Suzuki

  GSX-R1000(K6) HAYABUSA1300 GSX-R1000(K7)
GSX1300R隼(二回目) GSX1300R隼(一回目) Boulevard M109R GSR400
RG400Γ RGV250Γ GSX400S TS50ハスラー

 

 

GSX-R1000(K6)

一年以上も乗ってきたのにインプレを書かなかった、いや、書けなかった理由がある。

こいつに乗りはじめてからこっち、乗れば乗るほど自分の感覚が信用できなくなってきたからだ。どこまでが俺の成長で、どこまでがこいつのおかげなのか。正直、それは今でも良くわからない。俺の走り方に合ってる気もするが、こいつによって成長したからこそ、そう思うのかもしれない。

それでもようやく少しは乗れてきたと思うから、俺なりに感じたことを記してみる。

ただ、最初に断っておくと、俺はノーマルに乗ったことがない。つまり以下の文は、サイレンサーをヨシムラのスリップオンに換装し、X−TREで中低速のリミッタをはずした、『俺の』GSX-R1000<K6>(以下ケーロク)での感想になることを理解してほしい。

ま、ライトチューンだから、それほど劇的な違いはないと思うけど。

 

<外観>

ちょうカッコいい。

以上。

つわけにも行かないだろうから、ちっと書いてみるわけだが、見た目的な話は多分に個人の好みを含んでるし、なにより俺の脳には、速いとカッコよく見えてしまうシステムが内蔵されているので、純粋にデザインの評価なんて出来たためしがない。

女の子の顔と一緒で、『好きになる要素のひとつではあるが、基準はあいまい』ってやつ。

スクリーンの高さが低いから、社外品に代えた方が防風性はいいかもしれないが、個人的にデザインはノーマルが最強だと思う。あと、カタチは似てるけどハヤブサとかのメガスポに比べると、高速での防風居住性は低い。これはまぁ、たいていのSSはそうなんだろうけど。

 

<エンジン>

ちょうパワー。

うん、言い過ぎた。200馬力なんてマシンがある今となっては、超パワフルとは言い難いかも知れないが、この辺のマシンは後述のコーナリングも含めて、八割近くが乗り手に拠(よ)るところが大きいから、サーキットでも行かない限り大騒ぎすることはない。充分以上にパワフル。

ただ、最近のインジェクション車らしく、低速ギアの加速を点火マップで抑えてある。

峠なんかだと1〜3速辺りを多用するので、俺みたいなヘタクソほど『点火マップをパワフルにするリミッタカットみたいなヤツ』を突っ込んでおいた方が、遅れても取り返しやすい。もちろん、技量も顧みずにアクセル開けちゃうと、サオ立ちやスリップは免れ得ないけど。

ちなみに俺が使ってるのはX−TREだ。使用するマップは5速だったかな?

 

<コーナリング>

ちょうステキ。

これは本当にステキ。

重量配分なのかわからないが、K7K8と比べてもまたがった瞬間から軽く感じる、異常なコンパクトさと軽さは、何があるかわからない公道ではかなりの武器になる。その分、ギャップを拾いやすかったり、高速域での安定感は希薄だが、それも、このコーナリングの前では論ずるに足りない。

上手い乗り手からすると、フロントの切れ込みが限界域でのコントロールをしづらくしてるらしく、『限界を超えるとプロでも立て直すのが難しい』らしいのだが、もちろん、鈍い俺にはイッコもわからない。コーナリング中にアクセルを抜くとインに入るのはわかるが、今のところそれはポジな部分か。

「あ、やべ」

と思ってからも、アクセルを抜いてやるだけで対処できたりするからだ。

って関係ないけど最近、自分のインプレ読んでて気づいたことがある。インプレってさ、書けば書いただけ自分の下手さが浮き彫りになるね。きっとこの辺の文章も、あとで読み返したとき「うっわ、すんげトンチンカンなこと書いてる」って思うんだろうなぁ。

ま、だからって慎重に書いちゃったら、俺のインプレなんて、それこそ価値がねーわけで。

細かいことは気にせずガンガン書いていこう。

 

つわけで、コーナリングの続き。

やはりスズキらしく、ぎゅーすぱんよりツッコミ向きだと思う。もっとも、ぎゅーっとブレーキングしてフロントフォークを沈ませ、ブレーキリリースと同時にカットイン、すぱんと寝かせてクイックに曲がり、ドカンと加速する、マーマレ用語で言うところの『ぎゅーすぱん』を、俺が出来ないだけって話もあるが。

ブレーキを握ったままフロントをコーナーの奥にねじ込んでゆくと、古い単車乗りの常識では考えられないほど、調子よかったらコーナリング中盤くらいまで、そのまま曲がってくれる。そこからスリップしないようにリアから伝わる情報と相談しつつ、アクセルオンで旋回に入ってゆく。

前後のタイアがカンペキに路面を喰えば、もう、なんの心配も要らない。

タイアがぐいぐいと車体を押し出すのを感じながら、出口に向かって慎重に、いや、わりと景気よくアクセルを開け続ける。遠心力と重力のバランスした心地よい圧力が身体を押し付ける。アクセルと直結されたタイアが、美しい弧を描きながらカミソリのようにアスファルトを切り裂く。

レイザーズエッジ。

至福の時だ。

 

あとの細かいことは、どうでもいい。

要するにこいつの醍醐味はここで、このために作られた単車なのだから。

 

V-ガンマのメータが180を超え200に迫ったとき感じた恐怖と歓喜は、ハヤブサでの300に昇華していった。V-MAXがホイールスピンをしたときのそれは、ロケットIIIの圧倒的な加速が与えてくれる快楽へ繋がっていった。ケーロクのコーナリングで受けた衝撃は、それらに近い。

