The 96th big machine club

2010.08.11 第96回でっかいもん倶楽部 in 潮来(いたこ)

―ショートゆるゆる(前編)―

 

10日の午後だったか。

仕事してると、突然、irohaがやってきた。

「おーどうした?」

「ちょっとヒマだったんで走りに出たら、成田のあたりで雨に降られたんですよ。んで、こっちの方に逃げてきたんで、ごあいさつに寄ってみました。かみさん、明日の仕事は半日ですよね?」

「おうよ、走りに行くか?」

「ええ、そう思って」

そのまま俺は仕事に、irohaは俺の手が空いたときは話をし、俺が忙しくなると待合でマンガを読んだりしてた。すると夕方になって、仕事を終えたGOが治療に来る。ちょうど忙しかったので、そのまま待合でふたりを待たせて、俺はお仕事。

かみ整骨院の待合には、『ココの院長はアタマが悪いんだろうなぁ』ってくらいマンガが置いてあり、ヘタなバイク屋には負けないくらいバイク雑誌が置いてあるので、マンガとバイクの好きな人間は、時間つぶしの手段には事欠かないのだ。

 

仕事が終わってから三人で話し、翌日水曜日の午後、茨城の方へ走りに出ようと決まる。

irohaは帰り、GOは俺と一緒に俺んちへ。

サイトとmixiで告知したら、茨城の野生馬こと、よしなし先生が釣れたのは当然として、なんと、ポンちゃんも釣れたからビックリ。「ゆるゆるのんびりツーリングだよ?」つーと、「それがいい」と言う。後で知ったんだが、ポンちゃん、オーバーホールが終わってナナハンが帰ってきたようだ。

慣らし運転だから、のんびり走りたかったのだろう。

もっとも、『夕方五時に帰って来る』と言うポンちゃんのオーダーには添えそうもないと、今回の話は流れた。そして慣らしが終わったら、ポンちゃんがゆっくり走るわきゃない。つーわけで、おそらく最初で最後だろう、ポンちゃんとののんびりツーリングは実現しなかったのである。

まったりポンちゃん、見たかったような、怖いような。

 

翌日、仕事してると携帯にメールが入る。

「すいません、寝坊しました。12:30くらいでも大丈夫ですか?」

もちろんirohaだ。大丈夫もクソも、俺は13:00まで仕事なのだが、せっかくなので

「いそげー!」

とメールを返す。

やがて、昼を回ったところでirohaがやってきて、少ししてGOもやってきた。最後の患者さんを治療したあと、治療院を閉め、GOの治療をはじめる。irohaはその間に、茨城の暴れ馬、よしなし先生と連絡を取って、待ち合わせ場所を決めていた。

と、irohaが突然、GOに話しかける。

「GOさん、ちょっと聞きたいことがあるんですが」

「はい?」

「オービス光らせちゃったんですけど、大丈夫ですかね?」

「ああ、大丈夫ですよ。何度も同じ場所で光らせたりしなければ」

「irohaおめ、昨日、俺が大丈夫だって言ったべよ。俺じゃ信用できねーんだな?」

「いや、そう言うわけじゃないんですけど、情報は多い方がいいつーかごにょごにょ」

 

バカ話して笑ったら、さぁ、出発だ。

俺が先頭で、まずは利根川の堤防、茨城側の土手道を目指す。

途中でirohaが給油してる間に、写真を一枚。

とんでもなく気持ちのいい青空だが、いかんせん暑い。

こっちから堤防に抜けるのに、いつもは適当に走ってるんだが、今日は茨城の種馬、よしなし先生との待ち合わせがあるので、時間的に余裕がない。なので真面目に地図を見て、多少の混雑は覚悟しながら最短のルートで土手道へ。

ところどころ渋滞はあったけど、無事に土手道へ出る。

ブルースカイ・ブルー。さよならは伝えなくていいけど(ココの読者に突っ込めるヒトがいません)。

 

土手で一服つけながら、木下(きおろし)の渋滞を抜けた疲れを癒す。

と、早速、GO隊長のツッコミが入った。

「また、こんな日陰のないところで休憩を」

タバコ吸いたかっただけなんだもん。

 

土手沿いは川面を渡る風が強く吹いている。

タバコに火をつけるのに四苦八苦していると、突然の突風に……

がちゃん!

