The 60th big machine club
2008.09.23 第60回でっかいもん倶楽部 in 富士山麓 〜走り続ける男〜
前日の宴会の前に、富士山に行くことは決まっていた。 何度も流れ、こないだは代替案で奥多摩ツーになってしまった、富士山ツーリング。その下見を兼ねてGO!!!君とふたり、富士山周辺を走ってこようと言う計画だ。下見なので、本番と同じく朝の9:00に海老名SAに集合する のだが、今日はまた、絶好の好天に恵まれてる。 つまり出かける車や単車が増えるわけで、海老名までの時間が読めない。普段だと1時間くらいで行っちゃうのだが、一応大事を取って2時間前に出発する。「途中まで一緒に行こうぜ」つってたアキとなっこは、まだ夢の中。楽しくて早起きしちゃう分、俺のほうがガキ。 と、ここで朝から事件が起こった。 寝ぼけながら単車を引っ張り出していると、駐輪場の入り口、鉄柱のあるところでバランスを崩し、タンクを鉄柱にヒット。タンクカバーがあるから平気かなと思ったら、普通に凹んでた。ま、俺は単車の傷は気にしない方だし、これは近くrak行きになるから問題なし。 タンクへこんでりゃ、その分安くなるわけだから、rakも許してくれるだろう。 「でも、寝ぼけてたのは確かだから、気をつけなくちゃなぁ」 思いながら、多少気を引き締めて走り出す。
海老名に着くと、やっぱ一時間くらい早かった。 mixi更新したりメールしたりしてると、やがてGO!!!君がやってくる。 しかも、前日あんだけ言ってたのに、やっぱりR1で来やがった。 「あんだよ、やっぱR1じゃん!」 「いや、HIDの配線がウマくいってなかったんで、仕方なくですよ」 「ホントか〜? ま、いいや。んで、ガソリンどうする?」 「御殿場降りてから入れましょう」 てんでそのまま高速に乗り、御殿場を目指す。 俺もGO!!!君もツアラーだから、おとなしく穏やかに淡々と走ってゆく。おとなだねぇ〜♪
御殿場を降りたらガソリンを入れ、GO!!!君の先導で走り出す。気持ちよく快走する『模範的ツアラー』のふたりに、しかし、富士山スカイラインはひどい仕打ちを行なった。こないだの奥多摩のように、ところどころ道が濡れているのだ。本来なら、ここで気持ちが萎えてしまう。 が、先導するのは『変態ツアラー』ことGO!!!君なわけで(むしろツアラーてのがダウトです)。 案の定、濡れてない微妙なラインに、針の穴を通す正確さで突っ込んでゆく。 仕方なく俺も後に続くのだが、前にも書いたように俺とGO!!!君は乗り方が違う。GO!!!君のタイミングでブレーキングすると、立ち上がりで置いていかれる事が多いのだ。最初こそ半クラ当てて同じラインを目指すのだが、正確なライン 取り技術なんて、クスリにしたくても持ってない俺。 二三度ケツが流れたのを潮に、おとなしくこないだと同じリーンウィズ&早目ブレーキで走るようになる。さすがにこれだけ続けて走ってると、リーンウィズにも慣れてきたようで、自分のタイミングで走れれば、GO!!!君に置いてかれることもない。や、ふたりともそれほどカリカリ攻めてたわけじゃないけど。
休憩所に入って一服。
今日はほんとに天気がよくて気持ちいいねぇ。 ってことはきっと、雨男はナリさんかのりさん、AGLA13のうち誰かって言う結論になるわけだ。
しばらく休んでしゃべってから走り出し、富士山スカイラインの途中で、GO!!!君のオススメのわき道へ入る。『本番ではAGLA13に先頭を走ってもらおうという取り決め 』のある、なかなかの快走路なのだが、ここでもとんでもない罠が俺を待ち受けていた。 快走してる俺を、エンジンをうならせてGO!!!君が抜き去り、停まれのハンドサイン。 「なんだ?」思いながら停まると 「かみさん、シートバッグのふたが開いたままですよ」 「なに? そりゃいかん!」 叫びつつスタンドを出し、R1000を降りた瞬間。
ぐら。
「え、や、待て待て待て!」
ぽてん。
思いっクソ立ちゴケした。 微妙に坂になってるのに気づかず、ニュートラに入れたまま降りてしまったからだ。初歩的なミスに、恥ずかしいやらあせるやらで、『今思い出しても痛恨事 』なのだが、写真も撮らずに起きあがってしまった。返す返すも残念(その姿勢がむしろ残念です)。 単車を確認すると、軽く傷がついているが、大きなダメージはなし。ま、ホントゆっくり立ちゴケしただけだし、そんなハデに壊れられても困るんだけど。このくらいなら、むしろまたrakへの査定がさがって喜ばれる はずだ。や、さすがに「いい加減にしろ」って怒られっかな?
