The 72nd big machine club

2009.03.21 第72回 でっかいもん倶楽部 in 和歌山

―ドラゴンスレイヤー―

 

You Tubeで見た龍神スカイラインを、どうしても走ってみたい。

だが、龍神スカイラインは冬季閉鎖中だ。

「残念だなぁ」と嘆きつつ地図で和歌山を見てたら、あんだココ、嬉しくなっちゃうくらいワインディングだらけじゃないか。これなら龍神はダメでも他が走れるだろう。そう思っておーがんちで酔っ払いながらぁゃ。ちゃんと相談し「龍神、行くだけは行ってみよう」という運びになる。

で、朝の八時ころだったか。

仕事に行くおーがを見送り、飼い主ちゃんやUKTやNNKに見送られ、「あらやだ、あそこの奥さん、旦那さんが出かけたら、すぐにバイクの男と会ってるわ」的なモーニング疑惑を近所にふりまきつつ、ケーロクをまたいで走り出す。途中で給油して、東名阪自動車道へ。

はい、大渋滞。

「あんだろ、まだ高速1000円じゃねーよな、確か」

と、いぶかしみながら走っていると、何のことはないタダの事故渋滞だった。

 

亀山まで一気に走って。

亀山PAで朝メシに、おにぎりを買って喰う。

東名阪を亀山で降りて、そこから国道25号線に乗るのだが、この道がまた国道とは名ばかり

数年前に一度、RocketIIIで走ったことがあるんだが、そのときは夜で雨だったのであまり楽しめず、「ぜひとも明るいうちに走ってみたい」と思っていた道だ。で、今回念願かなって明るいうちに走ってみたのだが、全線の90%は完全に高速道路だね。

もともと有料だったつー話もうなずける。

見通しがいいのでコスプレ発見も楽だし、途中から国道だってコトをまるっきり忘れて走ってた。時々、横に「60」ってカンバンがあるのを見て、「なにが60だボケ」と突っ込みながら、だいたい100〜150プラスくらいですっ飛ばしてくと、最後の方、天理に繋がるちょっと前がワインディングになる。

夜走ると、ブルーにライトアップされてきれいな道なのだが、俺は明るいときの方が面白く走れるから好きだな。ココはさすがにアベが落ち、その代わりにまるで首都高のような走り方ができる。クルマを縫いながらタイアの喰う感触を楽しみ、全開で立ち上がり、また寝かし。

メットの中でニコニコしながら、天理から西名阪自動車道へ乗る。

「ETCサマサマだなぁ」

と、ノンストップで西名阪に入ったころには、寒かった気温もちょっとづつ上がってきた。

 

松原ジャンクションで阪和自動車道にのり、和歌山を目指す。

天気のいい土曜日だけに、ツーリングライダーも多い。もっとも、遊んでくれるようなヒトはいなかったけど。流したりぶっ飛ばしたりして遊びながら、あっという間に和歌山インターに到着。降りてそのまま真っ直ぐ走りゃいいものを、余計なシックスセンスで横道に入ってみたり。

写真の後ろにある高架を通って行けばいいだけなのに、なんで余計なことすんだろうね。

 

地図を見てリルートし、ようやく国道24号沿いのコンビニに入った。

ここでぁゃ。ちゃんを待ってる間に、mixiに返事を書いたりコーヒー飲んだり一服したり。

 

やがて、ぁゃ。ちゃんがやってきた。

この角度で見ると、同じ色のケーロクだけど、ぁゃ。ちゃんのはトリプルカラー仕様。

平たく言うと、外装三個イチ。

一見、ツーリングジャケットを着た普通の女の子だが、ジャケットの下は革ツナギ。

「なんだそのやる気マンマン」

「いやーツナギしか持ってないんですよ」

「なるほどそれじゃ仕方ないか」

と危うく聞き流すところだが、冷静に考えて『ツナギしか持ってない』ってのはどうなんだ?

 

で、同じケーロクだけにイロイロ観察したくなるのが人情なのだが。

おい、なんだこの様子のおかしいタイアは!

