DT230 Lanza(II型)
2サイクルエンジンを積んだオフロードマシン。
メーカー言うところの、ハイパートレールバイク。
CRMやRMX、KDXなど、ホンキモードのエンデューロレーサーや、2サイクル・オフロード・レーサーレプリカとは一線を画した、初心者からベテランまで誰でも来いの、
<2サイクル版セロー>あるいは、<ハイパワーセロー>って位置づけらしい。
確かに足つきはいいし、エンジンも低速で粘って扱いやすい。
オフロード初心者の俺にも、非常にフレンドリーだ。
だが、ではホンキモード車に及ばないのかと言われれば、そう簡単にうなずくことは出来ない。
『ランツァが』と言うか、オフロードそのものが(今はオンロードもか)パワーより扱いやすさやバランスの占める割合が大きいからだ。もちろん、コンマ何秒を競うような本当のレースでは分が悪いだろうが(それでもランツァで勝っちゃうヒトもいるようだが)、少なくとも豆粒にされるほどの差はない。
唯一厳しいと思われるのは、ジャンプだろうか。
エクストリームやスーパークロスみたいな大ジャンプ。
これは、サスペンションから言ってもあまり得意とは言えないだろう。
まぁ、作った連中がトレールだっつってんだから、ジャンプなんかする方が悪いってトコロか。
で、そのサスペンションだが、これがまた実によく出来ている。
SDRもそうだけど、Yamahaってサスペンションの味付けが絶妙だと思う。ジャンプこそ不得手ながら(それでも俺には充分すぎる性能だけど)簡単に調整できる伸圧、両ダンパーとあいまって、俺にとっては異次元の路面追従性を見せる。
発売当時、不評だった(らしい)トラコンも、四輪のトラクションコントロールとはまったく違う。
言ってしまえば自動進角遅角装置と言うところらしい。センサーがエンジン回転数と後輪の回転数のつじつまが合わないと検知すると、遅角させてトルクを抑えると言う面にくわえ、遅角させる直前にパワーを乗せることで、早目の頭打ち感を出すという側面もあるそうだ。
ま、詳しいことは俺より機械や電気に強いヒトが解説してるサイトがあるから、そっちで。
要するに、四輪のトラコンみたいに『滑らせられない』的な面は一切ないということだ。
むしろ、パワーや前述のサスペンションとあいまって、滑り出しも容易だし、コントロールしやすい。
乗ってすぐ、自分がうまくなったような錯覚に陥る。
単純にパワーのあるトレールバイクと言うことではなく。
コントロール性や出力特性を含め、すべてが高次元でバランスしている。
まさにハイパートレールと呼ぶにふさわしいマシンだ。
II型はI型のネガをつぶした、正常進化版とのことで。
この時代の2stらしい熟成度、完成度は、現存の4サイクルオフと比較しても遜色ない。
ハンドリングのヤマハの面目躍如ともいえる、すばらしい出来の単車だ。
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