The 89th big machine club

2009.12.12 第89回 でっかいもん倶楽部 in 茨城大子

―ダンス・アラウンド・ザ・ファイア(アフリカ編)―

 

「今日はキャンプだぜー!」

と機嫌よく仕事をこなしていると、携帯にメールが入る。誰だと確認してみれば、なんとNEKOさんからのキャンプ参加表明だ。仕事の隙を見つけながら返事を返し、それぞれ目的地に向かいながら途中で合流することに決まる。こりゃ、楽しくなってきたぞ。

ワクワクしつつ仕事をし、受付終了まであと一時間ってところで、オモテに単車の排気音。

「あれ? GO!!!君じゃねーな……って、しんごじゃん!」

慣らし運転中のデイトナに乗って、しんごが顔を出す。

「あんだおめ、どっか行くんけ? キャンプ、来るのか?」

「いや、かみさんとGO!!!さんが高速乗るまで、一緒に走ろうかなって思って」

イロイロ用事があるようだし、寒中装備もないってことで、しんごはキャンプ不参加。ま、一般的にはキャンプシーズンを完璧に外してるわけで、あたりまえっちゃあたりまえなんだが。そ のうち、荷物を積んだGO!!!君の赤いフェーザーが、爆音を響かせてやってくる。

この段階で、俺はもう、仕事をする気がなくなった。ちょっと早いけど、もう、閉めちゃおう。

すると、しんごと話してた先輩の○木さんが笑いながら、

「まだ30分以上あるじゃない」

ええ、コレがかみのスタイルなんです。

 

しんごとGO!!!君の治療を終え、単車とガソリン携行缶に給油したら、いったん、自宅まで戻る。

自宅に着くや否や、「あ、ETCカード、ケーロクに刺しっぱなしだ!」と、早速、天才的なうっかり具合を披露するかみさん。仕方ないからETC外して行こうと思ってると、GO!!!君がいつもの苦笑いを浮かべながら、「ボクのカード使います?」「なに? 二枚あるの? おぉ、貸して貸して!」

なんとか、事なきを得た(得てません)。

荷物を積んだダッフルバッグを、フューリィのリアにくくりつけたら、さぁ、出発だ。

ミラー越しに、GO!!!君としんごが見えると、なんかケーロクに乗りたくなるね。

 

これもミラー越しの絵。

柏インターに乗ったところでしんごと別れ、俺とGO!!!君は一路『那珂インター』を目指す。

120スピード(1スピード=0.5km/h)巡航ぐらいでまったり走りながら、思いのほか暖かい天気を太陽に感謝。この日は20度くらいまで気温が上がったので、こないだ買ったダウンジャケットもバッグの中に仕舞われたままだ。長ソデのTシャツと、インナーダウンだけで充分だったよ。

 

ところでフューリィ、のんびり走るのが楽しいバイクではあるのだが、その分、時間がかかる。

オマケに午前中は診察がアホほど混んだから、結構お疲れ気味だ。その上、暖かいせいなのか、鼻の具合がよくなくて(俺は鼻炎もち)、息が苦しくてしょうがない。ロングランのGO!!!君にしたら、明らかに距離不足だろうとは思うが、ちと、休憩を入れさせてもらう。

友部サービスエリアは混んでっかも知れんから、その手前、美野里パーキングエリアに入ろう。

美野里に入って、「鼻が苦しい」と騒ぎながらヘルメットを取る俺に、GO!!!君。

「あっぶねー! 超ぉ、オシッコしたかったー!」

と笑いながらトイレに駆け込む。

いや、我慢する意味がわからん。

隊長機と紅葉。なんか、ちょっといい雰囲気じゃない?

