solo run
in 鹿島灘〜筑波
2010.05.28 海のち空、ときどき山
前日、『雨だ』つー天気予報を信じて、「出かけられないなら」と徹夜したのに晴れちゃった。 なので、その夜はさっさと眠りにつき、翌朝(つまり今朝だ)、5:30には目が覚める、相変わらずのツーリング体質。窓から朝日が差し込んできてるのを確認したら、いそいそとベッドから起きだして、それじゃ、出かける準備をしようか。
恒例になった感のある、足首の固定。 ナオミがスポーツ用のサポータを買ってきてくれたので、包帯を巻く手間が省ける。んで、今日は天気がよさそうだから、「当然、汗をかくだろう」と思い、膝のプロテクターはしないで行くことにした。準備を済ませて、ついでに燃えるゴミも出して、さあ、出発だ。
国道6号線を北上しながら、行き先を考える。
どうせ気ままなソロツーリングだし、とにかく道の空いてる方へ行こうか。
となればやっぱり、利根水郷ラインで東行だ。
雲が多いのはちと嫌だが、光とのコントラストはキレイ。
やがて、いつものように、利根川の茨城側へ出る。
土手沿いは心地よい風が吹いているが、若干、肌寒いか(太字重要)。
つわけで、メッシュジャケットにインナーをつけて寒さ対策。時期的にコレで充分だろう。 と思ったら、ちっとも充分じゃなかった。 いっや寒いの何の、途中から雨までパラパラ降ってくるし、メッシュジャケットの薄いインナーなんて、あるんだかないんだかカイモクわからん状態だ。「いったい何の修行だよ」と吼えながら、冷たい風に逆らって進み、若草大橋の下でいったん停まる。
このコンクリ打ちっぱなしのバックで写真を撮り、壁紙にしてやろうと思ったのだ。 角度が悪くてイマイチ使えない写真ばっかりだったけど。
雨はパラパラしているが、行く先の空を見ればどうやら明るい。 「俺は信じる。未来は明るいんだ!」 と、軽く少年ジャンプチックなセリフをつぶやきながら、ひたすら利根川の北岸を東行する。しかし、未来は明るいかもしれないけど、そんなことより現在が寒い。途中で、道端に出てた温度計を見たら、11度くらいしかなかった。走りながら、ガタガタ震えるくらい寒い。
いつも停まる、霞ヶ浦の南あたりにある休憩所で一服。
寒いので、エンジンのそばに座って暖を取りながらタバコを吸う。 休憩しながら、銚子の方へ出るか鹿島灘に行くか、ちょっと考える。が、とにかく寒いので、「これ以上、川沿いの風に吹きさらされるのはごめんだな」と考え、51号で鹿島灘へ向かうことにした。ま、海に出ちゃえばどうしたって吹きっさらしなんだけど、とにかく今、寒いのから逃げたい。 つわけで51号に乗っかる。
51号沿い、鹿島神宮の手前だか先だかのコンビニで、コーヒーブレイク。 ちょうど学生の通学時間で、コンビニに高校生がなだれ込んできてた。あと、ナンシーのおじさんとも遭遇した。すげぇ久しぶりに、ちゃんと「これ、ナンシーシー?」って聞いてくる正統派のナンシーだったので、軽く笑っちゃいながら二三分、話をした。 「息子が中免を取って、バイクに乗りたくて仕方ないんだよねぇ」 「ははぁ、それじゃぁ死なないようにって伝えて」 つったら、ちょっとヤな顔してた。 なんでだ? と思い、少し考えて納得が行く。単車に乗る人間は、死ぬ可能性があることを念頭に入れて走るけど、普通に生きてる人は『死ぬ死なない』なんて、日常でそこまで真剣に考えないから、俺のセリフを不謹慎なジョークだと思ったのだろう。 『俺の当たり前は、ひとの当たり前じゃない』 わかってたつもりだけど、改めて実感させられた。 でも、そんなことより、出発する時にすれ違った女子高生の集団から、ふわっといい香りが漂ってきて、「おぉ、ちゃんとオンナの香りがするんだなぁ」と鼻の下を伸ばし、半ヘルってすばらしいと改めて実感したコトの方が、百倍くらい大事だと思う。 とは言え、オンナは30過ぎてから。
