Honda

VT1300CX<FURY> SL230 VTX1800C
ラクーン CB400SF XL-degree

 

VT1300CX<FURY>

ホンダが何を思ったか、トツゼン送り出してきたファクトリーチョッパー。

俺が近年、クルーザに求めているモノのうち、パワー以外の「すべてがある」と言っていいマシンで、発売前から大騒ぎし、発売と同時に購入した。結局、ケガで乗れなかったのもあって、実質半年以下、走行距離も9000キロ程度しか乗ってないが、その範囲で感じたことを書こう。

■外観

まず、この単車の最高にして最大の売りは、そのスタイルだ。

後ろから眺めたときのタンクのラインが、流れるようで実に官能的。そこからファットなリアセクションに繋がっていく造詣も、見事としか言いようがない。ファクトリーマシンらしからぬ、豪快に寝かせたロングなフロントフォークや、VTXより一回り小さくまとめられた砲弾ライト。

いじるところがない。

まあ、この手の単車の場合、外観の完成度の高さがネガティブだと言えなくもないけど。

 

■エンジン

1300ccと言う排気量が冗談かと思うほど非力。カタログスペックでも53馬力と400cc並みなのだが、味付けや排ガス規制から来る制御もあって、さらに非力に感じる。高速域での追い越しやすり抜けは、「設計時点で視野に入ってない」と言う感じだ。

ただし、さすがにホンダのエンジンだけあって、始動性や安定性、限界値は高い。ストック状態で200スピードを維持したまま巡航しても、まったくトラブルなし。観測史上最悪の猛暑の中で、渋滞をクルマと走ったり、頻繁にエンジンを止めても、まるっきし問題なく走れた。

夏のロングツーリングでは、直管にちかいバカマフラーを入れて走ったのだが、同じく、まったくトラブルの影さえ見えなかった。ワインディング走行などをも含めて、この手の単車としては、最悪に近いくらい荒っぽく乗っていると思うが、エンジンを筆頭にすべての部分が何事もなく家まで帰りつける。

ツーリングマシンとしては、至上にして至高の性能だと思う。

 

■ポジション

またがった瞬間、思わず笑う。めっちゃめちゃ低いので、身長152センチの女性でさえ、足べったり。ただし、フォワードコントロールのステップは遠慮なく遠いので、背の低いヒトは足つきよりステップを気にした方がいい。ちなみに日本仕様はステップとハンドルが若干近くなっている。

 

■ハンドリング

見た目から想像した低速での切れ込みや、コーナリング中のアンダーステアなどは、ないと言っていいかな。もちろん、スタイル的な限界で、ある程度のクセはあるけど、正直、普通のネイキッドから乗り換えても、違和感は感じないと思う。足は前に出てるけど。

車重が、『装備重量で』300キロと、クルーザとしてはかなり軽いので、思った以上にひらひらと走りまわれる。せまっ苦しい峠道も、イメージよりはずっと普通に走れる。ただし、ホイールベースが(一般ネイキッドと比べると)気が狂ったように長いので、Uターンは苦手だ。

ブレーキング時、フォワードステップに足を踏ん張りつつ、リリースと同時かちょっと早めに、シートの内側のカドに体重を預け、頭を残さないで身体ごとイン側に入ってやると、クルーザとしてはありえないくらい気持ちよく曲がっていく。もっとも、バンク角の話はしちゃいけない。

 

■まとめ

総じて、メーカが思うような使い方をするなら、オーバークオリティなくらい優秀なマシンだ。強いて言えば荷物の積載性がよくないが、それはこのスタイルの単車なら仕方ない。サイドケースなりトップケースなり、なんでも好きなものを付ければ問題ないだろう。モノのある無しはともかく。

そして、振り回したりすり抜けたりといった、一部のダメ人間と同じ使い方をしても、それなりに応えてはくれる。とにかくエンジンが非力だが、と言うことは車体が負けない、丈夫だってコトだから、クルーザを振り回す事に慣れているなら、エンジンの限界まで振り回せる。

そして回しまくっても、ホンダのエンジンは壊れない。

スタイリッシュに乗っても、遠くへ行っても、ちょっとくらい振り回しても、コイツは応えてくれる。

いじるより、乗ることが好き。

そんなヒト向き。

 


