solo run

夏ツーリング

一日目 二日目(前・後) 三日目 四日目(前・後) 五日目(前・後) 六日目

2012.07.15 二日目(前編) 高萩〜会津若松

〜磐梯へ〜

 

昨夜……いや夜というより夕方には眠ったのに、おきたら朝の7時。

「やっぱ疲れてたんだなぁ」

ヒトリゴトを言いながら、のんびり起き上がる。

12時間ちかく眠るってのは、いつも睡眠の短い俺にしては珍しい。だが、よく眠れたからと言って、喜ばしいとばかりは言えない。ふだん、あんまり長く眠らないから、眠りすぎると逆に疲れるのだ。とは言え、ダルさを感じつつも旅の朝。身体はともかく気持ちの方は絶好調だ。

アルコールストーブでお湯を沸かし、朝の紅茶を一杯。

のんびり湯を沸かしながら、大きく伸びをして深呼吸。

山のおいしい空気を、胸いっぱいに吸い込こむ。

そうして心身ともにリフレッシュしたら、マグカップにたっぷり作った紅茶を飲みながら、ちんたら後片付けをはじめる。ゴミをまとめ、荷物をバッグに仕舞って準備を整えたら。野宿のときの基本、来たときと同じ状態になったのを確認して、それから出発だ。

 

朝のサワヤカな陽光の中、緑に包まれたワインディングを走る。

言ってもこれはまぁ、まだ駐車場の中の写真だけど。

 

国道を東へ向かって進み、T字路にぶつかったところで北へ折れ。

県道10号線を進んでゆく。

「お、こらぁなかなか面白い道じゃないか」

と喜んでいたら、こういう道のお約束。途中から、山村の中を抜ける生活道路になる。曲がってはいるものの、生活道路だけにすっ飛ばすわけにはゆかない。なので、景色を眺めつつ、気持ちよく流しながら山村部を抜け、周りが開けたところでまたすっ飛ばす。

遠くに見えるのは、これから越える山だろうか。

 

そんなことを考えながら、朝のワインディングランを楽しんでいると。

目のまえに出てきた青カンバンの表示に、『県道299号線』と書いてあり、その行き先が『花園』となっている。299号&花園つー秩父チックな符合に、なんだか嬉しくなっちゃった、かみさん42歳。勢いのまま県道299号線へ入る。

ま、299つっても秩父のは国道だけど。

いくつかの県道をつないで、花園渓谷へと向かう。

 

朝の林間ワインディングは、漫然と流してるだけでも、すごく楽しくて気持ちいい。

こうして自然の中を走っているうちに、ふだんの日常生活でこびりついたモノが、一枚また一枚とはがれてゆくような感覚になる。旅(俺のロングツーリングが旅と呼べるかはともかく)に出たときのこんな感覚が、俺はたまらなく好きなのだ。

 

やがて道は県道153号へ入る。

と、名前は変わっても同じ地域の繋がった道だから、見た目はそんなに変わらない。

道ってのは便宜上名前がついてるけど、要するに同じ陸の上なら全部繋がってるわけだしね。

 

県道の途中、水沼ダムの眺め。

今回の旅は、とにかく湖に縁があると言うか、湖がらみが多かった。普通なら、「そんなん、おまえが選んだんだろう」って話なんだが、俺のソロツーリングは自分でも行き先がわからないくらいテキトーなので、俺が選んだんだじゃなくて、ホントに偶然なのだ。

ま、強いて誰かが選んだと言うなら、俺の潜在意識だろうね。

 

かたわらを流れる花園川をながめながら、風を切って走ってると。

 

県道27号との分岐に出た。

ここの景観がよかったので、ちょっと停まって一服つける。

清浄な山水の流れる音を聞きながら、美しい景色にしばし見入る。

走り出して30分もしないうちだから、誰かと一緒だったら停まらずに駆け抜けてしまっただろう。それがいいとか悪いとかじゃなくて、ソロだとこんな風に思いつくまま停まれる楽しさがあり、誰かと走るなら一緒に走ることを楽しめる。そんな『それぞれの良さ』があるってことだ。

そして俺は、そのどっちも好きだ。

今はトラブルの多い単車に乗ってるから、迷惑かけないよう、自然とソロが多くなっちゃうけど。

 

上の写真の赤い橋を渡って、花園渓谷を目指す。

道は急な登りとなり、幅もどんどん狭くなる。気持ちよかったツイストは、ちょっと苦労するUターンチックなカーブとなるので、外側にはらみやすく、先ほどより気が抜けない。左カーブではらめば対向車線だし、右カーブではらめば谷の底だ。

できればどっちも避けたい(できればじゃなく、確実に避けましょう)。

 

えっちらおっちら急坂を登ってゆくと、T字路にぶつかった。

「ありゃ、花園渓谷はどうやらここで終わりか」

地図を見ると、このあたりは面白そうなダートがたくさんあるので、オフロードバイクを買ったアカツキには、是非もう一度訪れたい。いや、「ユリシーズはダート走れるとか、普段から豪語してるじゃないか」なんて心無いツッコミは、あなたの人間性を疑われるからやめなさい。

『やれる』のと、『やりたい』の間には、百万光年の隔たりがあるのだよ。

 

花園渓谷をあとにして、ハナウタを歌いながら林の中を進む。

上のほうは降ったのだろうか、路面がみっちり濡れている。

もっともパイロットロード3のウエットスタビリティは強力なので、よっぽどバカみたいな走り方をしなければ、路面が濡れてても、さほど気にする必要はない。いちおう頭の隅でスライドに備えておけば、ドライな路面と同じくリアタイアに乗ってアクセルオンで旋回しながら楽しく走れる。

ま、ウエットスタビリティだけなら、昨今のツーリングタイアはどれも優秀だけど。

 

