The 89th big machine club

2009.12.12 第89回 でっかいもん倶楽部 in 茨城大子

―ダンス・アラウンド・ザ・ファイア(沖縄・秋田・熊本編)―

前編はこちら

 

井桁に組んだ薪は、盛大に燃え、一瞬で熾(お)き火になる。

だが、俺のココロについた火は消えない。

すると、そんな俺にビニール袋を掲げて見せる、GO!!!君。

「おぉ、それがあったか!」

つわけで、こないだと同じく、ソーセージを焼く。

今回は熱くないように、長めの木の枝を使ってる、ちょっと学習したかみさん。

 

GO!!!君はダブル(行進アリ)。

 

炎が見えないから伝わりづらいけど、GO!!!君のように箸だと、手がかなり熱い。

するとNEKOさんが「岩魚だよ岩魚」とか、「ナニ言ってんだこのヒト。完全に酔っ払ったか?」的なセリフを吐く。しかしコレは、俺が酔っ払って一瞬で理解できなかっただけで、実はすばらしい示唆に富んだ意見だったのである。言い過ぎ 。

ま、要するに。

こう言うことだ。

「熱ちっ!」などと騒いでる俺やGO!!!君を尻目に。

岩魚システムで焼きあがったソーセージをパクつくNEKOさん。

「うぉ、この岩魚うめーな」

ま、岩魚ではない。

 

俺は酒と食い物でずいぶん暖まってきたのだが、NEKOさんはまだ、寒いと連呼している。なので、肩のマッサージをしてあげた。すると血流がよくなってきたのだろう、「あれ? 暖かくなってきたぞ?」と言い出す。さらに「足先が冷たいんだよなぁ」とのたまう兄貴に、かみマッサー炸裂。

喜びの悲鳴を抑えきれない、NEKOさん。喜んでいただけて、幸いですよ。

NEKOさんを暖め終わったところで、今度は自分も暖めなくてはならない……なんて思ったわけでは当然なく、単純に火を見てたらやってみたくなったので、

シェラカップに焼酎を入れて、熱燗をつけてみた。フツーに美味かった。

 

よしなしとPOPOさんのイスは、とても優れもので、正直、俺も買おうと思ってるくらい。

ただし、ひとつだけ難点がある。

座ると、動きたくなくなるくらい快適なのだ。

ちなみに写真は、よしなしのイスに試しに座ったまま、動けなくなってしまったGO!!!君。

「このイスはヤバイっすねー」

「そんなにいい?」

「いいっすねー」

聞いてるうちに、自分の480円のイスに物足りなくなってきた俺は、酔っ払いらしく

ベンチを引っ張ってきた。さすがにコレは最強にして、最快適。

 

焚き火にちょっとづつ薪をくべながら、みんなで飲み、食い、しゃべる。

すばらしく楽しい時間だ。

 

そんな中、ふと会話の途切れた瞬間に、空を見上げれば、

満天の星。冬の代表格、オリオンが輝いている。

 

バイクの話、装備の話、酒や女の子の話。

そして沖縄観光大使(自薦)NEKOさんの、沖縄の青い海の話。

さらに沖縄の話から、秋田の話になり、熊本の話になる。

理由はわかるな?

 

「みんなで、沖縄いきたいねぇ」

「いいっすねー! でも、秋田もいいですよ。そう言えばNが熊本もいいって言ってました」

「熊本? それは初耳だなぁ……んじゃ、とりあえず熊本行くか」

大笑いしてると、伐採した木を積んだトラックが、国道を走ってゆく。それを見たNEKOさん。

「お、ずいぶんくたびれた材木だな」

「そう言えば、よしなしと探索がてら、この辺のケモノ道を走ったとき、植林されてるところが結構ありましたよ。タテヨコ綺麗に並んでるから、なんとなく道に見えちゃうんですよね」

「タテヨコね……四条通(しじょうどおり)ってか」

「ああ、そう言えば京都に行きたいなぁ」

すかさずGO!!!君が「京都なら、熊本の途中じゃないですか」とニヤリ。それを受けたNEKOさん、「いやいや、俺は飛行機で行くぞ?」「せっかくBMWなんですから、自走でいきましょうよ」などと、話がイロイロな方向に流れつつ、いつまでも絶えることがない。

