solo run

in 筑波

2009.03.08 微笑返し

 

じゅんがポンちゃんたちと夜走ると言うので、朝、筑波にでも行こうと思っていた。

するとじゅんから「かみさんとも走りたいし、ハシゴしちゃおうかなぁ」と返事が来たので、その鬼のような体力に苦笑しつつ、「それじゃ来れそうなら朝、筑波を走ろう」ということになった。んで、GO!!!君やAGLAと連絡を取り、朝9:00ころ筑波山に集合という話になる。

夜走っていったん帰るんじゃ面倒だろうと思ったので、じゅんにメールをして「うちに泊まれば?」と提案すると、「走り出しが遅い時間だから、玄関だけ開けておいてくれ」と返事が来た。なので0:00ころ寝床につく前に、じゅんに置手紙をしておいた。

酔っ払ってようが何だろうが、この可愛らしいフォントはやめれ、俺。

 

朝起きると、じゅんからメールが入ってて「一緒に走ってた友人が転び、その処理で朝までかかってしまったので、今日はやめておきます」とのこと。その旨をGO!!!君やAGLAに伝えると、AGLAからは「めちゃめちゃ雨降りそうなんでやめときます」GO!!!君は「今起きました」とそれぞれ返事が来る。

どうやらみんな走らないようなので、準備をして一人さびしく出かける、かみさん@39歳。

クルマが少なくてすり抜けしやすい16号をエンジンを温めがてらゆっくりと抜け、柏インターから高速に乗って、土浦北までガンガンすっ飛ばす。さすがに天気の悪い日曜の高速は空いている。数十分で土浦に着き、筑波に向かって下道を走ったら、いつものコンビニで休憩。

朝メシを喰って一服しながら、柔軟体操をして身体をほぐす。

十分ほど休んでから、ケーロクをまたいでゆっくりと走り出し、カマボコを超えながら段々気持ちを高めてゆく。そのままパープルに入り停まらずに一本目を走り出した。地元連中は帰ってしまったのか、それともこんな天気に走りに来るのがバカなのか、クルマは居ても単車は居ない。

 

のぼりを80%くらいで流しながら、道とタイアの感触を確かめつつ走る。

すると途中でVT250とすれ違った。

結構気合が入ってるようなので、「後でからむこともあるだろう」と思いながら準備走行を終え。

反対側のパーキングでいったん停まって、一服&深呼吸。

 

高速に乗ってるときは寒かったが、ワインディングを走ると気にならなくなる。

 

高速でそれなりに暖まったんだろう、016のグリップは悪くない。PP無印より穏やかにまったりと寝る感じだけど、安心感はある。でも、ちょこっと走っただけでほぐれてきてるからライフは短そうだ。昔はライフの短いタイアは嫌いだったけど、最近はそんなに嫌いでもない。

交換のサイクルが短いとイロイロ試せるから、それはそれでOKって感じだ。

 

さて、準備体操がすんだところで、それじゃ一発、気合入れて走りますか。

下りながら段々とペースを上げてゆく。怖いと思ったら速度を落とすんじゃなく、アタマごと『よりイン側に』身体をよせる。重心の位置を意識しながらアクセルオンでトラクションをかけ、旋回性を引き出すようにしてやると、さすがに曲がり道大王のSSだけに、ド安定したまま旋回してくれる。

「下りこそ、キチンと減速して『開けてやる』ことが大事なんだよな」

体感したことを声に出して確認しながら、気持ちよく曲がれたときの感覚を身体に刻み込む。

『意識を前に前に持ってゆくことで、安定した状態で速く曲がれる』ことは、速い連中に引っ張ってもらったときに解っていたので、それをひとりでも再現できるように、気合を入れて速く走ることを心がける。もっとも、それでも誰かと走るときに比べたら抑えてしまうんだけど。

 

リーンウィズでつま先を擦り始めたので、速度の乗りが良いことが確認できる。

ひとりのときは当然、誰かを追いかけてる時より冷静だから、逆に意識して仮想の前走車を追うように走ってゆく。しばらく走ると、前のクルマに詰まったバイクがいたので後ろについた。様子を伺ってると、どうやらイケそうだ。ブレーキングで横に並ぶと、向こうが引いてくれた。

片手を挙げてあいさつしてから、クルマの後ろにピタリとつける。

俺よりは速くない。だが、抜くほどには至らない。長い直線のある場所は過ぎていたから、チカラ任せに抜くこともできずに、後ろについたまま走ってゆく。するとベタづけされてクルマも気合が入ったのだろう、段々センターを割り始めた。コレで余計に抜けなくなった。

抜かした単車の方はすでにミラーから消えていたので、風返し峠側のUターンポイントまでクルマに付き合ってから、Uターンして下り始める。しばらく走ってもすれ違わないので、「手前でUターンしたんだろうな」と見当をつけ、追いつくべく、さらに速度を上げる。