気を取り直して、わき道快走路を気持ちよく走る。 そこから国道へ出て西行し、コンビニで休憩。GO!!!君がトイレに行ってる間に一服し、出てきたらまたすぐ走り出す。俺は走ってるときはメシとかどうでも良くなるのだが、こないだの奥多摩にしろ、今回にしろ、最近は『メシも喰わないで走り倒す』ことが多くてうれしい。 集中力が切れる暇もなく、ワインディングを駆け上がり北上してゆく。天気のいい休日らしく、観光客が多い道を、安全マージンをたっぷり取りつつも、バンバンすり抜けながら走ってゆく。どの口がツアラーだって話だ。GO!!!君には猛省を期待したい。 本栖湖から本栖みちへ入ると、荒れた路面にタイトなターンの多い、タフなワインディングが待っていた。首都高や高速じゃ『目がついていかないオッサン』も、この手の低速なワインディングなら 、二十年前から大好物。ゲッタゲタ笑いながら、せまっ苦しい本栖みちを駆け上り、駆け下りる。
道の駅に到着。 ここで一服してたら、携帯にボブさんからメールが入っていた。 「帰りに厚木で降りなよ」 わかりましたと返事を返し、トイレとタバコ二三本吸ったら、さぁ走り出そうぜ。 キーをオンしてクラッチを握り、セルを回すと「隊長! セルが回りません」。なんだろうと原因を探すと、クラッチの安全スイッチが外れてぶらぶらになってた。GO!!!君に待っててもらって車載工具を出し、応急処置でやっつけると、本栖みちを引き返す。 すっぱんすっぱん刃物みたいなコーナリングをかますGO!!!君に引きずられないようにしながら、俺は俺で自分のコーナリングをする。最近、少しは使えるようになって来たかな。スピードレンジの低い峠道限定だけど。 まぁ、二ヶ月、8500キロ走ってようやくだから、遅きに失した感はないでもない。
ふたり、それも『走り出すと止まらなくなっちゃうダメ人間』同士で走ると、えらく速い。 速度そのものよりも、とにかく『休まない』から、時間のわりにやたら距離が稼げてしまうのだ。富士山スカイラインを戻る途中、時間があったので新五合目に足を伸ばす。さっき走ってきた本栖みちや日光いろは坂張りのタイトコーナーを駆け上ると、途中で雲の中に入る。 濃密な霧のような雲の中を走り、
やがて新五合目に到着。
眼下に広がる雲海。空の上にも雲。なんだか不思議な光景。
雲海を見つめるGO!!!君の背中。何を思っているのだろう。
不思議な光景に見とれていると、GO!!!君の携帯にメールが入った。知り合いが西伊豆スカイラインで単車を転がしたので、マーちゃんが助けに行くらしい。それじゃぁ 俺らも助けに行こうと、ボブさんに『ごめんなさい、行けませんメール』を入れる。 ずっと前を走っててしんどかっただろうと思ったので、「スカイラインを下りきるまでは俺が前に出よう」と考えて、先に走り出した。いざ走ってみれば、やっぱり前はイロイロと気を使う。いつもGO!!!君にばっかり先導させて、申し訳ないなぁとか反省してみたり。でも、やっぱり次も先導してもらおう。 俺が引いたら『富士山に行くはずが阿蘇山』とか、わりとありそうだし。
