2010.12.26 出会いと別れ

 

ゆっくりと寝て起きた日曜日の朝。

本を読んでいるとしんごからメールが入った。

「メシ喰ってから顔出します」

あれ? アイツ仕事じゃなかったんけ? と笑いつつ「待ってるぜー!」と返した。

今日は午後からキャスタと、ヤツの上司にして単車仲間のジューダスさんがやってくる。ジューダスさんはネットで探し物をしてる時にマーマレを見つけて以来、けっこう読んでてくれたらしい。その彼の部下になったのが、なんとキャスタだったわけで、ホント不思議な縁だよね。

そしてこのジューダスさん、なんの電波をキャッチしちゃったのだろう、あろうことか

「かみさんのケーロク、手放すなら譲ってもらえませんか?」

つー大胆なコトを言い出したのだ。ウチを読んでるなら、俺のケーロクのヤレっぷりはわかってるはずなのに。もっとも逆に言えば、俺はケーロクの状況を何も包み隠さず書いてるわけだから、ある意味、素性が確かなことは間違いないんだが。

とにかく、マーマレを読んでくれてるなら、メンドウな説明が要らないから助かる。

キャスタ経由で連絡を取りながら、『あの』マーマレードスプーンの、『あの』かみの、『あの』ケーロクなんだから、もし現物を見て気に入らないと思えば、遠慮なく「要らん」と言ってもらってかまわないと何度も注意を促した。それがスジだと思うのだ。

そんな感じで、26日に現物を見に来るという話になっていた。

 

午後二時半くらいだったか、キャスタから到着したと電話が入ったのと同時くらいに、しんごも到着。

「あれ? おめ、下でキャスタに会わなかったか?」

「え? もう来てるんですか?」

なんつってると玄関が開き、キャスタとジューダスさんが入ってくる。

しんごはツーリングで一度一緒に走ってるが、俺はお初なので、「こんちわー!」と、まずは初対面のごあいさつ。ジューダスさんは痩せ型の蓬髪で、ジューダスってよりむしろジーザス寄りな感じのオトコマエだった。とりあえずコーヒーを飲みながら、まずはちょこっとバカ話をしつつ。

 

単車乗りで、しかもキャスタと仲良くしてる段階で、面白くないわけがない。

俺は早くも彼に好意を持ちつつ、彼の言葉に関西のイントネーションがあるのに気づく。訊ねてみるとバリバリの大阪人だそうだ。大阪人といえばムラタだが、ヤツはほとんど大阪弁を(少なくとも俺には)使わないので、コテコテの大阪弁使いと話すのは、実は初めて。

「いやあ、これでもだいぶ大阪弁ぬけたんですわ。地元の友達と話すと言われます」

「あたしも地元の子と話すと、『気持ち悪い』って言われるんですよー」

ナオミのセリフからしばらく方言談義が続いた。キャスタもジューダスさんに引っ張られて、イントネーションが関西弁になってたので、それをからかったり。「クルマの中でふたりで話してたら、いつのまにか大阪弁になってるんですよ」とのことで、なるほど、俺も博多弁話せるようになるかな?

そんな感じでしばらくダベりつつ、タバコを二三本灰にしたら。

それじゃあケーロクのところへ出かけますか。

 

ジューダスさんのクルマに、キャスタ、しんごと共に乗り込み、整骨院へ向かって走り出す。

クルマの中でもバカ話で笑ったり、キャスタの近況やダチの話。

やがて整骨院に到着し、ケーロクとジューダスさんのご対面だ。

「あ、ここ知ってる! ここ、見たことある!」

マーマレ読者にはおなじみ、『整骨院ウラ』を見て笑うジューダスさん。まあウチを読んでくれてる人にとってはある意味、観光地みたいなモンだ。置いてあるのは単車のパーツばっかりだけど。ウラでは大屋さんのムスコやっちゃんがダチとクルマをいじってたので、こちらは整骨院の脇へ。

そこでケーロクを検分してもらう。

今さら何も隠すことはないので、「こことここが傷ついてます。あとイチバン大きいのは、左のフレームの削れですかね」などと説明していくと、「ああ、サーキットで飛んだヤツですね」とか、やたらと説明が楽なんで、思わず笑ってしまった。

実際、写真で見るよりはヤレてるだろうから、ここで断ってもらってかまわない。

そう伝えてから、あえて整骨院の中へ行き、ファックスのチェックしたりする。俺が居ない方がキャスタと相談できるだろうと思ったのだ。んで、戻ってくるとジューダスさん、「正直、アレなところもあるんですが、せっかくのご縁ですし」と、購入してくれることになった。

このあと何度も、彼との間で交わされた言葉だが、本当に面白い縁だなぁと思う。

 

つわけで、クルマにケーロクを積み込むのだが。

さすがにモタードレースをやってるヒトだけに、積み込む手際や準備にソツがない。雪印の牛乳ビンの箱(プラスチック製のビールケースのちっちゃいヤツ)なんて、最初は「なんでこんなもんまで積んでるんだ、このヒト?」と不思議だったのだが、積み込みするときに謎が解けた。