 

無事オシッコを済ませたGO!!!君と、鼻スプレーをかました俺は、またものんびりと走り出す。

と、後ろから一台のクルマが、結構なスピードでやって来るのが、ミラーに写った。

先頭を走る俺は、車線変更して道を譲りながら、心の中で期待する。GO!!!君はのんびりモードの時だと単車にイかれても知らん顔で走ってるのに、クルマが突っかけてくると不思議とヤるのだ。単車をナメるな っつー啓蒙運動なのかもしれない。いや、知らんけど。

案の定、クルマがすっ飛んでいった後、一瞬遅れて後ろから爆音が聞こえてきた。

「にゃははは、俺、この排気音、知ってるぞ」

とヘルメットの中で笑う俺の横を、荷物満載の赤いフェーザーがすっ飛んでゆく。となれば、俺としてもお付き合いするのにやぶさかではない。俺認識ではすでに慣らしは終わってるので「んじゃま、ひとつフューリィの実力を見ておこうじゃないか」つーわけで。

フルオープン。

もちろん、クルマとGO!!!君の姿はすでに見えないのだが、それでもぐんぐん高まる車速に、心が躍り始める。まぁ、なんだかんだ結局、俺も好きなのだよ。ビッグスクーターの時のように、アクセルは全開固定のまま、充分な余裕をもってクルマを縫いつつ走り続ける。

要するに、そのくらい加速が遅い。

この時は風があったからか、メータ読み180スピードに届くか届かないかってところで、しかも、そこに至るまでが退屈なくらいだった。いや、クルーザとしては充分なんだろうし、54馬力ってのを考えれば頑張ったと言えるかも知れないが、ケーロクの速度域を思っちゃうとねぇ。

比べちゃいけないことは、充分、承知してるんだけんどもさ。

 

那珂インターの出口で待っていたGO!!!君に、ジェスチャーで「ヤレヤレだぜ」と肩をすくめて見せ、メットの中で笑った彼とともに、そのまま西行して国道118号に出る。後は国道をひたすら北上するだけ。少し走って、国道沿いのコンビニに入り、休憩がてらメールを確認。

「那珂インター降りた」

というメールが7分前に入っていたので、「前を通るかな?」なんてGO!!!君と話してると

BMWですっ飛んできたNEKOさんを捕獲。

挨拶もそこそこに、バカ話や単車談義にふける。NEKOさんはフューリィの溶接を見たり、GO!!!君のフェーザーの後ろにしゃがみこんで細部を確認したり、まるっきりガキのようだ。GO!!!君とふたりで、顔を見合わせながら 、「ホント、単車が好きなんだなぁ、このヒト」と苦笑した。

それから電話でPOPOさんに、「NEKOさんを捕獲したんで、もうすぐ着きます」と伝え。

あとはひたすら、118号を北上する。

 

やがて、陽が落ちるよりわずかに早く、キャンプ場近くの上小川駅に到着。

駅前の酒屋で酒を買い込み、隣の店でカップラーメンなんかを買い込む。するとGO!!!君が、「テントが二つありましたね」「マジ? 俺、見てなかった。POPOさんが二つ張ってるのかな」「いや、誰か居るんじゃないですか」「よしなしだったりしてな」などと笑いつつ、キャンプ場へ。

で、俺の写真が撮られてることから、すでに皆さんお気づきだろうが。

POPOさんの横で、「今回は参加できません」つってたはずの、よしなしが笑っていた

「ぎゃははははっ! やっぱ来てんじゃねーか!」

からかうのだが、キャンプ場で火を前にしたご機嫌のよしなしには、なんのダメージもない。

POPOさんも、いつもの穏やかな笑顔で迎えてくれた。

つわけで、陽がくれる前にテントを張ろう。

それぞれのテントを引っ張り出して、サクサク設営。

 

俺は前回、足先が寒かった教訓を元に、五本指の靴下を持ってきた。

つっても、今回は暖かすぎて、結局使わなかったんだけど。

奥からGO!!!君、NEKOさん、俺。

 

NEKOさんの最強兵器、エアマット&電動ポンプ。

間違いなく快適なんだろうが、このテントに入れると、ほとんど有効スペースがなくなる。ま、寝るだけだから問題ないし、狭い方が暖かいから、コレももちろんアリ。俺は逆に、ちょっと大きめのテントにして居住空間を大きく取っている。この辺はもう、好みの問題だろう。

