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春ツーリング

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2012.05.01 三日目(前編) 大野〜木之本

〜水神〜

 

テントの中で目を覚まし、のそのそと這い出てみると。

吸い込まれそうなドピーカンに、思わず口元が緩む。

 

『暴走くん』を引っ張り出して、今朝も『しじみのみそ汁』でスタートだ。

呑んだ朝には不足しがちの、必須アミノ酸を補給しながら、ちんたら出発の準備を整え。

九頭竜湖に沈んだ、和泉村の石碑をあとに。

 

まずは国道158号を西へ進んでゆく。

 

美しい景色と、気持ちのよい天気に、ワクワクした心を抑えきれない。

 

そしてもちろん、ツイスティロードがあれば、タイアの喰う感触を楽しみ。

 

ふと心に留まった景色があれば、降りて写真を撮りながら一服。

 

そんな感じでのんびりと走りながら、越前大野あたりのコンビニへ入る。

朝食はサラダうどん。

三日目ともなると、おっさんの身体は野菜を欲するようだ。

サラダうどんを食いながら地図を眺める。

「街中はさすがに、ちょっとクルマがいるなぁ」

と思いながら地図を見てると、この先に面白そうなワインディングを見つけた。

ならば、気ままなひとり旅の真骨頂、『思いついたら寄り道』だ。

 

越前大野から南へ折れ、県道34号へ入る。

 

田園地帯を走る快適なワインディングを抜けながら、「お、大正解」と笑ってると。

 

ちょっとづつ道が怪しくなってきた。

 

それでもずんずん進んでゆくと、微妙なカンジの交差点。

置いてある立て看板が、明らかに細くて荒れた方へと、俺を誘(いざな)う。

嫌な予感がしないでもないが、まあ、そうとんでもないところへは出ないだろう。

「ぬはは、この程度の荒道じゃ、俺の『旅魂』は阻(はば)めないぜ?」

昨日の桜吹雪からこっち、軽い中二病にかかってる俺は、そんな風につぶやいて先へ。

とは言っても、朝イチの林道を抜けているのだ。

 

鳥の声や川のせせらぎが気持ちよく、走ってるうちに嫌でも顔がほころんでくる。

 

ふと、ちょっとした小川に足を止める42歳。

なにやら施設っぽいものがあるので、単車を降りて歩いてゆく。

 

『池田自然郷 稗田(ひえだ)の里』という場所らしい。

 

水車の回るトイレの横を抜けると、開けた場所にオブジェがあった。

 

十二支をかたどったオブジェだ。写真は辰(右)と巳(左)だね。

 

同じところを反対側から撮った画。桜はもう、葉桜になりかけている。

真ん中には、十二方位の説明が書いてあった。

あと、ここのトイレは公衆とは思えないくらい、むちゃくちゃきれいだった。

 

綺麗なトイレで、気持ちよく用を足したら。

さあ、出発だっ!

 

と、軽快に走り出してほんの数十秒

路駐してるクルマを見て、減速した俺の前に。

勇壮な滝が姿を現した。

なるほど、コレを撮影するために路上駐車してるのか。

俺もジャマにならないところへ単車を停めて、のんびり滝を見物した。

 

この『龍双ケ滝』は、日本の滝百選に選ばれてるそうだ。

勇壮ではあるものの、激しいというよりは優しい滝だった。

 

県道34号で思いがけなく色々と見たあとは、国道476号を南下して敦賀を目指す。

そこから鳥取の方へ抜けようと思ってたのだ。

だが、ここでまた。

もはや予定調和の感さえある、思いもかけない誤算が生じた。

俺の持ってるツーリングマップルは、関東と東北をのぞいて、すべて2009年版だ。だが道ってのは生き物みたいなもんで、年々、いや、刻一刻とその姿を変える。ま、何が言いたいか、おおよそのところは想像ついたと思うが、まさにそのとおり。

 

国道476号が、思いっきり通行止めになってた。

「う〜む、こらぁそろそろ地図を買い換えないといかんなぁ」

とつぶやいてみても、それはこれから先の対処であって、現状を打破する意見ではない

 

まあ、行けないなら他の道を行くしかないんだけど。

迂回路の県道201号線を走って、武生(たけふ)の街中へ出た。

通りがかったコンビニで、テキトーに昼飯。

景色の方は、ここ数年で前よりずっと眺めるようになったけど、グルメのほうはまだまだ俺の心を魅了しないようで、どうも名物とか特産物なんかに興味がわかない。ヒトに聞かれれば、「あのへんはアレが 美味いらしいよ」とは言うけど、自分では喰えれば何でもいい。

相変わらず身体の求めるまま、昼はサラダのみ。

このとき立ち寄った武生のコンビニでは、オムライスに豚カツを載せてデミグラスソースをかけた、『ボルガライス』つーやけに重たい食い物を、やたら推してた。もちろん、柏でもっとも草食男子な俺の心には、まったく響かなかったが。

 

武生から国道8号線に乗り敦賀へ。

若狭湾を右手に見ながらひたすら南下。

 

国道はそれほど混雑もなく、いいペースで流れている。

あまりに気持ちよく流れてたせいだろう。気づいたら国道27号に乗りそこない、そのまま思いっきり内陸を走っていた。しかもボーっと走ってたので、気づいたのは琵琶湖が見えてからという体たらく。とりあえず国道8号をはずれ、木之本の駅へ。

駅前に看板には、『賤ヶ岳古戦場』の文字。

とうぜん、『賤ヶ岳七本槍』の武将の名が列記されていて、「面白そうだなぁ」と心ひかれれつつも、ここで地図を見ながらリカバリルートの確認をする。やがて「すこし戻って国道303号線から27号へ戻ろう」と決めて、来た道を303号へ向けて走り出す。

 

後編へ続く

 

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