やがて道は、国道349号との複合区間に入る。

ここを右へ折れて北上し、会津へ向かう。

 

国道349号は南北に走るワインディングの多い道だ。

このときは、ほんの5キロほど乗っただけだが、後日、俺はこの道をいいだけ走ることになる。

 

5キロほど走ったら西へ折れて、鹿角平あたりの山間部を抜けてゆく。

写真を撮ってるってことは、この辺はあんまし面白い道じゃなかったんだろう。

広域農道なんかもあって、ちょっと寄り道も考えたのだが、それより小腹が空いてきた。

「そういや朝から、紅茶を飲んだだけだったな」

この段階で時刻は9時ころ。

軽く朝メシでも喰おうかなぁと考えてるうちに、道は山間部を抜け、棚倉あたりの街中へ入る。

 

写真はたぶん、棚倉かそのあたりのイレブン。

 

おにぎり喰って小腹を満たしたら、ひたすら西へ走る。

さすがにクルマが出てきたので、田園風景を眺めながらのんびりと。

 

ここらは道がほとんどドまっすぐなので、クルマに続いてぼーっと走る。

棚倉街道の、白河手前あたり。

 

白河を越えると、また風景が田園地帯になり。

 

あっという間に山間部へ突入。

とは言え、それほど派手なワインディングはなく。

 

林間を走る気持ちのいい一本道って感じだ。

「こらぁ景色がよくて快適だねぇ。曲がった道もいいけど、こんなのも気持ちい……ん?」

言ってるそばからトンネルに入ってしまい、景色もへったくれれもなくなった。

しかもコレがまた、『甲子トンネル』つー東北最長の国道トンネルで、延々5キロほども走らなくてはならない。5キロくらいなら景色なんてガマンしろと思うだろうが、問題はそんなことじゃなくて、山間部のトンネルってのは、むちゃくちゃ寒いのだ。

対する俺の服装はといえば、オフロードジャージ一枚だけ。

プロテクターってのは、外傷にこそ威力を発揮するかも知れんが、言っちゃえばプラスチックの板なので、残念ながら寒さに対しては戦力外なのだ。かろうじて胸に冷風を直接くらわないってだけで、上から横から寒気がいいだけ入り放題なのである。

「くっそ、寒いなぁ。早くトンネル終わらねぇかなぁ」

このときは、まさかそんな長いトンネルだと思ってなかったので、出口までが異常に長く感じた。

 

よくやくトンネルを抜けて、道の駅『しもごう』へ飛び込む、冷え切った42歳。

道の駅で上着を着ようと思ってたのだが、いざ停まってしばらくしたら、やっぱしクソ暑い

なので、やはりジャージとプロテクターで走ることにする。

 

『しもごう』を出て走り出すとすぐ。

山をぐるりと登る道が綺麗だったので、停まって写真を撮った。

でも、今こうして見てみたら、上手く撮れてなかった。写真が上手に撮れると、ツーリング先での美しい景色をあとで楽しめるから、ちょっと勉強してみようかなぁと、時々思う。思うのだがしかし、それはおそらく、一眼レフカメラや周辺機器を購入する地獄への一本道だろう。

少なくともウチの相方は、そんな風に思って目を光らせている(´・ω・`)

 

国道を会津下郷へ向かって10キロ弱ほど走り。

そこから予定外だったが、会津下郷の手前で、県道を北へ折れる。本当はその先を越えて、向こう側の県道『下郷会津本郷線』というワインディングへ出たかったのだが、その前にクルマがけっこう出て混んで来たので、やむをえず迂回したのだ。

 

白い雲が美しい青空の下、迂回した県道を、ひとり楽しく駆け抜けて。

 

当初予定していた、北へ向かうワインディングに入った。

大山ダムの手前あたりかな?

狭いけどクネクネ楽しい山道を走ってゆく。このときの俺の狙いは、ダムを越えた先にある曲がり道。地図で見るとかなり節操なくツイストしてるので、楽しみにしていたのだが……曲がり道に気を取られすぎ、気をつけるべき地図の記述を見逃していた。

『芦ノ牧温泉』の文字である。

 

なんで温泉に気をつけるかと言えば。

温泉が好きな人間は、曲がり道が好きな人間の数十倍、数百倍はいるわけで、つまり狭い山間のワインディングに、観光客のクルマが押しかけてくるのだ。それに気づかず気持ちよくワインディングを走ってたら、大山ダムを過ぎたあたりで、突然、道が渋滞し始めた。

しばらくいぶかしんで、ようやく、これが温泉渋滞だってことに気づく。

相変わらず、ウカツ(´・ω・`)

 

もちろん、俺が行きたいのは温泉じゃなくて曲がり道だ。

とりあえずUターンして、わき道に入った。

廃屋っぽい場所の駐車場にユリシーズを停めて、地図を見ながらリカバリ。

と言うほど複雑な道ではなく、「このまま行けば、ダム湖をぐるりと回って来た道を戻れる」と確認できた。なので、戻るついでにさっき迂回して走れなかったワインディングの南半分を走ってみる。狭い峠道はバッチリ空いてたので、気持ちよくタイアをへずりながら会津下郷へ。

このへんの迷走ぐあいは、ルートマップで確認できる。

下郷あたりでの迷走っぷりを楽しんでもらえれば何より。

 

そこから国道に乗り、まっすぐ北を目指す。

これはどこだっけ? 131号のどっかだと思うんだけど。

 

前回の東北ツーリングで休憩した公園を横目にながめながら、延々と北上する。

 

やがて会津若松、磐梯山のお膝元までやってきた。

 

二日目(後編)へ

 

一日目 二日目(前・後) 三日目 四日目(前・後) 五日目(前・後) 六日目

 

INDEX

inserted by FC2 system