solo run
風に吹かれて
2010.08.18 五日目(中篇) 淡路〜京都 ―バトル・オブ・トド 162号への挑戦―
淡路北インターの手前の海岸で、ちょっと一服。
この対岸は紀伊半島になるのかな。
大鳴門橋。シュノーケルがあれば、あんま泳げない俺でも淡路へ渡れそうだ。
タバコ一本吸ったら走り出し。 鳴門北インターから、神戸淡路鳴門自動車道へ乗る。つーか名前、長げぇよ。
乗ってすぐの、淡路南PAで休憩を入れた。今回のツーリングは今までにないくらい、マメに休憩を入れて走ってる。山口行きで熱中症になりかけたので、短い時はこんな風に乗って15キロでサービスエリアやパーキングエリアに入り、水分補給をした。 走り出したら、まず200キロは休憩しなかった、ハヤブサのころとはえらい違いだ。 ま、とにかく水分を補給しよう。
『土佐の文旦(ぶんたん)しぼりドリンク』と、『ザ・すだち』。 どっちもかなり美味しかった。文旦はごくごく飲める。すだちの方がすっぱくて刺激的。 さて、水分補給が終わったら、気合入れて走り出そうか。
コレは淡路の上1/3くれぇ、津名一宮のあたり。 どうも俺は、『どかんと続く直線と、広がる青い空』に弱いらしい。 ここまで読んでる人はわかるだろうけど、似たような写真、アホほど撮ってるよね。
さて、五日目ともなると、さすがにアチコチ痛くなってくる。 こうしてのんびり走っていても、同じ姿勢を続けているから足腰が痛い。特に脚は、長丁場になるとずーんと重く痛んでくる。で、脚の位置を変えてやるのだが、フォワードコントロールの場合、普段は脚を前に投げ出してるから、痛くなった時は曲げてやる方が楽だ。 なので、クランクケースに足を乗っけて走る。
せっかくだからとその姿を撮ってみたのだが、コレだとうまく脚が入ってないね。 で、写真のシールドに写った景色を見るとわかるだろうけど、道の先にトンネルがせまってる。 モタモタしながらもう一枚撮ろうとしたら、
トンネルに入ってしまった。でも、脚を曲げてるところは撮れた。 腹が出てるところもな。ほっとけ。 ハイウエイペグ(高速道路用の足載せステップ)をつけるなら、一般的な『ステップより上』じゃなく、クランクケースあたりに欲しいね。それかクランクケースの上側に、足を載せる台でも作るか。でも、ワインディング行ったら、クランクケース付近にある方が楽しそうだ。 う〜ん、悩むなぁ。まぁ、そんな金はビタイチないんだけど。
やがて淡路を抜ける。
明石海峡大橋。これで本州と四国、九州を繋ぐ橋は、ひと通り走ったのかな?
橋を抜けて本州に入ると、すぐに垂水のジャンクションがせまってくる。 方向的には東、西、北、(意味ないけど、南も)ドコへでも行けるわけだが、神戸も第二神明も六甲も、みんな混んでる。「平日なのに、みんな何やってんだよ」てめぇを棚に上げて毒づきながら、山陽道の方へフューリィのフロントを向ける。理由はもちろん、イチバン空いてるから。 こんな風に行き先を決められるのが、風まかせ旅のいいところだ。
つくはら湖。ここはダム湖なんだが、そのダムの名前が激烈にすばらしい。 その名も呑吐ダムだそうだ。うっかり住んじゃいそうな名前だね。 さぞかし酒呑みが多いんだろうねぇ。
神戸ジャンクションの手前、淡河(おうご)パーキングエリアに入って休憩。 つーかさ、淡河(おうご)なんてゼッタイ読めないよな。 ふつーに読んだら『たんか(担架)』だから、縁起が悪いと思ったのかね?(ヒャクパー違います)。
淡河(おうご)にあった、風でミストを飛ばす装置。 いや、もっとシャレたカッコいい装置はあちこちにあるけど、ここまでわかりやすいシンプルな装置は初めて見たので、なんか感動して思わず撮影した。後悔はしてない。一瞬、「これ欲しいなぁ」と思ったけど、ちょっと考えたらクーラーのが100倍いい事に気づいた。 危機一髪だった。
