solo run
能登ツーリング
2008.04.30 かみ、海岸を走る
軽く二日酔いにやられながら、朝10:00ころ走り出す。 七尾から南へ下る国道159号をしばらく行くと、レッドバロン七尾店が見えてくる。ここは、俺がざんざ世話になったレッドバロン柏の店長が転勤していった先だ。俺のツーリングに予定って文字がないので、あらかじめ行くとは伝えてなかったが、思いのほか近いので寄ることにした。 だだっ広い駐車場の脇に隼を停めると。
俺の姿を見つけた店長が、ニヤニヤしながら出てきた。 元気そうだったけど、ヒマ過ぎて死んでるそうだ。ま一年目だからね。つか、ちょっと太ったかな?
店内一階は、普通にレッドバロン。
ただ、二階の小排気量車になると、俄然、普通っぽくなくなってくる。 NSR250が四台(手前にもう一台ある)に、TZR250。 『品揃え、おかしいだろ』って突っ込んだら『けっこう売れてるんですよ。こっちに来てNSRもう三台売りました』とかアタマ悪い返事がニコニコ顔で返ってきた。サーキットは遠いにしても、これだけアチコチにワインディングがあるわけで、わからなくはない。でもそれならSS売れよって話だ。 本人がRS250とか大好きな2stキチガイだからしょうがないんだけどね。
つーか、ZXR250なんて、すげぇ久しぶりに見たよ。
こっちはM109Rのリミテッドかな?
んで、店内を見回してると、おかしな部屋に気づく。 ちょ、シャシダイあるじゃん! 「かみさん、隼のパワー計ってみます?」 凹むからやめとく。
11:00ころまで喋りこみ、店長と別れてそのまま159号を南下。 実はこの先にあるキャプテンと言うバイク屋さんで、Nがレンタルバイクを借りる申し込みをしていたのだ。ネットで車種を指定しておけば、完調のレンタルバイクを貸してもらえるらしい。能登といえば有名な千里浜のなぎさドライブウェイを自分で走りたい気持ちはわかる。 だったら自分のXR100モタードで来れば良かったのに(片道500kmオーバーはムリです) 半地下の駐車場に隼を入れて、店内へ入ってゆくと、様子のおかしい単車がたくさん見える。
たとえばこういうのとか。 ここの店長がまた面白いヒトで、クチは荒っぽいが人懐っこいおっさんだった。タメ口がイヤミなく、きちんとした所とテキトーそうなところが混在してて、俺もこういうおっさんになりたいなぁと思った。ま、好きな事して楽しんでるヒトって、みんなこういう感じになるけどね。
二階へ上がって、借りる単車を確認する。 YBR125つーバイクなんだけど、またがってみると足つきが微妙。基本的にNは一般人の想像を軽くぶっちぎる股下を誇るのだが、ココへ来てその最強っぷりが更に証明されたと言える。平たく言うと、脚が短いから着かないのだ。なので、別のバイクを探す。 で、結局、決まったのが。 アクシス90。2st90だから、まぁそれほど遅いわけでもないし、いいんじゃね?