新しい世界の扉をあけたら、肝(キモ)をわしづかみにされた感覚だ。

四半世紀かけて、俺は、この単車にたどり着いた。

こいつがどこに繋がっていくのか、今は楽しみで仕方ない。

 

HAYABUSA1300

これが正式な表記らしい。

GSX1300R隼ってのは通称になるのかな? もっとも、シートカウルにはそう表記してあるので、メーカとしても、かなりあいまいな区分になってるようだ。ま、そんなことはこの単車の驚くべき性能を1mgもスポイルしないので、どうでもいいことではあるのだが。

ここでの隼のインプレは三回目になるので、今回は旧型(2006年モデル)との差異だけを書いておこうと思う。そしてもちろんその差異ってのは、俺が感じた純粋に個人的感想であるから、コレを元に「おめ、全然違うじゃねーか」と言われても、半笑いで中指立てるので了承されよ。

 

■エンジン

とにかく真っ先に言いたい、俺的に『この単車の最も優れた部分』である。

高速道路で300ランナーの操るK7R1000と走った際に、目ン玉が飛び出るかと思った。それくらいこの単車の加速力は驚異的だ。中間加速ではもう、圧倒的にこちらが速い。技術がどうとか、根性がどうとかの問題じゃなく、純粋にメカニズムとしてコイツの加速が上回っている。

ハイスピードランが身上の機体だから当然と言えば当然かもしれないが、高年式のR1000をスルスルと引き離すこの動力性能は、それだけで買いじゃないだろうか。おそらく世界中のほとんどの単車に対して、あの有名なセリフを吐きながらほくそ笑むことができるのだから。

「圧倒的じゃないか、我が軍は」

 

■足回り

超高速を設定してあるわりに、ワインディングでもよく動くしなやかな足回りだと思う。

硬くないのにしっかり踏ん張ってくれるので、伊豆スカみたいな高速ワインディングは非常に楽しい。重量が増加したと言うのも、先述の圧倒的なエンジンと、この足回りのおかげで、ほとんど体感できないと言っていいだろう。むしろ走り出してみれば旧型より軽く感じるくらいだ。

ただし、さすがに絶対的質量が多いのか、クイックな扱いでワンテンポ遅れる。

せまっ苦しい峠なんかで、「ああ、そう言えばコイツは重量車だっけ」と思い出される。逆に言えばそのくらい、街乗りや高速での重量感が乏しいのだ。バランスのとれた車体なんだろう。要するに狭いところや荒れたところなど、高荷重の掛けられない場所で幾分、追従性が悪いのだ。

もっとも、あの高速走行と両立させなきゃならないのだから、ある程度は仕方ないのだろうが。

 

全体的な印象は、旧型に比べてマイルドでフレンドリーだ。

でかく重くなったことと、パワーの増加のバランスで言えば、パワーが勝ってると思う。だからある意味正常進化なんだろうが、峠でガンガン振り回す人間には、旧型の方が向いてるかもしれない。ただしそれは 、新型が遅いと言うことじゃなく、使いきれるか否かと言う意味合いでだ。

より高次元で振り回せるウデがあるなら、もちろん新型を買うべきだと自信を持って言える。

ユーザーフレンドリーでマイルドなところは初心者が乗っても楽しめるだろうし、秘めた暴力的な出力とそれに見合った足回りは世のたいていの乗り手をうならせるだろう。乗り手如何ではほとんど全ての場所でSSとやりあえるし、街乗りやロングツーリングに出ればウルトララグジュアリィ。

『一台で何でもやれる』と言う意味では、現存する単車の中でも究極にして最強だと思う。

 

まさに、『アルティメット』だ。

 

GSX-R1000(K7)

<イントロダクション>

ライディングウェアに身を包んだ俺は、ガレージのシャッターを開ける。

するとスリープ状態だった二台のマシンがそれに反応し、オートマチックで起動した。メインコンピュータの起動と、各部のセルフチェックが終わると同時に、それぞれのマシンが第一声を上げる。

「グッドモーニング、ご主人」

落ち着いたトーンで穏やかに答えたのが、GSX1300R隼(ハヤブサ)。

 

「兄貴、おはよう!」

元気に叫んでポジションランプをチカチカさせてるのがGSX-R1000だ。

今日は久しぶりの休みだから、こいつらにしっかりと乗ってやることにしよう。俺はまず、ハヤブサのキーをONにしてクラッチを握り、セルを回した。ズボゥ!  と言う低い落ち着いた排気音とともに、エンジンが目覚める。さて、まずは下道を走り、ワインディングを走り、高速で帰ってこようか。

 

<下道インプレッション>

ハヤブサツーリングから帰ってきて、今度はR1000に乗り換え、同じコースを走る。

こいつは最近購入した、新しいマシンだ。前のオーナーが事情ですぐに手放したため、俺のところに来たときは20kmも走ってなかった。もっとも、俺はもうずいぶんと乗ってしまったんだが。それでも、こいつで本格的にワインディングを走るのは初めてなので、とても楽しみである。

「兄貴、ここはあんまり楽しくないよ」

下道を走り出すと、すぐにそんな声が聞こえてくる。ハヤブサの時は「飛ばせと言われればできるが、下道だし、のんびり行こうか、ご主人」と穏やかにさとされ、大人しく走れる。また、ズ太いトルクであまり回さなくても走れるのと、ポジションがツアラーチックなので、あまりイラつかず疲労もない。

もちろん、R1000も充分にトルクフルなのだが、今まで乗ってきた単車がトルク命みたいなヤツラばかりなので、それと比較してしまうと見劣りする。もっとも、比較した中ではこいつの排気量が一番小さいのだから、仕方ないといえば仕方ないのだが。