危機一髪に涼んだところで、ツーリングマップルを中国四国から関西へチェンジ。んで、地図を見ながら山陽道から中国道、舞鶴若狭道と抜けて、丹後半島の方へ向かう予定を立てる。昨夜、アンジェの兄貴のアジトでひとりになってから、地図を眺めて漠然と、 「山口から米子に行って、四国に来たのか。日本をジグザグに進んでるんだなぁ」 なんて思ってたのを、ここで思い出したからだ。
ちょうどいいからジグザグを続け、前のロングで周りはぐった丹後半島を回ろう。
ところが。 神戸ジャンクションで自信満々に、反対側へ進んでしまう、哀しき40歳。 気づいた時には、案内板に『吹田(すいた)』とか出てて、もはや手遅れ。 仕方ないので、とりあえずそのまま中国道を東へ進む。
吹田までのあいだ、俺と激烈なバトルを繰り広げたトラック。 速度上限を時速100キロに(俺が勝手に)設定し、コース取りや状況判断のみで、どちらが先に行けるかを(俺が勝手に)延々と競った、『戦友と書いてとも』と呼ぶ熱いオトコ。専用にして三倍の証である美しい赤をまとったコイツの名前は……
『トドクック』 トラックの後ろ扉に「検索しろ」とか書いてるので、検索してみた。 「で?」って感じだが、まぁ戦友(とも)なので許そう。
レースは白熱のデッドヒートを繰り広げた。 が、やはりトドクックごとき、俺の敵にはなり得なかったようで、最終的に俺が前に出る。
ミラー越しにトドクックを撮ってやろうと思ったんだが、失敗した。ヤロウ、逃げやがった。 何の考えもなく、当てもなく、ただ中国道を走り、トドクックを負かしたところで、吹田ジャンクションが近づいてきてたので、なんとなく名神に乗る。んで、名神を北上するうちに、大山崎あたりの案内板に『京都』と書いてあったのを見て、頭の中にあの曲が流れる。 つわけで、大山崎の出口で名神を降り、国道171号へのった。
大都市にして古都、最強の観光地である京都付近は、当然、いいだけ混んでる。 この段階で、ちょっと精神的にヤラれちゃったかみさん。適当に走って、目に付いたコンビニで休憩がてら、今後の方針を決めることにした。目的もなく京都に行ったって、それこそイッコも面白くないからね。いや、見るところはそりゃ山ほどあるだろうけど、ほら、あれじゃん? かみは歩かないじゃん? 歩かなきゃ京都見物は出来ない。 俺は前に、三年続けて京都観光したから知ってるのだ。
コンビニでコーヒーを買って飲みながら、地図を見ぃ見ぃ思案してると。 「そう言えば、若が言ってた162号って、京都出発じゃなかったっけ?」 思い出した瞬間、軽く喝采をあげた。
国道162号は、あのあたりの人に聞くと、だいたい名前が挙がるワインディングだ。 京都を出発し、延々と曲がりくねりながら、最終的には福井の小浜市まで届く。地図で確認する限り、その間ずーっとワインディングなので、前からソソられてはいた。ちょうどいい機会だから、その162号を全線制覇してみようじゃないか。最初に言ってた『ジグザグ』にもなるし。 つわけで、162号を探して走り出す。 そしてある意味予定通り、キッチリ迷って大汗かきながらリカバリ。なんか俺はタマシイ的な部分で都会に向かないと思う。東京、大阪、京都なんて大都市は特に。名が知れてる都会で平気だなって思ったのは、福岡くれぇだもん(酒飲みに優しいからです)。 30分ほど京都を彷徨(さまよ)って、ようやく162号に乗った。
京都市街、だいぶん家は少なくなってきてるけど、まだまだ盆地の底だから暑い。
やがて、山が見えてくる。つーか都会って意外と、近くに山が多いよね。
山に入った。なお、『ずーっと同じクルマが写ってる』のが、俺がすり抜けしてない証拠だ。
カンペキ山に入って、道がくねり始める。この辺からは、ワインディングと言ってもいいかな。
さすがに山の中、トンネルに入るとめちゃめちゃ涼しい。ちょっと生き返る。
小浜まで80キロくれぇの地点。
やがて、道が開けてくる。都会で吸い取られた生気が、だいぶん復活してきた。
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