手続きを済ませたら、久しぶりに身軽になった隼とともに、なぎさラインへレッツらGO。 海に向かって快走中のアクシス。
ず〜っとタンデムだったから、どうやら嬉しいらしい。
俺は動画を撮ったり写真を撮ったりして、遊びながらのんびりと走る
やがて、それほど迷うこともなく、なぎさラインへ到着。 こんな感じで、見た目は本当にただの砂浜なのだが。
なんと、サイドスタンドが立つ。 ちょっともぐりこんだら、それきり沈まないから、見てるとやけに違和感がある。 もちろん、ハリガネみたいな原付きのセンスタもしっかり立つ。
海は凪いで、気持ちいい初夏の風が吹いている。 つっても潮風だから、後で錆びるんだけどね。
走り出してすぐ、砂浜の手ごたえが硬いのを感じたので、思い切って波打ち際まで行ってみた。 さすがに水を含んだところは柔らかいが、それでもハヤブサで走れちゃうんだからすげぇよね。 で、俺がこんな道へ来て、ただおとなしく走ってるわけはない。当然というかむしろキマりごとなので、最高速アタックにチャレンジする。とはいえ、潮干狩りやバーベキューの人たちがいるので、それほど無茶はできない。安全マージンを取りつつ、砂浜としてはおかしな速度を目指す。
真剣にやったわけでもないのに、軽く120をマークした。で、調子に乗ってその後も、片手で動画を撮りながら走ってたら、急に道がでこぼこになってコケかけ、ちょっと焦った。この辺も動画に撮ってあるから、このページの下の方に出てくる編集した動画でチェックしてみたらいいじゃない。
Nとアクシスも快走。
開けた視界に、海と砂浜、そしてバイク。排気量が小さいとか、スクーターだとか、そんなことを気にすること自体がくだらなく思えるくらい、とにかく気持ちよくて最高の道だね、ココ。潮風とかサビとか気にするボンサニスト以外は、間違いなく楽しめるよ。
Nも少しだけ、波打ち際の柔らかいところを走る。 びびりつつ笑いながら、彼方へ消えてゆく。
俺は当然、超、ゴキゲン。
ゲタゲタ笑いながら、同じく彼方へ消えてゆく。
そして、たどり着いた先は。 コスモアイル羽咋(はくい)。 宇宙船だけじゃなく、UFO関連の展示もあるという珍しい宇宙博物館だ。 んで、まず入館する前に。 見つけたらやってみるのが、かみの基本。
館内に入って300円だか400円くらいの入場料を払うと、エレベータで展示室へ。 エレベータにこんなことが書いてあるから『なんだろう』と思ったら、扉が閉まるなり電気が消えて真っ暗になる。なんだ? とおもってると、ブラックライトが光って、エレベータの中がプラネタリウムみたいに星でいっぱいになった。なかなか気が効いてて面白い。
エレベータを降りると、ヴォストークとかアポロとか、おなじみの宇宙船がお出迎えだ。 これはアメリカ最初の有人宇宙船、マーキュリー号。
超せまい。身長180、体重80以下って制限があるようだ。俺は楽勝で乗れる。ゴメンだけど。
ソヴィエトの生んだ、世界初の有人宇宙船、ヴォストークの着陸船には 無茶な表示がしてあった。 しかも激烈にせまい。俺なら10分以内に心を閉じるだろうなってくらいせまい。 俺が住んでた北千住のおんぼろ長屋の方が、まだ広かったね。
ルナ/マーズローバー。 四輪車にはビタイチ興味ない俺も、これはちょっと乗ってみたい。軽く事故っただけで確実に逝けるぜ的な男らしい運転席の位置に惚れたね。あと、タイアのヘリにくっついてる、『金属板二つ折りにしただけのモノ』をサスペンションと言い張るその姿勢にも、襟を正す思いだ。 俺もこのくらい強気に生きていかなくちゃなぁ(それは強気じゃなくて狂気です)。
これは有名だね。 こんなのに乗って大気圏突入とか、『冗談で言い出したら偉いヒトが本気にしちゃって、引っ込みがつかなくなりました』的な話なんじゃねーの、実際は? 目がくらむようなガッツか、アスワンツェツェバエくらいの脳みそじゃなくちゃ、これに乗って宇宙から降りては来られないと思う。 メリケン人ってかっこいいなぁ。
俺なら1m落ちるのもお断りだ。
こっちはもう少し胡散臭い、UFO関連のゾーン。 こんなのを見たり。
こんなのに笑ってると。
ちょ、死んでるっ! 宇宙人死んでるよっ!
怖えっつの!
