2010.10.23 44マグナム

 

と、その前に。

21日にろろちゃんが遊びに来た。仕事が終わって家に帰ると、トンカツをお土産に、すでにろろちゃんが呑んでたので、風呂に入って即、カンパイ。水曜どうでしょう見たり、バカ話したりしながら軽く呑んで、そのあとはろろちゃんの薦めてくれたスレッドに読み入ってしまう。

ちなみにどんなスレかは、「古式、まとめ」で検索すれば出てくるよ。

ろろちゃんとナオミは読書。

ウチではろろちゃんもGOと同じで、ほとんど家族のような扱いなので、いつも通り普通に過ごした。なので写真も撮り忘れてるし、話も単車に限らない色々な雑談。いるのが普通に感じちゃうので、来てくれて嬉しいというよりも、帰っちゃうと寂しいって感じだ。

翌朝、寝てるろろちゃんの姿を見て、思わず笑ってしまう。

「もう一泊、していかねぇかなぁ」

とつぶやきながら、仕事に向かった。

 

んで、二日後の土曜日。

アサイチで仙台に居たはずのGOが、お昼ごろ、整骨院にやってくる。

「あれ? 仙台じゃなかったの?」

「仙台でしたよ」

まぁ、400キロくれぇ、GOにとってはお散歩みたいなもんってコトだろう。んで、この変態が仙台くんだりまで何しに行ってたかというと、友人から単車を買って、それを取りに行ってきたというのだ。「なに? なんの単車?」「ビーエムですよ」「うぉ、見たい見たい!」つことで。

BMW F650GS。

 

旧型だから安く買えたようで、結局、FZと入れ替えじゃなくて増車したんだと。いいなぁ。

 

これはちゃんとオフロード走れるンだろうなぁ、ユリシーズよりは。

 

てなわけでGOの治療をしたあと、俺はユリシーズの修理をし、GOはいったん家に帰る。23日の日記にあげたように首尾よくローダウンに成功し、ゴキゲンで家に帰ってくると、本を読んだりネットで買い物したりしながらダラダラ過ごす。

やがて夕方になり、GOがやってきた。

そこでもちっと治療し、終わるや否や、「とりあえず寝る」とつぶやきつつ、寝床へもぐりこむGO。やさしい兄貴のかみさん40歳は、そっちの部屋の電気をそっと消して、居間でジャックダニエルを飲みながら、のんびりと本を読んでいた。

と、六時半ころだったか、電話がなる。

カミナリが「柏インターを降りた」と言う知らせだ。道が混んでたようで、それから30分ほどしてから、神奈川のゼファー使い、カミナリが到着した。とは言えまだ先日の事故の影響があるから、乗ってきたのはクルマだけど。

やせて背の高いオトコは、相変わらず優しい笑みを浮かべていた。

 

前にツーリングかなんかで、カミナリとGOは会ったことがあるらしい。

「お久しぶりです」

とアイサツし終わると、カミナリは俺に土産を差し出した。

「あんだよ、気ぃ使うなって言ったろう」

「いや、ウチの嫁さんから」

くじらだの温泉だのステキな土産をもらうと、せっかくなので早速、鯨の刺身を開けてつまみにする。あんま呑まないカミナリは梅酒持参で、GOはもちろんウーロン茶。俺はジャックダニエル一本で押して行こうと思ってたのだが、せっかく尾の身があるのでビール&焼酎にする。

そして、宴は始まった。

 

カミナリは寡黙なオトコだ。

背が高くて細くて寡黙ってんだから、まさしく俺とは正反対。同じなのは年齢と、単車やロックが好きってことかな。俺がペラペラとしゃべり、それにカミナリが答える感じで話し始めたのだが、しばらくするうちに、俺はなんだかとても嬉しくなってきた。

何がって、コイツの口数の少なさが苦にならないからだ。

単車、音楽、そして今までの生き様。性格を反映しているのだろう、ポツリポツリと言葉を選んで話すのだが、その言葉の端々に『胸の中に伝えたいことがあふれている』ことが読み取れる。それを、短絡な俺が誤解しないよう、充分に考えてから口に出すのだ。

