつき、ついてゆける。

なんて思いながら、街中を抜け養老渓谷へ向かうワインディングへ入った瞬間。

すぱーんと引き離されてしまった。

クルマに引っかかったり、道が荒れてたり、何よりmoto君が三味線ひいて待っててくれるから、かろうじて迷子になることはないものの、ちょっとでも気を抜こうものなら、ガンガン置いていかれる。R1000に慣れてないとか、そんなこと言い訳になるレヴェルじゃない

「そういえばこの男、速かったんだよな」

普段は一緒に呑んだくれてバカやってるから忘れがちだが、そういえばRocketIIIのときST1100を駆るこの男に会ってからこっち、オンオフ問わず俺はぶっちぎられ続けてきたんだっけ。ハヤブサで練習して、ちった速くなったかと思ってたが、やっぱmoto君には叶わんな。

前をゆく男の速さを改めて実感し、俺は嬉しくなってしまった。

 

R1000は(俺にとっては)軽くて足が硬い。

プリロードを抜いたりダンパーを弱めたりしようかとも思ったのだが、俺の場合、ロクに操れもしないうちに余計なことをするとわけがわからなくなるので、とにかく硬かろうがなんだろうが、 そこそこ乗れると思えるまでは出来るだけ出荷状態で行こうと考え直し、今回もほぼノーマルのまま走った。

速度に目が慣れてきて、ある程度突っ込めるようになっても、硬いと言う印象は変わらない。

それでも、高速度でコーナリングする時の安心感はさすがだ。いや、安定感ではない。ハヤブサが車体で吸収して安定してくれてる印象なのに対し、R1000はしっかり荷重をかけて曲がってやれば強靭な足が全て支えてくれる感じで安心できるのだ。

よく言えば剛性が高く、人によってはハヤブサより神経質に感じるかも。

 

エンジンは、いくらトルクがあるとは言え、やはり高回転型だ。

ぶん回るエンジン音に慣れるまでは、つい、ひとつ上のギアを使ってしまうのだが、始末の悪いことにそれでもソコソコ走れてしまうので、最初ぶん回すのに慣れるまでは、四苦八苦した。かといってイッコ下げたギアでエンブレもやかましくコーナーに飛び込んでゆくと、初期旋回が悪く感じる。

エンブレに引っ張られて、車体が寝づらくなる感じと言えばわかりやすいだろうか。

まぁ、まだ乗り始めたばかりだし、おいおい、仲良くなってゆくこととしよう。

 

40分ほど休憩なしで走り続け、いつもランツァで登るD山のワインディングを駆け上り。

ケモの時の駐車場からちょっと行った先にある東屋で、ようやく一服タイム。

 

ここでmoto君と、タバコを吸いながらしばらくしゃべりこむ。

こないだのケモでの、『その後の事件』を聞いて、(酔っ払って記憶が飛んで)初耳だった俺は、驚愕の声をあげてしまう。それに関しては関係各位に直接謝罪するとして、その話から発展して、人とかかわるってコトの問題とか喜びみたいなものを、酒も呑まず語り合う。

moto君にしてもトモゾーにしても、普段はバカなことばっかりしてるし言ってるけど、こういう突っ込んだ話をしたときの真剣さとか、考えの深さには、正直、舌を巻く思いだ。やはり、いろんな経験をつんで、失敗も成功も知ってる人間と話すのは、趣きがあってたのしい。

こんなとき、俺はこの男に会えてよかったなぁと、心底思うのだ。

 

20分ほどだろうか?

のどが乾いたから、下へ行ってジュースでも飲もうということになり、D山を下る。

大多喜城下にある、道の駅っぽいところ。鬼寂(さび)れ。

 

ここで今度は、moto君らしいいたずらと言うかイジメの話を聞いて、また、大笑い。

以下、その詳細。

 

R1にパイロットパワーを履かせたmoto君。新品タイアが嬉しくて、某所へ走りに行った。すると、そこに居た先客、ZX10Rに乗った今ドキっぽいおしゃれさんが、じろりとmoto君を見る。横に停めたmoto君は、メガネをしたままメットをとろうとして、慌てたふりをする。

おしゃれなおにいちゃん、軽く苦笑。

その後もmoto君は、いかにもヘタクソっぽい動きを繰り返し、おにいちゃんは完全に笑ってる。友人とクスクスしながら、moto君を横目でちらちら。moto君、気合が入ってきた。向こうがそろそろ出そうな雰囲気に、moto君も出る準備をする。もちろん、色々小細工 。

メガネをしたままヘルメットをかぶろうとしたり、とか。

moto君いわくポイントは、やたらあわてて動き、ケアレスミスをする。そして単車を動かすときも、全身に力が入って腕も脚も伸びきり、視線を内側に向けても単車が外へ進んでしまう、と言ったところらしい。もともと教官だから、初心者の動きを真似るのが得意なのだ。

ま、そんなポイント教わっても、ビタイチ役には立たないのだが。

 

やがて何度も何度も安全確認をして、背筋をぴーんと伸ばしたまま、バタバタと出発。ミラーで確認すると、おにいちゃんと友人の腹を抱えて笑ってる姿が見えたそうだ。にやりとほくそえむ、ドSのmoto君。高速を70キロくらいでゆっくり走りながら獲物を待つ

すっ飛んできたおにいちゃんは、わざとmoto君の前で車線変更して脅しをかけた。

やっちゃったわけだ。

二速落としてスクランブル発進すると、ターゲットをロックオン。すり抜けしながら200を超えても、ちっとも後ろから離れないmoto君に、おにいちゃんはムキになる。目の前に高速コーナーが迫ってきたところで最後の仕上げ。220でコーナーに入るおにいちゃんを、大外からぶち抜く

前に出たmoto君を追うおにいちゃんは、250くらいまでがんばるのだが、車の列を抜けるたびに引き離されてしまう。 んで、おにいちゃんをミラーの点にすると、そこからまたゆっくり巡航しながら、追いついてくるのを待つ。結局、以下無限ループの大イジメ大会

ようやくインターを出たとき、おにいちゃんは目を合わせてくれなかったそうだ。

当たり前。

 

大笑いしてると、さらにmoto君はその時やったヘタクソの真似を見せてくれた。

 

 

そこらで見かけたら、ゼッタイ舐めちゃうよなぁ。

 

気づけば夕方の4:30。

moto君は子供を迎えにゆかなくてはならないし、俺も帰ってコレを書かなくちゃいけない。つわけで、短い時間で走り倒したCrazy Marmalade でっかいもん倶楽部も、そろそろお開きの時間だ。道の駅を出たあと、俺とmoto君は、それぞれ反対側に向かって走り出す。

ひとりで養老渓谷のワインディングを抜けながら、moto君とのシビれる走り、バカ話、マジメな話、そして新しい相棒GSX-R1000の手ごたえに満足しながら、俺はもう次の走りを思い描いて笑いを抑え切れなかった。moto君、楽しい時間をありがとう。また一緒に走ろう。

 

夏はまだまだ続く。

単車の季節もまだまだ続く。

さぁ、次回はどこを、誰と走ろうか。

 

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