2009.11.30 40thアニバーサリィ
時は誰の上にも公平に流れてゆく。 てなわけで、俺も40歳の仲間入りを果たした。んで、誕生日と言えば肉を食うのは決まりごと。そして肉と言えばREVってのも決まりごと。つわけで、フューリィにNを乗っけて、ポンちゃんの店まで肉を喰いに行こうと決める。すると、Masterやゆうちゃんも顔を出してくれると言う話になった。 「今日は楽しみだなぁ」 思いながら仕事をし、昼休みにキャンプで使ったサイドバッグを外したり、タンクのコーションステッカーを剥がしたり、雨で汚れた場所を拭いたりしてやる。フューリィだってせっかくなら、きれいな状態で見てもらいたいだろうし。どうせ半年もしないうちに、ラットバイクになるんだしね。
コーションステッカー剥がすと、タンクの流麗さがより引き立つ……ような気がする。
午後の仕事をしていたら、なにやらサングラスの女の子がやってきた。 一見さんは入りづらいことで有名なウチの整骨院に何の躊躇も見せずフツーに入ってくるから、「おや、なかなかガッツのある子だなぁ」と思ってたら、ガッツもクソも俺と同じダメ人間だった。神奈川の妹、なっこがやってきたのだ。 なっこを治療して、そのあとフューリィにまたがせる。
さすがにキチガイSS乗りだけに、クルーザにはあんま食いつきが良くなかった。 同じホンダなら、新しいCBR1000の方が気になるんだろうね。
今日は仕事があるからREVには寄らないと言うなっこを送り出し、午後の診察も終わらせて。 速攻で家に帰り、後ろにNを積み、着信のあったゆうちゃんに電話してREVのだいたいの場所を教えたあと、REVへ向けて国道を走る。んで八時ころ到着すると、Masterから「九時ころになります」つーメールが入ってた。もっとも、どうせ今日は長居するつもりだから、まるっきし問題ない。
REVの中。ようやくフツーに写真が載せられたよ。
ポンちゃんの友人(左)と、REVの主人ポンちゃん。
入ってしばらくダベっていると、一般のお客さんがやってきた。 そこで身内的にワイワイやってちゃ、お客さんが嫌な思いをするかと思って、おとなしく小声でNとしゃべっていると、ポンちゃんオススメの「さがり肉」のステーキが登場。こうなりゃもう、しゃべってる暇なんかあるわけなく、早速、ステーキにかぶりつく。
さがり肉。さっぱりしてて、いくらでも喰える。 このまま塩でも美味いけど、ポンちゃんのソースをかけて喰うと絶品。「ウチの万能ソースだよ」つって笑うポンちゃんの顔にも、自信が垣間見える。ちなみに、そのうち小分けにして売り出すそうだ。添加物がないから日持ちしないんで小分けになるそうで、その辺にもこだわりが見える。 つーか売り出したら買ってきて、ご飯にかけて喰いたいね(肉にかけましょう)。
やがて、オモテにお下品な爆音が聞こえてきた。もちろん、ゆうちゃんのマークIIだ。 外を見たポンちゃんがニヤニヤしながら、「友達?」と聞くので、一瞬、知らん振りしてやろうかと思ったが、考えたらゆうちゃん……つーかゆうと会うのはまだ三回目だったので、一応、「うん」って答えといた。お誕生日だから、優しいモードかみさんなのだ。 席をカウンターっぽい席からテーブル席に移動して、やってきたゆうとしゃべる。 「かみさん、誕生日おめでとうございます」 言いながら差し出したプレゼントは、目玉オヤジの立体パズル。 「おめーは俺にナニをさせたいんだ? つーかパズルはむしろNの領域だぞ?」 笑いながらありがたく受け取って、単車の話、仕事の話、くっちゃべっていると、今度はオモテに白いハヤブサ……の顔をしたM109Rが停まる。もちろん、ハヤブサフェイスのM109Rに乗ってる男なんて、世界中にひとりしか居ない。 「お、Masterだ」 扉が開いてMasterが入ってくると、なんとポンちゃんが、「あれ? かみ君と友達なの?」と驚いた声を上げる。驚いたのは俺も一緒だ。なんでMasterとポンちゃんが知り合いなんだ? と、いぶかしんでいると、Masterのヤロウ、ニヤニヤしながら。 「知りませんよ、こんなオヤジ」 思わず大笑いしてしまった。 んでゆうと軽く紹介しあったあと、コトのいきさつを聞いてみると、Masterは前に一度、ポンちゃんの店に来ていたんだそうだ。その時、「ドラスタに乗ってる」と言ってたせいでポンちゃんは、有名なハヤブサフェイスのM109Rの乗り手が、まさかMasterだとは知らなかったらしい。 ま、確かにフルカスタムのドラスタも(彼女が)乗ってるんだから、ある意味ウソではない。 「なんだよー、変態の仲間か」 うん、誰に言われてもポンちゃん、キミにだけは言われたくないよ。
