The 79th big machine club
2009.05.16 第79回 でっかいもん倶楽部 in 筑波 ―ショートラン―
「日曜日は雨っぽいから、土曜に筑波か奥多摩行きません?」 GO!!!君からのメールに、当然、返事はOKつーわけで、土曜の午後、GO!!!君がやってくる。いつもなら筑波だのビーフラインだの柏から行きやすい場所を選ぶのに、奥多摩の名前が出たということは、きっと本命は奥多摩なんだろうと予想していたのだが、やってきた隊長、イキナリ 「考えてみたら奥多摩って遠いっすね。午後からだとメンドウかも」 いやいやいや、奥多摩って言い出したの君だから。しかも、『午後から福島まで600km往復』とか、平気な顔で企画するのも君だから。ま、確かに確実に混んでる首都高抜けていくのは、俺もメンドウだとは思うけど。
ところで今回、「奥多摩行くかも」つった段階で、じゅんが参加表明していた。さらにAGLAからもメールが来てて、「行く時は連絡ください」と言われていた。なので筑波に行くならAGLAはあとで連絡してもいいけど、向こうで準備してるじゅんには早めに連絡してやらなくちゃ可哀想だ。 「じゃさ、じゅんに連絡入れといてよ」 うなずいた隊長、じゅんにメールすると折り返し電話があり、俺は仕事しながらその電話を聞いていた。すると隊長、「いや、かみさんが奥多摩メンドウだって言うんだもん」と言いつつ、こっちを向いてニヤリ。「ちょ、俺のせいかっ!」と大笑いしてると、今度はAGLAに連絡。 「二時ころ高速に乗る」と渡りをつけて、仕事がハネるや否や、筑波に向けて出発した。 国道6号から県道8号、19号をつないで、矢田部から常磐道に乗る。200スピード(1スピード=約0.5km/h)くらいで流して走り、高速を降りて下道を走ったら、いつものコンビニへ入る。そこにはすでに、AGLAの黒いGSX-R1000<K7>が、俺たちの到着を待っていた。
単車を停めてあいさつをし、コンビニで昼飯とタバコを買い込んだら、しばらくそこでダベる。 タイアの話や走りの話、バカ話をしながら俺は、ケーロクにビデオカメラを取り付けた。やがて、昼飯も喰ったし、ちょろっと走ろうかっつーんで、GO!!!君を先頭にAGLA、俺の順番で走りだす。カマボコを乗り越えて上まで登ったら、そのまま一本目に入った。 ベタ付けするとAGLAは撮れても隊長が撮れないので、ふたりと少し距離を置いて走る。 離れて走りながら、コーナリングの時だけでも二台をカメラに収めようと工夫するのだが、古い型のモーションピクスはモニターの角度を変えられないので、走りながら画面を確認するのが、非常に困難だった。二台を画面に収めるために多少離れ、でも離されすぎないように。 走りそのものより、撮影に神経を使って疲れた。
そんな風にカメラマンとして頑張っていると、突然、隊長が左に寄って速度を落とす。 「おや?」と思いつつもぶっ壊れたとかではなさそうなので、そのままAGLAとふたりで隊長の横を駆け抜け、ランデブー走行に入った。AGLAの後ろで走りを眺めながら行くのだが、驚いたのが、いつの間にかずいぶんとスムーズで速くなってるってこと。 まぁ、もともと、そんなえらそうに言うほど俺とAGLAに差はないつーか、場所によってはAGLAの方が速いんだが、今までは峠道なら多少なりともアドバンテージがあったのに、それがほとんどなくなってる気がする。少なくとも、ちょっと気を抜いたりカメラに気を取られると引き離されそうになる。 練習してることは本人から聞いてたけど、本当に、会うたびに速くなるなぁ。
しょっちゅう走ってるからか、まるでマルと走るような不思議なシンクロを感じながら、AGLAと一緒に筑波山を駆け抜け、山側の休憩所に入った。AGLAも俺も、タイアがいい感じで削れてて、楽しかった走りを物語っている。休憩所には他に、ファイアブレードが一台停まっていた。