SL230

あ、どうもSL230ッス。

つっても知らないッスよね。現行車で言うとXR230の前身になる、4サイクルトレールバイクっス。

今は、かみさんってヒトのとこでお世話になってます。

自分の230ccのエンジンは20馬力です。かみさんの乗って来たマシンの中でもダントツで非力なんじゃないでしょうか。あのヒトが山の中の道なき道をゆく『ケモライド』と言うスポーツに出会わなかったら、自分なんて死ぬまで見向きもされなかったでしょうね。

スピード狂でスペック厨らしいですし。

 

で、ごらんのスタイルとスペックからもお判りのように、自分は正直、遅いッス。

オンロードっぽい見た目ですが、だからってオン走れって言われても、ノーマル状態で100も出したら息切れですよ。120巡航なんてやられたら命にかかわります。納車の帰り、かみさんに遠慮なしでガンガンぶん回された時は、マジで「あぁ、俺の命も終わったな」って思いましたもん。

ホント、ひでぇオーナーに当たっちゃったなぁ。まぁ、あのヒトはあのヒトで、

「遅っせー! 怖っえぇっ!」

とか叫んでましたけど、それ、こっちのセリフです。かみさん、自分に乗る前まではダチのランツァ君に乗ってたらしいんですが、あんなバカ速いヤツと比べられたら、たまらんですよ実際。こっちはハナから「ロードで速く走ろう」なんて、これっぱかしも考えてないんですから。

百歩譲って、のんびりツーリングってんなら、まだわかりますけどね。

 

トレールバイクなんで、基本的に、自分は山の中が好きッス。

道なき道を進みながらの、『時速10キロでの安定感』とかなら、かなり自信があります。そりゃトライアルバイクの連中には敵(かな)いませんが、乗り手次第ではかなりトンでもない山の中だって、エンストの心配なくガンガン進んでいけます。

足が短いんで走破性を疑われることもありますが、その分、足つきは良いわけですし、こっちに言わせればウデの問題です。元トライアルライダーの小林直樹さんだって、SL230で走りまくってたくらいですからね。あぁ、どうせ使い倒されるなら、ああいう人に買われたかったなぁ。

 

ギヤ比がちょっとロングなんじゃねーかって話はよく言われますが、それは確かです。

いや、ロングつーかハンパなんでしょうね。もっとロングにすれば街乗り用として気持ちよく走れますし、ショートにすればケモノ道の走破性がかなり良くなります。ま、「どんなヒトのところに売られてくかわからないから、なるべく汎用性を」って結果なんですよ。カンベンしてください。

ハッタリとか刺激とかはカケラもねーです。

だけど、山の中をトコトコ走ったり、のんびりツーリングしたいってんなら、是非、自分の仲間に乗ってやってください。ヤマハさんトコのセロー君にも負けない、いい仕事します。自分でも地味だなぁとは思ってますが、質実剛健、シンプルな頑丈さで、コケたって投げられたって走りますよ。

少なくとも、かみさんの骨よりは頑丈ですからね。

 


VTX1800C

でかくて速くてカッコいい。

クルーザだと思ってなめてると、ちょっとありえないくらいの加速を見せる。

高速で抜群の安定感を見せる足回りのおかげで、今までかじりついて走っていた道を、鼻歌で車線変更しながら走れる。少なくとも、V-MAXの時のように高速コーナーで、ゆがむフレームやとっ散らかるタイアを、だましだまし走るのに比べたら、別世界かと言うくらい格段に速い。

パワーで負けて足で勝って、トータル五分ってトコロ……だと思いたい。

つーか、俺以外のVTXオーナーは、そんなこと気にもしてないだろう。

なんつっても、VーMAXより人間ひとり分重い車体で、ケツ流したり、ステップ擦ったり、好き勝手に遊べる度量は、さすが世界のホンダ。俺はかつてホンダ嫌いの急先鋒だったのだけれど、こいつに出会ってからはすっかりホンダ党。

