solo run
春ツーリング
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2012.05.05 七日目(前編) 琵琶湖〜三ケ日 〜曲がり道、そして曲がり道〜
昨日、いちにち呑んでたにも関わらず、気持ちよく目が覚めた。 まあ、火遊びしつつも早めに寝たからだろう、たっぷりの睡眠ですっかり元気になった俺が、テントから這い出てみると、すでにmioちゃんやOTOさんは撤収作業を終えていた。酔いがさめてから帰ったらしい、おーが親子の姿も見えない。 朝から仲良く微笑ましい姿を写真に撮ったら。 それじゃ俺も、撤収を始めよう。 ひと足先に準備の終わったmioちゃんとOTOさんに、それじゃあまたと挨拶。 ふたりはそれぞれの目的地へ向かって走ってゆく。 俺とろろちゃんはバカ話をしながら、後片付けをした。今日はまた天気がよくて、朝も早くから駐車場にはデイキャンパーがひしめいている。そんな中、俺とろろちゃんが出発するのを察知したおじさんが、駐車場所を交代してくれという。 もちろん否やのあるわけもなく。 先に撤収を終えた俺は、ろろちゃんを待ちながら、おじさんと何てことのない会話に興じる。結構大きな息子と娘がいたけれど、さすがに彼らの方は、ビタイチしゃべってくれなかった。何かを怪しんでいたのかも知れない。息子の目がそんな風に語ってた気がする。 娘の方はなぜだか、決して俺と目をあわせてくれなかった。 わかんないけど、たぶん、俺に惚れたんじゃないかな?
やがて準備を終えたろろちゃんがやってきて、おじさんと場所を代わったら。 ろろちゃんとは、ここでお別れ。 ろろちゃんは、俺が通りがかって行かなかった大江山の鬼と会いに、俺の方は、なんとなく帰宅方向へ向かいながらも、その場の勢いとかノリで行く先を決めるいつものカンジ。「んじゃ、またね!」と、片手を上げて挨拶したら、朝一番のここちよい風に吹かれて出発だ。
まずはそのまま、湖岸道路を南下。 蒼天の下を爽快な気分で走りながら、俺はある道を探していた。 さっき撤収が終わったあと、とりあえず走る道は決めてあり、その道を探していたのだ。 県道16号線。 去年の琵琶湖で道を間違ったとき、「ここは気持ちがいいから、こんど走ろう」と決めていた道だ。こういうステキな間違いがあるから、俺はかたくなにナビを使わない。紙の地図は読み手しだい。間違うことも多いけど、そのおかげで面白いところへ行けるし、単純に読み物としても楽しい。 どれだけ性能が上がっても、俺はナビを買わないだろうね。
ボートの選手権かなんかで混んでる街中を抜け、県道16号線に乗った。 見覚えのある道を駆け抜ける俺は、朝から元気いっぱいだ。
前回はこのへんで、「何かがおかしい」と気づいて、Uターンした。 もちろん今回はこの道がメインだから、ビシっといけるところまで走ってやるぜ。 そんな風にテンションを上げながら走ってると、昨日まる一日走ってないぶんムダにあまってる気合が、俺の背中を後押しする。ウチなんかを長いこと読んでる奇特なヒトにはすでにお分かりだろうが、俺は気合が乗ってるとき、たいてい道に迷う。 県道16号を気持ちよく走っていると、前を走っていたV−MAXに追いついた。 穏やか気分のかみさん42歳は、その後ろにピタリとつき、のんびりと並んで走る。すると、それを嫌ったわけでもないだろうが、V−MAXは前のクルマをかわして、そこそこすっ飛ばし始めた。もちろん俺も、その後ろにくっついてクルマをかわし、アクセルを開け始める。 穏やか気分とか、どの口が言ってるんだろうね。
