The 96th big machine club
2010.08.11 第96回でっかいもん倶楽部 in 潮来(いたこ) ―ショートゆるゆる(後編)―
潮来から国道51号線に乗る。 いつもは川沿い道から直接51号に乗っちゃうので気づかなかったのだが、ここは元々の51号とバイパス、二本の51号が走っていた。普段走ってるのはバイパスの方だったのだが、道の駅から普通に案内表示の通りに走ると、もう一本の51号へ出てしまう。 それを知らずに、鹿島神宮への参拝客でごった返す渋滞に捕まってしまった。 「いやぁ、どうやらバイパスがあったみたいだなぁ。知らなかったよ」 「かみさん、大変です。限界です。ボクの左手がプルプル言ってます」 「なに? ホントか? マジで限界か?」 「いや、そこまで言われると、そうでもないです」 「ぎゃはははっ!」 信号待ちでバカ話しながら、なんとか渋滞を抜け、バイパスと合流して広くなった51号へ。 ミラーを見ると、iroha、GO、よしなしが見えて、なんだか楽しい気分になる。「こりゃ、早いトコみんなを海へ連れて行きたいなぁ」と思って、ここからちょっとだけ、すり抜けをした。つっても、止まってる列の先頭に行く程度だ。今日はあくまで、のんびりゆるゆる。 遅いクルマがいても、後ろについてのんびり走る。 51号線のこのあたりには、ゆずりあい車線があるので、そこでトラックや遅いクルマをパス。太陽が西に傾いてきてるのを、「週末からのソロツーの時は、停まって撮影しよう」なんて思いながら走ってると、とっぷさんての看板が見えてきた。ココを入って道なりに下れば、
そのまま海岸に出る。
空の青、海の蒼。
うつくしい青に、しばらく全員で魅入(みい)る。 もっとも、そんな殊勝な態度は長く続かないわけで、早速GOをからかう、かみさん40歳。 「なぁ、GO。大丈夫だよ、レポには書かないから」 「なにがですか?」 「ナンパしといで」 「行きませんよ、かみさんじゃないんだから」 「隊長、行ってくればいいのに」 「そうですよ、GOさん。ボクはもうあの娘達を妄想の中で陵辱し終わってるんで」 「ナニ言ってるんですかー! レポに書かれたら困るのは、みんなの方じゃないですか」 そんな力強く、己の独りっぷりを主張せんでもよかろうに。 海を見ながら、まだ見ぬお姫様に思いを馳せる王子様(要出典)。 そんなプリンスとは反対に、俺とirohaは下世話な話で盛り上がる。 「う〜ん、真ん中がイチバンかわいいですね」 「ん? なんだ?」 「10時方向の三人組です」 「ああ、イチバン色の白い娘な? iroha、わかってるじゃねーか」 「ぎゃははは、バカだなぁ」 「おい、よしなし。そんなことより、俺を撮るフリして女の子の写真を撮れっ!」 いや、そう言うことじゃないんだ、よしなし。 わかった、俺が望遠カメラ買えばいいんだろ。
バカ話して笑ったら、そんじゃ次へいこう。 つっても、もう時間も遅いし陽も落ちる。それなら、いつものコースついでに、若干ながら曲がり道のある国道354を西行して、霞ヶ浦のひょうたんのくぼみ、たまつくりに行くべ。そこで解散すれば、みんなそれぞれ最短距離で帰れるだろう。 つわけでエンジンをかけ、砂浜を出る。 あとで聞いたら、俺のフューリィのスペシャルな原付サイレンサーが、砂をぼすぼすと吹き飛ばして、点々とくぼみの続く、足跡みたいな絵になってたそうだ。V型らしくドコドコっと排気するからだろうけど、その絵はぜひとも見たかったなぁ。 つわけで走り出し、交差点で交通事故してるのを横目に見ながら、354を左折。 霞ヶ浦の横っちょ目指して走り出す。
国道356のこのあたりは、ちょっとしたツイストになる。 SSの時だと、まったり海まで走った後、ここを通りながらだんだんテンションが上がってきて、そのまま筑波あたりに繰り出すことも多いのだが、今日はもう陽が落ちかけてるし、マシンもフューリィだ……と言いたいところだが、irohaがちょっとクネクネ道を走りたがってる(気がする)。 ので、せっかくだからと、ここだけちょっとすっ飛ばした。 とは言えフューリィなりだから、irohaのZ1000でも、ちょうどいいか少し遅いくらいのカンジだろうか。俺としては、ガッチャシールドがハイスピードに向いてないことを確認できたので、収穫はあった。シールドが外れそうで、片手で押さえながらツイストしたよ。
すっ飛ばしつつも、基本的にガンガンすり抜けたりはしないで、穏やかに進み。 道の駅、たまつくりに到着。 「かみさん、金魚すくいって書いてありますよ! アイス賭けて勝負しますか?」 「そりゃかまわんが、その前に一度聞いておく。ホントに、そんなに金魚すくいがしたいか?」 「すいません、そーでもないです」 「ぎゃははは! おごっちゃるからアイス食おうぜ」 つわけで、みんなでアイスクリームを食べた。 ちなみに、GOがバニラ、俺が季節のミックス、よしなしがマンゴーで、irohaが抹茶ミックスだった。と、アイスの種類を羅列しても、特に意味も面白みもないことに、羅列してみてから気づいたよ。悔しいから消さないけど。 それにしても、なんかだらしないオッサンだなぁ……
幸せそうなオッサンだなぁ……