何とでも言うがいい。ホンダ車は無敵なのだ。俺の節操も。

今まで乗ってた単車がじゃじゃ馬だの暴れ馬ばかりだったので、こいつの扱いやすさとメンテいらずは驚異的だ。のんびり走るときの扱いやすさと、アクセルをワイドオープンしたときの凶暴な加速。 とんがったのが好きなキ○ガイ単車のりとしても、これは満点やるしかない。

 

ただ、エンジンにしろ足回りにしろ、とにかく完成度が高いだけに、いじる楽しみが少ないのも事実。なんたってホンダ。日常メンテさえ、ほとんどやることが無いのだ。それでもチマチマいじったりして しまうのは、単車乗りの血ってヤツだろう。

 


ラクーン

整骨師の学校に行ってたころ、通学に使用。

みょーんと伸びたネイキッドつーか、要は昔々の国産アメリカン(あえてクルーザーとは呼ばず)みたいな中途半端な形。空冷2サイクル50ccの元気なエンジンで、リミッターなんてこまっしゃくれたモノも付いてないから、メータ読み80キロくらい出た。くだりで90近く。でもドラムブレーキ。

確か5速ミッション。6速はなかったような。あれ、4速だっけ?

そのころの俺はレッドゾーンの意味とかよくわかってないバカだったので、調子に乗ってぶん回しすぎた挙句、高島平でエンジンブロー。一晩置いておいたら、かっぱらわれた。高島平の治安の悪さを認識させてくれた、憎いヤツ。

 


CB400SF

コレは速い。かなり速い。

タイトなワインディングとかジムカーナだったら、ほぼ最強じゃないだろうか。

V-TECはまあ、「ああ、これか」くらいのカンジで、劇的に体感できるとはいいがたいけど、そんなものはさておいても速い。見たほうに曲がる。止めたいところで停まる。ある意味、HONDAのキモ中のキモ的、単車。

嫁さんは足つきの関係でフロント突き出したりしてるんだけど、ノーマルポジションで乗ったら、どんだけ小さく回れるんだよってくらい、くるくる回れる。コレでもう少しパワーがあったら、たいていの単車には負ける気がしないだろうなぁ。

って、そりゃCB750か。

 


XL-degree(ディグリー)

RocketIIIのタイア交換時に、代車で借りた。

本来なら、こないだ借りたセローとあたりと比較するべきなんだろうが、こいつは代車用にロードタイアを履いているので、厳密には比べられない。まあ、俺のインプレ自体が厳密とは程遠いわけで、気にしてちゃ始まらないって話もあるが。

つわけで、セローのほかに、良く乗ってるSDRあたりも含めて、比べた感想を述べてみようか。

まず、足つき。

背の高いCBR1100XXや、横に太いRocketIIIなんかとはもちろん比較にならないくらいいいが、セローあたりと比べても遜色ない。ま、SDRにはさすがに及ばないが、普通の筋力と体格だったら、自転車のノリで扱えるんじゃないだろうか。

168cm、75kgの俺だと、両足のかかとが接地する。オフ車の常でサスがやっこいから、見た目つーか1Gと1G'の車高の差が激しい。とりあえず、またいだ瞬間から、何でも出来る気がする。

エンジンは、当然、下がベッタリ粘る。

そのぶん上が回らないのはSDRと同じだが、車高とハンドルが高いので道路状況が見やすく、トータルでは結構速く走れる。

4サイクルだけにエンブレが良く効くので、油圧にしてはプアーなFブレーキを補ってくれる。だから、突っ込みすぎずに早め早めにアクションを起こせば、わりあい思いのままに操れる。

基本的には、まわさずトルクで稼ぐタイプで、6速全開で130キロくらいまでは行くが、まあ、実用とは程遠い。戦闘速度レンジは80キロってところか。オンでの評価に関しては、ロードタイアが効いてる気がする。

オフも含めトータルで言えば、さすがのホンダ。文句がない。

強いて欠点を言うなら、走破性が高すぎて街のすべてがアタックフィールドに見えるってトコくらいか。ちっとくらいの段差なら、いらっしゃいませってなイキオイで、わざと選んで走りたくなる節がある。借りた日の通勤も、ムダに遠回り&ダート走りで遅刻したくらい。

オフ車ってやっぱ、いいよねぇ。

 

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