『もらい物のタイアで、前のヒトがサーキットで使ってた』って話を聞かなかったら、めまいでぶっ倒れるところだったよ、かみさん。公道でこんな走り方するヒトとは走りに行けないよ。一緒に走ったら、も、間違いなく悔しいに決まってるから。

 

俺のリアが、ものすごく可愛く見えるね……orz

 

一服して、地図で道を確認したら、さて、走ろうか。

「あんまりすり抜けしない」というぁゃ。ちゃんの言葉を信じた素直なかみさん。おとなしくクルマの後ろについたり、穏やかに抜かしたりしながら、まったりと龍神スカイラインを目指す。ちょっとでもあれ? と思ったら途中で停まって地図を確認しながら、24号を走ってゆくと、やがて408号の入り口。

程なく、高野山へのクルマで渋滞し始める。

クルマの後ろでのろのろと走り、ちょっと飽きてきたなぁと思ったところで、いったん停まって休憩。

 

ネーミングといい、フォントといい、あんまし期待できなそうな地蔵だ。

 

高野山の観光地っぽい街中を抜けて371号線に入ると、ようやく道が空いて来た。

さぁ、待ちに待った時間だ。

「先行っちゃっていいですよ」と言われてたので、遠慮なくすっ飛ばし始める。

思ったよりも道のコンディションがよく、天気のいいのと相まって最高に気持ちがいい。こうなった俺はサルみたいなもんだ。うきゃうきゃ笑いながら、龍神スカイラインを攻めてゆく。で、そのまま最後まですっ飛んで行っちゃいそうなところを堪えて、鶴姫と言うドライブインで停まった。

登りはじめにちょっと雪が残っててびっくりしたけど、雪があったのはそこだけだった。

一服してると、ぁゃ。ちゃんもやってくる。

 

言ってもね、女の子じゃん?

だから俺は、考えてたんだよ。いつものように走るばっかりだと、彼女的にはオモシロくないかもしれない。もしぁゃ。ちゃんの表情が優れなかったら、走りは控えて 、マップルに書いてある観光地的なところを見て回わった方がいいだろうなって。美味しいものでも喰えばよかろうって。

ところが……

 

 

 

 

満面の笑みですよ、この変態。

「かみさん、ここ楽しいねー!」

「黙ってると俺は、ひたすら走るばっかだけど大丈夫?」

「それがいい、走るのがいい」

や、ほんとナメてました。この場を借りて謝罪したい。

 

休憩してるとメールが入った。大阪在住のムラタさんは、龍神の偵察に行ってくれた人だ。

「今さっき、高野山上りで、すげー勢いで対向ぶっ飛んで行ったの、かみさんですよね。あわてて追いかけましたが、あいにく今日は車なのでUターンし終わったときには影も形も見えませんでした」

ちょ、すげぇタイミング!

爆笑しながら鶴姫にいる旨を伝えると、電話が鳴った。

残念ながらムラタさんは用事で会えないとのコトだったが、電話でちょっと話したおかげで、俺のテンションはさらに上がっていく。そりゃそうだ。前からの知り合いと会えこそしなかったけど電話で話せ、一緒に走ってるのはご機嫌のダメ人間。おまけに、

この天気だってんだから。

その上ご丁寧に、走ってる道は動画で知って以来、ずっと来たかったワインディング。

カードはそろってる。

 

俺らは、もうニッコニコの大ご機嫌で、龍神スカイラインを駆け抜ける。

今回は気合を入れて走ろうと思っていたので、あくまでひとりなりにだが、かなり一生懸命走った。なのに、ヤバっと思うような場面が少ないのが驚きだった。いや、抑えてるんじゃない。硬いサスがそこそこストロークするくらい、ガッチリ開けてがっちり攻めてる。なのに怖くない。

もちろん、登りだからってのもあるだろうけど、リーンウイズだとステップを擦るくらいひん曲げても、ケーロクはド安定したまま軽快にすっ飛んでゆく。気合が乗ってきて、ビリビリとしびれるくらい攻め込む。も、気持ちよくて気持ちよくて、 「このまま永遠に走ってたい」とか思っちゃうくらい楽しい。

やがて、護摩檀山の観光駐車場で、いったん休憩を入れる。

 

展望もすばらしいが、とにかく道がステキ。ステキング。

 

それっぽい人たちもいたけど、話しかけてはいない。

クチで語るより、今日はひたすら走っていたいのだ。

 

