solo run
北北東に進路をとれ
2011.07.20 四日目 遠野〜真室 ―曲がり道とへそ曲がり(前編)―
出発準備できたのが、朝の4時半すぎ。 台風が近づいてきてるので、こちらも雨の予報だ。 日本海側に逃げれば大丈夫だろうと、今日の方向(目的地ではない)を西へ定めて走り出す。 国道283号を西へ10キロほど走ると、秋田県由利本荘市まで繋がる、国道107号に交差。
107号は山間部を抜けるツイストした国道で、本来なら混雑するのかもしれないが、さすがにこの時間だとガラガラで走りやすい。漫然と走ってるだけでも、美しい山々の景色が左右を流れてゆくのが楽しくて、思わず口元がゆるむ。
山間部を抜けて、『北上江釣子(きたかみえづりこ)』つー人名みたいな街に入る。 まっすぐな道の向こうには、ぶあつい雲が奥羽の山にかぶさってるのが見える。
これは錦秋湖(きんしゅうこ)のあたりかな? 雲の間から、少しづつ青空が見えてきたなぁと思ってると。 山をひとつ越えたとたん、ドカンと晴れてきた。 ポカっと浮かぶ雲が気持ち良さそうだ。
一気に100キロほど走って、さすがにのどが渇いたので。 道の駅『東由利』に入り、休憩&一服。 ヘルメットを脱ごうとして、思わず「ぬぉ! 痛てぇ!」と大声を上げる。 耳がヘルメットに擦れて、赤く熱を持っていたのだ。 もっとも、毎日10時間以上はメットかぶってるわけで、そらおかしくもなるだろう。 販売機の冷たいコーヒー缶で耳を冷やしつつ、この先のルートを選ぶ。このまま道なりに国道107号を走れば、国道7号にぶつかって日本海沿いに出るのだが、ちょっと戻って県道32号をゆくと、さらにワインディング三昧なコースになる。 基本的にまっすぐの多い107を100キロ走ってきたので、そろそろ思う存分曲がりたい。 つわけで二、三キロ戻り、県道32号へ入る。 県道つっても、こんな感じ。 民家のある田舎道をのんびり抜けてゆくと、やがて山越えのワインディングが始まる。 狭いっちゃ狭いが、センターラインもあるし、なによりガラガラで走りやすい。 青空に向かって駆け上がりながら、「ひゃっほう!」なんて騒いでると。 ビシっと通行止め。 つってこのまま戻るのも癪なので、 わき道へ入り込んでグネグネ遊んでたら、
いつの間にか国道へ戻ってた。 107号が7号へぶつかったら、南へ下って鳥海山を目指そう。とは言え、国道7号は日本海沿いの大動脈。当たり前のことながら、かなり混んでる。空いてる県道を走ってきたから、「う〜ん、混んでる道は走りたくないなぁ」と、思ってると。 途中の青看板に『県道32号』の文字が見えた。 「あ、さっき通行止めだった32号じゃん」 口に出したときには、すでに交差点を左折していた。 右上の通行止めから、国道107→7号で左上に出て、県道32号を左折したトコ。
さあ、鳥海ブルーライン目指して走るぞー! つって、鳥海ブルーラインに着いても、やっぱり走るんだけど。 これは県道32号。 通行止めだったほうから走ってきたら、この辺で広くなるわけで、かなり楽しいだろう。や、反対側から走ったって、楽しいんだけど。この日初めての、本格的に曲がった道だったから、もう、楽しくて楽しくて。ブーツ擦ろうがステップ擦ろうが、ガッシガシすっ飛ばす。 そんでも、途中途中、停まって写真を撮ったり。 この写真だとどうってことないけど、現場ではえらい綺麗だった。 光の加減とかを、カメラが補正しちゃうからだろうね。 ドまっすぐな道……を撮りたかったってワケじゃなく、単に道を間違えて停まってるだけ。
県道58号。雲がかかったり、晴れたり、やけに忙しい天気だ。
やがて、道の向こうに海が見えてきた。 県道58の終わり際、鳥海ブルーラインの入り口まではもうすぐだ。
と、雲がモノすげぇ立体的に見えたので、 あわてて写真を撮る。
やがて道は鳥海山を登る快走路、鳥海ブルーラインへ。 曲がるのに忙しくなったので、北面の写真はコレ一枚。
一気に駆け上って、鳥海山の五合目、登山口にある駐車場へ。 『鉾立展望台』からの風景を見るのは二回目。
前回も天気がよかったが、今回はさらに美しく感じた。
鳥海山からのすばらしい景色を堪能したら、ブルーラインへもどって西面を下ってゆく。 西面は日本海へ向かって走るので、カーヴの途中途中から海が見える。 海を眺め、森の中を疾走し、ブルーラインをあっという間に下りきったら、目の前は国道7号線だ。停まって地図を見ながら思案する。「また混雑した道を行くのはうんざりだし、このまま鶴岡へ南下ってのも、ちっと芸がねぇかなぁ」なんてボヤいてると。 地図の右側に一本だけ、東へ向かう国道がある。 「おんや? これはドコへ行く道だろう」 ぺらっと次をめくってみると、 「ぬ゛ぉ! ま、まむろがわだと!?」 地図には、『真室川(まむろがわ)町』と書いてあった。皆様におかれましては、それがどうしたって話だろうが、ここんとこ、『皇国の守護者』をループして読んでる俺にとって、『真室川』という地名は特別な意味を持つのである。真室を抜かれてはならないのだ。 いや、まあ、「へぇ、そういうもんか」と流してくれれば幸い。
一瞬にして行き先が決まったので、真室目指して走り出した。 345号を南下し、344号を東へ折れる。 今日はとにかく、雲の立体感がハンパない。
「すげぇな。手が届いたらつかめそうだな」 雲を眺めて走るうち、道は山間部に入る。ツイストし始めればもう、写真どころじゃない。昔ならココまで毎日走ってると、ワインディングを攻めるのも疲れちゃってたのだが、今回はとにかく、曲がり道を見れば攻める気がわく。やはり、ユリシーズつーかビューエルの力だろう。 ここまで曲がるのが楽しいと、逆にちょっと怖くなってくるね。
あちこち削りながら楽しく走って、真室あたりに出る。 もっとも残念ながら、小苗陣地も上苗渡河地点も発見できなかったが(スルー推奨)。 さて、この後はどこへ行こうか。
|