The 39th small machine club
2009.05.27 第39回ちっちゃいもん倶楽部 in 印西 〜水曜半日ショートケモ探索〜
「今日の午後は、どこに走りに行こうかなぁ……」 そんな風に考えながら仕事をしていると、irohaから連絡があった。 「これから治療に行こうと思うんですが、かみさんは午後からどこかに行くんですか?」 「まぁ、どっか走りに行こうと思ってるよ」 「それじゃ、ボクもシェルパで行きます」
つわけで午前中の仕事がハネたあと、近所のスタンドでガソリンを入れて走り出す、水曜半日ケモ道探検隊。最初は、こないだUKちゃん親子に教わった場所へ行こうかと思っていたのだが、irohaが「来る途中に、オモシロそうな森を見つけましたよ」言うので、今回はさらに近場で探索だ。
irohaの見つけた森へゆく前に。
とりあえず、『道の駅やちよ』の向かいにあるポプラにて、昼食がてら休憩。
即エネルギーになる(はずの)ペンネを喰って、一服しながらirohaと地図を眺めつつルートを探す。「言ってもここいらは住宅街だから、おそらくそれほどたいした場所はないだろう 」そんな心のうちを表すかのように、irohaも俺も今日は明らかにナメきったラフな格好だ。 俺なんて半ヘルにサングラスだしね。 「かみさん、今日は牧歌的なツーリングになりそうですねぇ」 「そうだねぇ」
メシ喰って一服したら、16号を左に折れてそれっぽいところを探しながら走る。 と、走り出してまもなく、
ステキな道が見つかった!
と思ったら、激烈に短い、ただの抜け道だった。15秒くらいで終わっちゃった。
それでもめげずに、irohaとふたりできょろきょろと、ケモ入り口を探しながら森の周りを走る。
結構よさげな入り口はたくさんあるんだが、さすがに先まで続いてゆかない。ちなみにココは、この先数十メータで広場のような竹林になり、オマケに養蜂施設があってハチがバカみたいにたくさん飛んでた。irohaとふたりでキン○マ縮み上がらせながら、急いで逃げた。
しばらく探したが、どうもよろしくないので、いったん舗装路に出て作戦を練る。
地図を見ながらゴルフ場のあるあたりに見当をつけ、こんどこそ、と走り出す。 もちろん、その合間にもそれっぽい道を見つけると、ガンガン入り込んでゆくバカふたり。
入り込んだはいいが、途中で方向がわからなくなって、軽く迷子になりかけた。 山でヒトが遭難するメカニズムを実感した気がする。
半そで、半ヘル、サングラス。明らかにナメきってる39歳。
なんとか遭難を逃れて舗装路に脱出。
ココで一服しながら、しばらくだべった。
irohaに乗らせて、SLのすばらしさを実感させる。 それから計画通りゴルフ場の近くの道を見つけ、そこから裏に回って森の周辺に出ると。
おや、ちょっとステキな入り口じゃないか。 早速、irohaが斥候に出る。しばらく待ってると上の方で、ピッピとホーンの音がした。
ちょっと急な坂を登ってゆくと、すぐに開けた場所に出る。そこでirohaが待ってたので。
次はこっちに行ってみようぜ! でまぁ、ココも結局、すぐに終わってしまった。
なので、しばらく舗装路を走りながら、いい匂いのする入り口を探して、二人できょろきょろ。 すると、先行していたirohaが、先の方で騒いでいる。
「何やってんだ、アイツ?」思いながら近寄っていくと。
「隊長! いい匂いのする入り口を見つけました!」
つわけで、入り込んでみる。
すると結構ケモケモした面白い道で、SLの腐れリアタイアに空気をパンパンにしていた俺は、危うくガケから落ちそうになるほどだった。こりゃぁいいやと、irohaをふたり顔を見合わせ、おそらく昔は地元のショートカット道だったのだろう、廃道っぽいところを突き進んでゆく。
倒木を発見し、いったん休憩した後。
レッツ、倒木越え。
なんとか倒木を越え。
坂道を登ってゆく。
とりあえず、脱出に成功。 距離は全然短いけど、結構オモシロいルートだった。
なかなかオモシロかったなぁと、汗を拭き拭き話したら、更に次の道を探しつつ走り出す。すると、森の周りをめぐる舗装路を走っていて、交差点で停まった瞬間、俺の目にそれっぽい入り口が見えた。こちらを振り向いたirohaも、どうやら 同じ場所に気づいたようだ。 「iroha、見えたか?」 「ええ、見えました」 顔を見合わせてうなずいた俺たちは、いい匂いのする入り口へ向かってバイクを進める。が、近づいてみるとガッカリ。そこは入り口でもなんでもないタダの薮だった。 ピンポイントに集まっている枯れ草のせいで、そのへんだけ色が変わってて入り口に見えたのだ。 「ぎゃはははっ! なにが『見えたっ!』だよ。ただの枯れ藪じゃねーか!」 「ホント、俺らの目はフシ穴ですねぇ」 顔を見合わせて笑い、それでも懲りずに走り出す。 すると原付に乗ったオマワリに遭遇。 「iroha、iroha! もしかして、あいつもケモ道探してるんじゃね?」 「ぎゃははは! マジっすか?」 こちらを不審げに見ている オマワリは放っておいて、バカ話しながら探索は続く。
「今日は俺、冴えてますからね」 言いながらirohaが選んだ坂道を、ふたりでえっちらおっちら下ってゆく。結構、急なので 「なぁ、irohaよぉ、これ、下るのはいいけど行き止まりだったら、Uターンして登れるのか?」 「……かみさん、なんか先がないっぽいです」 時すでに遅し。
