The 24th small machine club

2008.02.20 第24回ちっちゃいもん倶楽部 in 北茨城ビーフライン

〜限界点〜

 

『チェーンを洗ってから行きたいから、ちょっと早めに整骨院へ顔を出す』

そんな内容のメールに返事を返すと、しばらくしてZがやってきた。

早速、伝家の宝刀『ケッテンマックス・チェーンクリーニングシステム』を使ってチェーン洗い。

ちょっと使っただけで、Zも『この装置は時間も手間も節約にならない、ただのエンターテインメントマシン』だってコトを理解してくれたようだ。結局、普通にブラッシングしてた。んで、チェーン戦場そんな戦場に用はない、チェーン洗浄が終わるのと、整骨院を締めたのが同じくらいの、午後一時。

ガソリン入れて、ライコで2stオイル買って、それじゃ、出発しようか。

 

今日はかなり距離を走ることになるので、矢田部から常磐道に乗る。

ランツァで高速に乗るのは初めてなんだが、コレがなかなか悪くない。もちろんスピードなんか100巡航だし、風はもろにぶつかって車体が振られるんだが、100と言えば高速の 法定速度。まるきしオマワリを気にしないで走れるので、精神的にものすごい楽。

千代田PAで休憩。

山屋が紅茶を飲むのはなぜか、てな興味深いけど、どうでもいい話で盛り上がる。

 

友部で降りてガソリンを入れたら、さぁ、いつものビーフラインだ。

今日の目的は、ビーフラインを北茨城まで繋ぐこと。こないだZがひとりで行って道が凍ってたせいで行ききれなかった場所にリベンジするつーので、新しいランツァのタイアの皮むきがてら、俺も付き合うことにしたのだ。Zはマル、poitaさん、moto君にも声を掛けたらしいが、全滅。あたりまえだ。

自分で道が凍ってる写真をアップしたのを、忘れてるのかね、この男は。

ビーフラインの途中、山桜なんとかセンターつー休憩場所で、トイレ休憩を入れたら。

時間もないことだし、一気に走りぬけよう。

 

高速を走ったり、ココまでくる間に、正直、タイアの皮むきは終わっていた。『せっかくオフドーロ寄りのタイアを入れたのに、なんでオンロードでぶっ飛ばしてるんだろう』と言う疑問も湧かないではなかったが、本腰入れて走り出したら、ものすげぇ面白くなってきて、タイヤとかどうでもよくなってくる。

確かにD603はやわらかくてブロックの隙間が多い分、接地面積は少ない。

リアにトラクションを掛けてロードバイクのように曲がると、リアの接地感が頼りない(路面温度のせいもあるだろうが)んだけど、それでも、グイグイ曲がってくれる。また、リーンアウトで思いっきりバンクしながら突っ込んでいき、アクセルオンで途端にぴたっと安定してくれる。

極端な話、アクセルオンした瞬間から、好き勝手なラインを走れるのだ。

パワーが足りないから実際にはムリなんだけど、感覚的には、立ち上がりで前を行くFZをインアウトどっからでも刺せる気がするほど。リーンアウトで上半身を真っ直ぐに起こしてるから、冗談みたいにラインが自由に選べる。俺は話が大げさになりやすいから、まゆつばに思うだろうが、Zも

「リーンイン、アウト、好き勝手に走れるんですねぇ」

と感心してたから、俺の錯覚ではない。マジで。ランツァ、すげぇ面白れぇ。

 

常陸太田あたりを抜け、県道60号にぶつかったところで、ようやく休憩。

「ここからが、本番なんですよ」

体感温度がぐっと下がってきてるのは、俺も感じていた。つまり、ココからが、例の道の凍ってる可能性の高い区間なのだ。なので、先頭を入れ替え、俺が先になって走る。ランツァのほうが、荒れてたり凍ってるときに対処しやすいからね。

つーか、単車で凍った道走るの、懲りたんじゃないのか、俺。

 

なんどか道を見失いつつも、Zと地図という黄金の組み合わせにとっては、たいした問題ではない。

俺が独りで走ってるときの10倍くらいのリルート検索速度で、結局、国道461までの抜け道を発見するZと、主についてっただけの俺。今日の目的である、ビーフラインを繋ぐ作業も終わり、あとは勝手知ったる、県北広域農道だ。