ほかのスーパースポーツバイクに比べれば起きているとは言え、前傾を強いるレーシーなポジションは、あまり下道を走るのに向いてない。せっつかれると言うほどではないが、「兄貴、つまんねーよ、ここ。早く曲がった空いてる道に行こうよ」と何度 も言われてしまった。

 

<峠インプレッション>

やがて、道は峠に差し掛かり、うねうねと曲がり始めた。

「兄貴、行こうぜ兄貴! アクセル開けてくれよ!」

路面のキレイな広いワインディングを前に、R1000がうれしそうな声を上げる。

ハヤブサならば、首○高以外のワインディングでは、「私のトルクでは必要以上に速度が乗る。それに比べて私の車重は重いから、充分気をつけてくれ、ご主人」と言われ、一つ一つの操作を正確にしないと、危険が伴う。特にブレーキには充分余裕を持っておかないとならない。

が、R1000からは、そんな忠告を受けることが一切ない。

「兄貴、もっと開けなよ。大丈夫だって、俺、軽いから。あれれ、ツッコミ過ぎちゃった? ま、任してよ。ほら、こっからだって曲がれるから。でも、もっと気持ちよく脱出したいから、リアにしっかりトラクションをかけて立ち上がってくれよな。サスが硬い? んじゃ、もっと速度あげなよ」

とにかく喧(やかま)しい。

「兄貴ダメだって! 立ち上がりを意識しすぎて、ツッコミが甘いよ。もっとイケるってば。もともと純正ブレーキは引きずり気味なんだから、スパンと寝かさなくたっていいよ。がーっと突っ込んで寝かしてくれれば、適当に曲がるから。 あとは任せるから、アクセルオンでしっかり曲げてくれよな?」

そう言われても、高いコーナリング速度で、早めにアクセルを開けるのはいささか怖い。

仕方なく、広くて見通しのいいコーナーで、膨らんでもいいように少しイン寄りに突っ込み、車体なりに旋回してゆくコーナリング前半が終わるころ、さっきより早めにアクセルを開ける。とたんに、わずかにリアを沈ませてぐいぐいと曲がり始めるR1000。思わず口元が緩む。

「そうそう、ほら、気持ちいいねぇ」

確かに気持ちいい。

しかし、こんなことはブラインドコーナーや路面の荒れた道、狭い峠なんかでは再現しづらい。少なくとも俺の腕では、何かあったときに破綻することは間違いない。俺は高速コーナーが苦手なのだ。「そのために、フルアジャスタブルのサスなんだけどなぁ」とR1000。ヒトコトもない。

 

「ギャップだぞ、ご主人。もっと路面をよく見た方がいい。私は重いしサスも動くから、この程度のギャップなら助けてやれるが。おっと、バンクするのはいいが、バンク角のことも忘れないでもらおうか。それさえ気をつけてくれれば、SSにも置いていかれない程度には曲がってやれる」

ハヤブサの言葉を思い出しながら、しかし、今は充分にR1000の走りを味わおう。

ギャップに乗れば硬いサスと軽い車体で振られるが、それでも思ったよりは安定している。 バンク角や曲がりについては、俺にどうこう言う資格はない。こいつのポテンシャルの、わずかに数十%を引き出して走ってるだけなのだから。

それでも、とにかく曲がった道ならこいつは最高に面白く、かつ、俊敏に応えてくれる。もう少し全体的にサスが良く動くようにセッティングしてやれば、せまっ苦しいところでも面白いだろう。サスペンションそのものは非常に良く出来ているから、セッティングと乗り手の問題になる。

そのうちいつもの峠に行って、少しづつ煮詰めてみようか。

「兄貴、もっと、もっと!」

そうあわてるな。ゆっくり行こうじゃないか。

 

<高速インプレッション>

帰りは高速だ。

合流で他車のいないのを確認したら、さぁ、お待ちかねの全開だぞ。

「うおぉ! 行くぜ兄貴! 俺はやるぜ!」

確かにやってくれる。フケ上がりたまらなく速いし、広くて飛ばせる高速道路なら、トルクの細さも回転で稼げる。10000rpmを越えたところから始まる圧倒的なパワーは、 ハヤブサの加速さえ普通に感じさせてしまう。12500に設定したタイミングライトが、チカっとシフトの合図をする。

「兄貴、やろうぜ! 全部ミラーの点にしようぜ!」

ハヤブサとの違いはおそらく、空力とエンジンからきている。

「風はあまり感じないだろう、ご主人。トルクも充分だから、そのくらい回ってれば200巡航させてやれるぞ。直進もどっしりまっすぐ走るから、ゆっくりしてればいい。もちろん、もっと回すならもっと出せる。あとはご主人の決断次第だ。巡航でもアタックでも、私はどちらでもいいぞ」

ハヤブサがそう言うのに対して、R1000はもっと落ち着きがない。

「風? カウルにもぐりなよ、兄貴。低速トルクとかどうでもいいから、もっと回してよ。200どころか250だって300だって俺はイケるって。ほら、この速度でも曲がれるんだぜ? 巡航? なにそれ? 喰えるの? 加速、減速、コーナリング。この三つがありゃいいじゃん!」

直進安定性がないわけじゃないが、ドコからでも曲がろうとするR1000には、落ち着きや巡航と言う言葉は、クスリにしたくても持ち合わせがない。速度はもちろん出る。もしかしたら俺でさえ、隼よりも出せる。だが、その間エンジンは高回転で回りっぱなしだ。

高回転キープに慣れない人間には、しばらくはちと扱いづらい。

「ブン回すのは慣れたかい? さぁ、ガンガン行こうよ!」

ちょっと待ってくれ。ガソリンがもうないじゃないか。身体もずっと前傾を続けてるから、あちこち痛んできたようだ。シートが硬くて前傾してるから、お尻もだいぶん痛いぞ。走行距離はまだ200kmに満たないが、少し休憩させてくれ。

