solo run

in ビーフライン

2010.12.05 パズルのピース

 

昔から、やらなきゃならんコトがあると、寄り道をするクセがある。

もちろん現実逃避なんだが、それだけじゃなくてバタバタ立て込んでくると、やたらアタマが働くようになるつーか、イロイロと思いついたり、行動的になったりするのだ。おまけに夜中、ムラタと電話で単車の話なんかしたもんだから、かみさん41歳、もうエンジン全開。

土曜日まではダルダルモードだったドタマが、日曜の朝にはやる気マンマン。

もちろん、書類仕事をやる気になったんじゃなく、走りに出るのだ。

つわけで準備をすると、九時半ころだったか、ご陽気に走り出す。

走り出す寸前まで、栃木か、茨城か、房総かで迷っていたのだが、16号の合流で千葉行き側が混んでるのを見た瞬間、まず房総半島が消えた。とりあえず北へ向かいながら、道の様子を見てビーフか栃木に決めよう。

そう考えて16号を左折。いつものように北柏を抜けて、国道6号線へ。

 

国道6号線<水戸街道>は、ずいぶんと空いていた。

なので県道から裏を抜けて筑波へ向かうルートじゃなく、そのまま国道を北上するルートを取る。サンデードライバーがいるので、アホほどすっ飛ばしたりはぜず、ひらひらと楽しみながら駆け抜ける。途中で気が向いたら、クルマの後ろに付いてトコトコ走ったり。

後部座席のコドモに手を振ったりして遊びながら、飽きればまたすり抜ける。

写真奥のスタンドで給油してから、コンビニで一服。

天気は上々、気温はちょっと肌寒いけど、直射日光の当たるところなら充分に暖かい。念のためにインナーダウンジャケットを持ってきたけど、これは要らなかったかなぁ。ぶつくさ言いつつ、コンビニの駐車場に座り込んだら地図を引っ張り出し、さて、栃木にするか茨城にするか。

「どっちにしても355に乗って、国道50号までは出た方がいいな」

決まったら、走り出そう。

 

国道355線も空いていた。

林間をちょこっとだけうねる国道を、太陽に温められながら、気持ちよくすっ飛ばす。

 

相変わらず俺は、「青い空、伸びた道、広がる緑』が好きらしい。

少なくとも、同じ場所でわざわざ撮りなおすくらいは。

 

やがて355は、50号に接続する。

ところがここで、かみさん得意の勘違い。

青い矢印のように進まなきゃならないところを、赤い矢印の方へ進んでしまったのだ。

しかも自分では青いルートで行ってるつもりだってんだから手に負えない。

青いルートから50号に出れば、そのままビーフラインに合流できるが、赤いルートで出たところは、すでにビーフ入り口である県道1号線よりも西側だ。本来ならすぐ間違いに気づくはずなんだが、さっきまで栃木に行こうとしてたせいで、なんの違和感も持たず西へ向かう。

ちなみに、『このまま50号を西へ走って、294で栃木』てのが、もうひとつのプランだった。

 

半分無意識に西へ向かいながら、途中、『岩瀬』の看板が出てきたところで、はっと気づく。

「ちげーよ! ビーフに行くんだよ!」

つわけで、目に付いたコンビニに飛び込んで、アタマを冷やす。

一服しながら携帯を取り出して、何の気なくmixiを見ると、こむさんからメッセージ。

「かみさん茨城北上してます? ブログで見慣れた単車にヒラリと抜かれました…」

あとで確認したら、抜いたのは土浦あたりだったらしい。チンタラ走ってるときだったので、よく見えたために、俺だと確認してもらえたようだ。「アホみたいにすっ飛ばしてなくて、よかったな」と思いつつ、こむさんに返事をして、それからボイスに写真をアップしてつぶやく。

今日は気ン持ちいいねー!

 

コンビニからUターンして50号を東行し、県道1号線を折れてビーフラインへ。

走り出しから気持ちよくひん曲がるビーフラインを、まずは様子見ながら。しかし、こないだ硬めにセットした足は、『様子見』くらいだと気持ちよく動いてくれない。なので段々とペースを上げてゆく。減速帯のガタガタや、サンデードライバーをやり過ごしつつ、ユリシーズとの対話だ。

低速コーナーのアプローチは、すぱんと決まる。

ブレーキングからリリースと同時にカットインして、イッパツでバンクを決め、あとは出口を見ながら大胆にアクセルを開けてゆけば、面白いように曲がってくれる。出力特性がケーロクよりマイルドなのでアクセルに神経を使わない。調子に乗って回し目に入っても、滑り出しがコントローラブル。

