The 59th big machine club

2008.09.21 第59回でっかいもん倶楽部 in 奥多摩

〜ナリさんディ〜

 

二回流れて三回目のツーリングは、結局、雨の予報に大事をとって奥多摩になった。

微妙ながら雨は降ってない。ただ道路状況がどうなってるか読めないので、いちばんド田舎に住んでる俺は早目に家を出た。んで、石川PA8:00の約束に到着したのが7:00とか、いくらなんでも早め過ぎ。どんだけ楽しみにしてるんだって話だ。 ま、楽しみだったんだけど。

やがて30分前くらいからメンツが集まりだす。

まず、のりさんが到着。上下レザーのヤル気仕様。

 

GO!!!君とAGLA13も到着。

その後すぐ、このイッコ上の写真のパトカーが入ってきたから、きっと彼らは追われてたんだろう。

 

最後に、今回の主役、ナリさん登場。ヘルメットをとるなり、顔が赤い。

「いやー、昨日のみ過ぎちゃったよー!」

いやいや、ナリさん。それ昨日じゃないでしょ? むしろ今朝でしょ? 言っとくけど二日酔いじゃないから、それ。現在進行形っつーんだからね? 的なツッコミを心の中で、あ、いや、声に出してたかも知れんがとにかくツッコミを入れて、しばらく話をする。

「降らなくてよかったねー」

「午後から雨みたいですけどね」

「俺カッパ持ってきたから平気」

「か、かみさんらしくねぇ」

「なにがー! 俺はツアラーだっつの」

朝から、楽しくバカ話。

 

「奥多摩だから、じゅれいさんとかウサギちゃんが釣れるかと思ったのになぁ」

「あれ、じゅれいさんって、まだ怪我が治ってなかったんじゃないすか?」

「あ、そうか。んじゃ、これで全員だね。そろそろ出発しようか」

それじゃぁと高速を気持ちよくすっ飛ばし、 交通安全週間で街頭に立つオマワリさんたちに敬礼しながら、うん、嘘だ。敬礼はしてないし、むしろジロってガン見しながら、おとなしく奥多摩へ向かう。俺みたいに『100パーツーリングライダーな外見のヤツ』が混ざってるから、不審な目で見られない。

これがナリさんとのりさんだけだったら、確実に職務質問だろう。

 

ナリさんの先導で奥多摩を走り、周遊道路からバラける。

俺が先頭で、そのあとがGO!!!君。

程なく都民の森という看板が見えたので、速度を落とした。何度か聞いたことある名前だから、きっとここで休憩するだろうと徐行していると、後ろから来たGO!!!君がそのまま入っていったので、ああやっぱりと俺も続く。すると、AGLA13とのりさんが、そのまま行ってしまった。

とりあえず、二人が戻ってくるのを待ちながらダベる。

しばらくすると、のりさんが戻ってきた。

「あれ? AGLA13は?」

「行っちゃった」

ヤロウ、このまま最後まで行っちゃうんじゃんねーのなんて話してると、メールが来て

「今から戻ります」

笑いながら待ってると、ようやくAGLA13もやってきた。

ハーフウエットなので、どうしようかねぇなんていいながら、またダベリング。

 

AGLA13、のりさん、ナリさん、GO!!!君。変態四人を撮影する、唯一の常識派ライダー、俺。

 

都民の森にはいっぱいバイクが来てた。

シティカモの迷彩塗装をしたイカした単車に乗ってやってきた、バンダレイ・シウバみてぇな外人の背中を見て、ナリさんが「でけぇなぁ」と声を上げる。みんな爆笑しながら、「いやいや、ナリさん。あなたも充分でかいですから」とツッコミを入れる。朝の峠でバカ話、楽しいね。

 

さて、それじゃぁそろそろ、走ろうか。

先頭はGO!!!君で、そこにのりさん、俺、AGLA13、ナリさんと続く。

奥多摩周遊道路といえば、関東の聖地のひとつなわけだが、聖地もクソも路面が濡れてるんじゃぁ楽しくは走れない。まるっきりウエットならあきらめもつくのだが、濡れてたり乾いてたりとロードコンディションがまちまちなのが走りづらい。

濡れてると思うと影だったり、影の途中が濡れてたり。

「いっやー、これはなかなかタフなコンディションだなぁ。ま、逆にとんでもないアベレージになることもないだろうから、コーナリングを一つ一つ確かめながら、練習がてら走ろうか……って、思ってるソバから何してんだ、GO!!!君!」

