solo run
2007.03.04 ひとりのんびりお散歩、博物館見学
翌朝、5:30だか6:00ころ目を覚まし、一服していると、moto君も目を覚ました。これから仕事に行きますという彼に挨拶もそこそこ、俺はもう一度シュラフにもぐりこむ。つーかこうやって改めて書くと、申し訳ない話だね、まったく。親の顔が見たい(親も泣いてます)。 結局、9:30ころ目を覚まし、出発の準備をする。 さて、今日はどこを走ろうか。 昨日moto君が迎えにきてくれたイレブンで、軽く朝飯を食う。 喋ったり笑ったり、楽しいことが多かったらか、昨日はそれほど呑んでないので、二日酔いもなく、すがすがしい限りだ。天気はいいし、海にでも行こうか。それとも、房総南端あたりまで行ってみようか。などと考えていたら、鼻水が垂れてきた。 どうやら今日は絶好調に花粉が多いようだ。これじゃあ、走るのもしんどそうだなァと、ちと考え込んでいるうちに、昨晩、話したことを思い出す。ああ、そうだ。今まで行きたくて行けなかった佐倉の『国立 歴史民族博物館』へ行こうかななんて話してたんだっけ。 ちょうどいいから、あそこへ行こう。
行き先が決まったので、俺はゆっくりと走り出した。 顔面はすでに、分泌されるいろんな液体で、大変な惨状になっている。それでも、暖かくて気持ちのいい天気だから、フルフェイスじゃなくてジェットか半ヘルで走りたいなぁなんて思ったり。半ヘルじゃ花粉直撃なのにね。 もちっとモノを深く考えて生きようね、俺。 岩富山田線をのんびり走っていると、突然、道の様子がおかしくなる。 なにこの林道チックな道。 道はこのままクネクネと節操なく曲がり始めるのだが、気分も、体調も、道のコンディションも、すべてがのんびり走れと言っている。なので気持ちのよい速度を維持しつつ、のんびり景色を見ながら走った。こんなときはやはり、フォワードコントロールがいい 。 poitaさんやマルゾーもいつ走れるかわからないし、一回、フォワコンに戻してやろうかなぁと思う。一人で走るなら、景色を見るにしても、ちょいちょいまめに停まって撮影するにしても、断然、フォワコンの方がいいのだ。あ、決めた。ヒマ見てステップ戻してやろうっと。
県道289岩富山田線と、県道22号千葉八街(やちまた)横芝線との合流地点あたりで、トトロフレーバたっぷりの景色に出会う。いや、柏だって田舎だから、ちょっと裏に行けば、こんな風景あるんだけど 、全体から醸し出される雰囲気はずっとステキだ。
バスの待合所らしい。手作り感マックス。
郵便ポストのヤレ具合とか、すげえいい感じ。 思わず、通りがかったおばあちゃんに「こんちわ、いい天気ですね」と挨拶した。おばあちゃんもニコニコしながら「あったかいねぇ」と返してくれる。ステキな景色もいいけれど、こういう交流が、俺はやっぱりイチバン好きなんだなぁ。 寂しがり屋だし(可愛くありません)。
やたらでかい。 俺の心の取扱説明書に書いてある『かみは歩かない』は通用しなそうだと思ったとおり、このあと、俺的には一か月分に相当するくらいの遠大な距離を歩かされる。つってもまあ、普通のヒトならそれほどのこともないか。いや、結構きついかな。どうでもいいか。
中に入ると、精巧な模型や、珍しい貴重な資料でいっぱいだ。 ホンモノ系は撮影禁止が多かったが、基本的には撮影できる。フラッシュ禁止とか、細かい注意書きも多いが、古い布や紙はフラッシュの光でも痛むらしいし、仕方ないだろう。 高床式の模型。原寸大。いのししの剥製がステキ。
銅剣。 ベルセルクチックだが、厚みは異常に薄い。貴重な金属だったんだろうね。