高速コーナーも程よく粘って走りやすい。

速度そのものがケーロクより遅いのもあるが、とにかく恐怖感がないので楽しい。ケーロクなら直線で一気にワープするところでも、レブリミットがすぐにやってくる。シフトアップするほど距離がないときは、そのまま6500回転キープで次のコーナーへアプローチする。

そのかわり足が落ち着いた分、切り返しは重ったるい。

ダラダラ曲がる複合コーナーとか、ブラインドの先でもう一回曲がるようなところも、まだまだ修行不足かな。アクセル抜いてもう一回曲げるなんて話だと、さすがにケーロクのようには行かない。「国産SSって、ホントすげぇな」と、改めて思った。

この辺は高速コーナーとのバランスを見ながら、も少し柔らかめにしていこう。

 

ビーフの途中にある、道の駅みたいなところで休憩。

トイレを済まして一服つけて、軽く身体をほぐしたら。そのままビーフへは行かずに、県道51号線を右へ折れる。3キロほど進んで、城里テストセンター入り口を入れば、このルート屈指の高速ワインディング、『うぐいすライン』だ。

うぐいすラインだ! とか威張ってるけど、うぐいすラインの名前は、今日、初めて知った。

小高い丘を登る感じでワインディングを抜けてゆくと、うぐいすラインはテストセンターのわき辺りから超高速区間に入る。高速コーナーをいくつか抜けたら、最長の直線区間。ここでトップエンド180くらい。ちなみにしんごとかGOだと、300を見るらしい。

俺はケーロクでもせいぜい、280くらいだったかな。

ユリシーズがケーロクほど乗り込んでないとは言え、さすがにこの差は大きい。

 

うぐいすラインを走り抜け、ビーフラインへ合流。

しばらくはおとなしく、川を越え街を抜け、ポツポツと点在するワインディングを駆け抜けたら、ビーフラインは国道118へぶつかって終わりだ。118を一キロほど北上した後、道は名前を『県北東部広域農道』に変える。その入り口のコンビニでいったん休憩。

つーか道の駅、うぐいすの入り口、コンビニなんかの写真も撮ったのに、ファイルが壊れてた。

カメラ、買い換えようかなぁ。

ま、ポンコツカメラの話は置いといて、またまた曲がり道を、「ひゃっはー!」とか奇声を上げながら走り抜けると、県道33号を龍神大吊橋の方へ。クルマをかわしながら、ここでアタマはクールダウン。ギアをかき上げて低回転でドコドコと走る。

回転と速度のつじつまが合ってない、クルーザっぽい走りだ。

エンジンは、2500〜3000回転くらいでドヨドヨ言ってるのに、メータの針は、軽く100スピード(1/2時速)を超えてたりするので、ボケっと走ってると危ない。牧歌モードのときは速度を下げてクルマの後ろを行くのだが、今日はかわしながら走った。

太陽の出てる時間が短いからだ。

 

33号から、今度はこのルート屈指の低速セクション

ギリギリ一車線の舗装林道っぽい区間は、陽が当たらないためか濡れてる。その上、閉店セールのごとく、てんこ盛りに盛られた落ち葉。実質0.8車線くらいのアップダウンを、対向車に気を配りながら走る。こういうところでは、オフロード乗りをしてやるといい感じ。

リーンアウトでブラインドの先に気を配りつつ、太いトルクで駆け抜けた。

林道、もとい、国道461号線は、349との交差点から一気に幅が増える。かつてナリさんをして、「ここが一番面白かった」と言わしめたワインディング国道だ。この先の広域農道と、走り屋の人気を二分する(推定)この道で、林道で溜まったストレスを発散だ。

暖かい季節なら、バイクやマイカーの多いところなのだが、今日はさすがにガラガラ。

ただ、日陰の部分が濡れてたりするので、気は抜けない。

『カリカリ』と『まったり』を使い分けながら、タイアをアスファルトにこすり付ける。

 

時々、遊んでくれる四輪と追いかけっこしながら、清流の郷・花貫物産センターに到着。

ハヤブサでRやナリさん、GO、ジュンタローと来た時(ナリさんとはじめて会ったときだ)の事や、なっこのハンマーホイール事件の時、Carumaくんや若、しんご、GOと来たことを思い出す。「またみんなと走りたいな」つぶやきながら、ひとりでニヤニヤしたり。

心の中はすごく感慨深いのだが、見た目はただの危ないオッサンだ。

 