山を下ってガソリンを入れてると、どうやらマーちゃんの方は手が足りてるらしいという話だったので、ならばボブさんのところへ顔を出すかと、改めてメールを入れる。 「ウエルカムマイフレンド」のアレな返事に苦笑しながら、御殿場へ向かって走り出す。 ワインディング走り倒して(少なくとも俺は)ヘロヘロだったので、あまりすっ飛ばさずに高速を走り、手伝いに行くんだか帰るんだかのGO!!!君と、厚木の出口で手を振って別れたところで、本日のcrazy marmaladeでっかいもん倶楽部も、無事、何事もなく終了だ。
今回ふたりで走ってみて、コーナリングは全然違うけど、俺とGO!!!君の『リズムが少し似てる』ことがわかった。カリッカリにぶっ飛ばすんでもなく、ちんたら走るんでもなく、ちょっと高めのペースでマージンも取りつつ、ひたすら延々と走るってのは、これでなかなか難しい。 R1で北海道だろうがどこだろうが走り倒す自称ツアラーのGO!!!君は、一日に1000km走っても楽しくて仕方ない俺と、たぶん『ベースみたいな部分』が似てるんだと思う。短距離をガンガンぶっ飛ばすのも楽しいけど、ある程度のハイペースで延々と走るのも、楽しい。 次の長休みには、同じ方面に走りに行って、どっかで一日くらい絡んでみるのも楽しそうだ。 俺は早くも次のツーリングにワクワクしながら、厚木を降りてボブさんのところを目指した。
んで、到着した俺を見るなり「かみちゃん、ヘルメット取るなよ」言いながらボブさん。
ボブスペシャルを引っ張り出してくる。 旧型に前後オーリンズ、マスター&キャリパーがカタログに載ってないスペシャルブレンボ。アップハンでポジションを整えてビートルバッグもすぐにマウントできる 『最強ツアラー仕様のハヤブサ』にワクワクしながらまたがると、近所を軽く流してみる。
ポジションは楽なのもさることながら、とにかく特筆すべきは『サスペンションとブレーキ』だ。流す程度だから細かいところはわからないけど、とにかくサスが良く動く。柔らかいんじゃなくて、なんて言うんだろう、 『とにかくフリクションロスがない』感じ。ブレーキをかけても印象は同じ。 フリクションロスのカケラもない、気持ち悪いほどよく動いて判りやすい挙動。 「なるほど、オーリンズやブレンボってのは、きちんとやるとこれほど違うのか」 他がとにかくいいもんだから、チェーンのたるみって言うか、アクセル操作にちょっと遅れる感じがなんとなく気持ち悪い。いや、俺は鈍いから『普段はそんなこと気 づきもしない』んだけど、ここまで各部の動きがスムーズだと、嫌でも感じ取れてしまうのだ。 帰ってきてそう告げると、 「そうなんだよ、スプロケを交換する時期なんだよな」 と笑ってたから、俺の感覚もあながち間違いではなかったわけだ。そんなことを感じ取らせるほど、このハヤブサの出来が群を抜いていたわけで、『別に俺の手柄じゃねー 』んだけど。つーか俺のハヤブサに乗ってマルが凹んだ気持ちが、ちょっと分かった気がする。
デロデロのフロントタイアで判るように、このヒトもただのガキ。 ボブさんトコで話を聞いたり、珍しくテレビを見たりながら、まったり一時間半ほど過ごし、NとAGLA13から電話がかかってきたのを潮に、暇(いとま)を告げる。ボブスペシャルに比べるとずいぶん硬いサスペンションを感じながら、充実した一日を振り返って、やけに楽しい気持ちになる。 ニコニコしながら、俺はゆっくりと厚木インターへノーズを向けた。
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