「隊長、どうしたんスかね? またバッテリ上がったのかな?」 「ぎゃははは、走りながらか? レギュレータ、パンクじゃねぇか」 などとテキトーなことを言いつつ、 休憩所で隊長を待ちながら一服。
今回もちょうどいいイメージ動画を見つけた。
楽しそうだね。
しばらく待っていたのだが、GO!!!君がやってこない。 「Uターンして、向こうに戻ったのかな?」と思い、今度は俺が前になって下り始めた。くだりはタイミングが悪くて、クルマに引っかかりまくりながら谷側の休憩所へ。すると、数の増えた四輪の間に、GO!!!君のR1がポツンと停まっていた。 ほかには、さっきのファイアブレードがいるばかり。 「どーしたん? 故障?」 近寄ってってそう聞くと、隊長、 「いや、足がつりました」 思わぬ答えに俺とAGLAは大爆笑。そのまま、しばらくダベリングタイムに入る。クルマの話やバイクの話、AGLAが速くなった話やGO!!!君の弱った身体の話、今晩の宴会の話 など、話すことはいくらでもある。そのうち、AGLAが核心をついた突っ込みをした。 「GO!!!さん、もう、走る気ないでしょう?」 「あ、ほんとだ。隊長の顔にやる気が見えない」 ふたりでからかうと、GO!!!君、ニヤリとわらって 「ボク、筑波あんまり好きじゃないんですよね」 「ちょ、だったら奥多摩でよかったじゃん」 走りたがってた じゅんだの、mixiに「奥多摩行くなら連絡ください」とメッセくれてたじゅれいさんが聞いたら、隊長祭でもおこりかねない問題発言をかましつつ、GO!!!君は『もう走らないオーラ』を全身からにじませていた。そういえば前も、 あんだけ走るの好きな男が一往復したっきりだったっけ。 長さなり狭さなりが、隊長のリズムとは合わないってことなんだろうね。 マルも好きじゃないって言ってたし、筑波山、わりと嫌われてるなぁ。
AGLAともう一往復してこようかとも思ったが、いつの間にか四輪の数がすげぇ増えてたので、とっとと帰って宴会するかと言う話に落ち着く。ファイアブレードも帰るようで、くだりの方に向かって行った。三台でのんびりとカマボコを下り、下に下りたところですり抜けをはじめる。 すると途中の信号待ちで、件(くだん)のファイアブレードに追いついた。 俺が先頭だったので、そのままいつものようにのんびりと走り出し、途中から速度を上げ始める。すると、ファイアブレードのライダーも加速し始めたようだ。もっとも、そんなに「ヤルぞ!」的な気持ちはなかったので、180スピード上限くらいで、適当にすり抜けながら走る。 と、国道に出て、あとは高速に乗って帰るだけってところで、突然、後ろから激しいエンジン音。なんだ? と思ってると、赤いジャケットの赤いR1が、フロントをあげて加速してゆく。その後ろから 、ファイアブレードもイイカンジで加速してゆく。 「あんだ、隊長か」 と半笑いで眺めてると、隊長が高速入り口でウインカーを出したところで、ファイアブレードはそのまま国道を走っていってしまった。「高速、一緒に走れたら面白かったのになぁ」と、ちょっと残念な気はしたが仕方ない。 俺は肩をすくめて高速入り口に入っていった。 ま、あとはいつもの通り。 160スピードくらいで走ってると、焦れた隊長とAGLAが、ばびゅん! とすっ飛ばし始める。あわてて追いかけるのだが、しょせん俺は200スピード以下の男。あっという間に消されてしまい、彼らのミラーから陰も形もなくなったところで、本日のCrazy Marmaladeでっかいもん倶楽部は終幕。 「やっぱ、あいつら速ぇなぁ」 と苦笑いしつつ、今晩の宴会を楽しみに、俺は柏に向かってアクセルを開けた。
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