写真ではアレだけど、意外と勾配のある坂。
いちど単車を降りて休憩したあと、irohaが先を見に行く。そして帰ってくるなり、 「なんとか行けそうですよ」 「ホントかぁ? そんじゃ上着を着るからちょっと待っててくれ」 「だめです、かみさん。すぐに行きますよ、すぐ出発です!」 「あんでおめーは、俺に『半そでで薮漕ぎ』させたがるんだよ!」 大笑いしながら出発すると、確かにちょっと急ではあるものの、下れない坂じゃない。 俺たちは、薮を漕ぎながら急な坂を下った。
坂を下った先は、ちょっとした広場になっている。 枯れ草が広がるその広場に歩を進めながら、さて、次はどこへ行こうかと周りを見渡してると。 パスン。 突然、SLの車高が下がってエンジンが停止した。 同時にirohaのシェルパが意志を持ったように自立する。
一瞬、自失したあと、 「うそだろー?」 思わず声が漏れる。
「上から草が生えてて判らなかったけど、ここ、ヌタ場じゃん!」 そう、俺の車高が下がったのもirohaのシェルパが自立したのも、原因は同じ。ヌタ場のドロに後輪が埋まってしまったのだ。気合の入った雨のD山ならまだしも、こんなお気楽モードの時には決して遭遇したくない類(たぐい)のセクションである。 しばらく必死で脱出を試みたあと、
「かみさん、これは一台づつ行くしかないでしょう」 と言うirohaの言葉に、俺は力なくうなずいた。
ふたりがかりで一台ずつ、ヌタ場から単車を引きずり出すと。
納車四日目にして、かなり残念な状態になったSL230。
ところが、話はここで終わらない。 ここは田んぼのはずれ、しかも繋がってる道がない。なので、元の坂を上るか、ヒトひとり何とか歩ける程度のあぜ道を走らなくてはならないのだ。もちろん、田んぼや畑を突っ切るという選択肢は、俺たちにはない。 マナー的にももちろんだが、何より「それじゃぁ面白くない」だろ? つわけで、後退のネジが外れた俺たちは、前に向かって進む方を選択。 あぜ道つーか田んぼの仕切りみたいな畝っぽいところを走るのだが、表面こそ乾いてはいても一枚剥けば当たり前のようにぬたぬた。そんな場所で、しかも、車体を立てたまま直角に曲らなければならない。内輪差で後輪が落ちそうになり、そっちに気を取られると自分が落ちかける。
足元を見れば水を張った田んぼが、「さぁこい! ネタだ!」とばかりに待ち構えている。 ドロだらけになり、足首までヌタ場に埋まりながら、田んぼに転落の悲劇を避けて、何とかかんとか脱出に成功。どうにかヌタヌタしない場所までたどり着いた 俺とirohaは、ぜぇぜぇと息をしながら、肩をすくめ顔を見合わせた。お互い、浮かぶ表情はただひとつ。 「こんなはずじゃなかった」 とは言え、俺もirohaも結局は好きなんだろう、次の瞬間には大笑い。 「あにが牧歌的なツーリングだよ!」 「ホント、『今日は冴えてる』とか言ってた、数十分前の自分をぶっ飛ばしてやりたいですよ!」 ま、この方が、俺らっぽいと言えば俺らっぽい。
さて、しばらく休憩したら、時間的にもそろそろ日が暮れる。 「とりあえず、もうオフロードはいいだろう」 「そーですね。洗車でもしてから帰りますか。かみさんがいつも使ってる洗車場って遠いですか?」 「結構、遠いよ。俺は帰り道だからいいけど、irohaは逆方向になっちゃうし」 「……かみさんちで休ませてもらっていいですかね?」 「もちろんOKだ。そうと決まれば、洗車してとっとと帰ろうぜ」 疲れきった身体にムチ打って走りだし、ほうほうの体(てい)で16号に乗った俺たちは、ドロの塊を天高く巻き上げながら、コイン洗車場を目指してひた走る。後ろのクルマが、明らかに我々を避けて車間距離を とるのを尻目に、行きつけのコイン洗車場へ。
一回じゃ足りずに、二人合わせて2500円もかけたセレブな洗車を終わらせる。
でも、スキマにはまってたこの木の枝は取れなかった。翌日、バイスプライヤで引っこ抜いた。
見違えるように綺麗なった、SLとシェルパ。
アスファルトのなかで、こんな風に土のある場所っていうのは、本来なら心が和むんだろうが、今日の俺たちには逆効果。この瞬間、半径10km以内に俺たちより土を見たくない人間は、きっといなかっただろう。アスファルト万歳! 文明最高!
てなわけで洗車を終えて帰ってきたら、自分の身体も洗浄する。
後はお決まり、反省会という名の宴会だ。 irohaの旅の話、単車に乗り始めたいきさつ、呑んだくれる俺たちに、話題の尽きるヒマはない。さらに、俺たちがはじめて会ったケモの時の話になると、「俺、かみさんってアウトローだと思ってたんですよね」と、irohaが俺に対して持っていたイメージを絵に書いて説明し始める。
や、確かにロー(法律)のアウト(外)だけれども。
と、こんな風に夜中まで話に花を咲かせながら、俺とirohaはいつまでも呑んだくれたのだった。
その気になればどんなところでも、大汗かけるほどのセクションになる。 当たり前かもしれないが、そんなことを実感した、本当に楽しい半日だった。 でも、次回からはどんな場所でも、ナメずにちゃんと装備して行こうな、iroha?
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