確認したわけじゃないけど、どうでもいいヤツならたぶん、カミナリは口を閉ざすだろう。

『言葉を選んで正確に伝えようとして』くれるということは、ヤツにとって俺が『どうでもよくない』という証左なんじゃないかと、俺は勝手に理解して、そして嬉しくなったのだ。『酒が入った上に、うれしくなった俺』ってのを見たことのある人は知ってると思うが。

俺は、俄然、しゃべり始めた。

カミナリと正反対に、言葉を口に出してから考えるので、話はあちこち飛ぶ上に回りくどくて、判りづらいことこの上ないのだが、それでもしゃべらずにはいられなかった。俺はほかに、感じた嬉しさを表現するすべを持たないのだ。時々、穏やかな沈黙があり、そしてまたしゃべる。

実に楽しい時間だった。

 

事故の影響で、肩の動きが悪いカミナリを治療してると。

「うぉー! ただいまー!」

うるせぇのが帰ってくる。

マルだ。

「なんだよカミナリなにやってんの? お、おでん美味そうじゃん。この皿、使うぞ」

やかましいったらない。ナオミが出かける前に作り置きしてったおでんをパクつきながら、44年生まれの単車乗り三人は、それよりもちっと若いGOを交えてしゃべりだす。マルが入ったことで、話はずいぶんとくだけた。つーかバカ話メインになった。

もちろん、それもまた楽しい。

ひと通りしゃべったり呑んだり笑ったりしてると、玄関が開いて人が入ってきた。

「こんばんはー!」

やってきたのは最近ZX6Rを手放して、ZX10Rに乗り換えた『ゆう』と、その彼女、そしてゆうの友人(なのか後輩なのかは忘れた)の20歳の男の子の三人だった。三人が座るところを作るように、GOが「パソコン借りますね」と言いながら、さりげなく移動する。

こういうところは、ホントGOだよなぁと感心しつつ、俺は新たな乱入者と対峙した。

 

軽くお互いを紹介したあと、宴会はハイテンションモードに移行。

ゆうとバカ話したり、彼女をからかったり、「NSRに乗りたい」という男の子のセリフに、44年組らしく大騒ぎしながら、楽しい時間を過ごす。マルゾーがいたせいもあって、いつの間にか俺とマルの昔話になった。俺は若者三人を笑わしつつ、カミナリに聞かせるべく、マヌケな昔話をした。

ゲラゲラわらって、いいだけ呑んで。

途中で、ゆうが晩飯を作り始める。ナオミの用意した食事やツマミは、すでになくなっていたのだ。ゆうが作ったチャーハンを奪い取って食いながら、焼酎をガンガン干していく。その合間にも、ゆうの話、彼女の話、若者の話を聞きつつ、俺とマルは舌戦を繰り広げる。

夜もだいぶん深い時間になり、ゆうたち三人は彼女の運転するクルマで帰って行った。

そのあと、残った面子でちょろっとしゃべり、翌日、家族サービスをしなくちゃならないマルも帰宅。ちょこっと呑んだカミナリと、シラフだけど眠いGO、しこたま呑んだ俺の三人は、そのあと程なくして、布団にもぐりこんだのだった。

や、よく覚えてないけどたぶん。

 

明けて翌朝。

目覚めたらのどが渇いてたので、冷蔵庫から野菜ジュースを出して飲み、二度寝を決め込もうとしてると、物音がした。起きていくと、カミナリも目覚めてたので、ヤツは自分で買い込んできた缶コーヒーを、俺は家のコーヒーを入れて、こんだシラフで話しこむ。

前日は泥酔してたので、もしかしたら話がカブったかもしれないが。

単車に乗る恐怖と歓喜。

オトコ一匹、生きていくということ。

他の人に話したら、もしかしたら「クサい」だの「語ってる」と言われてしまうかもしれない。だけど同じ年に生まれて、単車の魅力にとり憑かれ、ロックという音楽を愛したと言う共通項は、俺とカミナリが真面目に語り合うには、充分なバックグラウンドだった。

GOは寝てたけど。

 

昼前、帰っていくカミナリを送り出し、クルマのウインドウ越しに手を振り合ったあと。

「へへ、気持ちのいい男だな」

なんとも言えない満足感に包まれながら、俺は思わずニヤリ。

こうして、呑んじゃうもん倶楽部は幕を閉じた。

 

さて、呑んでばっかりいないで、こんだ走ろうか。

 

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