「あぁっ!」

タンクに置いてあったGOのヘルメットが、風に煽られて落っこちた。

「GOさん、メット大丈夫ですか?」

「ああ、大丈夫ですよ」

なんてやり取りで、いったんこの話は終わり。

そんで、まるきし別の話から、irohaが写真を撮ってくれると言い出す。なので、俺が『GOとの仲良し写真』を捏造しようと肩を組むと、GOはそれを阻止するために、イジワルして下を向いた。その状態で、irohaに写真を撮ってもらったんだが。

どう見ても、ヘルメットが落っこちて凹んでるGOと、それを慰める俺

イジワルすると、報いがあるのだよ、GO。

 

さて、それじゃぁ俺のオススメ、土手沿いの道を走ろうか。

かつて、なっこ自動販売機(自動販売機は、なっこの接尾語)と走ったときは、川を眺めながら土手の上を走ったのだが、「土手の上を走るか?」と問うとGO隊長、こっちを冷たい目で見ながら、「そこって、本当は走っちゃいけないんじゃないんですか?」「な、なにをっ!」

『土手の下』の道を走りだす。

いつもなら、ほとんど走ってるクルマのない土手道も、お盆休みに入ったせいだろうか、いつもよりクルマが多い。それでも今日はフューリィでまったり走るのが目的だから、すり抜けたりせずにクルマの後ろをのんびりと走る。その分ヒマなので、景色や空を眺めたり。

するといつの間にか、雲の流れが川と同じ方向になっていた。

つまり、雲の影に入って走ることが出来るのだ。

「こりゃ面白いや」と雲の影にあわせて走る。とは言え、後ろで見てるirohaには俺がナニやってるのか判らなわけで、急に速度を上げたり落としたりするのを不思議に思っただろう。そんな風に遊びながら、信号のない土手道を40〜80スピード(=1/2時速)で走る。

強い風も、フューリィの低重心と細身なら、さほど気にならない。

こんな速度と走り方なら、クルーザの独壇場だ。

 

一時間ほど走っただろうか。

土手沿いを外れて、国道51号線に乗る。

乗ってすぐのコンビニ、マーマレ用語で言うところの『銀イレブン』に入って、とりあえず一服しよう。

ジュースやカチ割り氷を買い込んで、表で一服しながら、よしなしに電話する。

「おう、もうイレブンで待ってるのか?」

「もう到着して、待ってますよ」

「俺らもイレブンで待ってる」

「は?」

「そこから五分くらいのイレブンに着いたんだけどよ、暑いからおまえがこっちに来いよ」

「五分なら、停まらないで来ればいいのに」

「こっちは三人、そっちはひとり。三対一なんだから、おまえが来るのがスジだろう」

「はははっ! でも、ちゃんと待ってます? 途中ですれ違ったりしません?」

「(クソ、さすがに鋭いな)ちゃんと待ってるってばよ」

 

つわけで、よしなしが来るまで休憩してると、五分後、キッチリやってきた。

「ホントに五分じゃないですか。なんで停まったんですか」

「こっちにはこっちの事情があるのだ」(ビタイチありません)

 

などと、よしなしとバカ話してると、そのスキにGOがGSの足つきをチェック。

ああ、彼はきっと、ビッグオフを買うんだろうねぇ……

 