「そういえば腹が減った。兄貴、ハイオク食わせてくれよ。ハイオクじゃなきゃダメだよ」

俺的に巡航というのは、出来ればレッドの半分程度の回転で走れるのが理想だ。ハヤブサだとその辺で走っても、200で200kmくらいは楽に巡航できる。『ガス入れのみ休憩なしで400km』だって問題なくやれる。対してR1000でそれをするには、強い精神力と強靭な筋力が必要だ。

しかも、このタンクでずっと全開では、連続巡航距離も200を割る。

「なんだよ、兄貴。なんで160から180の間で流してるんだ? ぶっ飛ばそうぜ?!」

結局、連続走行5時間を越えたあたりからは、そのくらいのペースに落ちてしまった。

 

<エンドロール>

帰ってきて、ガレージでヤツラを寝かしつける。

「どうだご主人、私と走っても疲れないだろう? 下道ではトルクでのんびりでもいいし、もちろんぶっ飛ばしても走れる。ワインディングではご主人さえ約束を守れば、かなりのアベレージで走る。高速道路ならご主人の 金と体力が続く限り、ドコまででも走ってやるぞ。それも200オーバーで」

ハヤブサが穏やかにそう言えば、R1000は興奮気味にこうさけぶ。

「兄貴、楽しかったね! あのワインディング最高だったよ。狭い峠だって兄貴がセッティング出してくれれば、俺はもっと走れるぜ? 高速も最初は楽しかった。やっぱ全開って気持ちいいよね。でも、後半はダメダメだったな。 かったるくてしょうがないよ。もっと鍛えようぜ兄貴」

二台の言葉に耳を傾けながら、俺は心地よい疲労に包まれていた。

 

どちらがいいか? そんなことは状況次第だ。

最強のオールラウンダーと、最強のワインディングヒーロー。

さて、次はどちらと走ろうか。

 

GSX1300R隼

<セカンドインプレ>

ま、セカンドと言うかファイナルインプレになるんだけど。

準ノーマル状態で某○○高速を走るようになってからのインプレをしてなかったので、今は無残なその姿を思い浮かべて、涙しながら鼻水すすりながら、今なりの感想を述べてゆこうと思う。むしろ降りた今の方が冷静に語れるか。ま、俺のインプレに冷静さは関係ないか。

■カスタム

ファーストから変わったのは、ブレーキキャリパーとマスター左右がブレンボになったこと。これは大きかった。ブレンボの1POD1PADキャリパーを入れたのだが、換えて初めて『ノーマルのブレーキは、それほど効かなかったんだ』と気づかされた。とにかく鬼のように効く。

ノーマルパッドでも指一本だが、これにメタリカのパッドをあわせると、異次元の減速力。

指一本でジャックナイフとか、冗談じゃないんだなぁと実感する。コントロールしやすいし速く突っ込めるから、隼乗りには絶対的にオススメ。マスターのブレンボラジアルとのコンビは、無敵だと思う。さらに16Φのクラッチマスターがものすごく軽くなるわりにキレも悪くないから、これもオススメ。

もちろん、それなりにストロークは増えるけど、一般レヴェルならまず気にならない。

■サスセッティング

高速コーナーの多い某高速や某スカイラインを、バカっ速い連中と走ったときの。

フロントプリロードをケガキ線二本締め込み、COMPを9戻しから5もどし、REBOを3戻しから4戻し。リアがCOMPが8戻しから12戻し、REBOが11戻しから3戻しの、いわゆる新垣流。フロントが踏ん張り気味の伸びづらいセッティングで、リアが縮みやすく伸びやすい、よく動くセッティング。

とは言えSS乗りに言わせると、ハヤブサのリアは動きが硬いそうだ。無論、俺は感じなかったが。

■まっすぐ

めちゃめちゃ速い。

特に4〜5速の強烈な加速が最大の武器か。問題はただひとつ、開けられるかどうかってコトだけ。少なくともメータ読み280オーバーくらいまでは、1mgの問題もない。ステアリングダンパーが邪魔で取っ払ってたのだが、ゼンゼン問題なかった。300オーバーの話は知らない。

6速クルーズの時はどうでもいいけど、4〜5速でヤってる時は、時々エンブレがジャマかも。

もっとも、上手に使えばいい武器になるから、コレも腕次第ってところか。

■曲がり

もともと古い乗り手なので、ブレーキリリースと同時に倒しこみ、外足荷重しながら曲がるってのをやってたのだが、コレでずいぶんと苦しんだ。以下の文章は俺と同じかそれより古い乗り手から見た感覚の話で、最近の乗り手の感じるものとは違うことを明記しておく。

もちろん上記のように乗っても、きちんと作業すれば曲がるし安全だ。

だが、より積極的に曲げるために、単車を信じて今まででは考えられないくらい(古人間感覚で)内側にぶら下がってやると、薄気味悪いくらい曲がる。簡単に言うと外足荷重をやめるのだ。やめるつーか控えて、単車の邪魔をしないように走るだけ。これで充分曲がる。

サーキットレヴェルならともかく、○○高速や○○スカイラインでは、SSともそこそこヤれる。少なくとも俺が置いていかれるのは確実に腕の差、開けっぷりの問題だ。重量がある分、コーナリングで分が悪いことはあるが、外乱に強いってコトで相殺されていいと思う。

ビビらずに開ければ、イメージよりずっとよく曲がる単車だ。

■結論

ブラックバード以前のメガスポーツとは一線を画すと言っていいと思う。

特にコーナリングは乗り込めば乗り込むほど奥行きがあると言うか、逆に自分のヘタさが浮き彫りになる。『隼は曲がらない』ってセリフはサーキットユースの人間とか、ごく一部の乗り手以外、口にすると恥をかくと思う。公道レヴェルでは十二分に良く曲がる単車だ。