席に着くなり、Masterはイロイロと誕生日プレゼントをくれる。 「バイク乗りの誕生日つったらコレでしょう」 言いながら出してきたのは、白い半ヘル。「なんでだ?」と思うまもなく、ヤツの取り出したマジックを見て了解する。ヘルメットに寄せ書きってのもベタだが、やっぱうれしいね。「このヘルメットは我が家に置いといて、遊びに来た連中にも何か書いてもらおう」なんて思ってると。 「かみさん、これがイチバン嬉しいんじゃないかな」 と言いながら、熨斗(のし)袋を取り出すMaster。 現金じゃないだろうし、一体なんだろうと思いながら熨斗袋をあけてみると
ぎゃはははははははっ! みんな大爆笑。
Master。すんげぇ面白いオトコだ。 セリフを聞いてるとイイカゲンっぽいんだが、いや、実際テキトーなことばっか言ってるんだが、この男はとにかく頭がいい。言葉の端々に回転の速さを感じる。すごく自然に人に気づかせない気遣いをするし、暴言っぽいこと言っても嫌味がないし、なにより一緒に話しててすごく気持ちがいい。 俺とひとまわりも違うってのに、ホントでかい男だと思う。
ゆう。Masterのプレゼントのメットに、ナニゴトか書き込んでるところ。 ゆうは呑んでようがシラフだろうが、基本的にテンションの高いおしゃべりだ。要するに俺と同じだ。仕事の話になるとアツくなりすぎる傾向はあるが、色んな経験を積んでいるだけに、引き出しの非常に多い男である。でも、できればコイツとは、アルコール入れて話したいね。
俺が誕生日だって言ったら、ポンちゃんがケーキつーかモンブランを出してくれた。
甘すぎなくて、俺でもおいしく食べられた。 甘いと言えば、俺はにんじんが苦手で、甘いものも苦手なので、ステーキの付け合せのにんじんグラッセが大の苦手なんだが、ポンちゃんの魔法のソースをかけて喰ったら、フツーに喰えてしまって驚いた。早いトコ小売して欲しいものである。でも、ココ以外じゃ、にんじんは喰わないけど。
「ポンちゃんもなんか書いてよ」とメットを差し出すと、「俺は美術部だったんだぞ」と笑いながら
CBRとR750を褒めながら、店のメニューも書いてた。それ見たゆうも、店の名前書いてた。
「かみさん、フューリィ見せてください」 「おう、乗ってもいいぞ」
ゆうがまたがったあと、ふと見ると、Masterがヘルメットと革ジャンを用意している。 もちろん俺は、笑いながらうなずく。 すると、すんげぇ嬉しそうなガキみたいな表情で、Masterはフューリィの試乗に走り出した。
超有名、ハヤブサフェイスのM109R。でも、あえてバックショット。
店に入ってしゃべっていると、やがてMasterが帰ってくる。 「パワーないでしょ?」 「いやーちょうどいい。楽しい。俺、メットの中でニヤニヤしてた」 そんなセリフに俺の方も嬉しくなる。と、ポンちゃんがやってきて「じゅん、来るってさ」と笑った。おぉ、そりゃいい。俺も笑いながら「じゅんが来るの? んじゃ帰ろうか」とお約束のセリフを吐きつつ、じゅんと嫁さんのめいちゃんを待つ。その間にも、ココでは書けない色んな話をして大笑い。 やがて、じゅんがR750にめいちゃんを乗せてやってきた。 俺は飛び出してゆくと、店に入る前に引きとめて、じゅんをフューリィにまたがらせる。じゅんは180センチオーバーのでかいオトコなので、フューリィにまたがってる絵を見たかったのだ。そして、じゅんがまたがるサマを見た瞬間、本日40歳を迎えた身勝手なおっさんは、ポツリとつぶやく。 「なんか不愉快」 いやね、そりゃ、俺でさえ膝が曲がるくらい低いんだから、じゅんがまたがったら、めっちゃ膝が曲がるのは当たり前だよ。そんなことは、むしろ想定内だったよ。そうじゃなくて、問題なのはまたがる前。バイクをまたいだ瞬間、ヤツの股間にシートが当たってないと言う事実。 またがってるつーか、股の下で車体が遊んでやんの。キーッ!