そして、今回はなんと。

GO!!!君が、おつまみ『豚の角煮』を作ってきてくれた。

『酒呑まないのに、つまみ作ってきてくれる』とか、どんだけ俺らを甘やかす気だろう。

こちらは俺の持ってきた、N製の鶏ハム。

さっぱりしてて美味しいが、アブラ大好き人間のNEKOさんには上品過ぎた(本人談)ようだ。

この、満面の笑みを見るとイジメたくなるのは、俺だけじゃないはず。

とは言え、子守だのなんだのある中で、時間をやりくりして来てくれたのは、単純に嬉しいね。

あと、写真いっぱい撮ってくれたのも、相変わらず助かるぜ。

買い込んできた酒だのつまみだのを引っ張り出したら、準備完了。

さぁ、楽しいキャンプ宴会だ!

 

上の写真でGO!!!君が用意してるコンパクトガスストーブは。

『GO!!!角煮』を温めるのに使われてる。

GO!!!君自身は、「会社の帰りにスーパーに寄ったんで、いい肉が残ってなくて」なんて言ってたが、なんのなんの、俺だのNEKOさんみたいなダメ人間にとっては、君の言う「いい肉」じゃ脂が少ないくらいで、むしろこのくらいアブラギッシュな方がありがたいのだよ。

焚き火を囲んで、まずはビール。この間よりも全然暖かいから、ビールが美味い。

 

POPOさんは、すでに午後一時から呑んでる。

 

NEKOさんは「ろろちゃんが居ないんじゃ、頑張らないとなぁ」と、ちょっとアレなコトをつぶやきつつ、早くも全開走行でシモネタ……いや、おねぇちゃんネタのラッシュだ。女っ気が一切ないことと、ろろちゃんの不在から来る責任感が、彼の獣を開放した。

まさにこの夜、NEKOさんはリミッターの外れた北米仕様だった。

 

そして、相変わらずバカ美味い、『厚木ホルモン』も持参してくれている。よしなしが、得意の100均ミニフライパンでホルモンを焼き始めると、「ダメだ! 網で焼くんだ」と、NEKOさんのこだわりオーダーが入ったので、俺の焚き火台(金網つき)を引っ張り出して、ホルモンを焼く。

 

呑まないGO!!!君は、早くもラーメンに突入。

でも、寒空の下で食うカップラーメンてのは、これまたやけに美味いのも事実。

 

早速、酔っ払ってきた俺は、「薪(まき)の量が足りない」とわめく。

すると、よしなしとGO!!!君が、薪の追加を買いに言ってきてくれたのだが……ホルモンのフライパンを火にかけたまま、薪を取りに行ってしまったよしなし。当然、俺だのNEKOさんがそんなものをチェックしてるはずもなく、網焼きのホルモンを食うのに夢中なわけで。

あわれ、よしなしのホルモンは焦げてしまった。

つっても、このくらいなら充分喰えるけどね(そこは素直に反省しましょう)。

やがて、エンジンの掛かってきた、かみさん40歳は。

当然、Tシャツ一枚になる。

いや、気温が暖かい上に焚き火に当たってるから、本当に寒くないんだよ。

別にかわいそうな子じゃないんだっつの。

 

オプティマス(ガソリンストーブ)を引っ張り出し、お湯を沸かし始めたかみさん。

ホットレモンを作って赤ワインで割り(赤ワインを、ではない)、ホットパンチを作るのだ。つっても俺の悪癖、『カクテル缶直火加熱』を知ってる面々だけに、面白がってるだけで、呑む気はサラサラないようだ。「ホットワイン呑むひとは?」つったら、誰も返事しないんでやんの。

「あ、ホットレモンだけいただきます」

というGO!!!君の冷たいセリフだけが、冬の夜空に響いた。

「くっそー! スープもあるけど、明日の朝、あげないからな!」

「Nさんが『飲んで』って言ってましたもん。かみさんじゃなくて、Nさんに貰うんですもん!」

ちくしょう、この男、カンペキNに取り込まれやがった。恐るべし、餌付けのチカラ。

 