メガスポだけに、どちらかと言えば安定志向ではあるけれど、それはSSと比べたときの話。逆に言えば、コレほどの直安や乗りやすさとコーナリング性能が同居してることが奇跡だ。ヒヤっとする場面が少なく、マシンなりでどうにかなってしまう懐の深さは、最強のオールラウンダー。

ものすごく、よくできた単車である。

 

GSX1300R隼

<ファーストインプレ>

準ノーマル状態

フロントフォークとリアサスを、それぞれ10mmほど低くした状態でのインプレ。

 

1)またがってみる。

またがった瞬間、『軽い』と感じる。それはもちろん、俺が重量級のクルーザを乗り継いできたからだろうけど、コイツの重心が低いのも一役買っている。ただ、ハンドルが低いのと 、俺の手足が短いのとで、実際に取り回すとなると、身体を覆いかぶせるようにしなくてはならない。

そのため、軽いと感じるわりには、取り回しはかったるい。

 

2)走り出してみる。

走り出すと、とにかくフラット。加速がすごいといっても、大騒ぎするほどじゃない。いい意味でも悪い意味でも刺激のない、開けた分だけ加速する感じだ。峠で攻め込むようなときは頼りになる武器だけど、普段の街乗りでは刺激がない分、ついつい速度が上がってしまう。

たとえばまったく同じ加速だったとしてもRIIIだったら、もっとカタマリ感というか、巨大な質量が制御しきれない速度へ飛び込んでゆくような、恐怖と刺激がある。これは、もっと遅いはずのV-MAXにも言える。絶対速度じゃない、刺激的な加速感ってやつ。

またVTXやM109Rのようにガンガン地べたを蹴っ飛ばしながら、身をよじるようにして加速していく面白さもない。折れ線グラフで言ったら、四発のイメージそのままの、まっすぐな右肩上がりの斜線ってイメージだ。『二次曲線的な』なんて言葉は、フォルム以外に使う場所がない。

ただ、その斜線の角度は恐ろしく急だ。

軽く吹け上がるもんだから、気持ちよくまわしてしまい、なんとなくメータを見て目ン玉が飛び出ることがある。ところが逆に、そのフラットな特性に慣れてしまうと、すり抜けの制御が、あきれるほど楽になる。楽しくなるんじゃなくて、ラクになるのだ。

例えば、今まで乗ってた怪物クルーザたちだったら、よく言えばメリハリがあると言うか、追い抜く瞬間に、アクセルをガンと開けて、ドンと出て抜かし、アクセルを戻せばエンブレで減速できる感じだった。ただのすり抜けが、やけに楽しいのだ。

それが、ハヤブサの場合、軽くて細くてパワーがフラットだから、思った時に、見た場所へ、イメージのまま突っ込める。もともとすり抜けは得意な方なのだが、こんなに楽じゃ下手になるんじゃないか? ってな余計な心配をしたくなるほどイージーだ。

ただ、楽だけどつまらない。ま、そのぶん危険が少ないわけだから、悪いことじゃないと思うけど、高速道路でも、国道のすりぬけでも、操ってる感が希薄つーか、シビレないつーか、ワクワクするようなすり抜けは出来ない。

 

3)曲げてみる。

曲がる。非常に良く曲がる。

納車までの間に、いろんなサイトを読んだんだけど、そこで書かれていたことと、実際に乗ってみたイメージはだいぶん異なる。レプリカのような硬さがない。かと言って高速コーナーで不安があるわけじゃない。またがったときは若干硬いような気がした足が、曲げ始めると驚くほどよく動く。

最近のマシンはみんなこうなのかと驚いたけど、借りて乗って峠を攻める機会のあったYZF-R1(現行の180ps)は、やっぱり昔のレプリカみたいに硬かったから、コレはハヤブサ特有の足のようだ。イメージ的には、スズキと言うよりむしろヤマハっぽい感じ。

俺の持ってる単車の中では、意外とランツァにイチバン似てる。もちろん、フロント突き出してケモノ仕様にする前のランツァだ。二次旋回からぐいぐいと曲がり始め、狙ったラインを綺麗にトレースでき、切れ込むことも逃げることもないフロントは、ものすげぇ安心感がある。

バンク角がないと聞いていて、しかも俺のは10mmほど低くなってるから、果たしてどうだろうと思ったけど、少なくとも今の段階では、不足はない。だらっとバンク角で曲がらないで、二次旋回狙いで早めに開けるように乗っていけば、曲がるし、楽しいし、気持ちいい。

サーキットなんかで、深くバンクさせたままダーっと曲がるようなときは、そりゃ足りないのかもしれないけど、公道の峠道だったら、そんな走り方をするところは少ないと思うから、これはコレでいいんじゃねーかな? ま、あとで不足を感じるようになるのかもしれないけど。

俺の身体が日本人平均を少し下回るので、もう少しだけハンドルを近くしたい気がするのは、M109Rの時と一緒。ま、本来、輸出用に作られてるわけだから、仕方ないと言えば仕方ない。ただ、最初に画策していたようなアップハンドルにはしない。

せっかく峠(やま)が楽しいので、コレをそのままに残したいのだ。

何もしないのが最高なんだろうけど、多分、もう少しだけハンドルを近くすると思う。

 

4)止めてみる。

止まる。

握った分だけきちんとブレーキが効くし、狙った分だけ減速できる。峠で乗りなれてからってことじゃなく、少し乗ったらすぐにイメージがつかみやすかったから、ブレーキの性能がいいんだろう。車体とのつじつまが合ってる感じがする。

コレで破綻するような走り方だと、きっと他の部分の限界も超えちゃってるはずだから、あんまり長生きできないかも。ま、ブレーキの限界まで攻めるっての自体は、いい悪いはともかく、カッコいい気がしないでもないけど。でもブレーキは丈夫な方がいいよ、絶対。