いくつかのカーヴを抜けたところで、こっちのドタマはカンペキに峠モード。 短めの直線で一気にごぼう抜きすると、せまるタイトなカーヴに、思い切って飛び込んでゆく。いくら荷物満載とはいえ、そこは俺が惚れぬいたストリートコーナリングマシンのビューエルだ。フルバンクさえ必要としないで、するりと最初のカーヴをクリアし、どどどっと景気よく立ち上がる。 あとは一気にV−MAXをちぎって、そのテンションのまま県道16号を駆け抜けた。 が。 県道16号が尽き、国道に出ても、ノリノリのかみさんは止められない。 途中で道に迷ったつーか現在地をロストしたのだが、停まって地図や携帯を取り出し、現在地を把握するのさえ、もどかしいと言うかめんどくさい。「どうせまだ朝早いし、少しくらい変なとこへ出たって、リカバリする時間はあるだろう」と、いつもの悪いクセ。 目についた面白そうなワインディングばかりをセレクトして、ひたすら曲がるコトだけを楽しむ。 国道422とか県道40とか県道42とか、たぶんそんな感じで曲がり道を走り。 やがて気づいたら、目の前の看板には『津』の文字が書かれていた。
さすがにそのまま伊勢に向かうのもアレなので、県道42号をまっすぐ走って国道23号へ。 多少、混むことは覚悟しつつ、伊勢湾岸を走る23号で、名古屋をぬけて静岡を目指す。
「おーがとUKTはまだ寝てるかな?」 なんて思いながら23号を走っていると、道端にホラーな工場が建っていた。 ギロチン工場で、鬼頭商店だぞ? ここの社長とは絶対モメたくないね。
国道23号をひたすら走るだけなので、バカの俺でも迷うことなく。 どうやら無事、名古屋の南部に突入する。ところがここで、ちょっとした『うれしい誤算』があった。いくら名古屋の中心部は避けると言っても、大都市のそばを通る道だから、それなりに渋滞はするだろうと、あきらめ半分で警戒していたんだが。 三車線のバカ広い道が、がらっがらだったのだ。 もっともその前からちょいちょい、警察の姿を見かけていたから、ここはユリシーズ得意のドコドコまったり走行で景色を見ながらのんびり走る。「こりゃ、このまま楽に静岡まで行けるかな? いや、それはさすがに無理かな」などとつぶやきながら、淡々と走っていると。 目の前が詰まってくる。 やはり渋滞は免(まぬが)れ得なかった。 それでも前を行くハーレィとドカかなんかの二台が、わりと景気よくすり抜けしてくれたので、俺はその後ろにくっついて楽をさせてもらった。こっから23号がパイパスと一般の二股に分かれるところまで、ほとんど苦労しないですりぬけられた。 このときのハーレィには、お礼を言いたいくらいだ。 これは蒲郡(がまごおり)のあたりだったかなぁ? 覚えてないや。
蒲郡市内の渋滞を抜け、ほとんどの車が23号バイパスへ流れる中。 俺は一般23号の方をゆく。 ここでようやく、国道23号線とはなれて、県道4号線に入った。 すると。 路面電車の軌道と駅がある。豊橋鉄道東田本線というらしい。
「路面電車見れるかなぁ」とワクワクしてたら。 やたら可愛らしい車両が走っていた。 渋滞の疲れがこの画でちょっと癒されたので、またもや元気よく走り出す42歳。 県道4号のワインディング部分を気持ちよく駆け抜け、国道301号へ入る。 そこから多少、道を見失いつつ。 見失うたびに、こうして道端で一服しながら、地図を見てリカバリ。
あっちゃこっちゃ走りながら、ようやく道を捕まえて。 三ケ日あたりで国道362号線へ乗っかった。
この国道362号線が、俺にすばらしい出会いを授けてくれるのだが、それはまたあとで。
海沿いの国道を気持ちよく走っていると。
天竜浜名湖線でいいのかな? やはり一両編成の、可愛らしい電車と併走する。 やがて道は気持ちのよい海岸線を離れ。 そのまま少しづつ、山間部へ向かってゆく。 あの最高の時間へむけて。
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