ロズウェル事件の宇宙人の模型だそうで、しゃれにならないリアルさ。 ガキとか、普通に泣くだろ、これ。
いくら↓こんな可愛らしい画でごまかそうとしたって
も、だいなし。 もちろん、この手の話やモノが大好きな、ウチの整骨院の若い衆まことに、速攻で写メ。 「!!!ドコの博物館ですか? つか何の展示場?」 まことがこんなに動揺するの、久しぶりに見たかも知れん。
オモテの敷地には、ニュートンのりんごという、一瞬だけ見たらなるほどと思うけど、よく考えたらそんなに関係ないんじゃないだろうかつーモノが植わってる。ま、宇宙船は引力との戦いだし、ニュートン力学は基礎中の基礎だから、そう言う意味では関係なくもないか。 や、遠いよ。
コスモアイルでさんざん笑ったら(そう言う施設ではありません)、いよいよ俺的にはこっちが本命の、広域農道だ。能登はけっこう広域農道があるんだけど、 今日はアクシス90と一緒なので、あまり遠いところへはいけない。まぁ、そのうち走れるだろう。 イケてる入り口から、期待に胸を膨らませて走り出す。
気持ちのいい直線と、高速コーナーが混在してて、なかなかの快走路。
景色的にも、俺の好みかな。
ミラーで見ると、Nも楽しそうに走っている。
つーかアクシス、さすが2stだけあって、けっこう速かった。
気持ちよく進んでいたら、通行止め。 こないだの能登地震の余波だろうか。
つわけで。 昨日からココまでの動画をまとめて編集した(←別ウインドウ)。
つっても、そんなに撮ってないんだけど。 もちっと撮ればよかったな。
広域農道を走った後は、また、なぎさラインへ戻る。 言ってもNはあまり遠出できないから、行ける範囲が限定されるのだ。
ほら、すでにお疲れ気味。
展望台から見る、なぎさライン。
さすがに最近はNも、『カメラを向けられたら何かしなくてはならない』という人類共通のキマりごとを守れるようになってきたようだ。ネタ的に面白いかはともかく、その姿勢は評価したいと思う。個人的には展望台から飛んじゃうくらいで丁度いいと思うけど。 俺? 俺はそんなアホなことしないよ。
んで、またぞろなぎさラインを走って満足したようなので、アクシスを返してタンデムに戻る。 バイク屋の近くに、末守城の城跡があるというので、そこへ向かってみた。 花の慶次で奥村助右ヱ門が守っていたあの城だ。
こんな感じで、山の中を歩いて登るのだが。
はい、折れた。かみは歩かないのだよ。
むしろ、周りの森に興味深々だったね。 どう考えても、ランツァの出番。次回はマジで、ランツァで来ようかな。
時間的にも余裕がなかったので、三たびなぎさラインへ行ってから、もちっとだけ走ろう。 今度はタンデム。もちろん、ゼンゼン問題なく走れる。
向こうからやってくるバスは、思いっきり波打ち際を走ってた。客の要望だろうか?
なぎさライン終点から国道249を海沿いに走り、道の駅『ころ柿の里しか』へ。 休憩して水分補給とトイレを済ませたら。
そこから県道116号「末吉七尾線」を使って和倉温泉に帰る。
のだが。 道幅がだんだんせまくなる、地方の県道ではおなじみの恐怖。
こんな荒っぽいワインディングだからね。 さすがにブレーキも使うし、後ろはつかまるだけで疲れたようだ。
ツイストしてない平地に出たら、急に力尽きるN。地べた座りは単車乗りの基本。
さて、ようやく帰ってきたら、Nはともかく俺は昨日、内風呂で済ませてたので、今日は温泉に入ろう。浴衣を来てタオルを持ち、迷子になりそうな本館(俺が泊まってるのは別館)のなかを歩いてゆくと、露天風呂を中心にめぐる。 ひのき風呂、寝湯、五右衛門風呂風の釜風呂と、ひととおりの露天風呂に入った。 もちろん、ひとつにつき30秒〜1分くらい。露天だろうがなんだろうが、俺にとってはただの風呂だ。そんなものよりも、俺にとってはもっと重要な風呂がある。そう、もちろんサウナだ。別名『男の戦場』と呼ばれるあの風呂である(呼ばれてません)。 わざわざ温泉地に来てサウナに入るという、もったいないお化け的シチュエイションをものともせず、俺はタオルを引っつかんで洗浄へ、風呂だからある意味上手いこと言えてるっぽいけどそっちのセンジョウじゃない。戦場へ向かった。 ここのサウナはシンプルで、TVとか余計なものはなく、砂時計の五分計があるだけ。 「そうだ。