寒いのでゆっくり走りながら、51号を北上し、『とっぷさんて大洋』んトコから海へ出る。
海浜公園的な場所と違って、ここだと砂浜まで歩かなくて済むからね。
下には砂利よりマシな程度の舗装がされている。砂かぶっちゃってるから、バリバリ滑るけど。
カンペキに雲っちゃって、見た目も実際もかなり寒い。 でも、潮干狩りしてる人は居た。 ここで堤防みたいなところに腰掛け、コンビニで買ったコーヒーをすすりながら、しばらくボーっと海を眺めていた。最初こそいろんなことを考えたけど、海を見てるうちに色々とどうでもよくなってきて、最後の方はホントに何も考えないでただ眺めてた。 いい時間だった。 これがあるから、海に来たくなるんだよねぇ。
さて、さんざっぱら海を眺めて、それでも時間はまだ午前中も早い。 「どこに行こうかなぁ」と考えながら走り出し、「大洗あたりで寿司でも食うか」と51号を北上する。すると貧乏ランプが点灯(つ)いたので、ちょうど通りがかったセルフのスタンドに入ろうとしたのだが、その手前の交差点に、『茨城空港』の案内があったのを発見。 「そう言えば、空港が出来たんだっけ。空港の周りって、新しい道が出来たのかな?」 気になったら行ってみよう。 ガソリンを入れて、案内に従い走り出す。ちなみに燃費は約リッター20だった。
走り出してしばらくたったころ、「ああ、そうか。空港の道を整備するとしたら、コッチからじゃなくて高速側からじゃん」と気づいたのだが、まぁ、話の種に見物していこう。案の定、大して整備されてない県道を、案内にしたがって走り、茨城空港に到着。
新しいから当たり前だけど、見た目はキレイだった。
見学ツアーなのかな? 子供のほかにもおばさんの集団がいた。飛行機よりうるさかった。
奥が空港の駐車場。 ちゃんとチェックしてないけど、金取らないンじゃないかな。少なくとも俺は何も言われなかった。
しばらく眺めて、空港を後にする。 空港から高速へ出る方の比較的新しくてキレイな道を走り、県道8号線〜59号線と繋いで国道6号へ出る。もちろんバカっ混みなので、そのまま6号をまたいで59号を北上し、北関東道、茨城町西ICの手前で、県道16号を西へ折れる。 つーか、この手の「何号線うんちゃら」は俺用の覚え書きだから、読み飛ばしてくれると吉。
途中のコンビニで、トイレ休憩と一服。
そして行く先には、山が見えてきた。とたんに、ワクワクしてくる。 山間の生活道路をクルマの後ろでのんびり走ってるうちに、やがて常磐道を越えた先くらいから、県道16号はいい感じにクネクネと曲がり始めた。峠に行く人間ならわかるだろう、峠に近づくにつれて、山村の生活道路の曲がりがだんだん強くなってくる、アレだ。
山のふもと近く、いかにも「これから曲がりますよー」的なT字路に、思わず単車を停めて撮影。 そして、フューリィと初めての峠を迎えた。
とにかく回したって前に進まないので、シフトアップを早め早めに。 低回転、それもほとんどアイドリングに近いような低回転で最大トルクを発生するエンジンだから、回すよりシフトアップしちゃった方が気持ちよく走れるので、左足と左手が忙しい。その上、勝手に曲がってくれるようなよい子じゃないので、体重移動や操作も忙しい。 バタバタとブサイクに峠を駆け抜けるうちに、だんだん楽しくなってくる。 「そうそう、そうだった。クルーザってなぁ、曲がらねーんだったっけ。すっかり忘れてるなぁ」 なんてニヤつきながらつぶやく頃には、VTXやロケットIII、M109Rでさんざん苦労した思い出が、走馬灯のように脳裏を駆けめぐる。そしてフューリィも間違いなくクルーザだった。「パワークルーザよりも車重が軽いから、もしかしたら」なんて思ってたのだが、全然、甘かった。 中でもネックが寝てるのが、イチバンのネックだろう(うまいこと言えてません)。