トイレを済まし(それにしても、トイレが近くなった)、一服付けたら太陽を見上げる。

「だいぶん傾いてきたな。さすがに小山ダムまでは欲張りすぎか」

ここから広域農道を走るのだが、その近くに小山ダムつー前にirohaと走りに来たダムがある。しかし陽が短いので、広域農道とダムの両方に寄っている時間はないっぽい。だとしたらダム見学はまた次回に譲り、今日はひたすらワインディングを走ろう。

つわけで物産センターを出たら、一気に『県北東部広域農道』のハイライト区間へ。

自動販売機の横でダベる地元ライダーに会釈しながら、停まらずに山の中へ入ってゆく。走りはじめから、濡れた路面と乾いた路面が交互に点在しているので、走りにくいと言えば走りにくいが、今日はひとりだから、『ついついバカ開け』してしまうコトもなく。

強いて言えば、太陽がナナメなので、やたらとまぶしかったのが残念だった。

明るいところから急に暗くなって濡れてる道に気をつけ、乾いた場所を選んで走る。

路面やユリシーズと相談しながら、タイアの感触と、Gで沈むサスに酔う。

 

積もった枯葉のせいで夏より狭い、タフなワインディングをひと息に駆け抜け。

山頂に近いUターンポイントで休憩。

 

タバコの煙をくゆらせながら、すっかり冷たくなった空気を味わう。

ここらでカメラが完璧にギブアップ。

「なんでだろう?」と考えるうち、原因に思い当たった。仕事で使うデータや、保険証の写真を家まで運ぶUSBメモリを忘れて、カメラのSDカードに入れっぱなしにしてたのだ。そう、要するにデータが満タンで書き込めないだけという、100%俺のケアレスミス。

さすがにこのデータを捨てるわけにも行かないので、ここから先は携帯で写真撮ることにした。

それにしても撮った写真の数枚、それも最後じゃなくて途中が消えてるのは解せんなぁ。

 

山の上で、充分に精神の洗濯をしたら。

高速で帰るのは逆にかったるいから、ここからUターンして、来た道を戻ることにしよう。

下りワインディングの乾いたところだけを選んで攻め降り。

地元のたまり場、自販機の前でもう一服。

しばらく様子を見ていたのだが、寒いからなのか、もう充分走ったからなのか、地元ライダーは走る様子がない。なので、ここは遊んでもらうのをすっぱり諦めて、もと来た道を引き返す。一瞬、小山ダムに寄ろうかと思ったが、太陽が思いっきり傾いているのでやめた。

「明るいうちに帰りたいなぁ」

つぶやきつつ、ワインディング国道461号線を、今度は逆向きに攻める。

このあたりになると、疲れが出てきたのか、積極的なモーションが影を潜め、リーンウィズシステムが発動する。いや、ココまでもそんなに大げさにケツを落としたりはしてないのだが、帰路だというコトでテンションが下がり、カンペキにシートに座ったまま曲がるようになったのだ。

もちろん、ユリシーズはそれでも充分に応えてくれる。

ぎゅーすぱんではなく、ダラダラとマシン任せで曲がりながら、濡れたり乾いたりする路面を滑るように走ってゆく。急激なアクセルワークをしなければ、濡れてようが乾いてようがお構いナシで、それなりに曲がってしまうところはビューエルの基本性能の高さか。

それともピレリの出来のよさか。

 

テキトーに遊んでいると、あっという間に『461を走る地元連中』のたまり場に到着。

写真には写ってないけど、地元ライダーやツーリングライダーがたくさん溜まってた。

地元連の中には、見知った単車もあったが、人間の方が区別できないので、トイレだけ済ませて走り出す。道はすぐに、例の林間セクションに入るが、まったりダラダラモードなので、二速に放り込んでスナッチだけで抜ける。こういうときはセパハンよりアップハンが楽でいい。

あとトルクのあるエンジンだと、ものすげぇ楽でいい。

 

舗装林道チックな国道を抜けたら、県道を南へ。

見通しのいいところや、広くて走りやすいところだけ攻めて、あとはドコドコのんびり繋ぐ。クルーザとSSの両方に乗ってたことが、ココで生きてきた。クルージングモードとスポーツモードの切り替えが、自分でも驚くくらいスムーズに出来るのだ。だから楽しくて、だから楽なのだ。

まさに昨日、酔っ払ってムラタに言ったコトそのまま。

「俺はビューエルに出会うために、クルーザとSSの両方に乗ったのかも知れない」

ま、惚れちゃってるつーか酔っちゃってるんだ。

今は言わせといてくれよ。

 