トイレと一服を済ませたら、ものの十五分くらいで護摩壇山を出発。

今度は下りだ。

とは言え、今日は乗れてるから、下りもきちんとアクセルを開けてゆける。トラクションをかけてグイグイ曲がってゆく感触は、何度感じてもいいものだ。ホント、こんなことを飽きもせず、何十年もやってるんだから物好きだよなぁ。もちろん、これからも走るけどね。

このあたりまで来るとぁゃ。ちゃんは、俺の中で完全に走りのダチになった。

お客さん的な神経は一切使わず、お互い走りたいペースで走りたいように走り、停まって一服しながらバカ話をする。マルやGO!!!君、AGLAたちとやってることと、何の違いもない。同志であり、共犯者だ。さすがrakに、「知ってる女性の中で、イチバン速いです」と言わしめた女だよ。

俺はもう、にやけてくるのが止められない。

龍神を下ったところで川が見えたので、停まって一服つけた。

 

単車と、ワインディング。最高の時間だ。

 

ほどなくぁゃ。ちゃんもやってきて、ここでまたダベる。

俺は朝からおにぎり二つ。ぁゃ。ちゃんは何も食ってないと思うのだが、ふたりとも曲がり道が楽しくて楽しくて、メシなんか喰ってる場合じゃねーぜ状態。走って、曲がって、停まったらダチの話やバイクの話。俺はこの瞬間のために生きてるんだ。断言してもいい。

 

当初の予定では、龍神をぐるっと回るはずだったのだが。

さすがに時間的にも体力的にも、ちょっとしんどいだろう。それに和歌山にはまだ、オモシロそうな道がたくさんあるから、どうせまた訪れるに決まってる。というわけで龍神を南下しきったところで国道424号線つー、地図で見る限りはステキっぽいワインディングを抜けて高速に乗ろう。

そう決めて走り出し、途中で一回道を間違って、龍神温泉の温泉街に入り込んだりしながら。

俺たちは、広くなったり狭くなったり忙しいワインディングを走っていく。

途中にあったきれいな花。サクラ? なんだろう。

 

この辺でちょっとぁゃ。ちゃんの走りも見たくなって、後ろにつく。

「先に行け」とサインを出されても、知らん振りしてケツにつけるストーカ状態。とは言え、道はせまっ苦しくなって走りづらいところが多かったので、結果的に、走りを見るというよりはメンドくさいところを先に行かせて楽をするような体(てい)になってしまった。

もっと走りやすい道で見りゃよかった(そういう道は自分が走る方に気をとられてます)。

 

なんだかんだ、龍神からさらに20kmちかくワインディングを走り。

高速の手前に道の駅っぽいところがあったので入ってみた。

と思ったらイッコ手前で曲がっちゃって、ナチュラルに小学校に入ってしまう。

いちいち移動するのもメンドウだし、俺もぁゃ。ちゃんも観光的なものはどうでもよかったから、ここでそのまま一服しつつバカ話。すると携帯が鳴った。今度はダレだと見てみると、わこ〜ちゃんだ。

「かみさん、今ドコです?」

「和歌山だよ」

「僕ら今、京都に入ったところなんですが」

てな感じで話をしたのだが、俺の方はもうワインディング走りまくった興奮と疲労で、まともに頭が働かない。で、わこ〜ちゃんが明日仕事だつーから、「それじゃまた次の機会にでも」なんて話の流れになりそうだったのが、わこ〜ちゃんが 、「大津のSAで待っててくれる」つーことになった。

「じゃ、かみさん。ご飯は大津で食べようか」

「ああ、メシか。ほだね」

と、『このあと、ともっちさんのところに行って宴会やるんだぞ』ってコトをすっかり忘れてそんな話をしてたら、またも携帯が鳴る。こんだダレだと思ったら、朋友、マルゾーだった。

「あんだ、かみ。今どこにいるんだよ」

「和歌山だ。龍神スカイライン、超ぉ楽しかったぜ。んでさ、一緒に走ったぁゃ。ちゃんって子がさ、すげーオモシレぇんだよ。ご機嫌に残念な子なんだ。いやー、楽しいぞマルちゃん!」

「ああ、そうかいそうかい。くそー! 俺も休んでやる」

バカ話をしたら、さぁ、高速に乗って帰ろう。

 