相変わらず大荷物のPOPOさん、今回はタープも持って来てる。

「POPOさん、今日はタープもあるんですか」

「いやぁ、実はさぁ、天気予報で今日は風速10メータくらいになるって言ってたんだよね」

なるほど、そこで「風が強いなら、風除けのタープをもっていこう」と考えるのが、「うわー風やだなー」で終わっちゃう俺との最大の違いなんだな。よし、俺もそのくらい先を読んで、みんなの助けになれるように頑張ろう(余計なことしないのと、大酒飲まないのがイチバンの助けです)。

 

そのうち、ドラゴンフライ(ガソリンストーブ)で何かを作り始めたPOPOさん。

「POPOさん、なに作ってんすか?」

「麻婆豆腐ですよ」

「いや、マーボはツマミにならんでしょ」

「うん、いや、もうご飯が炊けたからさ」

ちょ、すでに炊飯済み! さすがPOPOさんだ。 ちなみに、このマーボ以前にも、トン汁を作ってくれていた。いや、正直POPOさんは俺らを甘やかしすぎだと思う。よしなしなんか、「POPOさん来るって言ってたから、用意が少なくて済んだ」とか言ってたし。

出来た麻婆豆腐とご飯を、 早速、麻婆丼にして喰うPOPOさんとGO!!!君。

俺とNEKOさんは、呑んだくれなのでご飯は食わない。

よしなしは喰ったのかな?

 

こないだに比べればずいぶんと暖かいのだが、NEKOさんには、それでも寒いようだ。

「寒いなぁ」

を連発してるので、俺のカイロをあげる。ところが俺のは貼るタイプじゃなかったので、膝が痛いというNEKOさんには使いづらい。するとよしなしが貼るタイプをあげて、NEKOさんは腰に俺のカイロを入れ、膝によしなしのカイロを貼って、 パーフェクト防寒体制を作る。

「カイロ、暖かいなぁ」って感心してた。

俺も雪中行軍でお世話になるまでは馬鹿にしてたから、その気持ちはよくわかる。

 

さて、宴もたけなわ、すっかり酔っ払ってご機嫌の厄介なオトコ=かみさん。

「薪が……薪がたりねぇ」

中毒患者のようにブツブツ言い始める。

そのうち我慢できなくなって、GO!!!君と一緒に管理錬へ薪を買いに行ってきた。

んで、「やっほう!」と大喜びしながら、早速、薪をナナメに組み始める。

するとNEKOさんから「そこは井桁だろうよ」とツッコミが入り、

「なるほど、キャンプファイアっすね!」大喜びで井桁に組み始めた。

ところが時間はまだ早い。

「かみさん、まだ早ぇーっすよ」

よしなしの言葉に、みながうなずくのを見ると、仕方なくトボトボと組んだ薪から離れる。

 

が。

 

井桁に組んだ薪が、 気になってしょうがない。

 

どうしても気になってしょうがない。とにかく、燃やしたくて仕方ない。

 

諦めとともに、俺の心を読みきるGO!!!君(推定)。

 

やがて。

「かみちゃん、うるせーな。んじゃ、燃すべよ」

NEKOさんのOKが出た瞬間、喜色満面で火をつける40歳。

POPOさんの焚き火台から、燃えてるまきを失敬して井桁に放り込んだ。

しかし、なかなか火がつかない。いや、このままもう少し待ってればついたかもしれないが、酔っ払って気が短くなっているから、そんなに待ってられないのだ。 俺だけじゃなく、NEKOさんも。「かみちゃん、ガソリン行くべよ」「サー! イエッサー!」ダッシュでオプティマスのところへ駆け戻り。

ガソリンタンクを外して、井桁に組んだ薪の上に振り掛ける。

 

キャンプファイアらしくなった。

 

さらに、さっき追加の薪を買いに行ったとき、管理人さんにもらった枝ゴミも投入。

俺好みに、景気よくなってきた。

すると、なんの野生を刺激されちゃったんだか。

踊るよしなし。

炎が彼のアフリカの血を呼び覚ましたのだろう。

踊りはパラパラっぽいけど。

踊り疲れて、座り込むと。

じっと炎を眺める、テキサス・エロオショー・アフリカン。

なんだかわかんねーけど、だんだん凄いことになってきた。

 

後編に続く

 

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