や、そりゃわかるよ? タイア一本分くらい乾いてれば、理屈ではドライだってのは。

でもね、逆に言えばドライのライン外したら濡れてンだよGO!!!君、のりさん。と言う俺の心の叫びも、彼ら変態にはこれっぱかしも届かない。奥まで突っ込んでぎゅーっと減速、次の瞬間スパンとコケたみたいに単車を寝かし、そのまますすすっと曲がってゆくGO!!!君。

その後ろから、流れるようにスムーズに、すーっと寝かしこみつつコーナーに飛び込んでゆくのりさん。どっちもお手本になるような綺麗な走り方だが、後ろにつくなら個人的にはのりさんの方が走りやすい。GO!!!君のテールに続くと、俺の走り方つーか腕じゃ突っ込みすぎなのだ。

 

変態ふたりが速度を上げるので、仕方なく俺も続く。

路面コンディションのオカゲで、アベレージもそこまで高くないから、腕の差が出づらい状況。要はマシンの旋回性で差がつくところなのだが、このメンバー のマシンだとそれも横一線と言っていいだろう。ドライでもう少し高速コーナーだったら、俺にこんな余裕はないね、きっと。

GO!!!君ものりさんもウマいから、安心して後ろにつける。

突っ込みでGO!!!君が少し先へ行き、俺とのりさんはGO!!!君より手前でブレーキ。減速そのものはGO!!!君より穏やかだから、コーナリング前半でGO!!!君に追いつく。そのままアクセルオンで旋回。タイトなコーナーだから半分マシン任せ。立ち上がりで、三台並んで脱出する。

次のコーナー。ブレーキ、バンク、旋回、立ち上がり、直線。次のコーナー。

楽しい、楽しい、楽しい!

いつの間にか路面もあらかた乾き、当然、GO!!!君のツッコミが厳しくなってゆく。俺とのりさんもユニゾンでコーナーに突っ込む。のりさんが自分の走り方をキープしてるので、俺はそれに合わせるだけ。速く走れるけど、これはほとんどのりさんの おかげ。

ヘルメットの中でケタケタ笑いながら湖畔へ出る。

橋を越えたら右折して駐車場で休憩。

みんな、楽しそうに笑ってる。

俺ももちろん、笑ってる。

高速に比べてこう言うせまっ苦しい峠が苦手なAGLA13は、軽く凹み気味。逆に二日酔いで調子の出ないナリさんは、それでも元気いっぱい絶好調で、バカ話を炸裂させている。聞きながら笑ってるうちに、AGLA13にも笑顔が戻ってきた。

「誰が速いも遅いも関係ない。楽しけりゃいいんだよ」

いつも言ってる言葉どおりの事を実践するナリさんは、やっぱりカッコイイね。

 

しばらくダベって、また戻るのかと思ってたら、GO!!!君が

「別の道を走って、違う峠に行きましょう」

もちろんみんな大賛成。どうせ来たなら、色んなところを走ってみたいと言う、『曲り道貧乏性』なんだね、みんな。だね、とか言ってる俺が一番、「曲がってればどこでもいいよ!」とかアタマの悪いことをほざいてる、曲り道貧乏性なんだけどね。

GO!!!君を先頭に、俺、AGLA13、のりさん、ナリさんの順番で走りだす。塩山方面を柳沢峠に向けて走り出したらしいが、俺は完全にお客さんツーリングになってたので、道はちっともわかってない。そして、この峠までの道行きがすごかった。誰がってGO!!!君が。

もね、道は確かに『ほぼフルドライ』になってるんだけど、もはやそんなこと関係ない。

確かに100パーですっ飛ばしてるわけじゃなくて、充分マージン取ってるのはわかるんだけど、それにしてもご機嫌のダイナマイツなペース。俺は後ろについていってるから余裕があったけど、 「先頭に出てこのペースを作れ」って言われたら、泣きながら歩いて帰るね、きっと。

 

ノッてきたGO!!!君、ぎゅーペタン、すすすっ!を繰り返し、淡々とコーナーを抜けてゆく。

まるっきり危なげがないから一瞬、勘違いするのだが、冷静にメータや流れる景色を見れば、『かなりひどいアベレージ』で走り続けているのが判る。今度は前にのりさんがいないので、とにかくGO!!!君の走りに引きずられないように、なるべく見ないようにして道だけに集中。

何とか離されないで走れるのは、先頭と後ろのリスクの差だろう。

「相変わらず綺麗に乗るよなぁ」

赤い革ジャンの背中を時々眺めながら、たまに引きずられて奥でブレーキング&早寝かせで曲ってみたり。コーナーの奥を見てからバンク作業に移れるから、GO!!!君の言うように安全性は高いのかもしれない。けど、これだと俺の場合、立ち上がりで離されてしまう。

