エンカイレポート

呑んじゃうもん倶楽部

2011.09.10-11 魔法使いの帰還

 

真夏に戻ったんじゃねぇか? つーくらいクソ暑い土曜日。

「いくら午後休つっても、出かける気にならねぇなぁ」と思ってたら、ユウヒから、「借りてたガソリン缶返します」つーメールが入ったので、「んじゃ、俺が帰りがけベースに寄るよ」と返事して、仕事がハネるなり走りだす。ユウヒのベース(作業場)は治療院から単車で五分。

ベースに到着すると、「いやー、やるコトいっぱいあって超ぉ楽しいですよ」と笑いながら

クルマの内装を洗い始めるユウヒ。

色々やることがあるからって、『アチコチ手ぇつけちゃ、飽きて次のことをやる』と言う、やってる方は楽しいけど、効率の方は限りなく悪い作業方法を採用しているようだ。ダメ人間には、実によくある話。ちなみに俺も、よくこの方法を採(と)る。

だらだら色々やるの、楽しいんだよね。

時間掛かるけど。

最近のユウヒのお気に入り、『高圧洗浄器』。

業務用とまではもちろん行かないけど、思ったよりパワーがあってオモシロそうだった。個人的には、射出した水がぐりんぐりんって回るのが好き。なに言ってるか判りづらい上に、40すぎて「ぐりんぐりん」とか擬態語満載なのもどうかとは思うけど。

少しだけユウヒと話したら、作業のジャマになる前に撤収。

帰りしなライコに寄って、

ロンツーですっかりなくなったトゥスライダーのスペアを買う。

このへんでもう、暑くてオモテに居たくなかったので、とっとと帰ってシャワーを浴び、ビシっと昼酒を飲みながら、『日本刀の切れ味を、科学的に検証する』なんて番組を見てると、板乗りからメール。どうやら「ビューエルに試乗したい」つーんで快諾し、やつの到着を待つ。

やがて階下に到着した板乗りから、メールで連絡が入る。

そのまま待たせて下へ降りると、ユリシーズを引っ張り出し、試乗に行かせる。

ちなみに板乗りの乗ったビューエルの仕様は、ノーマルユリシーズからの変更点として、『サスペンションが前後XB12Rのモノになってる』、『ハンドルがノーマルより低く近くなってる』、そして何より、『フロント周りからナニから、全てを俺が組んだ』と言うワイルドカードつきの逸品だ。

「俺の組んだ単車に乗ろうってんだから、アイツは勇気があるなぁ」

とニヤニヤしながら、板乗りのCRMを眺めたり、ミクシィにつぶやいたりして帰りを待つ。

やがて帰って来た板乗りと、家の中でビューエル話&動画。

板乗りはビューエルのカタログを貰ってきてた。

SとRの違いとか、スタンダードフレームとワイドフレームの違いとか、興味深々でいろんなことを聞いておきながら、「いや、ビューエルは買わないと思いますよ」なんて往生際の悪いセリフを吐く板乗りに、俺は酒を飲みながら大笑い。ま、細かい感想はヤツのブログででも。

 

やがてナオミが帰ってきたので、猫の待つ家に帰る板乗りとは、ここでお別れ。

CRMに乗ってすっ飛んでゆく背中を見送ったら、HIRAMAへラーメンを食いに。

トマトラーメンと酸辣湯麺(スーラータンメン)。どっちもサッパリして美味しかった。

 

それから家に帰ってきて、のんびり動画を見たりしてると。

ピンポーン! と呼び鈴が鳴り、ナオミがインタホンで対応。「どうせ宅配便かなんかだろう」と、俺はフルシカトで、『伊達英二の世界戦』を見てた。すると、ナオミがイキナリ大声で、「はぁ!?」とか叫んでる。「おや、誰か珍しいヤツが来たのかな?」と、玄関を見た瞬間。

ハートブレイクショット。

俺の時間が止まった。

 

 

 

 

 

「ちょっ! おまえ! なんで!?」

「ただいまー♪」

 

 

 

ニュージーランドに行ってるはずの魂妹、『なっこ』がそこに立っていたのだ。

「あんだおめ、いつ帰ってきたんだよ?」

「昨日です」

「ぎゃははは! 両親には会ってきたんか?」

「おかんには会いました。おとんが帰ってくる前にこっち来ちゃいましたけど」

お父さん、ホントごめんなさい。バカ妹の代わりに俺がお詫びします。

帰国するなり顔を出してくれた妹を、俺とナオミは満面の笑みで迎える。いや、俺に至っては満面の笑みどころか、相好が崩れまくって雪崩を起こしていた。嬉しくて嬉しくて、も、バッカみてぇに、ビール、焼酎、ワインに梅酒に、ガブガブ呑んだくれる。