石棺。埋葬の仕方が、懇切丁寧に書かれていた。 今じゃ考えられないような、複雑な様式を持って埋められていたようだ。棺を埋めるだけで、粘土を轢いたり、顔料を敷き詰めたり、石で幾重にも蓋をしたりと、7〜8工程くらいある。ゾンビになって墓から這い出るとき、すげえ苦労しそう。
思わず笑ってしまったのが、この食事の写真。 写真右の下級役人のメシ、切なすぎ。麦飯だか粟だか稗だかの飯と、切り昆布と塩。や、塩て。小皿に盛った塩がおかずとか、下級とはいえ役人でコレなら庶民はナニ食ってたんだと突っ込みたくなる。コレに比べりゃ、現代人なんかみんな王様だ。 もっとも、上級役人の膳の真ん中にある『アワビのうに和え』だけは、さすがに喰ったことないけど。水もきれいだったんだろうし、きっと、強烈に美味かったに違いない。そのうち、いちど喰ってみたいなぁ。 つーか、ドコに行けば喰えるんだろう。
そのあとは、いよいよ大好きな戦国時代から江戸時代 写真撮るの忘れるくらい、ものすげえ熱中して見学した。資料もさることながら、数々の模型が秀逸。ホント一見の価値あり。昔の生活を精巧な模型にしたものが、いくつもいくつもあるので、おもちゃ屋に入ったガキ状態で、食い入るように見つめ倒す。 たぶん、戦国から江戸だけで2時間以上は費やしたはずだ。
途中でやかましいガキが居たので、低い声で親ごと注意した。 ぶっ細工な嫁さんが、ものすげえツラでにらみ返すので、「俺の言うことおかしいか?」つったら、旦那の方が「申し訳ありません」とわびてきたので、ポカンとしてるガキに人差し指を立てて「しっ、な?」と言った。さすがにその後は、うるさいこともなかった。 つーか、せっかくこんな珍しいものや面白いものを見られる好機。腰をすえてじっくり見たいときに、ガキの癇に障るわめき声とか、オモテにタタキ出されないだけ、ありがたいと思えってな話だ。 興味がなけりゃ、いくら強制的に見たって意味ないんだよ、こんなもん。
途中の展示室が改装中で、いきなり、近代に飛ぶ。 すばらしい杯。単車乗りに持って来いってところだ。作ろうかな。
漫画でしか見たことないような、囚人用のオモリ。現物を目の前にして、コレが足首にハマってたらと思うと、ぞっとする。俺みたいなバカでも、単車に乗って好きなことを言って、それでも自由に生きていける今に生まれたことを、心から感謝したくなった。
馬出し空濠。 城門の前に築いて、人馬の出入りを敵に気づかれないように作られた土手らしい。手前の植え込みと奥の植え込みの間に、深い堀がある。実際に原寸大でこういうのを見ると、映画やドラマではゼッタイ感じられない実感てのが、心に迫ってくる。
結局、4時間以上、居ただろうか。一部見られない展示室があったりもしたが、総じて人類の文化史を充分に堪能できる、最近見た中じゃピカイチの博物館だった。子供つれてったりとかには向かないだろうけど、好きなヤツなら一回のぞいてみてもいいと思う。 入館料420円は、激安と言っていいんじゃねーかな。
歴史民族博物館を出た俺は、県道65号、佐倉印西線を北上。 国道464の渋滞を避けて利根川の川沿いを、のんびりと西行する。利根水郷ラインのまっすぐな道を走っているうちに、花粉パワーによる分泌物で顔面がえらいことになってきたので、ぶっ飛ばしたりはしない。晴天の心地よい風を受けながら、のんびりお散歩モードで走る。 土手沿いには、あちこちに花が咲き、もう春なんだと主張している。 春の証拠たちを眺めながら、昨日のステキな宴を思い出しながら。 俺はヘルメットの中で、顔がほころんでくるのを止められなかった。
朝晩は寒いこともある。 でも。 なあ、みんな。
春が来たぜ。 |