高速乗ってしばらくは、クルマについて走っていた。

だが、だいぶん渋滞してて、段々かったるくなってくる。そこにちょうどすり抜けてる集団がいたので、後ろにくっついて走っていた。で、ミラーを見るとぁゃ。ちゃん、遅れがち。「ありゃ、ホントにすり抜けはしねぇんだなぁ」と思ってると、程なくして近づいてきた彼女がタンクを指差す。

そしてそのまま、広川で降りる。

どうやら貧乏ランプに心を折られたようだ。

広川でガソリンを入れて、もう一度高速に乗りなおす。

そこから少し空いてきたので、ちょっとずつ速度を上げてゆく。はぐれたら大津で待ち合わせと決めてあったので、最悪はぐれちゃってもいいかと速度を上げだしたのだが……あれ、全然ついてくるぞ? んじゃ、もう少し速度を上げて……うん、まるきし消えないね。むしろ近づいてきてるね。

おし、それじゃ試しにすり抜けてみようか……って、バリバリすり抜けてんじゃん!

俄然、オモシロくなってきた。

クルマの量と混み具合を見ながら230くらいまで出してみると、ちょっと離れるときもあるが、基本的には全然ついてくる。なので楽しくなっちゃったかみさん、またストーカまがいにケツについてみた。すると結構混んでる道を180くらいでガンガンすり抜けるぞ、この子。

つーかケツについて走っても全然ストレスねーぞ?

「さっきまでクルマのケツについてたのは何だったんだ?」と、思わずメットの中でにやける。結局、そこから先のほぼ全線、速度が落ちることはなかった。普通にひとりで走ってるのと変わらないくらいの時間で、あっという間に大津に到着する。

 

単車を停めて、「全然すり抜けるじゃん!」と大笑いしてたら、ニコニコしながら近づいてきたのは、

「かみさん、どーも。わこ〜です」

わこ〜ちゃんと、友人のぐっさん、りょうすけクンの三人が俺たちを待っていてくれた。

「遅くなってゴメンね」

「いやいや、なんで一時間半で来てるんですか、ありえねぇっすよ」

の笑いから始まって、ぁゃ。ちゃんのタイア、ハヤブサやVTXの話、モーターショーのV-MAXやフューリィの話、滋賀の峠の話、今夏に計画している大宴会の話。バカが集まれば話は尽きない。面白い話で笑いこけてて、俺としたことが不覚にも写真を撮り忘れるほどだ。

ま、どうせヤツラとはまた近いうちに合えるし、そのときに撮りまくればいい。

言っても琵琶湖周辺でエンカイするなら、わこ〜ちゃん、ぐっさん、りょうすけクンにぁゃ。ちゃん、全員強制参加だしね。ツーリング疲れで俺らのテンションが高いとは言えなかったにも関わらず、結構な時間、みんなでバカ話して笑いあった。

わこ〜ちゃん、ぐっさん、りょうすけクン。みんな気のいいバカで、気持ちいいヤツラだった。

 

寒くなってきたのを潮に、わこ〜ちゃんたちと再会を約して別れ。

俺は、ともっちさんの家に向けて高速を走り始めた。とは言え、さすがに疲れてスイッチが切れてしまい、150前後くらいでチンタラ走る。んで、多賀SAでガソリンを入れようとスタンドに入ったら、すぐにぁゃ。ちゃんもやってきた。そこでガソリンを入れつつ 、最後のおしゃべり。

「やー! 今日は楽しかったよ! ありがとね? また走ろう!」

「あたしも楽しかったです! また走りましょう!」

と笑顔で再会を約したところで、本日のCrazy Marmalade でっかいもん倶楽部は無事に終了。ムラタさんとニアミスし、わこ〜ちゃんたちと話し、速いとは聞いていたが、それでもぁゃ。ちゃんをナメてたことを反省させられ、変態っぷりに笑った一日だった。

 

すっかり陽の落ちた高速を、ともっちさんの家に向かいつつ。

龍神スカイラインでの気持ちのいい走りや、ムラタさんの笑い声、わこ〜ちゃんたちの笑顔、そして、マルに「残念な子なんだよ」と説明して電話を切った瞬間、 かわいい顔でコッチを見て笑いながら、「褒められた」と、さらに残念な発言をしたぁゃ。ちゃんの笑顔を思い出し。

俺はめちゃめちゃいい気分でアクセルを開けた。

 

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