Triumph

Rocket III

一般イメージとしては、でかい、重い、直線番長、てなトコだろうか?

が、そんなイメージとは裏腹な、バトルマシンだ。

 

≪街乗り≫

V-maxと同じく、一見クルーザ風の車体に3発マルチエンジンを積んでいるので、乗ったときの裏切り感は、なかなかのものだ。とりあえず、ドコドコッというクルーザ的な鼓動感は、まったく無い。

その代わり、どこから開けても、グイっと車体を押し出すトルク感は非常に強力である。2速発進で半クラに気を遣うことも無かったくらいで、普通に走るなら、1速、3速を間引いても、何の問題も無くオートマみたいに街乗りできる。

そしてシグナルダッシュなら、周りの乗り物すべてを、一瞬でミラーの点にできる。

なのに、足つきのよさから来る安心感で、とても世界一でかい単車を転がしてる気にはならない。少なくとも、乗りにくいという表現ができる部分は見当たらない。車重が重いというのはあるだろうが、いままでも重量車ばかりだったので、俺は重いとは感じない。タンクの位置が高い分、横についての取り回しは楽なぐらいだ。

でもガス欠したら、その場に捨てて帰りたくなるのは間違いないが。

 

≪ワインディング≫

大トルクのおかげで、多少のミスはリカバリできるし、ギアを頻繁に変える必要も無い。だからと言ってスポーツ要素が無いわけじゃなく、むしろ、ギアチェンジ以外のすべての部分が忙しいから、操ってる充実感は大きい。

縦置きエンジンの特性らしいのだが、確かにVTXやV-maxに比べると、倒しこみが軽い。軽いは言い過ぎか。しかし、びっくりするほどスムーズだ。スムーズすぎて、ステップやサイレンサー、車体などを簡単にこする。バンク角が無いのではなく、フルバンクまでがもっさりしてないからだろう。

ただしさすがに、タイトな切り返しは苦手だ。苦手なのは、単車じゃなくて俺かもしれないけど。

ハンドリングも、エンジン特性も総じてスムーズだから、普通に走れば怖いことは何もない。ただし、トルクと車重が大きいので、スムーズさにごまかされると、とんでもない速度でコーナーに突っ込む羽目になる危険はある。

≪ハイスピード≫

フル加速は、Rocket IIIの売り。

ほとんどのヒトが、ココにほれ込み、これをイチバン気持ちよく感じるだろう。もちろん、俺もそうだ。0発進のGといい、中間加速の太さといい、メータ読み220までは、エクスタシーさえ感じる。

160までは、何も考えずに巡航できる。180までは心地よくぶっ飛ばせる。200までは少々風圧がきつい感じがする。220になると、フライスクリーンがあっても、さすがに結構な抵抗感だ。ただ、フライスクリーンの中に頭を突っ込めれば、もう2〜30は、全然平気でいけると思う。

残念ながらフライスクリーンが不透明なため、頭を突っ込むと前が見えないが。

フライスクリーンの出来はいい。V-MAX、VTXの時はそうだったが、スクリーンが大きすぎたり抵抗が多い形だと、180〜200あたりで、スクリーンのせいでフロントが暴れる場合がある。RocketIIIのフライスクリーンには、それがなかった。形と軽さの勝利だろう。さすが純正オプション。

 

とにかく、見た目を裏切ることの多い(いい意味で)Rocket IIIだが、高速での安定性(直線ではなく)と加速の太さは、クルーザにあるまじき実力だ。これなら多少のネガには、目をつぶることが出来る。もちろん、のんびりクルージングも出来るが、その「のんびり」の定義が、ハーレィやほかのクルーザと、ヒトケタ違うことは言える。

個人的には、160巡航くらいが、ものすごく楽でよかった。

タイアのハシまで使い切るような走り方にも、充分応えてくれる。

そして高速でも思った以上に戦えるし、安定してる。フォワコン、大トルク、高い旋回性(クルーザにしては)と、俺の欲しかった全てがここにあることは間違いない。 イイワケが効かない、一線級のバトルウエポンだ。かといって、腕以上のことは一切できない。マシンに助けてもらうこともできない代わりに、きちんとやることをやってやれば、必要な分キッチリ応えてくれる。

速くなりたきゃ、腕を磨けってスタンスだ。

すごく、フェアな単車だと思う。

 

2007年、手放した。非常に出来のいい単車なのだが……

 

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