「いやー、ナオミさん。キミの目の前で、他の女の帰りをこんなに喜んでるのもアレだとは思うが、俺はもう、嬉しすぎて笑いが止まらんよ」

「いいんじゃない? アタシも嬉しいから」

ナオミさんも最近には珍しく、そこそこ飲んだくれ。

 

妹は、我が家に常備してる『マイ着替』を着込んで、早くもいつもの状態。

 

「かみさん。隊長(ゴー)と、しんちゃん(しんご)、呼んだら来てくれますかね?」

「呼んでみよう。ナオミはゴーに連絡してみ。俺はしんごに電話してみる」

「ゴーからメール来た。『家に居るならおいで』って送ったら、『居ない』のヒトコトだけ」

「隊長、冷たいなぁ。アタシ電話してみますね」

「しんごは今、ダチとビールフェアかなんか行ってるんだって。明日には顔出すってよ」

 

てなかんじで、家族揃い踏みとは行かなかったが、それは明日の楽しみにしよう。

それじゃあ代わりにと、こんだ大阪の弟に電話を入れる。

「もしもし、かみさん? どうしたの?」

「おう、ムラタ聞いてくれ。俺の妹が海外から帰って来たんだ。んで、楽しいから、もっと楽しくなるために、楽しくなるやつの声を聞こうと思ったんだ」

「お、嬉しいねぇ。つーかなに? なっこちゃんだっけ? 帰ってきたんだ?」

「おう、今、代わる」

電話を渡し、なっこやナオミがムラタと話してるのを、俺は幸せな気分で聞いていた。ムラタってオトコは、生き様は俺と同じでバカだけど、アタマの回転が速い男だから、話が上手で面白い。電話を代わったなっこもナオミも、げらげらと大声で笑ってる。

やがて電話が戻ってきたので、連休の話をしてから、ムラタにお休みを言う。

 

そのあと(だか電話の前だか忘れたが)、ろろちゃんの作ったDVDを三人で見た。

かみ家バージョン限定のCMに大笑いし、画面によしなしが出るたびに俺の吐く暴言に笑い、妹のそんな笑い声を聞いて、俺とナオミもさらに嬉しくなる。最終的には、画面によしなしが出るだけで大笑いするようになったなっこは、

「ポンさん(レブステーキのポンちゃん)と、ろろさんと、よしなしさんにマイミク申請しなきゃ!」

と、固くココロに誓うまでに。

そんな風にして、楽しい時間がすぎてゆく。愛する妹の突然の帰還に、俺とナオミは心ゆくまで美味い酒を呑んだ。まあ俺の場合は心ゆきすぎて、限界酒量をかるく二倍は突破し、次の日は激烈な二日酔いだったけど。

とにかく、嬉しい一夜だった。

 

 

明けて翌日。

昼くらいまでのんびりしたら、まずは飯を喰いに出よう。

「ポンさんにアイサツしたい」

つー妹の言葉によって、今日のランチはレブステーキに決まった。

ちっちゃい姉と、セクシー妹の後ろ姿。手のサポータは腱鞘炎の養生。

 

なっこのクルマで国道を南下し、レブステーキに到着する。

家族連れの客が居たので、静かに店内に入り、ポンちゃんに片手を上げてアイサツ。

「いらっしゃい!」

笑顔のポンちゃんは、しかし、なっこの方をあまり見ない。この瞬間、俺とナオミとなっこの三人は、みんな同時に気づいた。ポンちゃんが、なっこに気づいてないというコトに。俺はニヤニヤしながらポンちゃんに向かって、なっこを指差して見せる。

え? と言う顔をしたポンちゃん、しばらくなっこの顔を眺めてから。

「おぉ、なっこかよ! 誰だかわからなかった! おかえりー! いやー、かみくんにも、こんな知り合いが居るんだーと思いながらさ、あんまジロジロ見ちゃ悪いと思って、視線そらしてたんだよ。なっこ、いつ帰ってきたんだ? どっか行ってたんだよな? カンボジアだっけ?」

「きゃはははははっ!」

ポンちゃんのジョーク連打に、「ただいま」とか「昨日です」とか「ニュージーランドです」とか、まるっきし答えられず、ひたすら笑い倒すなっこ。さらにポンちゃんは、なっこのハデに開いた背中を見ながら「おおっ、いいねぇ。写真とっていい? アップするから」

「きゃははは! どうぞー!」

「よし、ミクシーに上げたぞ。これでバカな連中が引っかかるに違いない」

「がははは! 間違いねぇ」

 

二日酔いで気持ち悪かったことさえ忘れるほど美味い、レブのステーキを食いながら。

家族連れのお客さんが帰ってからは、ポンちゃんも俺らのテーブルまで来て、みんなでバカ話をして笑う。さっきの客の子供が騒いでる時にポンちゃんが言った、「ケンカすんなよ?」ってセリフに、「おまえが言うな!」とツッコミ入れたり、ポンちゃんの大阪行きの話に大笑いしたり。

