The 41st small machine club
2009.11.02-03 第41回ちっちゃいもん倶楽部 in
秩父 〜嵐の夜に(前編)〜
さて、今日は秩父でキャンプ宴会して、明日はサワヤカ林道ツーリングだ。 ワクワクしながらおきてみると、朝っぱらからmioちゃんメール。「一応、雨はやんで、うっすらと晴れ間もあるのでキャンプの準備をして仕事に出かけます」とのことで、どうやらmioちゃんの雨オトコの汚名は返上されたようだ。(太字最重要) 「ETCもつけてないし、それじゃぁ、いっそのこと下道で行こう」 つわけで昼過ぎころ、荷物を積んだエスエルで柏を出発する。 松戸市内を抜け、外環の下を通って、17号から北上し16号へ。柏から16号で行くよりも、地図上の距離がわずかに短いこのコースを採ってみたのだが、これが、気持ちいいほどの大失敗。確かに距離は短いのだが、それを補って有り余るほどの渋滞&道の狭さなのだ。 素直に16号をスリヌケした方が圧倒的に早い。
なんとか17号の渋滞を抜けて、16号に入ったところで一服。
音楽を聴きながら走っていたのだが、ヘッドホンのせいで耳が痛くなってきて、最終的にはアゴまで痛くなってきたので、ここでヘッドホンを外す。おかげでココから先の平均速度が、急激にアップ。つってももちろん、エスエルなりの速さなんだけど。 広くてスリヌケしやすくなった16号を気もちよくすっ飛ばし、県道15号に入ってフト気づく。
も、明らかにメーターが動いてない。 ま、出て来る時にトリップが30キロだったはずだから、秩父までは無給油でいけるだろうと当たりをつけ、線路沿いで時々嫌なくらい走りづらくなる県道15号をシコシコ抜けてゆく。
やがて、遠くに秩父の山々が見えてきた。 「ココまで来ればもう一息だ」 と己を励ましながら、国道299号線に乗る。エスエルのアンダーパワーでは、チカラ任せにトラックや一般車をぶち抜くことは出来ないので、いつもなら気持ちよくすっ飛ばせるワインディングも、クルマの後ろでのんびり走ることを強制される。 なので仕方なく、景色を眺めながら走った。
299沿いは、そろそろ紅葉が始まっているようだ。
美しい秋の山々を眺めながら、集合場所に向かって走っていると。
おい、mio公っ! 路面がまだぬれてるじゃないか! なにが「晴れ間が出てきた」だっ! ヘルメットの中でmioちゃんに毒づきながら、ウエットとハーフウエットが混在する299号線を、クルマと一緒にちんたら走る。この段階でもう、かれこれ三時間は走っているので、脚がだいぶん固まってきた。急激に下がった気温のせいもあるのだろう、鈍い痛みがじわじわやってくる。 なので、途中の道の駅「あしがくぼ」にて、いったん休憩。
トイレを済ませてから、mioちゃんに電話を入れる。 「あ、mioちゃん? 今、あしがくぼまで来たよ」 集合場所への行き方を確認したら、タバコを一本つけてから走り出そう。
集合場所のベルク秩父影森店に到着すると、すでにろろちゃんも顔を見せていた。 「寒いねー!」 挨拶がてらバカ話をしつつ、ベルクで今日の晩飯の買出しだ。肉的なものとか酒的なものをたくさん買い込んで、mioちゃんのクルマに積み込んだら、さあ、出発だ。いつもの川原で盛大に宴会をしようじゃないか! つーか日が落ちてきたから早いとこテント立てようよ。
mioちゃんのクルマと、ろろちゃんのDR-Z。
颯爽と走る我らがアイドル、ろろちゃんこと「ほろろん」さん。
川原に到着すると同時に、待ちきれなくなったらしい空からポツポツと降り始めた。 「ちょ、マジかよ! カンベンしてくれよ、mioちゃん。おめーのせいだろう!」 「お、俺じゃないですよ! 天気予報に言って下さい!」 どっちも間違ってる。
荷物を降ろして、mioちゃんは運動会なんかで使う大テントを立て、俺とろろちゃんは自分のテントを組み立て始める。日は落ちてくるし雨は降ってくるしで、やたらせっつかれながらのテント設営だ。こういうのはのんびり立てた方が気分が出るんだけどなぁ(集合時間のミスです)。
ようやく設営が完了したころには、あたりはすっかり暗くなっていた。
俺のテント越しの、mioちゃん大テント。奥にうっすら見えるのが、ろろちゃんのテント。
それじゃぁ、火をおこそうかって話なのだが。 これがまた、なっかなか火が起きない。mioちゃんが職場からパチってきてくれた木切れは、雨ですっかりぬれているし、小枝はほとんど生木なのだ。かき集めた着火用の枯れ草だけがイキオイ良く炎を上げるが、いかんせん太い木材になかなか火が移らない。 テント内で火を起こして移動って手もあるが、それはそれでめんどくさい。 火起こしが苦手ってわけじゃないのだが、雨ってのは厄介だ(面倒くさがるからです)。
つわけで、とりあえずビールを呑みながら作業を続けることにした。
ろろちゃんが買ってきたから揚げを引っ張り出し、俺もヒトクチばくつきながら火起こし。
すると、いったん自宅に戻っていたmioちゃんが戻ってくる。
ナタで木切れを細く割り、着火しやすくしたところで、ろろちゃんがぼろきれにガソリンをしみこませたものを木切れに放った。さっきまでの努力で炭火状態になっていた場所が、それでようやく着火してくれて、ある程度安定した炎が燃え盛り始める。
よし、コレでようやく呑んだくれられるぜ!
小雨は降っているが、テントは立てた。 若干時間は掛かったが、火も起こした。 となれば後は、酒を呑みながら肉を喰うだけだ。
キャンプといえば、豚バラブロック。 肉の塊を炭火で焼けば、じうじうと脂が染み出てきて、あたりに香ばしい脂の匂いが充満する。俺とろろちゃんは、歓声を上げながら肉をほおばり、酒をぐびぐびと呷(あお)る。mioちゃんも肉を焼きながら、のどを鳴らしてビールを呑む。何度やっても楽しい、野外宴会の始まりだ。 さぁ、ヤロウどもっ! 宴(うたげ)の時間だぜっ!
しばらくのち、三人は明らかに冷静さを取り戻した顔で、ボソボソと話し合っていた。 「なんか、寒いね」 「うん……けっこう寒いね」 「つーかめっちゃくちゃ、寒いよね?」
「風が出てきたね」 「ちょっと風が強いね」 「なんか、もんすげ風が吹いてきたよね?」
轟々とガスバーナのような音を上げて燃える焚き火を見つめながら。 俺たちの心には、言い知れぬ不安が、雨雲のように立ち込めていた。
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