回せる人間なら、一速を使うとちょうど良いんだろうけど、高回転ぶん回すのが苦手な俺には、これがまたなかなか中途半端で難しい。『二速で回って立ち上がりで半クラ』で何度か曲ってみたが、やっぱり疲れるのでぎゅーパタンはやめて、いつものように走る。

今回は、リーンウィズを課題にしてたので、出来るだけケツを落とさないで走った。GO!!!くんとかの離散は、なんで一家離散するんだ。GO!!!君とかのりさんは 、ほぼリーンウィズで曲ってるから、曲れないとしたら『俺の曲げ方が悪い』わけで、指標があると走りやすいね。

結果、そこそこいいペースで、リーンウィズできたように思う。

 

このときナリさんは、まさか峠までのツナギの道でこんなペースになるとは思ってなかったらしくって、あとで動画を見返してみると、前半、完全にひとり旅になってしまっていた。ま、クルマに引っかかったりしてる間に、速攻で追いついてきたんだけど。このヒトもやっぱり変態。

AGLA13はどうやら周遊道路で少し離れたのが悔しかったようで、柳沢峠までの道行きはかなり頑張ってた。ミラーにちらちら写るので、こっちも負けじとアクセルを開ける。タイアが道路を喰い、後ろ気味に座ったケツでトラクションが掛るのを感じながら、曲る、曲る。

高速道路では(ハヤブサに比べて)神経質で俺にはもてあますR1000も、ことこう言うタイトでタフな道となれば、さすがにスーパースポーツ。もう、一生このまま走ってたいと思うほど、乗りやすく、曲げやすい。サスが決まったりすると、もっと気持ち良いんだろうなぁ。

冗談みたいにあっという間に、柳沢峠に到着した。

ここで一服しながらダベっていたのだが……

ふと見ると、ナリさんのR1000のナンバー裏に取り付けられた『パンク修理剤のカン』から、様子のおかしい白い泡が噴出している。

「ナリさん、なんか出てるよ?」

言いながら、何気なくそのカンに触ると……

 

 

 

 

 

 

 

ちょ、なんかボシュー! って言ってるよ、ナリさん!

言っても最近のタイアってのは太いから、パンク修理剤だって『大量にガスを入れてる』わけで、一度噴き出したらもう、ロマンティックが止まらない。カメラを出して、写真を撮り、さらに動画に切り替えて撮影しても、まだまだ止まらない。

一度、止まったと思ってナリさんが缶を外そうとすると。

なにこの山盛りクリーム。

タイアのヒゲでも剃ってやればいいじゃないと言った具合に、『シェービングクリーム的な何か』がリアタイアの上で山を作る。我々はなすすべもなく、ただ呆然とこの光景を眺めていた。正確に言うと、ナリさんも含めて全員で爆笑してた。むしろ呆然と眺めてたのは、ここに居たほかの人たち。

イキナリ五台でやってきた様子のおかしい人々が、単車から降りるなり『白い謎の泡を噴出させつつ大爆笑』している絵は、ぶっちぎりの絶好調に異様な光景だっただろう。「ナリさん、タイア滑りそうだから、ちゃんとふき取った方がいいですよ」と俺が笑いながら言うと。

「ま、大丈夫じゃない? むしろグリップが良くなるとか」

天地がひっくり返ってもなりませんってば。

 

『犯人にしてオーナー、むしろ責任者』のナリさんが、ちっとも動く気配を見せないので、仕方なく俺が販売機でお茶を買ってきて(水がなかったのだ)それでアワを洗い流す。「まだちょっと残ってるっぽいから、気をつけてくださいね、ナリさん?」「はいよー!」聞いてるのかな、このヒト。

お茶で洗い流したリタイア。メーカーもまさか『お茶かけられる』とは想定してなかっただろうね。

 

ナリさん劇場もひと段落し、さて、時間的にはまだ早いけど、そろそろ帰りますか。

本来なら、距離的にはそんなに長く走ったわけじゃないので、多少なりとも「もう少し」的な気持ちが残るのだろうが、このメンツで走ると短かろうがナンだろうが、ほとんど 『持てるすべての力を使って走らなくてはならない』ので、半日も走ればお腹いっぱいになる。

と、このときは全員そう思っているだろうと想像してたのだが、これが俺の大きな間違いだった。峠をゆっくり目で下り、高原チックなところを気持ちよく抜けて、高速入り口へ 入ってゆく。俺とか『ETCついてない組』が入り口でチケットを仕舞ったら、さて、雨が降る前に帰ろう。

「俺はゆっくり行きますから、お先にどうぞ」

「いやいや、俺もゆっくり行きますよ」

「俺ももう飛ばさない」

などと、おそらく『このときは、きっとマジだったんだろうセリフ』を吐きつつ、高速を走りだし。

ふぉーん!