あまりの現実に打ちのめされた40歳は、めいちゃんに笑われながら、すごすごと店内へもどる。 それから、例のメットにめいちゃんとじゅんの一筆をもらったりしつつダベる。「かみ君、これにクリア吹いといてくれよな」とポンちゃんが言うので、「何のことだ?」と思いながら見てみると、めいちゃんがメットに書き込んだお肉の絵に赤い色がついている……ってこの赤いのクレヨンじゃねーか! 「だから、クリア吹いて落ちないようにしろつってんの」 消えちゃわないように気をつけますが、それよりポンちゃん、なんでクレヨン持ってんのよ? 苦笑いしながら、俺が「とりあえず、擦って消しちゃわないようにしなくちゃなぁ」なんつってると、「だったらクレヨンじゃなくてコレだな」と言いながらポンちゃんが出してきたのが
お肉ステッカー。もったいないから、コレはメットじゃなくてフューリィかケーロクに貼るよ。
「あ、かみさん。お誕生日おめでとうございます」 今度はじゅんが、ニヤニヤしながらプレゼントをくれる。
あーも、どっから突っ込んだら気が済むんでしょう? どうやら『ぬいぐるみつき絵本』らしいんで、あとでじっくり熟読させていただきます。
「フューリィ、またがっていいですか?」 サービスエリアのおっさんならヒャクパー断るが、めいちゃんならもちろんOKだ。それに、めいちゃんがまたがるとなれば、間違いなく絵的にシャッターチャンスに決まってる。なぜなら彼女は、Nより小柄だからだ。俺はそっとNにカメラを渡し、そ知らぬ顔で後から顔を出す。 フューリィは車高が低いから、Nでも地面には届くんだが、いかんせんステップが遠い。
やっぱり、ステップはムリっぽい。つーか可愛い。
おしい、もう少し!
と、Masterが今年の初めからハマりはじめた一眼レフで、イロイロと撮りはじめる。 撮りながら、「かみさん、ちょっとこっち来てみ」つーんで、ひょいひょい行ってみると、なにやら設定したあとカメラを渡されて、「コレで、そのヘルメットを撮ってみて」つーので、言われるままメットに向けてシャッターを半押しし、ピントが合ったところでパシャリ。 デジカメなのでその場でモニタすると……おぉ! ステキ! メットだけくっきりと浮かび上がり、後ろの景色がぼやけてる、ポートレートみたいなキレイな写真が撮れていた。俄然、ワクワクしてくるかみさん@40歳。そこに追い討ちをかけるMasterのセリフ。「安いのなら二三万から買えますよ」「なに? 楽勝で買えるじゃないか!」ニヤける俺に 「ダメ」 Nの冷静な、むしろ冷徹なセリフ&氷の微笑。「いいじゃん、安いじゃんよ」「絶対ハマってキリがなくなるからダメ」取り付く島もない。口を尖らせてブーたれても微動だにしない。つーか基本的に、40歳が唇を尖らせてもイッコも可愛くないので、人の心は動かせないようだ。 世の40歳はココロしておくといいと思う。
そんなかみ家の壮絶なやり取りなんぞ、ドコ吹く風のMaster。 「メニュー用の写真を撮ろう」言い出し、一眼レフを構えると、ちょうどやってきたじゅんとめいちゃんのステーキやハンバーグを被写体に写真を撮りはじめた……のだが、撮りながら猫なで声で
「いいよー! その切り口、最高だよぉ!」 「うわぁ、肉汁があふれちゃってるじゃない」 「あれぇ、すごいねぇ。今日はどうしちゃったの?」 なにそのエロカメラマン。 周りで見てた俺らは、もう、大爆笑。ポンちゃんなんかエロカメラマン設定が気に入っちゃって、やたら「いいよぉ、最高だよぉ」と連呼してる。挙句の果てに、自分でポーズとりながら「いいよぉ」って、いやいや、それは明らかに使い方を間違ってるから。 ひと段落したところで、カメラを下ろしたMasterは、にやりとしながら。 「いやぁ、俺も言ってて恥ずかしかった」 えらい言い慣れてるように感じたんだが、気のせいか?
さて、言っても明日はフツーに仕事だ。 日付変更線がすぐそばまで迫ってきたところで立ち上がった俺とNは、みんなに挨拶をし、フューリィにタンデムして帰路についた。走りながらも楽しかった時間を思い出して、思わずにやけてしまう。Nが「寒くない?」と聞いてくるが、こんな楽しいのに寒いわけないじゃん♪ ホントは「肉喰ったら家に帰って酒を呑もう」と思っていた誕生日。 別に宴会をする予定もなく、ただ、『誕生日だから肉』ってだけの話だったはずが、Masterやゆうが来てくれて、ポンちゃん、じゅん、めいちゃんが祝ってくれた、すんげぇ楽しい誕生日になった。しかも呑みつぶれてないから、きちんと記憶に残ってるのも嬉しい(普段でも自分次第で残ります)。 結局、40歳になったつっても俺は俺。 相変わらず楽しい連中と楽しい時間を持てる幸せをかみ締めて、あと残り何年だか何十年だか何百年だかわからない人生をめいっぱいで駆け抜けようと、改めて心に誓った夜だった。ポンちゃん、ゆう、じゅん、めいちゃん、Master、そしてN。今日は本当にありがとう。 また、REVでメシ喰ったり、俺んちで呑んだり、走ったりしようぜ!
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