うぐいすラインに入ったところで、貧乏ランプが灯(とも)る。

「220キロか。燃費も結構やるじゃないか」

相変わらず惚れた弱みのヒイキ目でつぶやきながら、うぐいすライン以降は燃費走行。MP3プレイヤで音楽を聴き、ノリノリつーか単車の上で半分踊りつつ、残りのビーフラインを走りきり、途中から笠間ゴルフ場のわきを抜けるショートカットで50号線へ。

ガソリンを入れたら、いつも停まるイレブンに入って最後の一服。

思いのほかちゃんと直ったユリシーズの心地よい走りを反芻しながら、ヒュイーンとやかましいファンの音を響かせる愛機に手をやって、ひとりほくそ笑む怪しいオッサン。しかも小さい声で、「こんだマルとヤらなくちゃなぁ」などとブツブツ言ってるんだから、怪しさも倍増だ。

ここでもトイレを借りて、タバコを一本つけ、ゆっくりと煙を吐き出す。

「今日は、いいだけ曲がったなぁ。気持ちよかったなぁ」

自然と、そんな独り言が口をついた。

 

あとは355から6号とひたすら国道を繋ぎ、すり抜けながら帰るだけ。

ここでも『切り替えスイッチ』は、抜群の安定感。

行けるときはバンバンすっ飛ばし、行けないときはドコドコとのんびり走りながら、疲労の割にはそれほど苦痛も感じないうちに、サクサク柏まで帰り着くことが出来た。

すっかり薄暗くなった駐輪場に、ユリシーズを仕舞いつつ。

「メットもおまえも蟲だらけだな」

と小さく笑ったところで、下道300キロをひたすら曲がりまくったツーリングも終わり。

久しぶりに、独り気ままに走りまくった、実に楽しく有意義な時間だった。

 

みんなと走るのは、もちろんすげぇ楽しい。

けど、こうやって気ままにひとりで走り回るのは、家にネット環境がなく、このサイトもなかったころ、『一緒に走るのは、たま〜にマルゾーだけ』だった、俺の原点なのだ。そして、こんな風に原点に立ち返ってみることは、これからも走り続けるために必要なことだったのだ。

ここんとこ、『まずは独りで走ってみる』と言い続けた、これが一番の理由だ。

 

ハヤブサからこっち、四回(以上かな?)事故って、三回骨を折った。

もちろん不注意だったり、過信だったり、要するに自業自得だったわけだが、だとしても痛いものは痛い。ちょうど厄年と絡んだから、「厄年だしなー」なんて冗談に紛らせていたが、内心、怖かったりしんどかったり、迷ったり悩んだり、色んな感情が心の中で渦を巻いていた。

だが、だからこそ、恐怖や苦痛を理由に、ケーロクを降りるつもりはなかった。

「ここで降りたら、一生、ヤれない」

そんな思いがあった。

 

そうこうするうち、ユリシーズ(と言うよりビューエル)に出会い、これに惚れ込んでしまう。

そして惚れ込んでしまった今、これまでにあった色んな出来事、色んな人生のパーツが、『ビューエルというキーワード』によって、まるでパズルのピースがはまるように、全てカッチリと組みあがったような気がした。少なくとも今、俺はそう考えている。

 

V−MAXにこだわって乗り続けたこと。

バカだアホだと言われながらも、クルーザでヤってたこと。

「一台で何でもやりたい」と吼えたこと。

SSに乗って、本当にホンモノの速いヤツと走ったこと。

 

俺が今まで乗ってきた、その全ての経験が生かせる気がするのだ。

 

だから今、俺は胸を張ってケーロクを手放すことができる。

「ありがとう」

と言う気持ちをこめて、手放すことができる。

そして、同じくらい真摯な気持ちで、「もっともっと走っていこう」と素直に思える。

手に入れた相棒とともに。

 

だから、もしよかったら。

これからも、俺と一緒に走ってくれないか?

呑んだくれたり、バカやったりしながら、お互いの人生の彩りになるような、楽しくて笑えるステキな時間を過ごしてゆきたいんだよ。他の誰でもない、おまえらと一緒に。俺なんかと走ったり遊んだり呑んだりしてくれるような、バカなおまえらと共に。

俺は独りでも走り続けるけど、その横に併走してくれるなら。

それは俺の人生で、もっとも大きな喜びなんだ。

 

 

 

 

 

なんて、エエカッコしぃなコトを、だ。

 

 

 

 

 

こういうバカ面で、考えてるわけだよ、俺は。

つわけで、みんな。

これからもヨロシクね。

 

 

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