座り込んで、今後の行き先を検証。

「よしなし、おめー地元なんだから、いい場所知ってんだろ」

「こっちの方には来ないからなぁ」

「かみさん、アレですよね。とにかくよしなしさんの家から遠い方へ行くんですよね?」

「当然だ。茨城って約束したから、房総には連れて行けないが」

「なんて悪企(わるだく)みをしてるんですか」

「ま、とりあえず鹿島灘の、ここが俺のいつも行く海岸なんだよ」

「え、でもそれじゃぁ、よしなしさん家に近くなっちゃいますよ?」

「カンベンしてよー」

午後からスタートで、大して距離を走ってるわけでもない。よしなしは、たった今、合流したばかり。話題に至っては、『これからどこへ行こうか?』ってな、呑気な話だ。それでもこんな風に、集まってバカ話してるだけで楽しくてしょうがないのは、ツーリングの魅力、いや、魔力だね。

 

ひとしきり、よしなしを遠くに連れ出す話で盛り上がったら。

ここから10キロほどの場所に、道の駅があるのを見つけたので、そこへ行ってみようつー話になる。とは言え、先導は『やらかすことでは右に出る者なし』の俺だ。保険の意味で、みんなにも地図を見てもらって、曲がる交差点の確認や、だいたいの距離を把握してもらったら。

さぁ、出発だ。

よし、到着だ。

ま、距離が距離だからね。

暑いから、冷房の効いた館内で、とりあえずメシでも喰うべ。

つことで、併設されたレストランへ。

それぞれ好きなものを頼み、金を払って席へつく。

メシを待ちながら、よしなしのスタンプラリーの話なんかをしてると、まずは俺のソバがやってきた。

二人前のそれを、早速、「お先!」と食ってみる。

うん、イマイチ。

やがて、みんなの食い物もやってくる。

GOのはラーメン。別にどうってことないフツーのラーメンだったらしいけど。

 

俺、そばを喰いながらラーメンをガン見

よっぽど、そばの味が気に入らなかったんだろう。

ちなみに、よしなしは冷やし中華で、irohaは海老天の入ったピリ辛冷やしうどんかな?

ま、詳細は、よしなしのブログで。

 

メシ喰ったら、一服したくなるのはスモーカーの基本。

さっさと喰い終わったかみさん、まだ食ってるみんなを残してオモテに出る。喫煙所で一服してから、みやげ物や地の野菜、地元情報センターなんかを見て回って戻ると、他のみんなも食い終わったらしく、irohaがオモテでタバコを吸ってた。俺もその脇に座り、火をつける。

と、通りがかったおばさんが、手にステキなものを持っていた。

「ちょ、iroha! キュウリだキュウリ。一本きゅうり食いたくねぇ?」

「喰いましょう、かみさん!」

irohaのノリのよさは、俺をいつも調子づかせる。

キュウリ販売所を探しに出て、野菜売り場に行こうとした俺を、irohaが呼び止めた。

「かみさん、ここにありますよ!」

 

つわけで、ふたりで一本づつ、きゅうりを買ってかぶりつく。

「おぉ、美味い! でも、ちとしょっぱいな。ビールが欲しくなる」

「美味いですねぇ……でも、サッパリ過ぎるかなぁ。ほとんどキュウリの味しかしない」

 

なにやら、二人の意見が合致しない。なので、お互いのを喰い比べてみると。

「ちょ、なんだこれ! イッコも味がついてねぇ」

「しょっぱっ! なんすかこれ。めちゃめちゃ、塩が効いてる」

どうやら、クオリティが均一ではないようだ。

ま、大量生産品じゃないってことだね。

 

さて、腹もいっぱいになったし、ココからどんなルートを取ろうか。

「んじゃ、鹿島灘の海でも見に行くべか」

「でも、それだと……よしなしさんの家が近くなりますよね?」

「ああ、それは問題ですね」

「またかっ!」

「牛久大仏でも見に行きますか」

「ご、GOさん、そ、それはボクも遠くなりませんか?」

「ぎゃははは、いいじゃねーか。俺も牛久大仏見たことないし」

「それなら、いっそ房総に行きましょうよ。よしなしさんの為にも」

「えぇ! irohaくん、房総はカンベンしてよ」

 

結局、時間もないし、当初の予定通り、鹿島灘を眺めてから考えようと決まる。

さあ、海を目指して走ろう!

後編に続く

 

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