サウナは戦いの場、余計なものは要らないのだ」 シンプルな構造の潔い風景に満足してうなずくと、俺はまず、このサウナの力を知るために、Aポイントに座った。まぁ、基本中の基本である。え? なに? Aポイント知らないの? しかたねーな。んじゃ、軽く解説してやろう。長くなるが、ついてくるように。 まずは、下図を見て欲しい。 これが今回の戦場の見取り図だ。 黒いところが熱源。左の部分と、下の部分は一段高くなっている。熱は当然上に行くので、一段高い方がより熱い。すると、イチバン近くて一番高いAのポイントが、サウナ的に一番キビシイ場所になるのは誰でもわかるだろう。ココがAポイントだ。 Aポイントは他の場所との温度差が激しいので、はっきり言ってフェアな戦いにはならない。なので基本的にサウニストの間でも、Aポイントは他人と戦う場所ではなく、己自身と戦う場所と認識されている。Aポイントにいる人間には、敬意をもって接するのが礼儀だ。 次に熱いのは近いCか位置の高いBになるわけだが、上図Cは熱原手前が近さで、熱源から遠い方は高さで、ほぼ同等の温度になる。ではなぜ左下がBになるかと言うと、あそこは高さの他に、入り口から遠いため、熱のこもりが強いのだ。なのでCとはわずかに差がつく。 Dあたりがいわゆる一般的なゾーンだ。 Eは熱源から遠く入り口に近い、Fは入り口に最も近いので、誰かが入ってくるたびに冷えたフレッシュな空気に当たるから、最も長時間入れる場所である。ただし、これは基本的な要素であって、混み具合やサウナの構造によって、その場所の難易度は変化する。 そしてもちろん、絶対的に変化しないのはAポイントの難易度だ。それゆえに、俺も含めた歴戦のサウニストたちは、始めての場所で戦う前に、まずAポイントの出来具合でそのサウナを判断するのである。これがまず最初にAポイントに座った理由だ。 いかん。思わず話が長くなった。
Aポイントにいると、途中から入ってきたおっさんがEポイントに座った。 普段は人見知りしない俺もサウナの中では戦士だから、気軽に話しかけたりはしない。しばらく様子を見ていると、おっさんは俺を意識しながらも、お腹の肉をもんだり、軽く運動したりと、本来サウナの戦いではご法度の『運動』をしている。つまり俺と戦(や)る気はないということだ。 Aポイント人間とは戦わないのが、サウニストの基本。 なるほど、こいつも歴戦のツワモノ、むしろ益荒男なのだなと納得した俺は、それでも少し頑張ってAポイントを死守し、ようやく立ち上がる。おっさんが軽く会釈するのに、俺も会釈で応えながら、出がけに砂時計をひっくり返した。基本的な礼儀である。
サウナでの自主練が終わったら、さて、それじゃぁ昨日の店に呑みに行こうか。 寿司屋、又五郎。
和倉温泉に行ったら、是非、立ち寄ってほしい。 千葉のバイクに乗ったバカに教わったと言えば、何かしら旨いものを出してくれるはずだ。
「ただいまー」 店に入るなり、カウンターに陣取り『今日は寿司を喰う』と宣言。オヤジが笑いながらすしを握ってくれるのを見ていると、店の隅にかけてある木製の札が目に入る。なにやらよくあるパターンで、『ちょっといいヒトコト』が書いてあるのだなと何気なく見ていた。 まぁ、良くある文面といえばよくあるのだが、それよりも書いた人間の署名を見て欲しい。 上田馬之助。 そう、あの上田馬之助だ。 ほらね。『俺れ』とかなっちゃってるのも、馬之助っぽくてカワイイ。 ニコニコ説明する親父の話を聞きながら、俺が『うぉお! 馬之助! 超ぉ会いてぇ!』って騒いでる横で、Nはすんげぇ覚めた顔で寿司を食ってた。俺なんかガキのころ『馬之助は、ガチでは最強』なんていう言葉に燃えたものだが、まぁ、いいさ。所詮、女にはわからんロマンなのだ。
次々出てくる寿司を、パクパクたいらげ。 ついでに肴も出してもらって酒を飲んでると、店が混んできた。 なので今日は、早めに切り上げることにする。親父とおかあさんのふたりでやってる店だから、この人数がいたら手が足りなくなることは見えているし、俺はどうせ明日もアサッテも来るつもりだからね。フラ公とかミチル君も連れてこなくちゃ、と画策しながら帰路に着く。 ちなみにこの日も、アホほど寿司喰ったのに安かった。
こうして二日目の夜も、穏やかに過ぎていった。
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