ブレーキ引きずりながら突っ込んで曲がってみると、これでも充分やれる気がする。が、やっぱり、きちんと減速を終わらせて、とっとと二次旋回に移ったほうが、安心だし、速いと思う。何より、その方がゼッタイ気持ちいい

 

かみ仕様シャコタン

リアは40mmほどさがる。フロントは10mmダウンのままだから、必然的に少し上向きの状態になる。光軸がかなり上向きになるから、夜は迷惑かもしれない。いや、さすがにハイビームみたいにはならんけど、光軸はもう少し、何か考えた方がいいか。

スタイル的には、もちろんガンシブ。

ローアンドロングが似合う、唯一のフルカウルマシンじゃないだろうか。ケツ下げしてもデザイン的な破綻がない。まぁ、こういうのは最終的に個人の好みになるわけだが、あえて言わせてもらえれば、このカッコ良さがわからないなら、それは、わからない方に問題がある。

 

1)またがってみる。

鬼低。

タダでさえ重心が低くて軽く感じるハヤブサなのに、さらに車高が低く、両足べったりなので、ご機嫌に軽い。立ったまま股の下で左右にゆすっても、毛ほども怖くない。転ぶ気がしないし、何でもやれる気がする。もちろん、『するだけ』だけど。

取り回しは、もちろん楽勝。両足でしっかり地べたを蹴れるので、大抵の取り回しを苦もなく出来る。友人の女の子がまたがって、目を輝かせてたから、俺のシャコタン理論は間違ってないはずだ。とにかく、怖くない。これが何よりすばらしい。

 

2)走ってみる。

街を走り出すと、圧倒的な安定感に、思わずタンクにほおずりしたくなる。

シャコタンにすることで、相対的にハンドルの位置が上がってるハズなんだが、思ったほど感じられないか。でも、準ノーマル状態よりは確実に楽だし、まっすぐが面白い。ビッグスクータとは言わないが、ちょっと戦闘的なポジションのクルーザつー感じだ。

ただ、ドコドコ感とかは薬にしたくても持ち合わせがないので、景色を見ながらゆったり走るってのが、少し退屈かもしれない。でも、RIIIの時も思ったよりのんびり走れたから、これは慣れればやれるだろう。ポジションのキツさも、思ったより早く慣れたし。

バカ開けしなければ、燃費も想定内だった。

高速で120前後くらいをキープできる自制心があれば、リッター20ちかく走る。バカ回しすると、10くれぇか。最初から『こう走る』って決めておかないと、燃費の計算がばかばかしくなるくらい、バラつきがひどい。慣れればもう少し、コントロールできるかもしれない。

が、自分の心もコントロールできない俺には、わりと絶望的。

 

3)曲げてみる

笑う。も、ゲタゲタ笑う。

峠道のような高荷重状態の走りで、コーナリングしながらフロントが逃げてく感じは、完全にクルーザだ。M109Rでやってたときのように、身体をインに入れて、ケツをシートのイン側カドに、ドカっとあずけて曲がってやると、思わず足を前に出したくなる。

狙ったラインから、タイア一本か二本分くらい外側を通るフロントに遅れて、車体が真ん中を通り、最後にリアがイン側を通る感じは、イメージ的には内輪差だ。アンダーとかオーバーとか、なに言ってんだ、あんた? って感じで言うだけむなしくなる。

内輪差って言う感覚は、クルーザ乗り、あるいはシャコタンハヤブサに乗った人なら、きっと、うなずいてくれるだろう。まぁ、シャコタンハヤブサのユーザーの数に関しては、この際目をつぶる方向で。これから増えるかもしれないしね。

間違っても、バンクさせて曲がろうなんて野心を持ってはいけない。

キッチリ減速して、パーシャルでどっこらしょと曲げてやれば言うことを聞くから、走りの破綻っぷりも楽しむくらいの余裕で走ると、案外楽しい。ノーマルの時みたいに、早めにアクセルを開けると、フロントが外へ逃げてゆくから、試すにしても左コーナーではやらない方がいい。

あと、上はすべて、峠なんかでの話だ。

街中を走る分には、まったく何の問題もなく、普通に走れる。その上、足がべったりだから、全然、怖くない。地面が近いから、曲がるときも小型バイクかクルーザに乗ってる感覚で、近所にタバコを買いに行くとか、下駄代わりの扱いも出来る。やっぱシャコタンさいこー!

 

4)止まってみる。

別にブレーキ性能までシャコタンなわけじゃないので、当然、止まる。

リアブレーキを多めに使ってクルーザみたいに止まってやれば、問題なく止まる。むしろケツ下がりのせいで、相対的にリアブレーキが効くようになるので、街乗りでは重宝する。交差点をチマチマ走るようなときは、リアだけで走れるくらい。『だけ』は言い過ぎた。

でも、イメージはそんな感じ。

ハヤブサと思わないでクルーザのつもりで乗れば、思うほど違和感はない。

 

総じて、退屈だと言われている部分は、確かに退屈なマシンだ。

クルマの後ろについて走るなんて、出来ることなら永遠にしたくない。だけど、それ以外のバランスが、驚くほどよくまとまってる。準ノーマル状態のままでも、街乗りがそれほどしんどくないし、峠に行けば、めちゃめちゃ楽しく走れる。逆にシャコタンでも、峠で遊ぶことは出来る。

速く走ると言うより、楽しく走れると言うのが、最も特筆すべき点だと思う。世界最強と鳴り物入りで出てきたわりに、すべての部分がとがってなく、丸い。だが、丸いからつまらないかと言うと、さにあらず。許容範囲が広いから、乗り手の想像力次第で、何でも出来る。