つっても七、八割はNEKOさんの独壇場だったんだけど。

これは、多分BMWの乗り味の話。それかNEKOさんのダチの話。ものすげぇ面白い話だったんだけど、アレ過ぎて、ここでは書けない。聞きたいヒトは、次のキャンプのときにでも。

 

途中でよしなしが寝オチし、そのあともしばらく話してたんだが、やがて睡魔が襲ってくる。

なので「んじゃ、寝ますか」と立ち上がり、それぞれのテントにもぐりこんだ……のは俺以外。俺はその前に、飲みすぎたワインや焼酎のおかげで、胃袋の中身を在庫整理しなくてはならなかった。んでスッキリしてから、ようやくシュラフにもぐりこみ、一服してから眠りについた。

そのあと、夜中の四時前くらいだったか、尿意とのどの渇きで目を覚ます。

暖かいシュラフから出たくなくて、しばらくウダウダしてたのだが、どうにも我慢できなくなったので、仕方なく起き上がる。俺の冬の定番、毛布ズボンを履いて(ちなみにPOPOさんとよしなしも 、毛布ズボンを履いてた)、寒空の下でトイレを済ます。

んでタバコに火をつけて空を眺めると。

澄み切った夜空に、流れ星が見えた。

「ああ、そうか。今日はなんとか流星群が見えるつってたっけ」

つぶやいて空を見上げ、流れ星をいくつか眺めた後、ぶるっとふるえてテントに戻る。

こうして、楽しいキャンプの夜は更けていった。

 

翌朝、みんなの声で目を覚ます。

それでもしばらくは、寒くてシュラフから出たくない。だが、みんなの声が楽しく笑ってるのを聞くうち、「いかん、俺の居ないスキに面白いことが起こったら悔しいじゃないか」と、おちおち寝てられなくなった 。『面白いこと貧乏性』のかみさん、ぬくぬくのシュラフからようやくはいずり出る。

すると、残っていた薪で暖を取っている面々。

「おはよーっす。やっぱ薪が残ってると、朝は助かりますねぇ」

なんて呑気に言いながら近づいていくと、POPOさんとGO!!!君は顔を見合わせて笑う。

「昨日の段階で、POPOさんが隠しておいたんですよ。かみさん、全部燃やしちゃうから」

さすがPOPOさん、驚異の段取り力。そしてGO!!!君も、俺を理解してるったらない。ふたりの機転のおかげで、大切な薪は『かみと言う名の暴風雨』から、無事に守られた。つーか、このふたりが居るなら 、俺、もう少し羽目を外しても大丈夫なんじゃね?(見捨てられて終わりです)。

 

アサイチからオプティマスで湯を沸かし、GO!!!君とスープを飲む。

もちろんそれだけじゃ足りない俺は、そのあとカップヌードルを食った。NEKOさんが呆れながら、「まだ喰うのかよ」と笑う。しばらくそうして火を囲んで朝の談笑をしたあと、太陽が昇るのに歩みをそろえながら、ゆっくりのんびり、撤収作業が始まった。

NEKOさんはバイクカバーまで持参。もっとも、この日はそれほど朝露が酷かったわけじゃないが。

 

テントをばらして、床面を陽に当てて干す。寒いが冬らしく空気が乾いているのと、前述したとおり朝露が酷くなかったので、あんまり濡れてないから、一応、簡単に干しておくだけで事足りる。風でテントが飛ばされたで、バイクにテントのフレームを引っ掛けておいたら、それを見たGO!!!君。

「ほんっと、可哀想なバイクですよねぇ」

とニヤリ。

いや、フューリィも、まともに慣らしさえしてもらえない段階で、きっとあきらめてると思うよ。

荷物の多いPOPOさんは、撤収作業もイチバン大変だ。

毎度不思議に思うんだが、アレだけの大荷物、どうやってジェベルの小さな荷台に全部収めてんだろうね。POPOさんが荷物を広げてる段階では、どう見ても収納されるわけがないって ほど、ハデに広がってるんだが……なにやら陰謀の臭いを感じる瞬間だ(パッキング技術です)。