「自販機のところで、ジュース飲んで休憩しましょう」

というZにうなずいて走り出した。

 

のだが。

 

あとは帰るだけ的なゆるい空気が漂い始めたなか、急転直下、事態は一変する。

 

県北広域農道の入り口。

正直、この段階でUターンするのが冷静な判断なわけだが、このときはもう、俺もZも変なテンションになっちゃってた。Uターン案を二秒で却下した俺たちは、ケタケタ笑いながら写真を撮り始める。

 

写真を撮ってるZを撮ってみた。

ふたりとも、ヘルメットの下はニヤニヤしっぱなし。

今考えても、なんであんなテンションだったのかは不明だ。疲れてたのかね?

 

だが、そんなニヤニヤも、せいぜい、500Mくらいしか続かなかった。

 

NO WAY!(ありえない!)

まさにNO WAY(道がない)です、隊長! サクサクの雪ならまだしも、コレ全部、本腰入れて凍ってます。しかも、この写真だとちっともわからないけど、ここ、わりとキツめのくだり坂。いまさらUターンしても、ランツァならともかくFZは絶対登れない。バックミラーに来た道が写ってるでしょ?

 

しかたなく、単車を降りてそろそろと押し始めるZ。

だが、氷の上で、しかも坂。単車どころか、自分が立つのも危うい状況だ。先に行った俺は、ランツァをおいて歩いて引き返し、FZの氷上ツアーを手伝う。手伝いながら、写真を撮ろうと携帯ケースに手をやると、おいおいおい! 携帯、落っことしてきちゃったよ。

Zを置き去りに、マッハで携帯探しに戻る。

携帯は、広域農道に入り口に落っこちてた。

 

状況的には、かなり必死。

でも、『先生、写真撮ってください』とか言ってるんだから、Zもたいがい変態だ。

つーか絵的におかしいだろ、この雪国。

 

なんとか坂を下り終え、しばらく走ると。

また、氷の微笑。

俺の立ってるあたりは、黒っぽいところも含めて、全面マジ氷。オフタイアだろうロードタイアだろうが、まったく関係ござらんと、ゴキゲンに滑りまくる。ランツァは軽くて足つきが良いから、かろうじて先行できるってだけの話。ホント、しゃれにならん。

 

題名:途方にくれるZRZ

本日のベストショットだと思われる。

 

こんな感じで、数百メートルの道を、そろそろと大汗かきながら進む。

つーか、写真撮れるのはこんな風に氷が途切れたときだけ。Z、近来まれに見る真剣さで、FZを押してた。このあたりになると、ちょっと溶けた雪の上に出た瞬間、ホッと安心するつーイロイロとおかしな精神状態になってくる。氷の上だと、ゆっくり押しながらでも舵が効かないからね。

ハンドル切ってるのに真っ直ぐ進んでいくもんだから、ものすげぇおっかない。

 

結構な時間をかけて、ようやく峠を降り切る。

汗だくになりながら、紅茶を飲んで一服。

ものすげぇやり遂げた感がふたりを満たすが、冷静に考えたら、これからまだ、130キロ以上も走って帰らなきゃならないわけで、カケラもやり遂げてないのだ。このへんから、みるみる日が暮れてくる。つるつるの後遺症で、ふたりともおっかなびっくりツイスティロードを走って、ガソリンを入れ。

高萩から常磐道に乗ったときには、すでにとっぷりと暮れていた。

 

こうして第24回Crazy Marmalade ちっちゃいもん倶楽部は、俺とZの心に大きな傷を残しつつ、何とか無事に終わった。ワインディングも高速も発見がいっぱいあったのに、最後の氷で全部ヤられてしまい、記憶に残ってるのは凍った雪と、その上をFZを押しながらそろそろ歩くZの姿ばかり。

いやぁ、めちゃめちゃ楽しかった。

 

とりあえず今のところ、茨城方面は日立くらいまでが限界点のようだ。

これからは日増しに陽も伸び、凍結した道路も溶けてくるだろう。

さて、次はどこを走ろうか。

 

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