The 18th small machine club

2007.11.11 第18回ちっちゃいもん倶楽部 in 筑波 〜試行錯誤〜

 

今日の診察は半日。

だが、午後からは昨日の夜、走ったツケを払わなきゃならない。 書類仕事かったりーなーとぼやきながら、それでも午前中の暇な時間を見て、少しづつ進める。んで、半分くらいまで終わったころだったか。整骨院の外に、二台のエンジン音が響いた。

昨日、一緒に柏へ帰ってきたK君、そのまま俺の家で一泊して、アサイチで師匠のmoto君とツーリングに出るはずだった。ところがそのK君のR1が、TZR-SPRに乗った男に先導されて整骨院までやってきたのである。そう、Zに拉致されてきたのだ。

あとで聞いた話では、朝、K君が電話だかメールだかした段階で、moto君はすでに出発していたらしい。moto君、朝から待たされてゴキゲン斜めだった模様で、彼が『かみさんのトコロに泊まった』という話をすると、半笑いながら『裏切り者っ!』という答えが返ってきたそうだ。

今後のK君の運命に、俺は涙を禁じえない。

 

整骨院の入り口に立ったZとK君に向かって、俺は笑いながら質問する。

「どこいくの?」

間髪いれず笑顔のZ。

「先生、筑波行きません? 筑波」

「俺、仕事があるんだよなぁでもいいやわかった行く」

息継ぎナシでそう答えた俺は、一時間後、仕事を終えて裏口から出る。すると、そこにはすでに、カバーをはがれて準備万端の、SDRが用意されていた。 一瞬、ハヤブサで走りたいなぁと思ったりもしたが、昨日の今日だ。まずは原点に立ち返るほうがいいかもしれない。

つーか、ついでにメンテもやっておいてくれればいいのに。

 

最近、motoマンセーつーか、むしろmoto恐怖症のZが、なにやらK君に仕込んでる。

「motoさんにメールしよう。来てくれるかもしれないじゃん」

俺も尻馬に乗って、K君に指令を出す。

「おっしゃ、また釣り上げろ!」

ダメ人間ふたりの包囲網に、K君、得意の苦笑いで師匠にメールを入れる。

なんて素直な子なんだろう。つーか、俺のイメージ的に、彼の表情=苦笑いなのは気のせいだろうか。ま、関わってる人間が悪いから、仕方ないと言えば仕方ないのかもしれないね。ケモデビルに旅デビルと来れば、K君が『かみ』にすがりたくなるのもムリはないって話だ。

いや、俺も甘やかさないけどね。

 

TZR-SDR-R1の順番で整骨院をあとにしたYamaha三人衆は、そのまま船橋取手線を経て6号線に入り、県道19号を折れて、いつもどおりのルートで筑波山を目指す。途中、K君は俺らと同じタイミングでブレーキングしていたのを、あとでZに指摘されてた。

要は車重を考えて、軽量車と同じタイミングにならないようにって話。

もちろん俺は気づいちゃいなかったけど。

 

順調に走り、いつもの筑波山ふもと、コンビニでいったん休憩。俺とK君は昼飯だ。

写真の撮り方もあるんだろうけど、こうしてみるとR1ってコンパクトだよなぁ。

 

飯食ったら、筑波山オモテを上がり、風返し峠に到着。

先導がZなので、当然のようにそのままノンストップで峠攻めに入る。

ところが、だ。

どうにもこうにも、SDRとの息が合わない。愕然としつつ、イロイロとこねくってみるんだが、うまくない。サーキットで痛感して以来、フォームの改善を進めているのだが、それがまだうまく行ってないらしく、明らかに遅い。ステップやつま先を削り倒してたのは改善されたのだが。

10本(5往復)ほど走って、いったん休憩を入れる。

と、

「先生、遅くなってません?」

Zが的確なツッコミをくれる。

たしかに、いくらフォームの改善中だとは言え、これはいただけない。かと言って、リーンウィズに戻すわけにも行かない。たとえば今ここではリーンウィズのが速く走れるとしても、それは、きちんとハングオフが出来るようになってからの話だ。やらないのとやれないのは違うってやつ。

昨日ハヤブサで走ったのも、多少影響してるのか。

VTXだ、RocketIIIだ、M109Rだの時は、ポジションがあまりにも違うので、簡単に切り替えられたんだが、ハヤブサはポジションが似てるから、どうにも乗り方を引きずってしまうようだ。SDRでは必要ないのに、大きく膨らんだビッグバイク的な乗り方をしてしまう。

ホント、単純と言うか、バカと言うか。

 

ちょっと休んで、また攻め始めてからは、まず、ラインに気をつけて走るようにした。

Zのラインに引きずられないように、ヤツと離れて独りで走りつつ、よりタイトに、より内側を、リアのトラクションを意識しながらすばやく回って、早め早めにアクセルを開ける。そのうち、少し づつやれてくる。元の走りを思い出したんじゃなくて、新しい走り方が少しわかってくる。

難しいけど、面白い。

そのまま延々と回り続け、気づけば40本以上(時間から逆算して)走り倒して、休憩。

俺とZの疲れ具合は。

 

この、くたびれ果てたジャケットたちが物語る。

 

昨日、さんざっぱら走り倒してたくせに、今日も元気なK君に、SDRを試乗させる。

「ブレーキ、あんま効かないよー」

って送り出すと、帰ってきて開口一番。

「ホントに効かないですね」

そりゃ、君のR1はブレンボのラジアルマスターに、ラジアルマウントキャリパーだからね。反則だっつの。うん、そうだよ、知ってるよ。SDRに装着(つけ)たニッシンラジアルマスターが悪いんじゃなくて、ブレンボキャスティングキャリパーが悪いんでもなくて。

俺が、マスターのサイズを間違えて買ったのが原因

だってことくらいは、かみくん、お見通しさっ…………ウカツorz

 

当初は風返しの後、パープルに行こうと思ってたんだが、俺はこのあと、書類仕事をしなくちゃならない。明日のアサイチで送らないと、軽く裁判沙汰の可能性もある。本気と書いてマジで、書類を書かなくちゃいけない。そう思い出したら、どっと疲れが出た。

「Z、パープル行くの? 俺、行かないよ? 仕事あるって思い出しちゃった」

言うと、さすがに休憩前後あわせて50本overは堪(こた)えたのだろう。Zも、

「あーどーしよーかなぁ……やめときますか」

と『行かない宣言』をして、それを潮に解散することになった。

 

つわけで第18回 crazy marmalade ちっちゃいもん倶楽部は、K君と県道19号分岐で分かれたところで、その幕を閉じる。昨日の夜、首都高速でコテンコテンにやっつけられた気分も、太陽さんさんの明るい中で峠を攻められたから、少し、回復したようだ。

もっとも、別の意味で課題が見つかって、そう言う意味では凹み気味なんだが。

 

たかが単車。されど単車。

自分の手足のごとく使えるようになる日は、いつのことなんだろうと悩みつつ。

それでも俺は、単車に乗り続けるのだ。

 

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