俺のダートとかシャコタンは極端かもしれないけど、最高速アタック以外の部分が、これほど想像力をかきたてられるとは思わなかった。いい意味で、完全に裏切られたと言うか予想外のよさが多かった。いや、てめぇのだって贔屓目を差し引いても、ね。

それと、やめろ、バカだ、おかしいと言われていたシャコタンだが、これもやってよかった。

ノーマルから見れば破綻したと言えるハンドリングは、まさにクルーザそのものだったし、車高を下げることで 、ダート走行まで出来ることがわかった。ニュートラルな特性とあいまって、旅に出てみたいとも思わせる。最高速が単なる付属だと思えるくらい、すべての出来がいい。

コイツは一般的な意味じゃなく、真の意味で、可能性のカタマリだと、俺は言い切る。

単車に、試されてる気がするのは、久しぶりだ。

 

BOULEVARD M109R

≪外観≫

好き嫌いが、極端に分かれる外観だろう。

空力のよさそうな(実際どうかは置いておくとして)フルカヴァードのボディに、アニメロボットの顔のようなフロントマスク。フルカヴァードと言う部分を、「機械部分を隠してる」と取るか「カウル」と取るか、人によって意見は違いそうだ。

ちなみに俺はもちろん好き。VF-1Aに似てると思う(スルー推奨)。

タコメータがハンドルライザーにマウントされているのも、好みが分かれるか。VTXやブルバード800あたりのようなマウントならわりと見慣れた感じだが、このマウントの仕方と形状は、確かに浮き上がって見える。ただし、この形状と位置のおかげで、多少のスクリーン的効果があることも事実。

俺はタコメータをはずしたから、如実に実感できた。

 

≪取り回し≫

車重はあるが重心が低いので、取り回しに不安感は少ない。

もっとも、不安感がないのと、質量が大きいのは別の話で、押すとなったらかなり積極的に遠慮したいところだ。基本的にまたがって取り回すほうが、勝手がいい。 普通の単車のように横について押すと、重心の低さが逆にあだになる。

まあ、これはM109Rに限らず、重量級クルーザの宿命だ。

 

≪街乗り≫

走り出してしまえば、充分な低速トルクで扱いやすい。

慣れないと強力なエンブレと極低速時の切れ込みで、低速時の扱いはいくらか厄介か。もっとも、それも他のクルーザと大差ないレヴェル。

全体的に、ハンドリングは素直だが、速度が上がるとある地点から、若干アンダー気味になる。バンク角はかなり少なめで、街乗りでも少し速度を上げると容易にステップをこする。それでも構わずに速度を上げると、途中からフロントが少し逃げる感じになるので、アンダー気味なのに気づく。

とは言え、怖いほど極端ではないし、アンダーがどうにもならなくなるほど速度を上げるには、その前にステップなりフレームなり車高なり、コーナリングスピードを上げるための大掛かりな対策が必要なハズなので、実質はほとんど問題なし。

≪ハイスピード≫

高速道路での全開走行は、この単車のイチバン楽しいところだろう。

気分に任せてリズムよくシフトアップを重ねていると、160くらいまでは何のストレスもなく走れる。それ以降はエンジン云々の前にポジションとそこから来る風圧のせいで、速度は出せるが快適とは言いがたい

200過ぎで若干、フロントの落ち着きがなくなるが、V-maxのような極端な振れやヨレはない。フロントの手応えが怪しくなる速度は、そのときの風の状態や道の状態にもよる。風対策(スクリーンなど)が出来ていれば、足回りやエンジン的には230巡航も、不可能ではないはず。

もちろん、『不可能ではない』程度のレヴェルだ。やれるヤツはやれる的な話。

フル加速は、さすがにパフォーマンスクルーザ。スタートダッシュも並みのネイキッドや、乗り手が甘いSSなら、簡単に喰える。だが、もっとも特筆できるのは中間加速で、回転リミットが高めな分、ものすごくフレキシブル。アンダー200くらいでの高速走行なら、強力な武器だ。

パイロン代わりの車が居るような状況なら、トップクラスの戦闘力だろう。

 

≪ワインディング≫

フルバンクでコーナリングスピードを稼ぎながら曲がると言うのは、早めにあきらめた方がいい。車両のためにも、精神衛生上も。とにかくバンク角の少なさは、今まで乗ってきたどのクルーザと比しても群抜き。まっすぐな道で軽くロールを切っただけで、がりがりとステップがこすれる。

モノサスはそこそこ仕事をしてくれるが、それも焼け石ウォーター。

早めの減速、コーナリング我慢、全開脱出てのが、今のところイチバン速く走れるようだ。

ただ、単発のコーナーならともかく、いくつものコーナーを抜けてゆくような場合、街乗りではもてあましていた強力なエンブレが、逆に効果的な武器として使える。クルーザはリアが命ってヤツ。質量が大きく加速が強力な、パフォーマンスクルーザでの峠攻めは、ブレーキに過大な負担を強いる。

も、普通じゃ考えられないほど、負担が掛かるのだ。

知らない人ならびっくりするくらい、簡単に熱でイカれる。 なので、直線につながるコーナのみ、丁寧にせめて脱出速度を稼ぎ、グネグネと開け切れないような場所では、エンブレを生かして楽に走ると、何本も攻めるような時は、ブレーキの負担を軽減できるし、精神的にも疲れが少ない。

 

≪まとめ≫

総じて、ものすごくユーザフレンドリーでありながら、ある一点を超えると乗り手を選ぶ、二面性がある単車だと言えると思う。穏やかにもスポーティにも走れるが、まだ、もう一枚上がありそうな予感がする。

ただ、一回目の限界が穏やかにやってくるので、怖さと言う点ではほとんど感じることが出来ない。単車側が、やんわりとストップをかけてくれる感じ。意図しているなら、すばらしい味付けだと思う。多分、意図してないだろうけど。