んで俺の方はと言えば、水道でコッヘルやシェラカップ、焚き火台なんかを洗っていると。

いつの間にか、テントが出かけてしまってる。

はるか彼方まで転がってゆく様を眺めながら、あきらめのため息をつくかみさん。ま、この鉄橋の向こう側には、キャンプしてる女の子たちが居たから、その声に誘われたんだろうね。なんつったって俺のテントだし、ヤツとしたって俺に使われるよりは、女の子に使われたいだろう。

オンボロだから、向こうが嫌がると思うけど。

 

撤収作業を終え、焚き火の片づけをして、キャンプ場代を払いに行く。

ひと束あまった薪を返して、ひとり2000円オール。安いもんだ。そうそう、よしなしの足りない分はPOPOさんが払っておいたから、あとで返しておくように。あと、俺もGO!!!君に電池貰いっぱなしのETCカード借りっぱなしだから、きちんと返しておくように。

以上、備忘録。

さて、準備が出来たら、走り出そう。

つっても俺はキャンプ場で寒い中を歩きすぎたのが効いて、足を引きずってるような状態だし、みんなにしても荷物満載だからワインディング攻めたってそんなに面白くないだろうつーことで、おとなしく帰宅する方向で話が進む。

ま、「ワインディングがつまらないからキャンプやってるんだろ」って話もあるしね。

ミラー越しのNEKOさんとGO!!!君。

POPOさんはすでにクルマの後ろの方かな? 俺が先頭なので、一応、なるべくおとなしく走ったつもりなんだが、やっぱ信号でクルマが詰まってると前に出ちゃったりするので、後ろのヒトはタイミングが合わないとクルマを間に挟んじゃうことになるのだ。

カンペキなツーリングライダーには、まだまだ遠い。

 

国道118を南下しつつ那珂インターを目指していると、左側に農協の直売所を発見。

俺がみやげ物なんて珍しいと思うだろうが、別に変なものを食っておかしくなったわけじゃない。出発する前、NEKOさんに、「土産モノ屋さんがあったら、奥さんにオミヤゲを買いたいから寄ってくれ」と言われてたのを思い出したのだ。

ウインカーを出して駐車場に入り、ヘルメットを取るなりGO!!!君に胸を張るかみさん。

「どーよ、俺、土産物屋さんを見逃さなかったぜ? ツアラーじゃね?」

「何をそんなにうれしそうに。あたりまえですよ」

だって、うれしかったんだもん。

 

農協に入ろうと準備をしてると、前の国道をPOPOさんが手を上げて走ってゆく。

あわてて手を振り、POPOさんとはココでお別れ。毎度毎度、カンペキな準備と色々な食材でキャンプを盛り上げてくれて、ホント頭が上がらない。もっとも、本人もメチャメチャ楽しんでた ようだし、うるせぇ話は要らねーか。POPOさん、また一緒にキャンプやったり走ったりしましょう!

つわけで、 三人で店の中を物色していると、キムチの試食があった。

早速、味見をしたNEKOさんが、ニッコリ笑いながら俺に向かって

「かみちゃん、ビールと焼酎の残り、積んでたよな?」

「ぎゃはははっ! ココで宴会っすか? 明日、仕事に行けませんよ」

笑いながら、それぞれに土産を物色。

腹が空いたと言い出したGO!!!君は、お団子を食ってた。

んで、無事に土産を買い込んでオモテに出ると、

GO!!!君がニヤニヤしながら、JA直売所の壁に張ってある張り紙を指さす。なんだ? といぶかしみながら文面を読んだ俺は、思わず大笑い。後から出てきたNEKOさんに、同じく張り紙を 指差して見せながら、

「NEKOさん、宴会できねーっすよ」

つーと、読んだNEKOさんも、にやっと笑う。

なんか色々トラブったんだろうね、JAさんも。

 

土産を積んだら、あとは帰るだけ。

「NEKOさん、俺は途中でサービスエリアに入りますから、高速乗ったら先行っちゃっていいですよ」

「いや、腹が減ったから、SA入るなら俺もそこでメシ喰って帰るよ」

「了解です。ま、この先はゆっくり休憩しながら行くつもりなんで、NEKOさんは遠慮なく、もし行きたくなったら行っちゃってください。俺は このあと友部サービスエリアに寄って、納豆まんじゅうを買わなきゃならないんで、付き合いませんけど」