単車をラダーで積み込むとき、単車と一緒に自分が登るための台だったのだ。

「なるほど、雪印はそうやって使うんだ」

とキャスタが笑いながら感心している横で、俺も思わず「なるほどー」と唸ってしまった。

ケーロクを積むためにリアシートをたたんだので、俺としんごがケーロクの横に座る。キャスタが気を使って、「俺がそっちに座りますよ」と助手席を勧めてくれたのだが、どう考えても俺の方が小さいから都合がいいだろうし、だいたい俺はトラックの荷台とか、こういう場所が好きなのだ。

バカだから。

 

積まれたケーロクのすぐ横に座ったら、それじゃあ柏に帰って宴会しよう。

帰りのクルマの中では、ジューダスさんが俺とイッコしか違わないと言う事実が判明し、「んじゃ、タメ口でいきましょう」「いやいや、そういうわけには」「イッコで敬語となると、俺もろろちゃんに敬語使わなきゃならなくなるから」なんつって笑ってるとキャスが、

「ろろさんって、反則ですよねぇ」とニヤニヤ。

「そうなの? なにが?」と聞き返したジューダスさんに、俺とキャスタふたりそろって、

「すべてが!」

また大笑い。

こりゃあ、楽しい宴会になりそうだ。

 

柏に帰ってきたら、早速、ビールを取り出しつつ。

「ジューダスさんはビールでいいすか?」

「あ、お願いします」

「キャスは?」

「あ、俺はとりあえずコーヒーが残ってるんで」

「しんごは?」

「明日、仕事なんで」

と言うことで、俺とジューダスさんがビールを呑もうとすると。

「あ、やっぱりビール一本だけください。よく見たらまだこんな時間だった」

しんごが言い出した。

ビール好きのしんごの前で、こっちだけビール呑むのにちょっと気が引けてたもんだから、このセリフはもちろん大歓迎。カンパイしてしばらくすると、珍しくキャスタまで、「俺も一本貰おうかな」と、ビールを飲み始めた。俺はなんだかやけに嬉しくなってしまって、

「それじゃ、俺はもう焼酎にしよう」

と宣言。ウチの冷蔵庫は小さいので、たくさんのビールをいっぺんに冷やせないのだ。

俺は相変わらずガブガブと、みんなはのんびり、酒を呑みながら話をする。

何年もカタナ使いで、今はV−MAXに乗ってるジューダスさん。「カタナもよれるし、V−MAXもよれるし、俺、よれる単車が好きなんかな?」つー感じに、初対面だなんてカケラも感じない気さくさで話出来るのが楽しい。俺も人見知りしない方だから、話はイヤでも盛り上がる。

単車の話、ダチの話、色んな話で大笑いしつつ、呑んだくれる。

やがてナオミが鴨鍋を作ってくれたので、それをみんなでツツキながら宴は絶好調。そして、こんな楽しい宴会になれば、かみさん、調子に乗って泥酔するのはいつもの流れ。相変わらずのメイワク電話、メイワクメールを飛ばしまくるころには、カンペキに出来上がっている。

 

そのうち、当然のごとくGOも顔を出し。

音楽の話からPCの前でようつべ鑑賞会。

俺は呑んでる間はあまり食わないから、こんだけ喰ってるってことは泥酔してる証だ。

つーか、なんだこのダメなアヒル口。

 

GOはいつものようにマイペース。

写ってないけど、周りではマンガ読んだり呑んだくれたたりしてる。

 

これはもう、しんごが着替えてるから、だいぶん遅い時間だね。

もちろんこの段階で、すでに俺は沈没し、早くも夢の中。

 

新たにダチとなれた、めっちゃくちゃ楽しい、そして熱い単車乗り。俺に超高速の世界を紹介してくれた、ひょうひょうと優しい顔で笑う単車乗り。いつも一緒に遊んでくれる、ひとりは冷静、ひとりは熱い単車乗りたち。気持ちのいい男たちと、バカ話して笑えた、ステキな時間だった。

ケーロクとのお別れのはずなのに、そんなんすっかり忘れるくらい楽しかった。

みんな、ありがとう!

 

マーマレードスプーンを読んでくれてたヒトが、俺のダチのダチだと判明したり。そのヒトが俺の単車を買ってくれたり。一緒に呑んだくれたら、ものすげぇ楽しいオトコだったり。不思議な偶然と言うか縁(えにし)で、こうしてすばらしい時間が持てた。

こんなことがあるたびに、俺は思うのだ。

このサイトをやっててよかったなぁって。

 

これからも色んなヤツと出会って、一緒に走って、こうして美味い酒が呑めたら。

コレに勝る喜びはない。

モニタの前で読んでくれてるアナタも、次の宴会には参加してみないか?

 

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