半分を過ぎたあたりで、クルマに引っかかってるさっきの単車がいた。あんま速くないので興味を引かなかったから車種はわからないが、カウルがあったからSSじゃねーかな? ま、とにかくその単車とクルマをまとめてごぼう抜きにし、そのまま、ほぼ目一杯の速度で一気に駆け抜ける。

休憩所でUターンして、流れ三本目。

 

のぼりに入って、完全に乗れてきた。

マージンを取りつつも攻め込みながら、気持ちよく曲がってゆく。時々あらわれる自転車部に気をつけつつ、路面の凹凸や車体のピッチングを心地よく味わい、コーナリング後半のトラクションに陶酔しながら、乗れば乗るほど応えてくれるケーロクとの会話を楽しむ。

「おめ、ホントすげぇ単車だなぁ」

もう、ご機嫌のニッコニコだ。すれ違うVTと目が合い軽く会釈しあったら、さらにアクセルを開ける。

数往復して、貧乏ランプがついたところで、休憩所へ入った。

単車を停めた瞬間、緊張が解け、ため息をつく。

大きく伸びをして深呼吸したら、タバコを一本つけてゆっくりと休憩だ。

 

すると、しばらくして往復してきたVTがやってくる。

休憩所に入ってきたのでまた会釈すると、ヘルメットの中で目だけで笑った彼は、VTを俺のそばに停めた。メットを脱ぐと俺より十歳くらいは年上だろうか、満面の笑みを浮かべている。ま、言ってる俺も今年で四十だから、もしかしたらそんなに離れてないかもしれないけど。

と、VTさんが

「あれ? もうひとりいませんでした?」

「ああ、いましたね」

「お友達じゃないんですか?」

「いや、俺はひとりですよ」

てな感じで軽く会話をする。ケーロクの話、VTの話、単車乗り同士、話題には困らない。

名機VT250は、どうやら三個イチ。

ケツの青白の車体がバイク屋の店先に転がってて、それを9800円で買ったそうだ。オークションでタンクとカウルを落とし、全部で二万しないらしい。タンクキャップがいかれてガソリンが漏ってくるから、ビニールテープを貼って養生してある。完全に山遊び用のおもちゃってトコロだろう。

しばらく話し込んだ後、ガソリンを入れてさらに走るか、それとも帰るかで迷い、「午後から雨だっつーんで近場に来たんだっけ」ってことをようやく思い出す。どんよりと曇った空を恨めしくにらんでから、VTさんにあいさつをして、俺は筑波山を下り始めた。

降りた先のスタンドで給油し、そこのおっちゃんと『単車がいかに安上がりな遊びか』で盛り上がる。

車体の値段はそこそこするけれど、あとはガソリン代だけで楽しめる。ま、純粋に「ガソリン代と高速代だけでいい」ようなヤツの場合は、アホみたいに走るわけだから、結局、高くつくと言えないこともないだろうけど、それでも一日中走り回って楽しんで、万券一枚でオツリがくるわけで。

確かにおっちゃんの言うように「安上がりで楽しい遊び」だよね、ホント。

 

おっちゃんに手を振って走り出し、高速に乗って柏へ向かってアクセルをあけた。

行きに比べると身体が暖まってるせいなのか、なんとか260くらいまでは出せる。が、風の抵抗で首が持っていかれてひどく疲れる。ベタ伏せして何度か挑戦したが、追う相手の居ないひとりアタックだと、俺の場合260くらいがアタマのようだ。途中であきらめて、190〜230くらいで走る。

と、突然。

「すすだらけー」

妙なフレーズが、頭の中に浮かんできた。なんだっけ、この歌?

しばらく悩みながらすり抜けてると、次々とフレーズが浮かんでくる。

やがて脳内検索にヒット一件。

「あぁ、キャンディーズだ!」

 

思い当たったとたんに、なんで浮かんできたのかも理解できた。要は「もうすぐ春だなぁ」から連想しつつも『春一番』には行かず、「春一番が〜♪」と『微笑返し』の歌い出しが浮かんだのだろう。でもアタックの最中だったから、そのまま歌詞を追わなかったのだ。それがアタックをやめた瞬間、

「嫌だわあなーたー、すすだらけー」

と、脳内再生のヴォリュームが上がり、続きが浮かんできたのだ(と思う)。

結局、止めようもなく脳内でリフレインする『微笑返し』を延々と聞きながら、俺は常磐道を駆け抜けたのだった。んで、家に帰ってきて早速レポを書いてると、GO!!!君から「天気どうです?」とメールが入る。「なんだかんだ気になってたんだろうな」と苦笑しながらメールを返し。

今、昼間っからビールを引っ掛けて、GO!!!君とバカ話してたり。

 

今日は、ひとりで走って来た割には手ごたえもよく、充実した走りだったと思う。

でもやっぱみんなと走るのが楽しいね。

次のツーリングは、どこに行こうか。

 

index

inserted by FC2 system