すんげぇ気持ちよく曲がってる道を、すんげぇ気持ちよくなく曲がりながら上り、下る。 「う〜我慢、我慢……よし、ここだ! って、ヤバっ! ちっと開けんの早すぎた!」 クルマ通りのない気持ちよく空いたワインディングを、大騒ぎしながら駆け抜ける。ケーロクで走る楽しさとはまったく種類の違う、ほとんど他者(単車乗りを含めて)の理解を得られない楽しみだが、これも間違いなく、俺の好きなことのひとつだ。 バタバタ、ぎゃあぎゃあ、ガリガリ、わぁわぁ、やかましい音とともに、ワインディングを走り。
下りきると、次の山へ向かって走る。
山間部の気持ちいい直線も好き。 こういう所はむしろ、SSですっ飛ばすよりクルーザの方が気持ちいい。 ホント、単車の楽しみってのは、単車の数だけいくらでもあるね。
ココまで来たら当然のコトながら、筑波山へ向かったのだが。 筑波の入り口あたりで、オマワリが上がっていくのを発見し、なんとなくやる気がそがれる。なので筑波はやめて、その周りの道をアチコチ探索しながら一時間ほど走った。途中で休憩しているときに、ポンちゃんから電話があって、ちょっとバカ話したり。 やがて曲がり道を走るのもだいぶん飽きてきたので、それじゃぁと帰路につく。 適当な道を通って国道6号に出、そこからはのんびりまったり。走りながら、「そう言えば洗車をしようと思ってたんだっけ。ちょっと寄り道して、いつもの洗車場で洗ってから帰ろう」などと考え、6号から船取線に入ってチョコチョコと裏を走り、洗車場へゆく。
洗い終わって、乾かしながら携帯を見ると、マスターからメールが入っていた。 「おじさん今日、なにしてるんですか?」 「ツーリング行って帰ってきて、洗車してる」 メールを返してからmixiを見ると、ボイスに、「暇過ぎるので、柏のライコにうんこしに行きます。14時到着予定」と書いてあったので、「なるほどこれか」と合点し、改めて、「ボイス見た。ライコ行くよ」とメールを返す。それから生乾きのフューリィにまたがって、一路ライコランドへ。
ライコに着いて一服していると、ハヤブサフェイスの109がやってきた。
「ひさしぶりー! マスター、痩せたなぁ」 「でも俺、骨は折ってないスよ」 「なにをぅ!」 アイサツ代わりに掛け合いしたら自販機で飲み物を買い、ライコの駐車場にあるベンチへ腰掛けてバカ話。お互い春は単車に乗れなかったので、「気づいたら、夏だねぇ」的な話から始まって、身体、入院、仕事、相方、ツーリング、キャンプ、そしてもちろん単車の話。 ノンアルコールでふたりだけだから、そんなバカ高いテンションにもならずに、ゆっくり話が出来た。 もちろん呑んだくれてバカテンションなのも大好きだけど、この男とは、こんな風に話すのがすごく気持ちいい。変に気を使わず、話題が途切れたら途切れたで、一向に構わない。ボケっと並んで座り、ポツポツと思いついたように話すのが、ヤケに居心地がいいのだ。 やっぱ人柄、なんだろうなぁ。あんま褒めたくないけど。
平日のライコは、意外に色んな単車がやってきた。
今日イチバンは、これ。 Nチビの車体(?)に4st積んで、なんとプロアーム。何のアーム流用してンだろうね。 一時間ほどゆっくり話しこみ、やがて脚が限界近くなってきたので、「んじゃ、そろそろ帰るわ」とジャケットを着る。ニッコリ笑うマスターに見送られ、俺はフューリィを自宅へ向けた。マスター、ありがとう。楽しかったよ。タイミング合ったら、また色んな話をしようぜ。
こないだの4時間に続いて、今日は朝6時から午後の2時まで、休憩を抜くと7時間強。 長い時間、続けて単車に乗ることが出来た。距離にして300キロだから、普通のツーリングなら充分いけるだろう。来週からは仕事もやるし、ようやく社会復帰できる。一瞬の転倒で、時間や筋肉、収入など色んなものを失ったが、まぁ、それもまた経験だ。 経験しなかった俺よりも幅は広がったと信じて、また楽しく走り出そうと思う。
や、身体の幅も確かに広がったけど、その話はしないのが優しさだ。
|