「納豆まんじゅう? なんだよそれ。そんな面白いものがあるなら言えよなー! なんで俺を先に行かせようとするんだよ。俺も買うぞ、納豆まんじゅう!」

笑いながら農協をあとにして、那珂インターを目指す。

途中、俺が曲がるところに気づかないで居ると、信号待ちでNEKOさんが、「ここ、左じゃねーの?」「え? 書いてありました?」「うん」と、危なく道を間違えるところを、フォローしてもらったりしつつ、那珂インターまであと少しのところで、ついに飽きちゃったNEKOさん。

クルマをかわしてすっ飛んでゆく。

当然、GO!!!君もその後に続き、ダッシュの劣るかみさん&フューリィはソロツーリング。

信号で追いついても、次の瞬間、NEKOさん&BMWははるか彼方へ。そして後ろに続くGO!!!君は、クオーン! っと心地よい直四サウンドを響かせつつ、ウイリーしながら飛んでゆく。俺はメットの中で苦笑しつつ、荷物満載でフロントを上げるGO!!!君に、小さい声で突っ込みを入れた。

「ツアラー勝負は、俺の勝ちだな」

 

常磐道に乗ったら、しばらくは120スピードくらいで走っていた。

ところが、先頭がNEKOさんに代わったので、アベレージがじわじわと上がってゆく。イキナリ離されれば流れ解散、『んじゃ、さよならー』つって、あとはのんびり行くのだが、じわじわと速度が上がると、なんとなく一緒に速度を上げてしまう。NEKOさんマジックだ(自制心の問題です)。

そしてフューリィの方も、なんだか昨日より速度が乗るようだ。

風がないせいなのか、気分が乗ってるせいなのか、と考えてるうちにハタと気づいた。要するに、昨日はトップからアクセルだけで加速してたのが、今日は下から順番に引っ張ってるから速いのだ。 この速度域だと、ケーロクあたりじゃ何速でも一緒だから、気づかなかったよ。

160〜180スピードくらいで走っていると、青いZZR1200を追い抜いた。

すると、追い越し車線を走る俺とNEKOさんの後ろから、そのZZRが近づいてくる。俺はトップエンド付近だったので、おとなしく道を譲り、NEKOさんはそのままZZRと楽しく走りだしてしまった。 それを見てるうち、とっても羨ましくなっちゃったかみさん、結局、後ろから頑張って追いかける。

メータはいつの間にか上限を指したまま動かない。

そこからも若干ながら加速した感じはあったので、メータ読みで200弱が限界ってトコか。

あとはライン取りとすり抜けで稼ぐしかない。もっとも、速度的には眠ってるようなもんなのと、やはり直進安定性がかなりいいので、恐怖感はまったくない。追い越し車線を200くらいかな? 走ってゆく二台を見ながら、三車線いっぱい使って、なるべくショートカットして走る。

なんだか、マルとV−MAXやVTX、ロケットでやってたころを思い出して楽しい。

「あのころに比べると、精神的に格段の余裕があるなぁ」

と変な感心をしながら遊んでると、あっという間に友部SAに到着。

奥でGO!!!君のフェーザーを眺めてるのが、ZZRのヒト。手前はZZRを眺めるNEKOさん。

NEKOさんがトイレに行ってる間に、正式名称がまんじゅうじゃなくて大福だった納豆大福を買い、お釣りでイカゲソ焼きを食ったりする。んで、NEKOさんも結局、納豆大福を買っただけで食事はとらず、俺がさらに焼き団子を喰ってるのを見て 、「また喰ってんのかよ」と笑ってた。

そのあと単車のところへ戻り、ちょこっとダベったら。

本日のCrazy Marmaladeでっかいもん倶楽部は、ここで流れ解散。楽しい連中と焚き火を囲んで美味い酒を呑みながら、バカ話をして大笑いつー最高の時間をすごし、最後にフューリィの戦闘力まで確認できた、実に楽しい二日間だった。

寒くなって道が凍っちゃっても、陽が短くて時間が少なくても、単車で遊ぶことは出来る。

その上、こんな楽しいキチガイがたくさんいて、大笑いしながら遊んでくれるって言うのに、家にこもってるなんてもったいなくて、俺には出来ない。これからますます寒さは厳しくなるけど、気が向いたヤツは 、気が向いた時に、単車でも酒でも付き合ってくれるとうれしい。

 

 

 

今年も残り半月。

ムキになって遊ぼうぜ!

 

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