solo run

in 筑波

2009.03.07 40マイルカフェ

 

銀星が筑波山の近くで、移動カフェを開いているという。

ならば、筑波を走りがてら、ちょっくら顔を出してみようかと思い立ち、仕事がはねてから曲がったステップを交換して、筑波山に向かった。県道8号から国道6号に乗り、県道19号を折れてたらしばらく下道を走って、矢田部から常磐高速に乗る。

200手前くらいでおとなしく走り、土浦北で降りて125号を西行。

いつも筑波に行くときに右折する交差点で、コンビニに入って休憩。

「俺も顔出しますよ」言ってたよしなしに電話する。

「もしもし、よし? 今どこよ?」

「もう、会場に来てるんだけど、銀ちゃん、見当たらないよ」

「あん? またか? しょーがねーなぁ。とりあえず俺もそっち行くわ」

よしなしに道を聞いて、銀星が出店してるはずのフリマ会場に向かう。

 

フリマ会場に着くと、よしなしが手を振っていた。

ボ−ズよしなし。俺にあこがれたに違いない。

 

よしなし長女。この満面の笑みは、俺にあこがれてるに違いない(怖がってるんです)。

後ろでなんかやってるのが、よしなし長男。

んで、よしなしと無事に合流したはいいが、確かに銀が見当たらない。なので銀に電話してみるのだが、出やしない。とりあえず一服しようと、会場を離れてケーロクのそばまで行き、タバコに火をつけたところで携帯が鳴った。銀星だ。

「おう、銀! おめ、どこにいんのよ?」

「いや実は、フリマ会場で『明日結婚式があるんだが、コーヒーを100杯ほど出してくれないか』と頼まれまして、早上がりして準備しようと思ってたんですよ。かみさんフリマ会場に居るんですか? それなら、その先にイレブンがあるんで、そこで待ってますね」

「おう、わかった。14号のイレブンな?」

電話を切って、イレブンに向かう旨をよしなしに伝えると、一足先にケーロクに飛び乗った。

 

125号からそのまま道なりに14号にのり、何度かZと行った筑波ふもとのイレブンへ。

が、やっぱり銀の姿が見えない。

そのうちよしなしもやってきて、ふたりで寒風の中、銀星を待つ。

と。

ようやく、銀が姿を見せた。

HGL(ハッピーゴーラッキー)号から出てきた銀星は、なにやらスリーピースを着込んでいた。銀子も一緒に来てたので、よしなしと4人でしばらくダベる。近況を聞いたり、バカ話をしたりしながら一服つけつつ、興味深くHGL号を検分してると。

おめ、バンパー直してねーじゃねーか!

どうせ事故の金は生活費に回したんだろうと思ったら、案の定だった。ま、今はイチバンしんどいところだろうからね。でも、その後も気になってしょうがなかったので、そのうち隙を見て俺が直してやる。もちろん、ガムテとマットブラックスプレーで。工賃100万円くらいでいいや。

 

そんなバカ話してると、銀星がカフェを作り始めた。

発電機を回して、なにやら作業し始めてる。

 

子守のよしなし親子は、牧歌的な雰囲気をかもし出してる。

俺だけ上下真っ黒レザーで、イヤンな雰囲気になってるのが哀しいが、それはさておき。

さすがにビシっと引き締まった表情で、カフェラテを作る銀星。

やがて出てきたよしなし用のなんとかと、俺のカフェラテを受け取る。のんびりカフェを呑みながら、よしなしのガキが飽きるのにもかまわず歓談。俺も一応経営者だから、仕事の話を主に、銀星と久しぶりに語り合った。最初言い始めたころより、だいぶん甘さがなくなって、いい顔になってた。

 

話はいつまでも尽きないが、銀は明日、初めての大量注文をもらっている。

仕込みもあるだろうし、いつまでも拘束してたらかわいそうだと思ったので、適当なところで切り上げることにする。メットをかぶり、グローブをしながら最後の挨拶をし、よしなし親子や銀と銀子に別れを告げて、俺はとりあえずガソリンスタンドに向かって走り出した。

銀、銀子、がんばれよ!

 

さて、ココまで来て筑波山を走らないって法はないだろう。

ガソリンを満タンにしたところで、そのまま125号を東行し、筑波山に向かう。軽くすり抜けながら125号を走っていると、突然、目の前を走っていた軽自動車が、左のゆるいコーナーを曲がらずに、そのまままっすぐ、何の躊躇もなくガードレールに向かって突っ込んでゆく。

「え?」

と思ったときにはガードレールにぶち当たり、跳ね返って反対車線で停まった。反対車線を走ってきたトラックが、悲鳴を上げながら停まる。軽自動車はヨタヨタとこっちの車線に戻ってきて、左に寄って停まった。抜きザマに運転席を覗き込んだら、おばちゃんが目ン玉飛び出させてた。

「あんなのが対向車線から突っ込んできたら、たまらんなぁ」

とゲッソリしながら、行きに寄ったコンビニを左折して、そのまま筑波山に向かった。

 

カマボコと減速帯を乗り越え、パープルに入ってそのまま走り出す。しかし、時間も時間なので、西日がキツく走りづらい。それでも暖かくなってきたせいかツーリングライダーが何台か走ってた。もっとも遊んでくれる人は居なかったので、適当にぶち抜いて80%ペースで走る。

Uターンして帰ってくるときも、やっぱり西日で走りづらい。

そのうち、挙動のおかしい四輪が、右コーナーでガガガっと張り付いた。幸い大事故にはならなかったが、一歩間違えれば谷底だ。二回もこんなシーンを見たのは、なんかあるのかもしれない。明日だって午前中は走れそうだし、今日はこのくらいにしておこう。

いつもの休憩所で停まらずに、そのまま山を駆け下りて、125号から素直に高速に乗った。

 

午後からゆるくなると言ってた天気予報にもかかわらず、常磐道は思ったより風が強かった。

なんどか開けてみたのだが、爆裂に混んでるわけでもないのに、250に届かないくらいのペースしか出せない。速度域が落ちたのかなぁとつぶやきながら、なんとか200越えのペースを保って一気に走り抜け、相変わらず混んでる柏インターをすり抜けながら降りた。

渋滞する16号をすり抜けながら、銀のコーヒーの味を思い出す。

「また、近くでやるときは顔を出してみよう」

銀子とふたり、なかなかに険しい道を歩き始めた銀の、決意に満ちた表情を思い返して。

俺はクスリと笑った。

 

どうやらこのまま春が来そうだ。

そろそろ、気合の入った走りをしなくちゃね。

容量の少ない俺のドタマが、走り方を忘れちゃう前に。

 

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