solo run

筑波練習 その三

2007.12.15 次代へ

 

明日も筑波にツーリングだってのに、なぜか今日も筑波にいたりする。

練習するのが、楽しくて仕方ないのだ。

いつものようにパープルへ入り、水曜日に決めたセッティングのまま走り出す。

コーナー入り口で、すかっと単車が寝るのが気持ちいい。

セッティングってホント重要なんだなぁと、今更なことに感動しつつ、今日は速く走るよりも気持ちよく走りながら、精神的に余裕のある中で、少しずつ欠点をツメていこう。キリキリ焦っても、ひとりでアベレージをあげるのは、俺の場合、高が知れている。それよりは、正確さに重点を。

 

とはいえ、正確に走ることを心がけると、自然にペースが上がってくるようだ。

いよいよ、こんなところを擦り始めた。

なので、リアサスを一番上まで上げてやる。すると面白いもので、今までわりと決まっていたはずの足が、いくらかバランスを崩す。つって車高を戻すわけにも行かないから、しばらくそのまま走りこんだ。悪いってほどでもないけど、さっきより良いとも言えない。

この辺はまた、様子を見ながらリアサスをイジって、良いポイントを探してゆこう。

 

十本、五往復。距離にして150kmほど走っただろうか。

路肩の土壁に、単車が突っ込んでいる。

慌ててハヤブサを停めると、『大丈夫?』と声をかけながら近づいていった。

XJRが側溝を飛び越え、俺がロケットIIIで突っ込んだのと似たような場所に刺さっていた。

少年がふたり、途方に暮れた顔をしている。

どうやらおせっかい魔人、かみ@38歳土曜の午後から小僧走りの出番だ。

側溝越えは経験者なので、斜めにイキオイで出そうとしてる連中を止め、三人がかりでゆっくりと持ち上げて出さないと無理だと教育的指導。なんで『事故』とか『ガケ』とか聞くと、急に目ン玉キラキラ☆、しかもムダに自信満々になって、場を仕切ろうとするんだ、俺。

 

三人で持ち上げて側溝を乗り越え、路肩に単車をおいて、逝っちゃった場所の確認。

ライトやメーターはともかく、ブレーキレバーが折れてるのと、シフトペダルが折れてるのは、どうしようもなさそうだ。なので、あとで取りに来たとき、トランポに乗せやすい位置まで移動することにしよう。ブレーキが利かないから、三人でゆっくりと運んだ。

んで、申し訳ないとは思ったけど、隙を見て写真を撮る。

心の弱い俺は、さすがにカメラは出せなくて『今、ちょっと思いついたから記念に撮るんですよー』的なフレーバーをかもし出しながら、すばやく携帯で撮影した。つーかこれ書いてて気がついたけど、『知り合いに故障の程度を見てもらうために写メする』とか何とか言えば、もちっと撮れたね。

それは、鬼の所業だね。

 

俺も飛んだときは助けてもらった。だから、誰かが飛んでたら助ける。

今日助けた少年たちも、いずれ自分にそう言う機会があったときは、きっと困ってるやつを助けるだろう。そんな風に、マシンやテクニックだけじゃなくてそう言う気持ちのありようまで、次の世代へ繋いでいけたら、俺が走ってる意味ってのも、少しはあるような気がする。

 

「んじゃ、気をつけて」

彼らだけじゃなく、自分自身にも言い聞かせながら。

筑波颪に吹かれる茨城の道を、俺は家へと急いだ。

 

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