笑いの絶えない時間をすごしてると、他のお客さんが多くなってきた。

なので、適当なところで切り上げ、ポンちゃんに「またね」とアイサツ。

レブステーキを出たら、「昼飯を食い終わったら、連絡ください」つってたしんごに、帰るクルマの中でメールする。クルマの中でも「ゴーの嫁さんはふわふわ系がいいか、北欧系がいいかか」などとバカ話をして笑い、帰ってきたら俺だけ家に戻って、ふたりはそのままコンビニへ買出し。

やがてオモテにエンジン音が聞こえた。

来たな、と思ってると呼び鈴が鳴り、

ひさしぶりに、しんごの登場。

俺はこないだの宴会以来、ナオミはかれこれ半年近く、なっこはもちろん一年くらい、しんごには会ってないんだが、俺の前に広がる風景は、驚くほどの安定感。『久しぶり』とか『珍しく』などと言った違和感っぽいモノがビタイチ感じられない

「なはは、画がバツグンに安定してるなぁ」

俺はうれしくなってニヤつきながら、ビールを引っ掛けて迎え始める。レブでも生を引っ掛けたから、なんだかんだ昨日の夕方から呑み続けだが、嬉しいんだからしょうがない。後悔はみんなが帰ってから、ゆっくりとする予定だ。

 

本当に久しぶりのはずなのに、本当にいつもどおりの風景。

しんごが、「俺、今さらながら、『水曜どうでしょう』を見始めたんですよ。先輩に借りて」と笑うので、まだDVD化してない中から、『対決列島』をチョイスして見始めた。なっこは、転がりながらマンガを読んでいる。と、そのなっこへ電話が入った

「あ! 隊長だ!」

ようやく連絡のついたゴーは、当然、ツーリング帰りで疲労の極みだったのだが、妹のワガママには逆らえない。「来てくれたら、帰りはクルマで送りますよ」と言うなっこの駄目押しに、どうやらついに折れたようだ。電話を切ったなっこは、「ゴーさん、来ます!」と嬉しそう。

 

数十分後、ピンポン鳴らしてゴーが入ってきた。

「ゴー、どこ行ってたの? 連絡つかないから、なっこと心配してたんだよ」

「静岡ですよ」

「たーいちょー! ひさしぶりですねー!」

「眠いっ!」

みんなそろったから、そんじゃメシ喰いに行こうつわけで、昨日と同じくHIRAMAでラーメン。

カウンターに並んで話をしながら、サッパリしたラーメンを喰う。

ナオミとなっこはナニゴトか話し、ゴーとしんご、俺はバイクの話。つっても俺はすでに、二日酔いが三日酔いになって、絶不調の脂汗だらだらだ。それでも、久々の勢ぞろいで嬉しすぎ、精神の方はテンションが高いから手に負えない。

ラーメン屋を出て、夜の道を五人で歩く。

そんなことさえ嬉しくて、ずっとニヤニヤしてた。

 

家に戻ってからは、いつもどおりグダグダな時間。

俺としんご、ナオミの三人は『対決列島』の続きを見て、ゴーとなっこは

楽しく遊んでる。

「なんだよー! 眠いんだよー!」

「ゴーさん、冷たいですよー! お帰りも言ってくれないし」

「あ……ごめん。おかえり」

「きゃははは! ただいまー!」

さすがのゴーも、なっこには形無しだ。

そのうち、連日の激務で疲れてるのだろう、しんごが寝オチする。ゴーは来た時から眠そうだし、なっこも帰国したばかりで疲れてるに違いない。もっとも俺の妹だけにテンション上がっちゃってて本人は気づいてないだろうけど。

てなわけで、久しぶりのフルキャストは、テキトーなところで解散。

ここんとこ、それぞれ状況が変わって集まることも少なかったが、帰ってきた妹の魔法によって、実に楽しい時間がすごせた。変わったところも変わらないところも、等しくカワイイその魔法使いは、ダメ人間の兄ちゃんと姉ちゃん、クールなちい兄ちゃん、そしてイチバン大人な弟に。

最高の笑顔と言う魔法をかけた。

なんだか俺ぁ、涙腺が緩みかけたよ。

 

ユウヒ、近いうちまた遊ぼう。たまには呑まないで話すぜ。

板乗り、ビューエル買ったら走りに行こうな。や、買わなくても。

ムラタ、近いうち顔出すから、またバキッと走りに行こうぜ!

ポンちゃん、いつも美味いステーキと、楽しい話をありがとう! また行くぜ!

 

しんご、ずいぶん痩せてたな。身体には気をつけてくれよ? タイア換えたら走ろう。

ゴー、疲れて眠いところサンキュ。シンドいだろうとは思ったが、妹は止められなかったよ。

ナオミ、仕事疲れの中、いつもありがとな。

 

そして、なっこ。

 

おかえり(`ー´)b

 

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