アイス食ったらオモテに出て、解散前の最後のダベリング。 「GO!!!さん、またがってみていいですか?」 「いいですよ」 「iroha! GOのフェザーは高級車だからな。ゼッタイに気をつけてまたげよ」 「そういうコト言わないでくださいよー! 緊張するじゃないですかー! 怖いなぁ」 「ぎゃははは、もちろん、前フリだ。ぜひ盛大に転がしてくれたまえ」 言いながら俺も、みんなの単車を見て回る。すると、irohaのサイレンサーの形が気になった。 「あれ、iroha君、iroha君! キミのサイレンサー、アクラじゃないよね?」 「ちがいます、○○プロジェクトです」 「GOのはアクラポヴィッチだよな?」 「そうですよ」 「う〜ん、ものすげぇパクってるっぽいのは気のせいか?」 「違いますよ! 性能を突き詰めると、同じようなカタチになっちゃうんでごにょごにょ」 「ならばなぜ、サイレンサーのステッカーを貼らない?」 「アクラのフリして、『ステッカーわざわざ貼るのもカッコ悪いしさぁ』、とか言う気でしょ?」 「ナニ言ってるんですか。もちろんですよ」 「ひゃはははははっ!」 陽が沈みかけて涼しくなった駐車場で、バカ話をして笑いあう。 「iroha、どっちから帰るんだ?」 「潮来まで戻って、高速に乗って帰ります」 「俺らも混んでる6号行くより、355号で下って川沿いで帰りましょうか」 「そうだな。よしなしも混んでない方がいいだろう? おまえが一番遠いんだし」 「は?」 「だってホラ、柏経由で帰るわけだから」 「はははっ! 行きませんよ!」 ひとしきり笑ったら、陽が沈む前に少しでも距離を稼ごう。 結局、みんなで来た道を1キロほど戻り、俺とGOとirohaが南へ、よしなしはそのまま北へ。 分かれ道でよしなしに手を振り、交差点にあるスタンドへ入る。 「かみさん、今日はありがとうございました」 「楽しかったな。またこんな牧歌ボッカツーリングやろう」 「ええ、ぜひ!」 「こんだケーロクで来るよ」 「……ええ、ぜひ……」 「ぎゃはははっ! なんでトーンさがってるんだよ!」 「GO!!!さん、ありがとうございました」 「また、一緒に走りましょう」 あとはそれぞれ、音楽を聴いたりしながら、クルマの後ろに着いてのんびりと走る。 潮来から51号に乗るところで、相変わらずの『かみさんシステム』発動。思いっきり反対方向に走り出し、信号待ちでUターン。その背中にirohaがもう一度、「今日はありがとうございました!」と叫んでくれるのに手を上げて答えたら、俺とGOは反対向きに走り出す。 そして、恐怖の時間が始まった。
土手沿いの道は、とっても空いている。 そして当然、街灯なんてこまっしゃくれたモノは存在しない。当然、思いっきり真っ暗なわけで、しかも、フューリィのヘッドライトは暗い。ハイビームでも結構暗い。その暗さを補完するために、GOがフェザーのHIDヘッドライトをハイビームにしてくれる。それがまた、超、明るい。 ダラダラ何が言いたいかというと、俺はフュ−リィで真っ暗な荒れた道を、『あのGO』にハイビームで煽られながら先導しなくてはならないのだ。いや、もちろんGOが親切で照らしてくれてるコトは、充分わかってるし、実際にすごく見やすい。 でもね、考えてもごらんよ。 アクラの爆音とブルーのハイビームに照らされて、土手沿いの狭い道を走るんだよ? どうしたって自然に速度が乗るだろう? しかも半日仕事して、さらに半日走って、俺の目玉は乾き切ってるんだよ? コンタクトはズレそうになるわ、ミラーに反射したライトはまぶしいわ。 かみさん半泣き。 ミラーの反射から逃れるために、思いっきりアタマを前に出す姿は、まるで昔の最高速アタック。 あんまりしんどいんで、途中でヘタれ、早々に橋を渡って千葉側に逃げる。千葉側の道はもう少し広く、しかもそこそこクルマがいるので、そこでようやくひと安心。ま、冷静に考えれば、GOは煽ってるわけじゃないんだから、ゆっくり走ればいいだけの話なんだけど。 でも、今日も何度かウイリーしてたしなぁ…… やっぱ怖いよなぁ……(間違ったGO像を作ろうとするのはやめましょう)
千葉側の土手沿いのコンビニに入り、そこでホントに最後の休憩。 乾いたコンタクトに目薬を差して、ナオミに連絡を入れたら、さぁ、もう少しだ。 「あと、一時間くらいですかね?」 「う〜ん、30分強くらいじゃねーの?」 「ああ、かみさんなら、そのくらいかも知れませんね」 え〜と、誰に言われてもいいけど、おまえが言うな。
そこからクルマの後ろでのんびりと走り、ようやく国道6号線に出たところで。 本日のCrazy Marmalade でっかいもん倶楽部は、無事に終了。終了したってコトは、もう、クルマの後ろでのんびり走らなくていいわけで。そこから先はGOとふたり、がっちりすっ飛ばして、ガンガン(フューリィ認識)すり抜けて、俺は北柏のわき道へ、GOは国道をまっすぐすっ飛んでゆく。 のんびりツーリングは、思ったよりずっとずっと面白かった。 『すり抜けない縛り』もフューリィなら楽勝だし、音楽を聴きながら走ればもっと楽勝だとわかったので、今度のロングツーリングには、ぜひともこのスタイルで走ってこようと思う。いや、もう少しだけ、適度にすり抜けようか。さすがにちょっと、しんどいから。
よしなし、iroha、GO。 ありがとう、楽しかったよ! そのうちまた、まったりツーリングやろう!
|