2008.09.17 治療という名の宴会
重機を使いすぎて、腰を痛めた。 変態エクストリーマーmoto君がそんなことを言っていたので、んじゃ、様子を見にいくべと決めたのが前日のことだった。それからメールや電話でやり取りして、moto君の仕事が終わるころ顔を出すことに決める。すると魔界の国から、『最近、聞き慣れた地獄へのいざない』が聞こえてくる。 「あたしも行く」 「R1000で2ケツは懲りたんじゃないんですか?」 「XRで行く」 「あなた富津まで3時間とかかかる人じゃないですか」 「大丈夫だよ」 『 根拠のカケラもない意見』に押し切られ、軽い絶望感にさいなまれながらmoto君に確認を取ると「ゼヒに」との答え。がっくりと肩を落とした俺は、moto君の「美味い秋刀魚の刺身を食わせますよ」の言葉だけを心の支えに、次の日の夕方を迎える。
同時出発では、どうせ向こうでアホほど待たされるに違いないので、地図を見ながら見つけておいたルートでわざわざ遠回りしながらmoto家へ向かう。が、知らない道は面白いので、ニコニコしながら走ってるうちに、 気づいたら到着してしまっていた。
moto君ちからほど近いコンビニにてNの到着を待つ。
言っても出発が3時過ぎで、現在4時過ぎ。確実に一時間近くは待たされるので、その暇を見てあちこち探検してみる。やがて、5時ちょっと過ぎくらいだったろうか。思ったより早くNが到着した。ちょうど電話があったmoto君にその旨告げると、今から迎えに来るという。 一服してると、やがてmoto君が新しく買った通勤マシン、Keiワークスが姿を見せた。 「仕事は?」 「速攻でタイムカード押してきました」 「ぎゃはははははっ! 相変わらずだなぁ」 「それよりかみさん、途中の峠でちょっとやりましょうよ」 相変わらず頭の悪いセリフに、当然のごとくうなずく俺。 ケツにくっついてゆき、途中の短いワインディングでKeiの後ろについて走り出したのだが。 や、気持ち悪いわ、あのクルマ。意外に速くてびっくりした。峠というよりは、狭い、路面もガタガタの林道チックな場所なんだが、moto君はタイアを鳴かせながらすっ飛んでゆく。後半きつく曲がりこむ長めの左なんて、一瞬、離されるかと思った。信号待ちで止まったときに降りてって 「気持ち悪りぃよ! ムダに速ぇ!」 つったらmoto君、ニヤリと笑ってた。
そのまま走って、moto家に到着。 嫁さんのTちゃんが帰ってくるまでダベり、愛息NO君をつれて帰ってきたところで、Tちゃんが晩飯の準備や洗濯をしてるあいだに、moto君の治療を始めた。思いのほか悪くなってたので少してこずったが、30〜40分ほど治療して、とりあえず身体を伸ばして立てるようにはなった。 さて、それじゃ宴会を始めよう。
NO君は『自分のバイク』にまたがってご満悦。 『グローブ(鍋つかみ)』と『ヘルメット(カチューシャ)』を装着してるところが、えらいつーかなんつーか。
息子を溺愛するmoto君。この時は、普段の変態っぷりも影を潜め、普通のお父さ…… 「パパじゃないでしょ、NO君! 『将軍様』、でしょ!」 なにをどうしたいんだろう、この変態。 NO君、将来幼稚園だの学校で、みんながパパだのお父さんだの言ってる横で、「将軍様!」って言いながら、迎えに来たmoto君に抱きつくんだろうか。 近いうち確実に、『公安に張り込まれるだろう親子』を眺めて、俺とNは、呑む前からもう大爆笑。そしてTちゃんは苦笑。
電話しておいたイチローがやってきたところで、ようやく宴会のスタート。
秋刀魚の刺身。 moto君が調理してくれたのだが、捌いちゃ氷で冷やし、切り分けちゃ氷で冷やしと、とにかく彼らしくこだわった、手の込んだ作業で作ってくれただけあって、臭みのない、脂の乗っためちゃめちゃ美味い刺身だった。にんにく醤油で口の中に放り込めば、鼻から抜ける幸せな香り。
Tちゃんの用意してくれたおつまみ。 とり皮をゆでて白髪ねぎとしょうゆ、七味で合えたさっぱりおつまみに、オクラ。これと俺の持ってきた20度黒霧島が出会えば、そりゃ絶妙のコンビネーション。 焼酎が水のように消えてゆく。さらに晩飯として、お好み焼きまで出てきた。もちろんイチローやNと一緒にガツガツ喰う。
喰って飲んで、しゃべって。 楽しい時間が過ぎてゆく。ちょっと表情の晴れなかったイチローの、悩みつーか考えを聞きだし、俺なりに出来るアドバイスをしたり、NO君とじゃれるmoto君をほほえましく眺めたり、Tちゃんとバカ話したり。明日仕事だってーのに、宴はなかなか終わらない。 やがて眠くてNO君がグズりはじめたのを潮に、楽しかった宴会も幕を閉じた。
人が集まれば、それだけでトラブルこともあるけれど、こんな風に呑んだくれて騒いで、相互理解とまでは行かなくても仲良くやれるなら、それがイチバン良いんじゃないかと思う。俺はmoto君やイチローと出会えたことを幸せに思うから、彼らの力に なれるならよろこんで動くだろう。 そんなのが広がって、お互いに助けられることで助け合えたら。 そう考えると、なんだかちょっとうれしい気持ちになる。 さて、次はいつどこで、誰と呑もうか。
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