車高が低く、ピッチングが抑えられているので、どのステージでも車体の挙動が安定している。急にアクセルを戻しても、極端に怖い思いをすることはないし、それでいて、積極的に入力してやれば、相応の応えが(車体なりではあるが)返ってくるところは、非常に好感がもてる。

高速域ではもう少し上の出力が、ワインディングではバンク角が、とイロイロ不満も出やすいが、スペック表には現れない、欠点を補って有り余る魅力がある。名車や人気車にはなり得なそうだが、 独特の風貌と複雑な乗り味は、長く愛せる単車だろう。

期待してなかったせいもあるかもしれないが、予想以上に面白い単車である。

 

GSR400

スズキが社運をかけた(らしい)400ccネイキッドスポーツバイク。

行きつけのバイク屋で、代車で貸してもらった。

新しいバイクだけに、メータ周りや各部の作りは、かなりいい。シートも座り心地が良くて、しかもスポーツライドしやすい。インジェクションの調教も、めちゃめちゃ自然。

ただ、エンジンが弱い。低速はトルクフルというよりは 、ギクシャクしないでスムーズに回ると言ったカンジ。かといって高回転までバカ回ししても、回転が上がるだけで車速に反映しない。全体的な走りのイメージとしては「タルい」かな。

アクセルオンで予想した蹴飛ばし感を、2ランク下回る

半クラ当てて1万から12000回転あたりを使っても、ちっとも前に出ない。

ハンドリングも、スズキっぽくない。

とても扱いやすく、初心者でも簡単に曲がれるだろうが、それだけ。スパンと足元をすくわれるようなリーンとか、トラクションかけて後輪でぐいぐい曲がるとか、ハイスピードで突っ込んでフルバンクとか、そういう特色みたいなものが、見当たらない。

どう乗っても、なんだか不満が残る。俺の腕のせいもあるんだろうが。

もし600が、400の過激版って言うなら面白いだろうが、このままの味付けで全域にパワーが上乗せされるだけだと、つまらないかもしれない。B-KINGっぽいカタチをしてるなら、それなりの過激さが欲しかった。 ちと中途半端な味付け過ぎる。

マフラー換えて、ぎりぎりまでパワーを搾り出したら、面白くなるかもしれないが。

ストックのままだったら、俺は買わない。

 

RGV250Γ

俺がスピード狂になった元凶。

そして2サイクルジャンキーになった元凶。その上、マイナー車種好みになった元凶。それでもって、ホンダとヤマハに親の仇のごとき憎悪を抱いていた元凶。

諸悪の根源。

初代RG-Γに比べればおとなしくなっていたとはいえ、やっぱり、じゃじゃ馬はじゃじゃ馬。

センサー類がしこたま付いてるからアクセルは重いし、ポジションはツーリングが苦行にしかならないし、ガソリンは喰うし。でも、フロントのドライヴスプロケットを1丁上げてからは、わりあい扱いやすくなった。加速はいくらか鈍るけどサーキット走るわけじゃないし、体感的には3速からの伸びが気持ちいい 方が重要だったかな。

チェーンの張り不足で、クランクケースぶち割って臨終。

横浜ジャンクヤードで中古エンジン買ってきて、載せ換えた数日後に、かっぱらわれた。

バラされて、何かの足回りになってるに違いない。

 

GSX400S(katana)

もちろん、単車乗りのバイブル「キリン」のせい。

とにかくカタナに乗りたくて乗りたくて、V-ガンマのローンが残ってるのに、上乗せローンかました。でも、400はGSX-Rのストリートデチューンバージョンてな乗り味で、乗りやすいけれど……て印象しかない。これと平行して乗っていたV-Γと比べると、パンチが無い優等生。

カッコつけて夜中にスモークシールドで走ってたところ、フルバンクしながら縁石に乗り上げてぶっ飛び、フロントホイールのリムがめくれ上がった。今、スモークシールドを絶対につけないのは、そんなスウィートメモリーのせい。

全部修理して、すっとぼけて売ろうとしたところ、ハンドルストッパーの存在をすっかり失念していた。ストッパの変形から事故車だと言うことが買取屋に思いっきりばれる。40万で買い取る言ってたのが、結局 、18万まで落ちた。

やっぱりスウィートメモリー。

RG400Γ

今はゾクの御用達になっちゃってるらしい、熊谷の解体屋にしか見えない某バイクショップで88000円で購入。エンジンがかかるだけ、って状態から、ダチのマルと一緒にコツコツと修理した。

腐って穴の開いたチャンバーを、スガヤのレーシングチャンバーに交換。2サイクルとは思えない低速トルクと、パワーバンドに入った瞬間、すべてをぶっ飛ばす問答無用の加速。この単車によって、「自分は単車乗りだ」と強く意識するようになった。

今の俺のすべての基礎を作った、最高の単車。

でも、本体よりチャンバーの方が高かった。

あと、冷静になって考えると多分、250Vガンマのが速いと思う。でも、そんなの全部、全然気にならないくらい、べたべたに惚れてた。修理代とか パーツ代の総額が本体の3倍はいってたはず。

ある意味、悪女。

TS50ハスラー

オフロード遊びをするのに買った。

ジャンプとかテールスライドとかして遊んだけど、アンダーパワーはいかんともしがたく、フルサイズの車体が逆に恨めしい。 でも、弟とトコトコ下道オフツーリングは楽しんだ。川走ったり、砂利道走ったり、いろんなところに行った。この辺から『のんびり旅』的な走りも好きになってきたのかもしれない。

俺の旅の原点マシンなのに、なぜか焼きついて永眠。

単にまわし過ぎ。

旅とか、どのクチが言ってるんだか。

 

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