ホラ見ろ、誰がゆっくり走るんだって?

ここから先のことは、できれば書きたくない。写真も動画もないんだから、『証拠はひとつもない』わけで、このまま知らん振りしてエンディングを書いちゃえば、あの事実はなかったことになる。だが、このレポを読み返すであろう 『将来の俺』のために、あえて包み隠さず書いておこう。

 

もね、シャレんなんねーよ、あの変態ども。

ワインディングさんざん走って、こっちはすっからかんだってのに、冗談みたいにいつまでたっても減速しねーんだ。あれー? もしかしてこのまま行くのかなーって思ってたら、バカ言うな。このままどころか、さらに速度を上げやがる。真ん中を走ってた俺は、完全に動くパイロン。

ナリさんにぶち抜かれ、AGLA13にぶち抜かれ、GO!!!君とのりさんは、すでにはるか彼方。

三速まで叩き落して、フルアクセル。タイミングライトが12500rpmで光るたびにシフトアップ。ものすげぇイキオイで加速するR1000にしがみつき前をにらむのだが、景色や他車が 『バックしてるのか?』 って思うほどの速度で近づいてくるのに、前の四台だけがするすると離れてゆく。

すり抜けるのに軽くアクセルを戻すと離れ、トンネルが暗くて「前が見づらいな」とアクセルを戻すと離れ。「あの人たちはドコでアクセルを緩めてるんだろう」といぶかしみながら、あぁ、 あなた。待って行かないで捨てないでと、気分はまるで昭和の演歌歌手フレーバー。

結局、談合坂付近で『完全に消されて』しまったかみさん、後はさびしくひとり旅。

150〜60まで速度を落とし、のんびりすり抜けながら石川PAを目指す。

 

石川に入ると、すでに到着してる連中に向かって「あれ? ツーリング? 奇遇だねー! 俺もソロツーリングなんだー!」と悲しい負け惜しみを繰り出しつつ、合流を果たす。つーかAGLA13なんてガソリンすっからかんで貧乏ランプが 『点滅どころか点灯(残り1リットルのお知らせ)』してるのに、ずっと全開走行して、何度かメータの天井を見たってんだから手に負えない。

アレだ。峠で苦戦したのが悔しかったんだな、きっと。と思ってAGLA13に確認すると、

「今日はもう、高速しかないって思ってたんですよ」

ぎゃはははっ! バッカだなぁ、やっぱ。最高だ。

 

ここでダベってると、雨が降ってきた。

なので、屋根のある場所へ移動して、しばらくバカ話。

途中、フル塗装&ピンスト&メッキパーツでギンギンにカスタムしたFJRともう一台が入ってくると、ナリさんがでかい声で「なんでああ言うコトするのかが 、わかんねーよなぁ」と半笑い。つーかむしろ、そんなでかい声で『トラブル臭マンタンのセリフ』を言うナリさんの方が判らんって話だ。

「ささ、そろそろ行こうか。めんどくさいことになっても嫌だから」

「ナリさん、『話をめんどくさくしてるのはあなた』だってコトに気づいてください」

俺たちは爆笑しながらナリさんにツッコむ。

雨の中、真面目なツーリングライダーである俺だけが持参のカッパを着込み。後の四人は変態らしくずぶぬれになりながら単車を跨いだところで、今回crazy marmaladeでっかいもん倶楽部は、とてもこんな短いツーリングとは思えない充実感と疲労に包まれつつ、無事、終わりの時を迎えた。

先で降りて給油するGO!!!君とのりさんのR1組。すぐ次で降りて給油するナリさん、AGLA13、俺のR1000組。別れの挨拶をすると、それぞれの目的地へ向かって、俺たちは最後の走りをはじめた。ガソリンがないから、100巡航で のんびりと、ね。

 

追伸:

そのあと結局、俺の家で反省会になった。

「今、ナリさんから預かった動画見てるんだ。面白いよー♪」

てな俺のメールに釣られて、なんだかんだ結局、顔を出してしまうGO!!!君とAGLA13。

 

真剣に見てるのは、もちろん走行動画だ。

見終わったら反省会。正確に言うとバカ話大会。

呑んだくれ(主に俺が)、笑い、しゃべり、反省会は日付を越えても続いた。

 

走った後の宴会ってのは、やっぱ最高だ。

またやろう!

それと、GO!!!君……

 

 

 

 

そんなことやってるから、ホモ疑惑が晴れないんだと思うぞ?

チョコレートムースひねり出して、めちゃ笑ってる。喜びすぎ。

 

拡大写真。

でも、楽しそうだったからいいや(⌒―⌒)

 

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